最終回:留学帰国者で就活が上手くいく人、いかない人

いよいよ本コラムの最終回になりました。最後にふさわしいテーマで締めたいと思います。

留学帰国者で就活が上手くいく人、いかない人

留学帰国者で就活が上手くいく人、いかない人はどんなタイプだと思いますか?

これまで多くの留学生を見てきた中で、帰国後の就活が上手くいく人は次のタイプです。

1,留学目標・目的が明確な人
2,留学中に現地のコミュニティに入り、主体的に活動した人
3,仕事で英語を使うことばかりに拘らない人
4,留学後の振り返りがしっかりできている。成長の言語化ができている人
5,帰国後にできるだけ早く就活を始めている人
6,就活の際に、企業に対して『自己主張』ではなく『貢献』姿勢で臨む人

それでは早速一つずつ解説していきましょう。

1,留学目標・目的が明確な人

企業面接の際にほぼ聞かれる質問があります。それは、

「どうして留学したのですか?」

です。この質問にしっかり回答できない場合は、面接官から「この人は結局、遊びに行っただけか」「日本の環境からただ逃げたかっただけか」というネガティブな見方をされてしまいます。

また、ある調査結果によると、渡航動機が明確な人とそうでない人に対する企業の評価は、動機が明確な人のほうが高く、かつ企業に入ってからの能力の発揮度合いも高い、という見方をする企業が多い傾向が数字にはっきりと表れています。

では今、留学を希望している人で、あるいは現在留学中の人で、目標・目的が明確でない人はどうすればいいのでしょうか?

そのような人は、自分が日々向かえる小さな目標を設定すると良いでしょう。

たとえば、「●か月以内に、現地人の友人を5人作る」、「TOEICで●●点スコアアップをはかる」、「現地の音楽バンドに入り、地方へ演奏の旅に出る」、「現地のボランティアに所属し、毎週最低1つは何かを提案する」などです。

このように目標をセッティングしたら、それを実現するための日々のプランニングが立てられるはずです。

海外で無目的に生活するよりも、常に何かにチャレンジする日々を送ることで、主体性や関係構築力などのヒューマンスキルは必ず身に付きますので、帰国後にそれらは企業の評価の対象になるはずです。

2,留学中に現地のコミュニティに入り、主体的に活動した人

企業は指示されたことや言われたことしかできない海外留学経験者を採用したいとは思いません。「自分で考え、行動できる人」を求めています。

自分がこのような人物だということを証明するためには、現地のコミュニティに入り、主体的に活動したエピソードを得ることで、自分が主体的に動ける人だということを証明できるでしょう。

「主体的に活動した」という意味は、たとえば、自分が所属する組織の中で、何かを提案してみたり、人に協力を仰ぐなど周囲の人を巻き込みながら率先して動くということです。

その結果、人に喜んでもらえたり感謝されたり、つまり周囲に好影響を与えることができたら尚良いと思います。それらのエピソードは企業の採用担当官に対して好印象を与えることができるはずです。

3,仕事で英語を使うことばかりに拘らない人

海外留学をしたのだから、帰国後には英語を使いたい気持ちはよく分かります。ところが私が留学帰国者にカウンセリングをして思うことは、仕事で英語を使いたい理由が、単に「せっかく海外で身に付けた英語力を維持したいから」「かっこいいから」という理由の人も割と多いのです。

もちろん、それ自体が悪いわけではないのですが、英語を使って仕事をするということがどういうことなのかもよく考えて欲しいのです。

以前、私がキャリア支援した方の中に、ホテルでどうしても英語を使う仕事がしたいという方がいました。最終的に大手外資系のホテルへ見事就職できたのですが、1か月も経たないうちに退職してしまったのです。

その退職理由は何と英語が原因でした。英語を使ってのホテル業務をしたいがためにその外資系ホテルに入社したのですが、好きだったはずの英語が仕事になった途端に英語を使うことがプレッシャーになり、使うのが怖くなってしまったそうです。

人は好きなことであっても、それが義務になってしまうと、好きでなくなってしまうことはしばしばあるものです。まさにその典型の例でした。

たとえば、歌うことが好きで上手な人だからといって、誰もがプロの歌手になれるわけではありませんよね。プロの歌手になれば、自分が歌いたい歌ばかり歌えるわけではないし、体調がすぐれないときや歌いたくないときにも笑顔で歌わないといけません。

歌うことにうんざりしているときにも歌う必要があります。それはプロだからです。プロとアマチュアの違いはそこにあります。アマチュアは自分がやりたいときに、好きな時にだけやればいいのです。プロは違いますよね。

どこかに就職し、会社からお金を頂いている以上はどんな時であってもプロとして全力を尽くす必要があります。

ある有名なプロ野球選手が、引退時に「僕はプロ野球選手の間、一度も野球を楽しんだことはありません」と言っていましたが、それは本音だと思います。仕事にするということは、そういうことです。

しばしばプロスポーツ選手が「楽しみたい」という言葉を使います。それは裏を返せば、普段は楽しくないから楽しもうとしているが故に、そのような発言になるわけです。

私は留学帰国者には、仕事で英語を使いたいという人に対して英語を使う仕事はお勧めしない、ということは言ったことはありませんが、なかなか就業先が決まらない人に対しては、英語を使う仕事だけに拘らずに、使わない仕事という方向からも就活するようにアドバイスしています。

入社した会社が、今は英語を使わない環境であっても、昨今のグローバル社会ではいつ海外進出することになるか分からないし、これからの日本は国内にいてさえいても外国人がどんどん入ってくる環境になります。その意味でも、英語を使わない仕事からも探すという方法は決して悪くありません。

英語を使う仕事、使わない仕事の二つの方向から就活している人は、求人の間口も広がり、就活で結果が出やすくなるのは言うまでもありません。

4,留学後の振り返りがしっかりできている。成長の言語化ができている人

帰国後のカウンセリングでしばしば思うことは、海外で自分がどんな力を身に付けられたかを自覚できていない人が想像以上に多いということです。

自覚できていないということは当然、それらを企業にアピールすることができないわけですね。つまり、その場合は面接で評価されにくいということです。

例えるならば、「原石が発見されずに、埋もれた状態」となってしまいます。実に勿体ないことです。

それと海外生活の振返りができていないもう一つのデメリットは、自信につながらない、ということです。
せっかく時間と資金を費やした留学なのですから、その投資に見合った成果を実感できないと自信につながらないのは当たり前ですね。企業は自信がない人を採用したいと思いません。

その点、海外生活で自分がどんな力を身に付けられたかを自覚し、自分の言葉としてしっかり言語化できていれば、面接の際には自信をもって企業にアピールできますし、当然評価も上がるため、そのような人は就活で結果が出やすいことになります。

5,帰国後にできるだけ早く就活を始めている人

帰国後にはできるだけ早く就活することをお勧めします。やはり就活するまでに間が空いてしまうと自分のやる気や勢い、そして鮮度が落ちますし、何より企業は就活していない期間、つまりブランクをたいへん嫌がる傾向にあります。

それに関連して、しばしば留学中にTOEICなどの英語能力判定テストを受検せずに帰国する人がいます。それは本人の自由なのですが、就活時に英語力を証明するスコアがないということで、帰国後日本で受検し、スコアを取得してから就活をしようとする人をわりと多く目にします。つまり、スコアをゲットするまでは就活をせずに英語試験の勉強のみしている人です。

私はこの方法はお勧めしません。英語スコアを取得するのであれば、英語試験の勉強をしながら就活も同時並行して行うことをお勧めしています。

理由は単純で、英語を使うような仕事であればもちろん英語力は必須になりますが、求人の多くはたいてい英語力のみを求めているわけではないからです。英語力+αです。

ですから、かりに帰国後に英語試験でハイスコアを取得できたとしても、必ずしもそのスコアだけが評価されるわけではないため、英語力は基準に達しても内定が出ないなんてことはよくあるわけです。

では英語のスコアがない人が就活する際に、どうすればいいかというと、英語力を特技の欄に記入し、自分が現地の人達と円滑なコミュニケーションをはかってきたエピソードを書き、自分に英語力があることをアピールするのです。そのような形で就活すればいいのです。

もちろん、この方法で必ず採用される保障はありませんが、スコア無の方にはお勧めしています。
このようなことにならないように、留学前の方や現在留学中の方には、留学中に英語力判定テストを受検され、スコアを日本に持参するようアドバイスしています。

いずれにしても、帰国後にできるだけ早く就活を始めている人が結果を出していることは知っておいてください。

6,就活の際に、企業に対して『自己主張』ではなく『貢献』姿勢で臨む人

海外生活をしていれば、どうしても自己主張をしないと生活しづらい面もあり、普段から自己主張するのに慣れてきます。

それはそれで素晴らしいことではありますが、企業面接の際には、自己主張が高じてしまうと、面接官にあまりいい印象を与えません。

企業側からすると、「留学組の人は、自己主張や権利主張をする人が多い」というイメージを抱いているケースがあるからです。

企業としては、権利や主義を主張する前に、まずは自分がやるべきことをやってくれ、という視点を持っているケースが多いと考えてください。

一次面接でいきなり待遇面の確認をしたりする人もいますが、日本の就活ではあまりお勧めできません。自分がその企業に対してどのように貢献でき、企業の求める人物像に自分がいかに合っているかをアピールすることに徹しましょう。

『自己主張』ではなく『貢献』姿勢で臨む人のほうが良い結果が出ています。

以上です。今回のテーマはとても大切な部分ですので、もう少し深くお伝えしたいのですが、文字数の関係もありすべてはお伝えできません。
帰国後の就活に興味がある方は、下記の書籍の一読をお勧めします。

留学帰国者の就活
留学帰国者の就活】(本の泉社)

この書籍は、留学生活をどのように就活に結び付ければいいのか?そのためにはどんな留学をすればいいのかを、「留学前」「留学中」「帰国後」の各フェーズ毎に分け、それぞれのフェーズでやっておくべきこと、やったほうがいいことなどを詳しく解説しています。

留学前の方から帰国後の方まで役立つ内容になっていますので一読をお勧めします。

さて、今回で約3か月に亘っての連載は終了します。いかがでしたでしょうか?

あなたのフィリピン留学を有意義なものにするために、そして留学経験を帰国後の就活に役立たせるコツを色々な角度からご紹介して参りました。

12回に亘るコラムの内容が少しでもお役に立てられたらたいへん嬉しく思います。

もし帰国後の就活に関して不安な人、どうしていいか分からない人、困っている人がいれば、お気軽に下記のHPを訪れてみてください。

あなたの探している答えが見つかるかもしれません。
http://ryugaku-career.com/

それではこのコラムをお読みいただいた読者の皆様の留学成功を心よりお祈りしております。頑張ってくださいね!

ありがとうございました!

海外留学キャリアコンサルタント
本橋幸夫

12回に渡る本橋氏のコラムまとめ

第一回:帰国後の就活でうまくいった海外留学生の知られざる共通点
第二回:企業が海外留学生に何を期待しているか
第三回:海外留学生に対する企業の3つの視点、企業からのイメージ
第四回:社会人の適切な留学期間は存在するのか?
第五回:計画倒れにならない留学プランニング3つのコツ
第六回:フィリピン留学が欧米留学に勝てるポイント!
第七回:現地インターンシップやボランティアで心がけるべき鉄則!
第八回:国内328社に聞く「現地でこんなことを体験してきた人を採用したい」
第九回:海外留学後に就職が決まらない人達の4つの共通点
第十回:帰国後の就活で「こんなはずじゃなかった!」にならないために
第十一回:『隠れた求人の探し方と裏ワザ』
最終回:留学帰国者で就活が上手くいく人、いかない人

【まとめ】セブ島にある有名・評判な語学学校の一覧表

海外留学キャリアコンサルタント

有限会社あうとりがー代表取締役
●米国 CCE,Inc. 認定 GCDF-Japan キャリアカウンセラー
●国家資格 2級 キャリア・コンサルティング技能士
●総合旅行業務取扱管理者

大学卒業後、ファイナンス会社入社。その後渡米し、帰国後、スイスに本部を持つ、世界最大級の国際教育機関の日本支社に11年間勤務。2003年に独立し、留学コンサルティング会社、有限会社あうとりがーを設立。現在、留学およびキャリアの両面から留学生を支援している。国内初の留学・キャリアコンサルタントとして活動中。

これまで 留学生支援を開始以来、23年間で、のべ10,000 名を超える留学生に接し、留学希望者や留学生帰国者対象に留学・キャリア講演をはじめ、キャリア・コンサルティング・就職支援を行なう。

著書
留学キャリア・コンサルタントが教える留学帰国者の就活』(本の泉社)
海外で英語をモノにする人、できない人』電子書籍(マイナビ)
語学留学指南』(ナカニシヤ出版)
『語学留学を10倍成功させる秘訣』(小冊子)
HP:http://ryugaku-career.com/

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