【青年海外協力隊3/4】過酷な派遣前訓練、参加者はどんな人達?

こんにちは、Steveです。もちろんニックネームで、生粋の日本人です。

私は2011年にJICA(国際協力機構)青年海外協力隊に参加し、キリバス共和国にてPCインストラクターとして活動してきました。

前回は、平凡なサラリーマンだった私が、青年海外協力隊に応募して合格するまでをお話しました。
2/4「応募から合格まで。エントリーシート、英語対策など」

今回は、青年海外協力隊の派遣前訓練に参加したときのことをお伝えしたいと思います。

国際NGOに参加して海外ボランティアをしてみたい、青年海外協力隊に興味があるという方はぜひお読みになってみてくださいね。

派遣前訓練の概要

青年海外協力隊の入隊試験に合格すると、派遣国とともに派遣隊次と派遣前訓練時期・場所が決まります。青年海外協力隊は年3回のタイミングで全世界に隊員を派遣しています。4月派遣が1次隊、9月派遣が2次隊、1月派遣が3次隊となります。

そして、派遣前の約2ヶ月間に渡り、長野県のJICA駒ヶ根訓練所または福島県のJICA二本松訓練所で行われる派遣前訓練に参加する必要があるのです。

キリバス共和国に派遣が決まった私は、2010年3次隊として、2010年10月から駒ヶ根訓練所で派遣前訓練に参加しました。

技術補完研修


私の参加職種であるPCインストラクターは、派遣前訓練の前に技術補完研修というものがありました。これは、PCインストラクターとして活動するにあたって必要なスキルを学べる研修で、東京のとあるパソコンスクールに委託されていました。

約2週間にわたって教授法やパソコン修理について学びます。PCインストラクターの合格者の大半はシステムエンジニア経験者ですが、インストラクターとしての経験はない者がほとんどなので、こういった研修は非常に有用でした。

PCインストラクターの技術補完研修は約2週間でしたが、職種によって数日~数週間の研修が行われています。

JICA駒ヶ根訓練所

長野県駒ヶ根市にあるJICA駒ヶ根訓練所は、日本アルプスに囲まれた美しい風景、といえば聞こえがいいですが、周囲にはほとんどなにもない世の中とは隔絶された環境にあります。

私が派遣前訓練に入所した10月上旬は紅葉も美しく過ごしやすい季節でしたが、退所間近の12月に入ると雪が振り始めて夜の寒さがこたえるほどでした。

訓練生には個室が用意され、衣服や勉強道具を持ち込めば生活できるようになっています。食事も食堂で3食取れるので、訓練に集中できる環境が整っています。また、大浴場や体育館、グラウンドなどレクレーションとリラクゼーションも敷地内で行えるようになっています。

参加者の様相

私が参加した2010年3次隊の駒ヶ根訓練生は約200名でした。当時の協力隊参加可能年齢は20歳から40歳でしたが、いわゆるアラサーがボリュームゾーンでした。大学や大学院を卒後して社会経験のない若者も少なくなく、彼らの賑やかさが印象的でした。

一方、30代後半の参加者もおり、彼らは落ち着いた雰囲気で若い参加者たちの相談役といったポジションの方が多かったように思います。

私が想像していた「意識高い系が多そう」というのは当たらずも遠からずでした。とにかく明るくてポジティブ、社交的な人ばかりで、みなが一同に会する食堂はいつも会話で賑わっていました。

参加者はみんな真面目というか、優等生系の人が多く、ヒッピー系やバックパッカー系の人はほとんど見かけなかったのが印象的でした。

日々の訓練

訓練は日曜日を除く毎日行われ、基本的に語学訓練が中心で、夕方は各種講義が行われます。訓練生は規律に縛られた生活を強いられ、大人数でずっと同じ空間で過ごすストレスに耐え抜く精神力が問われるのです。

訓練所の朝は早く、7時から朝礼とラジオ体操が行われます。朝礼前に自主的にジョギングをしている元気な訓練生も多くいました。私はギリギリまで寝てる派でしたけど(笑)

朝礼では国旗掲揚のセレモニーが行われ、日本国国旗とともに日替わりで派遣国の国旗が掲揚されます。やっぱり自分の派遣国の国旗が揚げられた日は気分も上がりますね。

朝礼後は朝食の時間です。食事の用意はもちろん訓練所職員がしてくれますが、食器洗いは訓練生が当番制で行います。食事は美味しくボリュームもあり、大満足でした。ただ、アレルギー対応は一切しないので、アレルギーがある人は苦労していたようです。

語学訓練

午前中の語学訓練は、さまざまな職種が集まった6名で1クラスとなります。訓練開始時に英語試験が行われ、この試験結果に応じてレベル別のクラスが編成されるのです。私はミドルクラスでした。

講師はもちろんネイティブで、授業中に日本語は許されません。実用的な英会話力が重視されるので、テキストは使わずさまざまな生活シーンを想定して授業が進んでいきます。

英会話に慣れている訓練生は積極的に講師に質問したりしますが、私はあまり英会話の経験がなかったので付いていくので精一杯でした。

午前中の50分×3コマだけでも脳みそから煙が出ているのを感じる厳しい毎日が続きます。これで本当に英語が上達するのだろうか?と講師を疑ってしまうこともありました。

でも、結果的にこの2ヶ月間で驚くほど成長できたのです。よく英会話はフィジカルトレーニングだといわれます。まさにその通りで、あまり悩まず積極的かつ主体的に学習に参加すれば、必ず結果は出るものなのだなと実感しました。

プレゼンテーション訓練

午後は職種別にクラスが別れ、プレゼンテーションの訓練を行います。PCインストラクターは、当然ながらパソコンの講義を英語でしなければなりません。これがまた大変な作業でした。

講義の教材準備から始まり、教えることを全て英語で話せるよう準備します。1回40分のプレゼンテーションを週に2回行い、他の訓練生が受講者として参加します。

パソコン用語はそもそも英語なのですが、とっさの表現がなかなか出てきません。それでも、みんなでプレゼンテーションをローテーションするうちに定番の表現というのが浮き出されてきて、これは派遣後の実際の仕事でとても役立ちました。

各種講義

派遣前訓練では語学訓練の他、発展途上国で生活していくためのスキルや国際情勢を学ぶ機会があります。国際協力についての講義や安全管理・健康管理についての講義。食習慣や宗教など異文化理解についての講義もあります。

また、訓練期間中に各種予防接種も受けることになります。派遣国によりますが、マラリアや狂犬病、肝炎など複数のワクチン接種が必要なのです。

自由時間の過ごし方

全ての訓練は17時には終わり、以降は自由時間となります。食堂で夕食を取ったり、大浴場でゆっくりお風呂に浸かったり。サッカーや楽器の練習をする人たちもいます。

しかし、訓練生のほとんどは自由時間でも語学の勉強がメインとなります。予習・復習なしでは授業についていけず、不安で何もせずにはいられないのです。

そこで自由時間でも教室に集まって自習したり、英語でディスカッションをするイベントを開いたりしてお互いに助け合って頑張っていました。

また、土曜日の夜は翌日が休みなので、外出しての飲み会も多く開催されました。閉鎖的な訓練所は息が詰まってしまうので、ときには外の空気を吸っての息抜きも重要なのです。

しかし、どんなにそれが楽しい時間であっても、訓練生の門限は22時と決まっています。もし1分でも遅れれば、最悪なら訓練終了という事態に。週末はギリギリまで外で遊んで門限に駆け込むというのがお馴染みの光景でした(笑)

こうして過酷な派遣前訓練を修了し、最終の語学試験に合格した者だけが正式に青年海外協力隊として派遣されていくのです。

次回は、キリバス共和国でPCインストラクターとして活動したときのことをお話したいと思います。

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