意外と知られていない留学生に対する企業の視点とは。

今回は意外と知られていない「企業の留学生に対する評価と留学生の課題」について述べたいと思います。(前回のコラムはこちら:「企業が海外留学生に何を期待しているか」あなたは本当にご存じですか?

これらのことを知って就活をするのと、知らないで就活をするのでは、自分が準備のできる対策が明らかに違ってきます。

では早速まいりましょう。

海外留学生はこういった職務に強いと思われている

まず、「海外就業体験が若年者の職業能力開発・キャリア形成に及ぼす影響に関する調査研究」(平成26年度厚生労働省委託 JAOS海外留学協議会調べ)によると、国内328社の人事・採用担当官へのアンケート調査から見えてきた傾向があります。

企業による渡航経験者の評価として、3つの特徴があるのです。

1、 マーケティング・商品開発に強い。[82.0%]
2、 営業・販売(接客)に力を発揮している。[71.8%]
3、 貿易実務に力を発揮している。[87.0%]

では順を追って解説していきます。

まず、「マーケティング・商品開発に強い」というのは、異文化生活をすれば、当然、多国籍の人達との交流があり、また日本にない商品やサービスなどを発見したり、様々な考え方や価値観に触れることになりますね。

その意味では、知らずのうちに発想が豊かになります。その結果、多面的な視点からものごとを見たり、考えられるようになるため、帰国後に就いた仕事で、それがそのままマーケティングや商品開発の場面で力を発揮できていると考えられます。

商品開発にしても新しいモノをゼロの状態から、つまり最初から考え出さなくても、すでに日本に有るものに海外で知り得た日本には無い価値観や知識、経験を加えることで、全く新しい価値観を生み出すことができるのです。

たとえば、当時これまで日本にはなかったスペシャリティコーヒーを日本に持ち込んで大成功したタリーズコーヒーの創業者のように。日本にはすでにコーヒーはあった。しかしスペシャリティコーヒーは無かった。それを日本に持ち込むことで日本に新しい価値を生み出し、成功したわけですね。

次に、「営業・販売(接客)に力を発揮している」については、留学中は日々、文化や価値観の異なる人達と接することになりますから、様々なタイプの相手に合せた対応ができるようになります。

しかも留学中には、当然ですが言語が違う相手と接しなければなりませんよね。海外で人間関係を作るにしても、日本にいる以上にハードルが高いわけです。留学生は皆、その困難を乗り越えて生活しています。帰国後に、これまで「日本にいるときに苦手だった相手を普通に受け入れられるようになった」と話してくれる留学生は大勢います。

営業や販売はまさに人相手の仕事ですから、そのような海外で培った関係構築力を生かせていると想像するのは難しくはないと思います。どのような顧客であっても、お客さんであっても、その相手に合せて関係を構築できるスキルが営業や販売では求められます。

最後の「貿易実務に力を発揮している」に関しては、まさに海外で習得した語学力を生かし、力を発揮していることが分わかります。

ここで注目すべきことは、特に、1、2の「マーケティングと営業」に関しては、海外経験があるから語学力の面で力を発揮しているのではなく、グローバル職種以外の分野で企業から評価されているという点です。

その点は是非押さえておいて欲しい内容です。

海外留学生が対策すべき課題

では反対に留学することで企業に「課題」だと思われていることも挙げておきたいと思います。同世代との能力比較において不足がちだと回答があったのはおもに次の3点です。

1.組織への定着度(16.1%)
2.規律性    (11.9%)
3.協調性    (11.6%)
出所:「海外就業体験が若年者の職業能力開発・キャリア形成に及ぼす影響に関する調査研究」(平成26年度厚生労働省委託 JAOS海外留学協議会調べ)

いかがでしょうか?項目だけ読むかぎりでは、留学帰国者全員に当てはまることではないと思います。

それぞれの項目に関する私の意見を述べますと、留学生ということは、そもそも日本を離れ海外に出た人たちということですから、何かやりたいことや目標が見つかると、一か所に留まることなく、どんどん外へ飛び出してしまうため定着度が悪いという印象があるのかもしれませんね。

また、規律性にしても、留学生は海外へ出るくらいですから、ルールに縛られることなく、自分が自由にやりたいことをやってしまうタイプのように思われるのかもしれません。

協調性については、周囲と一緒に何かをやり遂げるという印象よりも、自分のやりたいこと、考えていることを一人でも好きに実行してしまうように思われている可能性もあります。

よく海外は日本に比べ、自由だといわれますが、私はそのようには考えていないのです。どこの国であろうが、ある程度の「規律性」や「協調性」がなければ、国の運営は不可能だからです。自由というものがあるとするならば、どこの国であっても、決められたルールや枠内での自由ではないでしょうか。ですから、海外留学したからといって、決して「規律性」や「協調性」が欠けてしまうとは考えておりません。

ではなぜ、最後にこのようなデータをご紹介したのかというと、企業はこのように留学した人達を「課題」としてみる傾向があるということをお伝えしたかったからです。

この傾向をさえ知っておけば、「自分はこのようなタイプではない」ということを証明できるエピソードを海外で作ってくればいいだけの話です。

いずれにしても、企業が留学生に対してどのような評価をしているかを知っておくことで、海外で自分がどんな行動をしてくればいいのかの輪郭が見えてくるのではないでしょうか。

前回のコラムと今回の内容をお読みになり、是非、あなたの留学プランニング立案の一助になることを願っています!

次回のテーマは、『社会人の適切な留学期間は存在するのか?上手くいく人の共通点。』についてです。

お楽しみに!

海外留学キャリアコンサルタント
本橋幸夫

12回に渡る本橋氏のコラムまとめ

第一回:帰国後の就活でうまくいった海外留学生の知られざる共通点
第二回:企業が海外留学生に何を期待しているか
第三回:海外留学生に対する企業の3つの視点、企業からのイメージ
第四回:社会人の適切な留学期間は存在するのか?
第五回:計画倒れにならない留学プランニング3つのコツ
第六回:フィリピン留学が欧米留学に勝てるポイント!
第七回:現地インターンシップやボランティアで心がけるべき鉄則!
第八回:国内328社に聞く「現地でこんなことを体験してきた人を採用したい」
第九回:海外留学後に就職が決まらない人達の4つの共通点
第十回:帰国後の就活で「こんなはずじゃなかった!」にならないために
第十一回:『隠れた求人の探し方と裏ワザ』
最終回:留学帰国者で就活が上手くいく人、いかない人

【まとめ】セブ島にある有名・評判な語学学校の一覧表

海外留学キャリアコンサルタント

有限会社あうとりがー代表取締役
●米国 CCE,Inc. 認定 GCDF-Japan キャリアカウンセラー
●国家資格 2級 キャリア・コンサルティング技能士
●総合旅行業務取扱管理者

大学卒業後、ファイナンス会社入社。その後渡米し、帰国後、スイスに本部を持つ、世界最大級の国際教育機関の日本支社に11年間勤務。2003年に独立し、留学コンサルティング会社、有限会社あうとりがーを設立。現在、留学およびキャリアの両面から留学生を支援している。国内初の留学・キャリアコンサルタントとして活動中。

これまで 留学生支援を開始以来、23年間で、のべ10,000 名を超える留学生に接し、留学希望者や留学生帰国者対象に留学・キャリア講演をはじめ、キャリア・コンサルティング・就職支援を行なう。

著書
留学キャリア・コンサルタントが教える留学帰国者の就活』(本の泉社)
海外で英語をモノにする人、できない人』電子書籍(マイナビ)
語学留学指南』(ナカニシヤ出版)
『語学留学を10倍成功させる秘訣』(小冊子)
HP:http://ryugaku-career.com/

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