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新型コロナ【迫り来る東京ロックダウン2/2】日本式ロックダウンは感染を抑えられるのか?

前回は東京において「隠れクラスター」が増えている実態を紹介し、東京ロックダウンの必要性に迫られていることをレポートしました。
前回の記事:新型コロナ【迫り来る東京ロックダウン 1/2】隠れクラスターの驚異

今回は東京でロックダウンが行われたとき、私たちの生活は実際にどうなるのかについて、世界各国で一足早く実行されているロックダウンの実状を紹介しながら追いかけてみます。

東京でロックダウンが行われたとしても、海外で広く実施されているロックダウンとは異なり、かなりゆるやかな規制に留まると予想されます。

そのとき私たちの暮らしは、どう変わるのでしょうか?

東京ロックダウンでどうなるのか

1.ロックダウンで感染を抑えられるのか?

その1.武漢封鎖で何が起きていたのか?

閉鎖
現在、世界の主要都市で厳格なロックダウンが行われています。

では、ロックダウンによって感染を抑えることが本当にできるのでしょうか?

1月26日、中国が人口1100万都市である武漢を封鎖したというニュースが流れたとき、世界中に衝撃が走りました。これまでもSARSやMARSなどの新型ウイルスが世界的に流行したことはあっても、どの国にしても大都市を丸ごと封鎖するような荒療治は行っていません。

「都市封鎖」と言えば、中世のヨーロッパでペストが蔓延した際に行われた「村落封鎖」とまったく同じ発想です。

村落封鎖は病原体が外部に漏れることを防ぐために行われました。その代わり、ペストが蔓延する村落に閉じ込められた住民の多くは感染し、非業(ひごう)の死を遂げています。

武漢が封鎖された頃、世界はまだ新型コロナウイルスの脅威を十分に理解していませんでした。都市封鎖という非人道的な手段をとった中国に対し、疑問を投げかける声の方が圧倒的に多い状況でした。

封鎖された武漢では外出が厳しく制限され、急ごしらえの野戦病院のような施設に感染を疑われる住民を隔離するなど、感染抑止のためのあらゆる強行措置がとられました。

武漢で実際に何が行われたのかは不明ですが、中国から日本に帰化した評論家石平氏は次のように語っています。

武漢は医療崩壊し、病院に行ってもまともな診察を受けられない状況でした。しかし、体育館を改造した隔離病棟が設けられると、住民は病院に行かなくなりました。病院に行っても一人ひとり検査をしている余裕がないため、熱があれば検査なしで即、隔離病棟に放り込まれるためです。

石平氏によれば、「隔離病棟に入れられて生きて帰ってきた患者はいない」との噂(?)が広がったとのことです。隔離されることが死を意味するのであれば、誰も病院に行きたがるはずもありません。

たとえば風邪をひいて熱があるだけの人も、隔離病棟に放り込まれます。隔離病棟には新型コロナウイルスに感染した患者が多いだけに、感染するのは時間の問題です。そのうち重症に陥った感染者は、まともな治療を受けられないまま死んでいくことになります。

武漢の住民が隔離されることを恐れて病院に行かなくなったため、家庭内感染が増える事態となりました。そこで中国政府は世帯ごとに検疫官が無理やり調査に入り、体温測定で熱がある住民を隔離病棟に強制的に連行し、隔離したとされます。

すると熱のある住民の多くは、立ち入り検査の前に解熱剤を飲むことで一時的に熱を下げ、隔離されることを免れる対策をとりました。そのため政府は薬局に対して解熱剤の販売を禁止した、とされています。

石平氏の話の裏付けは取れていないため、どの程度真実であるのか定かではありませんが、事実上は共産党による一党独裁の国であるだけに、民主主義国では考えられないような強行措置がとられたことは想像に難くありません。

武漢の都市封鎖について欧米の専門家やメディアは「こんな大規模な封鎖を実施したところで、効果がある保証などない」と、その効果については懐疑的でした。

また、効果については定かでないものの、都市封鎖は人権感覚の低い中国だからこそできたことにすぎず、人権を重んじる民主主義国では不可能だとする論調で埋まっていました。

新型コロナウイルスの蔓延も都市封鎖も、あくまで中国だけの問題であり、対岸の火事にすぎないと世界各国が思い込んでいたのです。もちろん日本とて例外ではありません。

ところが中国と関係の深いイタリアに新型コロナウイルスが飛び火すると、瞬く間に欧米各国へと感染は広がっていきました。

その2.欧米もロックダウンへ

ロックダウン
イタリアは中国が推し進める巨大経済圏構想である「一帯一路」のヨーロッパでの入口にあたる国です。多くの中国人がイタリアに移住していたことが、感染拡大の原因になったと考えられています。

海のシルクロードは、そのまま新型コロナウイルスの感染経路となりました。

感染が急速に拡大したイタリアでは、2月22日から地方都市の封鎖に踏み切り、封鎖地域を次第に拡大していきました。

やがてイタリアからヨーロッパ各国へと感染は一気に広がりました。フランスやドイツでも3月半ばからロックダウンに入っています。

武漢の封鎖を効果がないと斬り捨ててきたアメリカでも、ニューヨークを中心に急激に感染者が増えるに伴い、風向きが確実に変わりました。

当初はコロナウイルスを軽視していたトランプ大統領が 3月13日に国家非常事態宣言を出したことで、アメリカ国内は非日常へと移行し、ニューヨークは3月22日の夜から事実上のロックダウンに入りました。

武漢の都市封鎖を対岸の火事とばかりに見物していたときに相次いだ批判の声も、いざ自分たちの住んでいる地域にまで火の粉が降りかかってきたとなれば話は別です。

ロックダウンしたからといって確実にウイルスの感染を抑止できる保証などないものの、現実にできる対策は限られているのだから、四の五の言ってみたところで仕方ありません。ワクチンも治療薬もない今、選択肢は限られています。

新型コロナウイルスの感染は、人から人へと広がっていきます。そうであれば人の活動量を減らし、他者との接触量をできるだけ低く抑えることが、ウイルスを抑制するうえで最も有効です。

人の活動量の大半は経済活動に向けられます。社会を存続させる上で不可欠な最低限の経済活動のみを存続させ、あとはできる限り人の活動量を抑えるよりありません。

だからこそ外出が規制され、ロックダウンが行われます。

中世とは科学も社会システムも格段と発達したはずの現代において、疫病に対しては当時とさほど変わらない「ロックダウン」に頼るよりないという現実が横たわっています。

イタリアをはじめとする欧州各国もアメリカも、これ以上の感染拡大を抑えるためには、「ロックダウンに踏み切るよりないという現実的な選択をした」ということです。

もっともロックダウンをしたからといって、経済活動のすべてを完全に止めることはできません。経済よりも命の方が大事なことは当然ですが、だからといって経済活動を完全に止めてしまえば、私たちは経済的な死を免れません。

人はパンのために生きているわけではないものの、生きていくためにはパンが必要であり、パンを買うためには金を必要とします。

経済活動をすべて止めることは、現実的に不可能です。

ロックダウンによって人の活動量は大幅に減るものの、それでもウイルスを完全に抑止することは難しく、成功したとしても一時的な抑止にしかならないと考えられています。

ただし、新型ウイルスが爆発的に感染する時期を遅らせる効果があることは間違いありません。

前節で見てきたように、東京都がこのままの状態を続けていれば近い将来に爆発的感染が起こり、医療崩壊を避けられないと考えられます。

爆発的感染が起きてからロックダウンをしても無意味です。爆発的感染の瀬戸際に立たされている今の時点でロックダウンに踏切り、感染の拡大を緩やかに抑えることが求められています。

ロックダウンによって感染のピークをできるだけ後ろにずらすことで時間を稼ぎ、ワクチンや治療薬が出るのを待つ戦略です。

今のところ、人類が新型コロナウイルスと戦ううえで最も効果的な戦略が「ロックダウンによる時間稼ぎ」だといえるでしょう。

2.ロックダウンすればどうなるのか

実際に東京首都圏のロックダウンが行われれば、私たちの暮らしぶりはどう変わるのでしょうか? 

その1.東京ロックダウンまでの過程

東京都
東京都がロックダウンに踏み切るかどうかを最終的に決めるのは、安倍総理ではなく小池都知事です。

しかし小池都知事には、今すぐにロックダウンを宣言する権限はありません。

小池都知事に権限が付与されるには、法律上の手続きが必要となります。その手続きとは、改正新型インフルエンザ等特別措置法(特措法)に基づく「緊急事態宣言」が出ることです。

「緊急事態宣言」は2012年に成立した新型インフルエンザ等特措法のなかに含まれている権限です。ところが、この法律は新型コロナウイルスに対応していないため「今回は適用できない」という問題を抱えていました。

2012年の時点では新型コロナウイルス自体がまだ発見されていないため、対応していないのは当然です。

そこで3月14日に国会にて、新型コロナウイルスにも対応できる「改正新型インフルエンザ等対策特別措置法」が成立しました。

これにより政府は新型コロナウイルスの感染拡大に備えるために、緊急事態宣言を出せるようになりました。

ただし、いついかなる状況でも軽々しく緊急事態宣言を出せるわけではありません。宣言を発令するためには2つの要件を満たす必要があります。

ひとつは「国民の生命や健康に著しく重大な被害を与える恐れ」があること、もうひとつは「全国的かつ急速な蔓延により国民生活や国民経済に甚大な影響を与える恐れ」があることです。

新型コロナウイルスの感染状況を見極め、感染症の専門家らによる「諮問(しもん)委員会」の助言を受けながら、最終的には安倍首相が「緊急事態宣言」を出すかどうかの判断をしていくことになります。

「緊急事態宣言」を出す際には、実施する期間と実施する区域、さらに「緊急事態」の概要を示す必要があります。

期間は2年以内と定められており、1年を超えない範囲で延長することもできます。

緊急事態宣言が出されたからといって、該当区域ですぐにロックダウンが始まるわけではありません。

緊急事態が宣言されることで、該当地域の都道府県の知事には平時とは異なるさまざまな権限が与えられます。

つまり、安倍首相が東京都に対して緊急事態宣言をすることで、小池都知事は特措法に基づく新型コロナウイルスの「蔓延の防止に関する措置」として、都民に対して定められた期間、さまざまな行動を制限するように要請できることになります。

東京でロックダウンが行われる場合は「東京首都圏」全体でのロックダウンになるとみられています。その場合は、神奈川県・埼玉県・千葉県の知事がそれぞれの県民に対して行動の制限を要請することになります。

その2.東京ロックダウンでなにが変わるのか?

小池都知事が記者会見にて東京ロックダウンもあり得ると示唆して以来、果たして本当に東京首都圏をロックダウンできるのかどうかについての議論が方々でなされました。

結論から言えば、欧米の主要都市で行われているような強権力を伴うロックダウンを日本で行うことは、現在の法律のもとではできません。

そもそも特措法には「ロックダウン」、あるいは都市の封鎖について記されていません。

欧米やアジア各国で行われている一般的な「ロックダウン」は、陸・海・空のあらゆるルートを遮断し、公共交通機関をストップさせることで都市を隔離し、さらに市民の外出を強制的に必要最小限度に抑えることで、人と人との接触回数を無理やり減らす政策を意味します。

ところが特措法には、ほとんど強制力がありません。

たとえば鉄道やバスなどの公共交通機関を止めることはできません。そのような法律が存在しないからです。

同様に道路の封鎖もできません。消毒のために72時間のみの封鎖は許されていますが、ロックダウンの意図する道路封鎖とはまったく別物です。

そのため東京がロックダウンされても、他地域から東京へ入ったり、東京から他の地域へ移動することは、制限されないと考えられます。

つまり、この時点で一般的なロックダウン(都市封鎖)はできないことがわかります。

外出の規制については、今でも週末で行われている「外出自粛要請」が平日にも適用される程度にとどまります。

あくまで「要請」に留まるため、世界各国で行われている罰則を伴う厳しい外出制限とは大違いです。

前回紹介したマニラやセブのように、世界の多くの国では外出許可証を携帯することが義務づけられていますが、日本ではそのような制度は用いられません。

自粛要請を無視して遊びのために外出したとしても、なんら罰則はありません。

海外では言うことを聞かずに外出する若者も数多くいますが、厳しい罰則をかけることで抑止しています。

たとえばイタリアでは違法な外出者に対して武器の使用が認められ、フランスでは最高で45万円ほどの罰金、あるいは禁固刑が科せられます。多くの国で政府が強権を行使することで外出制限を徹底させています。

しかし、日本では個人の自由や権利が尊重されるため、犯罪を犯したわけでもない一般人を強制的に自宅に押し留めることは許されません。

ただし、外出自粛に従わなくても罰則はないものの、場合によっては民事上の損害賠償の対象になる恐れがあることは、覚えておいた方がよいでしょう。

イベントの自粛についても現在と大差ありません。少し異なるのは自粛を「要請」しても相手が従わないときには、「指示」を出せるようになります。

特措法における「要請」に対しては、相手方に法的に従う義務はありません。要請を受け入れるか拒絶するかは、主催者側の自由です。

一方、これが「指示」になると話は別で、相手には法的に従う義務が生じます。されど、指示に従わなかったからといって罰則はなにもありません。

法的には従う義務が生じても実際に違反しても罰則がないため、法的な強制力はない、ということです。

海外のロックアウトではスーパーやドラッグストアなど生活する上で必要な店舗のみの営業が許され、それ以外の店舗の営業は禁止されています。これについては特措法に「多数の者が利用する施設」については使用制限や停止を要請できる、と記されています。

どの施設が「多数の者が利用する施設」にあたるのかは、政令で定められています。具体的には劇場や映画館・演芸場、百貨店、キャバレーやナイトクラブ、パチンコやボーリング場・カラオケ、理髪店、自動車教習所や学習塾などです。

これらの施設についてはロックダウン中は休業、あるいは時短営業の要請が行われると考えられます。要請に従うかどうかは店舗の自由です。

要請に従わない店舗に対しては、さらに都知事は「指示」をできますが、従わなかったとしても罰則はありません。

それでも閉店する店舗が今よりも大幅に増えることは間違いありません。夜の歓楽街の明かりが消え、パチンコ店やカラオケ、ゲームセンターなどの娯楽施設は街からほぼ消えることになるでしょう。

一方、民間企業を休業させる規定は特措法には見当たりません。ニューヨーク州では州内の事業者の全従業員に対して出社を禁止し、在宅勤務を義務づけていますが、このような措置は日本では不可能です。

テレワーク(出社することなくネットを使って自宅などから仕事をすること)の実施や時差通勤を企業に要請するのが、せいぜいです。

実は特措法で都知事が強制的にできることは2つしかありません。

臨時の医療施設をつくるために必要な場合は、土地や建物を所有者の同意を得ることなく使用できることがひとつ、もうひとつは医薬品や食品などの必要な物資の保管を命じられることです。

この命令に従わなかった場合は、罰金や懲役刑が科されます。

ここまで見てきたように結局のところ、東京ロックダウンが宣言されたとしても、すでに自粛モードに入っている私たちの日々の暮らしぶりは、ほとんど変わらないといえます。

海外のように法的な罰則規定を設けた完全なロックダウンは、日本では不可能です。小池都知事がいくら「ロックダウン」と叫んだところで、世界でスタンダードとなっている「ロックダウン」とは、似ても似つかないものになることは間違いありません。

そのため、法的な強制力を伴わないロックダウンを発令したところで「効果は見込めない」とする意見もあります。

果たして、そうでしょうか?

その3.強制力を伴わないロックダウンに意味はあるのか?

世界の主要都市で法的な強制力を伴うロックダウンが実行されるに伴い、感染者数がピークに達し、次第に下降する現象が見えてきました。当初は他に手段がないためにやむなく実行に移されたロックダウンですが、徹底的に行うことで新型コロナウイルスの感染を抑止できることが確かめられつつあります。

もちろん、ワクチンも治療薬もないなか完全な抑止には程遠く、あくまで一時的な抑止に留まります。

一方、東京で行われるロックダウンは都民に外出しないように「お願い」することしかできないため、その効果については疑問視する声も多くあげられています。

実際のところ、すでに自粛モードに入っている私たちの生活は、ロックダウンが始まったからといって、それほど劇的に変わるわけではありません。

しかし、大きく変わることがひとつあります。

それは、意識の問題です。戦後はじめて緊急事態宣言が出され、東京都のロックダウンが宣言されたならば、自粛要請に従おうとする国民の気持ちは一段と強くなります。

つまり「自粛」という言葉に、現在よりも強いメッセージ力が宿ることになります。

なぜなら日本人は歴史的に、お上の要請を黙って聞く文化をもっているからです。

これは諸外国と日本との大きな違いです。

ほぼ単一民族で長い歴史を培ってきた日本人は、「個人」の利益よりも「公」の利益を優先することを美徳としてきました。良くも悪くも日本人のなかには未だに「村社会」が生きています。このことを「民度」が高いと表現することもあります。

小池都知事が週末の外出自粛を促すだけで、すでに6割以上の人々が自粛を始めたといわれています。実際、都心の電車の利用は7~8割も減りました。

日本社会は性善説で成り立っています。政府や東京都から「公」の利益を守るために外出自粛の要請がなされたならば、「個人」が不利益を受けてでも大半の日本人が遵守しようとします。

ロックダウンの根拠となる法律の強制力が海外に比べて劣っていようとも、日本人のほとんどは外出自粛を守ると考えられます。

次にさまざまな「要請」と「指示」についてですが、「指示」には法的に履行する義務が課せられても罰則がないため、強制力がないことは先に紹介したとおりです。

しかし、実は「指示」には法的な強制力はなくても、事実上の強制力があると考えられています。なぜなら指示を行うと、都知事がホームページなどに事業者名などを公表することになるからです。

罰則がないとはいえ、従う義務がある指示に従わないことを公然と晒されては企業イメージは地に落ちます。各種メディアから叩かれる可能性もあります。

つまり法的な罰則はなくても、社会的な制裁を受けるリスクが残る、ということです。

そのため、指示が出された以上は多くの企業が従うと考えられます。

したがって、緊急事態宣言やロックダウンの発令に強制力がなくても、日本社会においては十分に効力を発揮することが予想されます。

ちなみに、日本の特措法にはなぜ強制力を伴う罰則が設けられていないのかといえば、憲法に「緊急事態条項」が記されていないためです。

ここでは詳しくふれませんが、これを機に憲法改正についての議論が深まることは必至といえるでしょう。

3.忍び寄る経済リスク

東京都庁
世界標準とは大きく異なるゆるやかなロックダウンが東京で始まったとき、私たちの日々の暮らしに大きな脅威となるのが、経済リスクです。

いくら規制が緩いロックダウンであったとしても、現実に多くの店舗が休業せざるをえないことは間違いありません。ほとんどの住民が家に閉じこもり、活動を制限すれば、さまざまな企業の売上げが激減します。

専門家の間では、日本経済がリーマンショック以上に落ち込むことは最早避けられない、と指摘されています。

もし東京都が1ヶ月にわたってロックダウンされたならば経済がどの程度の影響を受けるのかについて、野村総合研究所が概算を発表しています。

それによると、日本全体の個人消費は2.49兆円減少し、日本の1年間のGDPを0.44%押し下げると試算されています。

相当な落ち込みですが、この数字だけを聞いても実際にどの程度の悪影響が発生するのかは、イメージしにくいことでしょう。

日本経済にとって痛いのは、今回のコロナ騒動が最悪のタイミングで起こったことです。

昨年10月から12月期のGDP成長率は、年率換算でマイナス7.1%でした。この落ち込みが消費税増税にあることは、疑いようがありません。

ただでさえ個人消費が冷え込んだところに新型コロナ感染拡大という緊急事態が発生したことで、日本経済は二重のダメージを甘受することになりました。

東京がロックダウンされたあとの具体的な経済リスクについては、日本よりも早くロックダウンに踏み切ったアメリカの現在の状況を見れば、おおよそのイメージをつかめることでしょう。

3月末までの2週間に、アメリカでは1,000万人が失業保険を申請しています。この短期間にこれほど多くの失業者が出たことは、過去にはありません。

バンク・オブ・アメリカのアナリストたちによれば、米国内の失業率が15%以上に達する可能性があり、米国「史上最悪の不況」になるかもしれないと警告しています。

新型コロナウイルスが国内で猛威を振るう前は史上空前の好景気に湧いていたアメリカ経済でさえ、この惨憺(さんたん)たる有り様です。

今後の経済予想にしてもゴールドマンサックスのエコノミストによれば、4~6月のGDPは前期比年率換算で24%縮小すると予想されています。

アメリカが深刻な経済不況に陥った2008年のリーマンショック時でさえ、四半期の最悪の下落は8.4%止まりです。

そのときの3倍も経済が縮小するとなれば、極めて深刻な事態です。1929年の世界大恐慌のときでさえ株式市場にしても、失業率にしても、経済縮小の幅にしても、ここまで急激ではなかったとされています。

もっともアメリカと日本ではロックダウンの程度が大きく異なります。現在、アメリカ人の80%以上が自宅待機の状態にあり、ほとんどの事業が閉鎖に追い込まれています。しかし、日本ではロックダウン中も多くの経済活動が存続するはずです。

したがって日本は、アメリカや欧州各国ほどの経済的ダメージは負わないと予想されます。

それは、日本が欧米諸国がそろって採用した激烈なロックダウンを選ぶことなく、ゆるやかな自粛策に留めて経済を回し続けることを選択した結果といえます。

そのことで日本は今、世界各国から叩かれています。

4.日本だけが、なぜ……

この記事を書き上げている最中の4月7日、安倍首相はついに緊急事態宣言を発令しました。

その直後に小池都知事は記者会見を開き、「都市封鎖は行いません」と言明しましたが、本記事でも指摘したとおり「行いません」ではなく「できません」が正解です。

日本の緊急事態宣言については海外のメディアでも大きく取り扱われました。そのほとんどは「Too little too late」のオンパレードでした。

「Too little(少なすぎる)」は「制限が弱すぎる」という意味です。「 too late」は「遅すぎる」です。

つまり、「Too little too late」で「手遅れ」という意味になります。

フランス紙フィガロは「日本の緊急事態宣言は、現実には見せかけだけ」と評し、米紙ワシントンポストは「日本は経済を気にかけて『ロックダウン』ではなく『緊急事態』を選んだ」と苦言を呈しています。

英BBC放送は「ドイツや米国は、日本が社会的距離確保の措置実施や新型コロナの広範囲な検査実施に失敗したと強く批判している」と報じています。

欧米諸国に比べてゆるやかだった日本のこれまでの新型コロナ対策に対し、「安倍首相はなにもしてこなかった」と批判する声もあります。

こうした海外の報道を引用することで、日本のマスメディアも安倍政権への批判を強めています。

なんとも不思議な光景です。

米ジョンズ・ホプキンズ大学の発表した4月5日時点の新型コロナウイルスの感染者と死亡者数の累計をまとめたデータを見てみると、次のとおりです。

4月5日時点の新型コロナウイルスの感染者と死亡者数の累計
アメリカ:感染者数312,146、死亡者数7,351
イタリア:感染者数124,632、死亡者数15,362
スペイン:感染者数126,168、死亡者数11,947
ドイツ :感染者数96,092、死亡者数1,444
フランス:感染者数90,848、死亡者数7,560
イギリス:感染者数42,749、死亡者数4,313
日本  :感染者数3,139、死亡者数77

感染者数の多い7カ国と日本とを比べてみれば、その差は歴然としています。

このところ東京を中心に日本でも感染者数が増えていることはたしかですが、感染者数にしても死亡者数にしても、欧米諸国と日本では桁が違います。さらに人口数というファクターを加味すれば、日本がこれまで新型コロナウイルスに対していかに善戦してきたかは、より明らかになります。

欧米諸国から「なにもしていない」と批判された日本の感染者数と死亡者数が、厳しいロックダウンを実行している欧米各国よりもはるかに低いことは、厳然たる事実です。

この状態で「日本は新型コロナウイルス対策に失敗した」と世界中から批判を浴びるのでは、本末転倒です。

結果はどうあれ、世界各国と足並みを揃えなかったから叩かれる、という現状は、あまりに理不尽です。

そこで第3部では、これまで日本が行ってきた世界各国とは異なる新型コロナウイルス対策、いわゆる「日本方式」を振り返りながら、日本ではなぜ感染者数と死亡者数が低く抑えられているのかを検討してみます。

そのうえで、私たちと新型ウイルスとの戦いの結末について探ってみます。

ドン山本
ドン山本
タウン誌の副編集長を経て独立。フリーライターとして別冊宝島などの編集に加わりながらIT関連の知識を吸収し、IT系ベンチャー企業を起業。

その後、持ち前の放浪癖を抑え難くアジアに移住。フィリピンとタイを中心に、フリージャーナリストとして現地からの情報を発信している。

監修サイト:日本とフィリピンの第二次世界大戦

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