みなさん、こんにちは。STです。前回は私の人生に大きく関わった英語の先生の話しと、27歳からのキャリア形成に関して私が思うところをお話ししました。
みなさんはご自分のキャリアアップについてどうお考えですか?
20代、30代は大切な時期とはいえ、まだ融通がつく時期でもあります。慎重にいくべきですが、時には思うがままに貫いてみてくださいね。
今回は英語の学習方法の基本をお伝えしたあと、私が知っている英語を使った仕事、具体的には製薬会社での通訳、そして医薬翻訳についてご紹介できればと思います。
理科系の人はシステマティックに
まずは英語の学習方法ですが、みなさんはズバリ!英語は得意ですか?苦手ですか?英語は感性で学ぶものだと思っていませんか?
もしあなたが「自分は感性が鈍いから、感性を必要とする英語は苦手」と苦手意識を持っていらっしゃるなら、この記事を読めば「なんだそういうことか!」と思っていただけるでしょう。特に理系の方には。
私が高校のとき通っていた英語の塾の先生が「英語は数学の公式で解くようなものなの」と教えてくれ、私自身英語の文法が得意になりました。
早速、例をあげましょう。
He gave me a pen.(彼は私にペンをくれた)
このシンプルな英語は、S(主語)である He とV(動詞)である gave、そしてO(目的語)である me ともう一つのO(目的語)である a pen で構成されています。
要するに
S + V + O + O
の構造をとっています。この文章を例えば受動態にする時には、
S + V + O + O
が、
O + V + O + S
という順序に並べ替えられます。
I was given a pen by him.(私は彼にペンを与えられた)
もしくは
A pen was given to me by him.(ペンは彼によって私に与えられた)
英語はとてもシステマティックで組織、体系、システム化された言語です。いきなりV(動詞)である was given から始まる文章になったりはしません。受動態ならば、必ず数学の方程式を解くようにこの順番に並び替えられます。
ここまで聞いてピンと来た方、「英語ってそういうものなの?」と思った方は、英語の文法を学べば必ず英語ができるようになります。
言語には必ず法則がありますので、それに慣れてしまえば後は単語力でぐんぐんとTOEICだって伸びますよ!
英語の学習法をおさらい
では次に英語の学習方法のおさらいをしていきましょう。私が中学二年生で出会った英語の先生の話しを覚えていますか?
テキストは3回、新出単語は10回書取りをさせる先生です。書取りによって漠然とした英語の構造を覚えられるようになり、また単語力もつきます。
そして英語の構造を勉強する文法。これは参考書やテキストなどで学ぶと効率的でしょう。できるだけ英語のシステムを解説しているテキストを選びましょう。
基本的な英語ができてきたら、日本語から英語に訳すことを学びましょう。英語から日本語に訳すよりも、日本語から英語に訳す方が難しく、翻訳業界でも、日本語から英語に訳す方が報酬が高いのが一般的です。
そして机の上での勉強ができるようになったら、次はリスニングと会話です。これらはCDを購入したり、ラジオ英会話を勉強したり、英会話教室に通ったり、留学することで上達します。
英語の学習方法としての留学のメリット
英語の学習方法としての留学のメリットを挙げると、まずは日本語で会話する機会が少ない環境に置かれる、ということです。私は国内メーカーから英語合宿に送られるまで生の英語に触れる機会がなく、いわゆる受験英語しか知りませんでした。
合宿で初めて自分の英語が通じた時はとても嬉しかったです。本来なら分かり合えないかもしれない相手と英語を通じて分かり合えたのですから。その時の喜びは50歳になった今でも覚えています。
私は英語合宿で日本語を使うことを禁止され、合宿に行っていた講師陣とは当然英語、学生同士も英語で話さなければならないルールでしたので、二週間ではありましたが、どっぷりと英語に浸かっていました。そういう体験というのはなかなかする機会がないと思います。
留学では生の英語に触れられ、またその国の価値観や文化と触れることができます。それも大きなメリットです。
そして一番大きなのは度胸がつくことでしょうか。留学で英語が得意になっていたら、英語を聞いてもひるまない度胸がつくでしょう。
英語を使う職業
ここからは、私にとって身近だった英語を使う職業をご紹介できればと思います。私は外資系の企業で英語を生かして働いていましたが、英語に特化して働くという方法もあります。もし英語に特化した働き方をしたい、という方がいらっしゃったら参考にしてください。
1,製薬メーカーでの通訳
まずは通訳です。通訳の中でも私の職歴で身近だったのが製薬メーカーでの会議の通訳です。製薬会社のトップ同士が会議をする時には、例え彼らが英語が得意だったとしても、万が一のために通訳を入れます。
この通訳、なんと当時日給が50万円。
ただし、仕事がいつもあるわけではありません。年に10本取れればよいくらいでしょう。なぜなら、そこまで重要な会議というのはそうそう毎日あるわけではありませんから。新製品の発売、開発などそういったシーンのみです。
そしてこの通訳の大変なところは、年に何度あるかわからない仕事のために、常に最新の医薬の情報を得て勉強し、研鑽していなければ仕事が取れないというところです。製薬メーカーも不勉強な通訳を雇いたいわけはないでしょうから。
もしも努力の果てに医薬の通訳になれたなら、フリーランスとして自由なライフスタイルは得やすいと言えますし、出産、子育てがあっても勉強さえ怠らなければ早めに仕事復帰しやすいというメリットもあります。心配な点は、医薬分野も最近では不景気のため若干ギャラが下がっているようです。
2,医薬翻訳
次はまた医薬分野ですが、医薬翻訳です。こちらは製薬メーカーでのトップ会議の通訳と似ていそうで、仕事内容がまったく違います。英語で書かれた学術論文の日本語への訳、日本人ドクターが書いた学術論文の英語訳、製薬メーカーの治験データの翻訳、薬事申請書類の翻訳、その他医学・薬学に関することの翻訳です。
こちらもやはり高いレベルの知識が問われます。英語力よりも理科系の知識が問われる場合もあります。まずは基礎的な英語を学び、それから医薬翻訳の専門学校に通う方もいらっしゃいます。
しかし、校正と呼ばれる誤字脱字、間違った訳を訂正するチェッカーとして仕事を始める場合はハードルも下がります。その分ギャラも下がりますが、まずは校正から始めて自信がついてから翻訳に挑戦する方がほとんどです。
インターネットでも募集があります。エージェントに籍を置いて仕事をもらうのが一般的で、契約した最初の歳は年に十数万円しか稼げない方もいらっしゃいます。安定的に翻訳を務めれるようになると、最高で年に800万円くらい稼いでいる方もいらっしゃるそうです。
医薬翻訳は稼げるという話しがよくありましたが、年々単価が下がっているという面もあります。翻訳自体、英語ができる人が増えれば増えるほど仕事の奪い合いになるデメリットがあります。
ちなみに私がやっていた「英語を生かして外資系企業で働く」ということであれば、20代中盤から30歳くらいではTOEIC700から730くらいのスコアが求められます。職位が高くなればなるほど求められるスコアも高くなりますが、部長クラスで830くらいでの募集が多いようです(今はもう少し必要とされる点数は、上がっているでしょう)。
報酬は企業によって違うのでなんとも言えませんが、日系企業よりも高い傾向にあります。
ここまでいかがでしたか?
英語を使う職業はインターネットで検索すればいくらでも出てきますが、今回は私が実際に知っている、過去の会社で見聞きした仕事をご紹介するほうがみなさんの参考になるかと思い、この二つにとどめます。
過去の記事にあったように、外国人が犯罪をおかした場合の警察での取り調べの通訳を知人がやっているのですが、こちらについては募集ルートが明確でないため参考程度に考えてください。
他にも英語を使った仕事はたくさんありますし、今は英語が得意なら海外相手に個人でも取引できる時代です。英語を学んで損になることはまずないでしょうし、むしろこれからの時代を生きてゆくのには必須の言語と言えるでしょう。
次回は私が英語を学び、英語を使う仕事をして、そこから感じた「英語ができるようになると人との関わりに自信が持ててプライドになる」ということについて寄稿できればと思います。
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