ビジネス英語で英訳はなぜ重要なのか?
1. ビジネス英語に触れない環境はあまりない
国内の企業で日本人のみとコミュニケーションをしない限り、何らかの場面で英語を使うことになります。近年では外資系のみならず国内の企業でも海外に取引先を持っていたり、或いは日本語を話せない外国人を雇っていることも多くなりました。
そのなかで共通語である英語は、ある種必須の能力となりつつあります。国内でも企業によっては全面英語化を目指すところもあり、その需要はますます大きくなりつつあります。
そのような英語化への過渡期において、日本語を英語に訳す能力は非常に重宝されます。完全に英語や日本語のみが使われる環境ではないからこそ、言語をまたぐ能力が必要とされているのです。
特に英語は基準の共通語(事実上の国際語)として扱われますので、日本にいても日本語を英語に訳すことが多くなりました。
今英語を使った環境にいないという人もいるでしょう。
しかし、その会社自体が全く英語を使わないというケースは少なくなっており、何かしらの作業で英語に携わっているはずです。
英語を使わないという人はおそらく英語が使えないからこそ、英語が必要でない環境に置かれている可能性があります。英訳もできるようになると英語が必要とされている仕事も回ってきますので、英訳を覚えない手はありません。
2. ビジネスシーンでは翻訳と通訳の両方が必要とされている
今回ここで話す英訳能力とは「翻訳」と「通訳」が当てはまります。
翻訳とは主に文書やメールなど書かれた日本語を訳すことで、通訳とは会話やスピーチなど話された日本語を英語に訳す能力を指します。
翻訳も通訳も使う場面が異なりますので、どちらか一方ができるようになるのではなく、両方ともできるようになる必要があります。
ビジネスシーンにおいて翻訳が必要な場面は、外国の顧客から文書が届いた時、社内に日本語が話せない外国人の同僚に同じ内容のメールを送信する時、製品の英語版を作る時など様々挙げられます。
通訳が必要な場面は英語が話せない日本人のサポートや、日本人がメインのミーティングでの通訳などが挙げられます。
少しでも英語に触れる機会があるという人も多いのではないでしょうか。国際化するビジネスにおいて英訳の必要性は増していますので、英訳ができることはビジネスパーソンとして一つの強みになります。
翻訳は比較的時間をかけて作業ができますので、同時通訳などその場で訳す通訳と比べると難易度は下がるように見えますが、翻訳にはその一方で精度が求められますので、どちらとも対策と努力が必要になります。
3. 英訳ができると意思疎通ができる
英訳ができることの最大のメリットはもちろん意思疎通が可能になることです。社内、社外問わず情報が伝わらない人がいることはお互いに、そしてチーム全体にとってデメリットになります。
例えばチーム内に内容を理解していない人がいると、その人だけが取り残されるだけでなく、チーム全体の士気が下がるなどの影響も出ます。
主にチーム体制で動いている国内企業においては、何気ないコミュニケーションであっても意思疎通は非常に重要となってきます。
英訳は何を学べばいいのか
では次に何を学べばよいのかご紹介します。上記の通り、英訳は大きく分けて翻訳と通訳の2通りがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
ビジネス英語としての翻訳
通訳に関しては一言一句意味が伝わるように訳していくことが重要で、あまりビジネスシーンにおいては単語をあまり意訳しないほうが良いでしょう。
例えば、契約書の翻訳などが挙げられますが、意訳をしてしまうと契約内容に認識の齟齬が生まれてしまうかもしれません。できるだけ元の意味を残して訳す能力が翻訳には求められます。
ただし逐語訳をしてしまうと不器用な英語になってしまうので、できる限り原意が残るように訳するというバランスが翻訳の難しいところです。翻訳で身に着けるべきなのは、英訳する能力に加え、このバランスをとる能力と言えます。
関連記事:「英語翻訳の進化」の先に、英語を学ぶ必要がない未来は待っているのか?
ビジネス英語としての通訳
通訳も、日本語のもともとの意味を伝えるという意味では翻訳と同じですが、重要なポイントだけおさえてあとは自身の表現で伝えることができるという点で異なります。
つまり、翻訳に比べ伝え方の自由度が高いということです。
一方で、通訳は翻訳に比べそのアウトプットの早さが違います。翻訳は書かれたことを訳すため、頭の中で考える時間がありますが、通訳の場合そのような十分な時間はないことが一般的です。
通訳で身に着けるべきなのは、英訳する能力に加えて、即座に伝えなくてはいけない要点を把握する能力とも言えます。
英訳をどうやって学習するのか
ビジネス英語としての翻訳
翻訳の能力を上げるためには英作文をすることが一番の近道といえます。英作文は学生の頃から勉強してきた内容ですので、学習のハードルが低いのでオススメです。用意された日本語を丁寧に翻訳し、模範解答と異なる部分を照らし合わせてより良い表現を身に着けるといいった具合です。
ビジネスシーンでは中上級者レベルの英語が必要となりますので、難易度の高い英作文の参考書を選ぶようにしましょう。
BBCなどの日本語版を訳し、英語版で答え合わせをするといったことも効果的です。多少日本語と英語で表現の仕方が違いますので、完璧な答え合わせとはなりませんがそれでも参考になるところは大きいです。
ビジネス英語としての通訳
通訳も同様に通訳用の参考書で勉強を始めるといいでしょう。全国通訳案内士の参考書なども売られていますので、特にこだわりがなければ自身のレベルに合ったものを選ぶと良いです。
とはいえ、通訳は参考書のみで勉強するよりも、通訳の実践をおこなった方が容易に自身の課題を見つけることができますので、実践できる方はそちらに注力をしましょう。実践できる環境にない人は、自身に課題を設けて擬似的に実践するといいでしょう。
例えば、テレビやYOUTUBEなどの内容を声に出して訳してみる、自身の業務を想定して英語で説明してみるなどがそれにあたります。初めは難しいと思いますので、簡単な分野、或いは自身の得意分野から始めましょう。
CAUTION (学習の際の注意点)
1. 書き言葉と話し言葉は違う
翻訳と通訳に分けたのは書き言葉と話し言葉に違いがあるからです。日本語でもそうであるように、書き言葉はよりフォーマル、端的、論理的で、話し言葉はよりカジュアル、冗長、感情的です。
このように翻訳と通訳は同じ英訳であってもその性質が異なりますので、それぞれで対策する必要があります。翻訳は翻訳に特化した対策を、通訳は通訳に特化した対策をすることが得策です。
2. 自分の業務に合ったレベルの英語を勉強する
翻訳や通訳といっても必要とされるレベルは業務によって様々です。翻訳家や通訳士と呼ばれるプロがいるように、英訳はそう簡単にマスターできるものではありません。
もちろん英語力は高いに越したことはありませんが、目的と目標を設定しないと延々と勉強をしなければならない沼にはまってしまいます。
そこで、英訳を勉強する際にはまず英訳を学ぶ目的を明確にし、どこまでのレベルを達成するべきか目標を立てましょう。目的や目標は個人やその人の業務レベルによって様々ですので、個々人で設定する必要があります。
設定した目標以上のレベルの英語を学ぶ必要はありません。一定以上の英語に関してはプロの翻訳家や通訳しに任せてしまいましょう。
ビジネス英語としての英訳のGOAL
上記の通り個人やその人の業務レベルによって達成すべき目標レベルも異なりますので、あくまで一例として目標レベルを設定してみました。
英訳の最低レベル
英訳の最低レベルはカジュアルな英訳ができるということです。例えば、日常会話英語レベルの通訳やチャットなどをつかってカジュアルな翻訳が難なくできるといった具合です。
このレベルに達すると社内にいる外国人と意思疎通をとれますので、社内の業務効率化に貢献することができます。
英訳の目標レベル
目標のレベルはフォーマルな英訳ができるようになるということです。例えば、海外の会社の人と交渉ができるようになったり、ミーティングの内容を通訳できるようになれるレベルです。
このレベルに達すると社内のみならず社外での活動の幅を広げることができますので、人材として非常に重宝されます。