【日本人留学生の動向】海外留学する日本人は増えているのか・減っているのか?

皆さんは「最近の日本人の若者は内向きだ」という声を聞いたことはありませんか?

それとよくセットで言われることに「日本人の留学生数が減っている」ということがあります。でも実際はどうなのでしょうか?今回は日本人の留学動向に関して書いてみたいと思います。
【日本人留学生の動向】海外留学する日本人は増えているのか・減っているのか?

なぜ多くの人が日本人留学生が減っていると思っているか?

毎年春ごろに文部科学省は日本人の留学生数をまとめてメディアに発表しています。新聞、テレビ、Webなどの各メディアは毎年この発表を自分のメディアで大々的に紹介します。
下記が今年の春に発表された最新データです(データは2014年まで)。

【日本人留学生の動向】海外留学する日本人は増えているのか・減っているのか?

*パソコン画面では拡大可能

赤の線は無視して、黒い折れ線グラフの推移を見てみてください。よく見ると2012年は60,138人、2013年はなぜか線が途切れて点で55,350人となっていますね。これを見ると2004年をピークに右肩下がりに数が減って、2012年にやっと増加に転じたのに2013年にまた減少しています。

過去7・8年にわたってメディアはこの数字を見て、日本人留学生が減っているとし、その理由は若者が内向きだからと伝えてきました。

本当に日本人の留学生は減っているのか?

結論から言うとNoです。日本人留学生はこの5年近く増加傾向にあります。

では文部科学省が出している数字は何なのでしょうか?

私はかつてから、上で紹介したこの資料の表のタイトル「日本人の海外留学状況」が紛らわしいので変更すべきと主張しています。

実はこの統計は「海外の大学や大学院等の高等教育機関で学ぶ日本人学生の数」です。日本人に一番多い肝心の語学留学の数は入っていません。また、中学や高校生の留学の数も入っていません。

日本人留学人口が一番多い語学留学は、この5年間で大きく増加しているのです。また中高生の留学もここ数年増加傾向にあります。

それらの数を考慮すると、日本人の留学生数は減少ではなく増加していると言えます。

大学生の留学生数を見ると良く傾向がわかります

文部科学省の外郭団体の独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は毎年大学生の海外留学生数をまとめて発表しています。下記が最新のデータです。

【日本人留学生の動向】海外留学する日本人は増えているのか・減っているのか?

この表を見ると一目瞭然で留学する日本人大学生の数が増加傾向にあることがわかります。
先程、私の文部科学省の統計の説明のところで、赤い線は無視してくださいと書きましたが、実はあの赤い線がこの大学生の統計の数字になります。

尚、文科省の統計は留学受け入れ先国の諸機関の統計をまとめたものであるのに対し、JASSOの大学生の統計は国内大学が出してきた数字をまとめたものになります。そして、JASSOの数字は9割以上が1年未満の留学で文科省の統計の数字とはほぼダブっていない数字だと言っていいでしょう。

なぜこんなに多くの大学生が海外留学をするようになったのか?

大学生の海外留学増加の要因はいろいろがあります。景気が良くなってきたこと、企業が積極的に留学経験者の採用を開始しだしたこと、英語の必要性が増したことなどがありますが、一番直接的な理由は国が大学生の海外留学を増やす施策を大きな予算を割いて実施していることです。

【日本人留学生の動向】海外留学する日本人は増えているのか・減っているのか?

*ウェブマガジン「留学交流」2014年7月号内「日本人学生の内向き志向に関する一考察(一橋大学太田浩教授著)」の表

上の表のように政府は海外留学に対しての奨学金を大幅に増加させています。この中の短期派遣のほとんどが日本の大学経由で大学生に支給されます。また、これ以外にも様々な施策を打って日本人の若者の海外留学を促進させています。

どうして国は日本人留学生数を増やす必要があるのか?

日本は天然資源がありません。でもGDP世界第3位の経済大国です。現在の日本の豊かさを維持するためには日本が持つ最大の資源である「人材」の高度化を絶えず進めていかなくてはいけません。

世界のフラット化やグローバル化が進む現在は、そのような世界の中で活躍できる「グローバル人材の育成」が国にとって不可欠なのです。そして留学はグローバル人材育成のための強力なツールなのです。

国が約束!意欲と能力のある若者全員への留学機会の付与

【日本人留学生の動向】海外留学する日本人は増えているのか・減っているのか?

前述したように、近年、国は日本の競争力を維持するためにグローバル人材の育成の脈絡で、海外留学の啓発を大きな予算を割いて行っています。その方針のもとになっているのが、上の表にある平成25年に閣議決定された「日本再興戦略」です。なんとこの中で「意欲と能力のある若者全員への留学機会の付与」が明記されているのです。

国がここまで日本人の海外留学の促進をコミットして、これほど大きなお金(予算)をかけて様々の施策を行っていのは戦後初めてのことです。大学生にとっては今がまさに留学する一大チャンスだと言えるでしょう。

社会人の留学はどうなのか?

残念ながら、日本人の社会人や会社を辞めて留学をする人たちの数をまとめた統計は存在しません。

ただ私の30年の留学業界の経験から、景気が比較的良くて、企業の人材採用が活発の時は、社会人や会社退職者の留学が増える傾向があることはわかります。そして、海外の教育機関の関係者に聞いても、その層の日本人留学生は皆増えていると話しています。

ここでワーキング・ホリデイをする人たちの数字を見てみましょう。ワーキング・ホリデイの参加者は、ほぼ学生以外の会社退職者などと言えます。

【日本人留学生の動向】海外留学する日本人は増えているのか・減っているのか?

表を見てわかるように、ワーキング・ホリデイで海外へ行く人たちも増加していることがわかります。現在ワーキング・ホリデイ制度を利用して海外に行く人は約2万人になっています。

あなたは留学しますか、しませんか?

日本人留学生が増加している要因や国がなぜ留学生を増やしているのかを述べてきました。留学の最大の阻害要因は経済的な問題なので、そこに対して国からの援助があるのは助かります。

先程も書いたように、大学生であれば是非政府の奨学金や助成金を利用してください(例:トビタテ留学JAPAN)。そして、お金の問題だけでなく、これからの自分の人生の中での英語の重要性や将来のキャリアを考えて、自分が留学すべきかどうかを考えてみましょう。

次回は皆さんがどこの国に留学しているのかについて紹介したいと思います。

国際教育事業コンサルタント
星野達彦
 

【まとめ】セブ島にある有名・評判な語学学校の一覧表

国際教育事業コンサルタント
1960年東京生まれ。1986年から留学事業のキャリアを積み、25年以上の経験の中で数多くの留学カウンセリングや大学・政府関連機関主催の留学イベントなどので講演をこなす。海外での多くの国際会議に参加するとともに世界の600校以上の学校を視察している。

著書に「こうすれなれる留学カウンセラー」、「英語はアジアで学べばうまくいく」がある。

2013年 厚生労働省委託事業「勤労青少年の国際交流を活用したキャリア形成支援事業」委員長
一般社団法人JAOS留学協議会事務局長
日本認定留学カウンセラー協会(JACSAC)代表幹事
国際教育事業コンサルタント ライジング・スター代表 

ブログ:留学カウンセラー・国際教育事業者向け情報ブログ
http://ryugakuth.blog.fc2.com/
詳しいプロフィール

コメント

この記事、あなたはどう思いましたか?ぜひご感想をください。