ドゥテルテの推奨する全国門限制度、子供人権団体が非難
画像:AFPジェイ・ディレクト(Jay Directo)

未成年に門限(curfew)をつける政策を検討中

大統領に当選したロドリゴ・ドゥテルテは、深夜(決められた時間以降)に外出しているところを見つかった子供の親を投獄するという計画を発表しましたが、子供の人権を訴える団体は5月20日金曜、これに対し強く非難しました。

「この計画は『保護』 と言いながら罰を与え、容認できない危険を子供たちに及ぼし、さらに後手に回った短絡的、表面的なものです」との声明を発表したのは、29年間特別な支援を必要とする子供たちと関わってきた経験を持つ子供人権団体バハイトゥルヤン(Bahay Tuluyan)です。

声明は、午後10時から午前5時までに子供だけで戸外をうろついていた未成年者が見つかった場合、その親を投獄するという計画をドゥテルテが発表した後に出されました。

団体は、地位犯罪で子供を罰することを禁じる共和国法9344を支持し、逮捕ではなくシェルターに入れるだけだと発言したことに対してもドゥテルテを非難しています。

しかし、2008年にこの団体が行った調査では、門限や保護という名のもとでさえ、政府の「救出」は「無差別で、非自主的、有害で効率の悪い」方法だとしています。

バハイトゥルヤンは、ストリートチルドレンの多くは家計を支えるためにそうしていると言います。これらの子供たちは、彼らが言うには、非常に困難な状況に置かれているのです。

「こういった理由で両親を投獄しても、子供たちに大きなトラウマを背負わせ、すでに壊れかけている家庭に深い傷を与えることにしかなりません。子供たちを家族から引き離すべきではなく、公的シェルターは最後の手段としても使用するべきではありません。ドゥテルテの提案は、子供たちの人権を軽視しています。」と団体は語ります。

子供たちに対して見過ごせない危険が増加

バハイトゥルヤンは、2014年のフレデリコ(Frederico)の事件*を引き合いに出し、子供を家族から引き離すと虐待を増やすだけだと語りました。

*Reception and Action Centre (RAC)という保護施設に7か月入所していたはずのフレデリコという少年が、がりがりに痩せてコンクリートの床で寝ている様子を撮影した画像が2014年10月にネットに拡散し、その施設を閉鎖するに至った事件。その後、バハイトゥルヤンが彼を保護し、今は回復に向かっているそうです。
注意:画像がキツイので閲覧注意
http://metro.co.uk/2014/11/01/
バハイトゥルヤンのページ
http://www.bahaytuluyan.org/

「マニラ市政が運営するレセプションアンドアクションセンター(Reception and Action Center)におけるこのような劣悪な状況から、マニラ首都圏での子供たちに対する介護の絶望的な状態や、子供たちに適切な保護する能力が完全に欠如していることが垣間見れます。」と彼らは話します。

続けて、「政府運営のシェルターに連れてこられた子供たちは、その暴力的で非人道的な環境に気付き、逃げ出すためには何でもするようになります。これらの子供たちには、ストリートの方が安全なのです」とも話しました(関連記事:DSWDがフレデリコが発見された施設を閉鎖

こういった多くのエージェントに子供を引き取る権限が与えられており、また市役員に対するトレーニングと監視が欠如しているため、ストリートから救出された子供たちに対する危険は増えています。

団体の調査では、救出された子供たちの35%が、保護や門限の名の元に身体的な虐待を受けたと言います。

「先日行われた選挙で、大統領当選者であるドゥテルテにストリートをより安全にする権利が与えられました。これは子供たちに対する安全ということでもなければなりません」と団体は語ります。

「短絡的な」計画

団体はドゥテルテの計画を「貧困層を貧乏だからといって、犯罪者に仕立てあげる」とし、問題の症状だけに焦点をあてていると非難しました。

「問題のある家庭、特に援助がない片親などに支援を提供するという政府の義務を満たすことになっていません。家族が一緒に暮らしていくためには何でもするというフィリピンの義務を果たせていないのです」バハイトゥルヤンは言います。

団体によると、貧困層という線引き以下で暮らす家族が本当に必要としているのは、利用しやすいチャイルドケアサービス、適切な住居、そしてまともな生活です。

バハイトゥルヤンはドゥテルテのこの計画を、ローマ法王の来訪やAPECサミットの際、通りから見た目だけでも子供たちを排除しようとした政府のキャンペーンと関連づけて考えています。

「見た目上子供たちを排除することや、親を投獄することは、根本的な問題を解決するのではなくただの表面的な解決にすぎず、さらなる社会的軽視や脆弱性につながる可能性があります」と団体は言っています(関連記事:有識者からドゥテルテへ:ストリートチルドレンの親の投獄は反対

バハイトゥルヤンはこう締めくくりました、「フィリピンの新政権と協力し、人の尊厳が神聖に保たれ、子供も大人も全ての人の人権が尊重され、守られ、そして満たされる国を一緒に作って行ければと思います」

参照元:http://www.rappler.com/move-ph/133813-bahay-tuluyan-duterte-nationwide-curfew
翻訳:ニーナ

コメント

ドゥテルテ新大統領は7月1日から公務がスタートします。一般的に考えられているのは、現在市長であるダバオ市と同じような制度をフィリピン全体に浸透させるのではないか?という事です。

今回の門限(curfew)については、実際にダバオでは未成年の深夜の外出が禁止されており、違反した場合の罰則があります。
しかしながら、マニラはその比ではありません。同じことを行ったらどうなるか!?

というのが今回の記事の焦点です。(ホームレスの数では不名誉ながら、全世界で1位になったこともあるぐらいマニラには多い。参照:世界各国(都市)のホームレス人口数ランキングTOP25

親が刑務所に行き、その間は子供を施設に入れる場合でも、その施設の環境が良くないことを過去の事例からあげて、「このままストリートで生活をしている方が子どもたちにとっては、まだマシな環境である」っとこの団体は訴えているわけです。

過去にローマ法王が来訪した際やAPECサミットが行われた際は、フィリピンの印象を良くするために、通り沿いに見えるストリートチルドレン達を強引に排除させて、彼らの行き場を無くした事が問題になりました。

ローマ法王はキリスト教の最高権威者であり、信仰心が厚いフィリピンには絶大な影響力があります。そのため、ローマ法王はヨランダの台風後に人々を元気づけようと、フィリピンを訪れました。

しかしながら皮肉にもそのローマ法王を迎え入れるために、多くのストリートチルドレンが強制的に排除され(環境の悪い施設に入れられ、もしくはテリトリーを追い出され)、虐待を受ける子が続出した事件が起こったため、フィリピンでは大問題となりました。

ドゥテルテが今回の夜間外出禁止令だけでなく、ダバオ市と同様の事をフィリピン全体に執行できるかどうか、多くのフィリピン人が今、注目しています。

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