Bo’s Coffee はフィリピンを代表するコーヒーチェーンです。セブで産声を上げ、セブを拠点にフィリピン各地で店舗を展開しています。

ボスコーヒー

セブのモールには必ずと言ってよいほど、 Bo’s Coffee が入っています。モール以外でも、街中を歩けば Bo’s Coffee をよく見かけます。日本で言えばドトールコーヒーといったところでしょうか。セブ島だけで、30を超える店舗があるそうです。フィリピン全体では2018年現在で100店舗弱です。
その Bo’s Coffee のマーケティング戦略について、Entrepreneur.com.ph に興味深い記事が掲載されていました。
記事には、あの世界最大のコーヒーチェーン店・スターバックスがフィリピンに進出して来るにあたり、Bo’s Coffee が創業以来のピンチに立たされたことが記されていました
そのとき、世界最大のコーヒーチェーンに飲み込まれるのではないかと見られていた Bo’s Coffee は、生き残りをかけて、どうやってスターバックスに対抗したのでしょうか?
Bo’s Coffeeのとった戦略を紹介します。

スターバックスのフィリピン進出

「最初は脅威に感じたよ、彼らのような大きなブランドなら、そんなに躍起にならなくても個人経営の店なんていつでも潰してしまえるからね。」

ボース・コーヒー(Bo’s Coffee)創設者、スティーブ・ベニテスは静かに語り出しました。
スターバックスがフィリピンに店舗を出すと聞いたとき、スティーブたちは震え上がりました。
スティーブがセブに Bo’s Coffeeをオープンしたのは1997年のことでした。それからほどなくして、世界をまたにかけるシアトル生まれのチェーン店・スターバックスが、マニラ首都圏にいよいよ店舗をオープンさせたのです。
スターバックスは、当時すでに全世界に1,412の店舗を展開していました。マニラからはじまり、やがてはセブへと進出してくるのは時間の問題です。
ブランド力と資本力の差は明らかであり、個人経営の Bo’s Coffee ではひとたまりもなく押しつぶされてしまうのではないかと周囲からも見られていました。
しかし、スティーブはこの巨大なアメリカチェーン店と戦う決意をします。スティーブにも夢があったからです。
それは、セブから始まり、フィリピン全土に Bo’s Coffee のチェーン店を広げるという夢です。 夢を実現するためには、スターバックスと戦うよりありません。スティーブにとって、スターバックスとの勝負は「避けて通れない運命」だったのです。

土からカップへ。Bo’s Coffeeの売りは、フィリピンの土壌で育てたコーヒーを挽きたてで提供する事。

世界的巨大チェーンに立ち向かう

戦うことを決意したものの、はじめはなにをどうすればよいのか、スティーブにもわかっていませんでした。
「何をすればよいかもわからなかった。わが社に対する影響がどれくらいのものになるかもわからなかった。ただ、備えなければ、ということだけはわかっていたよ。」
Bo’s Coffee の命運は、代表取締役社長でありCEOでもあるスティーブにかかっていました。はじめは恐怖に打ちのめされていたスティーブですが、戦う決意を固めることで肝が据わってくると、逆転の発想をするようになります。
スターバックスがセブに進出してくることを、自社の商品ラインナップやサービスを改善するための絶好の機会と考えるようになったのです。
「よし、彼らにできるなら、私たちにもできる 」。
スティーブは改めて Bo’s Coffee の店舗を見直してみました。そうすることで、基本的な方針を固めます。
商品のレベルアップを図るとともにブランド力を上げ、フィリピン産コーヒーにスポットライトを当てることで、フィリピンのコーヒー体験ができることにフォーカスしようと決意したのです。

Bo’s Coffeeは、フィリピンの高地で手摘みされたコーヒー豆を使用しています。

フィリピンに来たら、フィリピンのコーヒー体験を

多くのビジネスモデルで採用されているような教科書通りのマーケティングをするのではなく、スティーブは Bo’s Coffee を「フィリピンブランド」として押し出すことを決めました。
「『 Bo’s Coffee は、フィリピン産コーヒー豆を使った世界基準の国産ブランドです』と、強くアピールしました。そうすることで、Bo’s Coffee を他のコーヒーチェーンから差別化することができます。さらに Bo’s Coffee という国産ブランドを前面に出すことで、『国産商品にこだわりを持つ新しいマーケット』を見つけることができたのです。」とスティーブは語りました。
スティーブの採った斬新なマーケティング戦略を、マーケティングの指導者ジョシュア・ゴー(Josiah Go)は高く評価しています。
「何を選ぶかが戦略の鍵です。市場を制するためにはブランドがどこで価値を作り出し、どのように売上げにつながるのかを見極め、選択しなければなりません。海外から進出してくる巨大チェーンと闘うひとつの選択肢として、地元感で差別化を図るという戦略は効果的です。海外の競合相手がどれだけ強大であったとしても、このポジショニングを真似することはできないからです。」
ジョシュアは Bo’s Coffee がフィリピン産のコーヒー豆にこだわる戦略を展開したことを、「針の先ほどの狭いポイントにフォーカスした優秀なマーケティングだった」と絶賛しています。
Bo’s Coffee は、スターバックスが進出してくるというピンチを、ブランドの再構築化というチャンスに変えました。
「コンセプトを強化しただけですよ。そして、原点に立ち戻っただけのことです。フィリピンコーヒーを体験していただくことに、Bo’s Coffee の存在価値を託したのです。」
Bo’s Coffee は国産コーヒー豆にこだわるポジショニングを通して、スターバックスという世界最大のコーヒー・チェーンに対抗したのです。

新鮮密封。フィリピン高地から手摘みで収穫されたコーヒー豆はその後袋詰めされ、国内のBo’s Coffee各店へと運ばれていきます。

国産の良さを伝えるために

この記事を読み、フィリピン産のコーヒーなんて聞いたことないけど、本当に美味しいのかなと思う人もいるかもしれません。
たしかに現在では、世界のコーヒー豆生産国ベスト10にもフィリピンは入っていません。でも実はフィリピン産のコーヒー豆の生産量が、ブラジルやアフリカを超えて世界トップだった時代もあるのです。
▶ 関連リンク:フィリピンにおけるコーヒー生産
今でもフィリピンは、ネスレなど大手メーカーのインスタントコーヒーに使う豆の供給地でもあります。あなたも知らないうちに、フィリピン産のコーヒー豆を味わっているかもしれませんよ。
Bo’s Coffee は地元色にこだわり、今では店舗の外観にもっとフィリピンらしさを加えたり、使用する国産コーヒー豆を増やしたりしています。
ブランドミッションとしてBo’s Coffeeは「フィリピンのコーヒー農家を支援することで、ポジティブインパクトを社会に与えること」、そして「訪れた人たちに美味しいフィリピン産コーヒーと他にないホスピタリティを届けること」を掲げています。
最近ではフィリピン手作りグッズにまで手を広げ、店内で販売しています。そのため、フィリピンのお土産を求めて Bo’s Coffee を訪れる観光客も増えています。

Bo’s Coffee のこれから

Bo’s Coffee はフィリピン産コーヒーにフォーカスする戦略で、スターバックスとほぼ互角に渡り合っています。

2018年の時点でフィリピンにあるスターバックスの店舗数は300ほどです。店舗数ではかなわないものの、スターバックスの進出によって閉店に追い込まれるのではないかと見られていた弱小の Bo’s Coffee が、今ではセブばかりでなくマニラ首都圏やビサヤ、ミンダナオ島にまで店舗を広げいます。
資本力に大差があることを考えれば、Bo’s Coffee の健闘ぶりが光ります。
スティーブは今後、さらに事業拡大に拍車をかけたいと言います。自ら事業拡大の陣頭指揮をとるために、2014年にはマニラに事務所を開きました。
「ここ2年ほどの間、システムや組織を強くすることに力を注ぐことで、やっと準備が整いました。私のビジョンを共有するよいチームもあります。いよいよ Bo’s Coffee を100店舗にしたいと思っています。」とスティーブは語りました。
Bo’s Coffee のホームページで確認する限り、100店舗というスティーブの夢はまもなく叶いそうです。
しかし、スティーブはさらにその先を見つめています。
「世界の舞台へも進出する準備ができています」、とスティーブは目を輝かせました。
2015年末に始まったASEAN(東南アジア諸国連合)経済統合により、今後競争が激化すると予測されていますが、スティーブはまったく恐れていません。
「私たちは国産ブランドです。市場のことは知り尽くしています。」
スティーブの視線の先は、すでに世界に向けられています。
参照元:http://www.entrepreneur.com.ph/run-and-grow/

管理人のコメント

フィリピンセブ島ではスタバよりも良く見かける、Bo’s Coffee。フィリピン発のいくつかのコーヒー店が潰れていく中、なぜ Bo’s Coffee だけが生き残っていけるのか。
上記の通り、Bo’s Coffee がフィリピン発であることを謳い、地元を大事にするというPR戦略によるものだったのかもしれませんね。スターバックスのようにお客さんの最大化は出来ないかもしれませんが、きちんと自分たちのメッセージを伝えることで、「地元に愛されるコーヒーショップ」としてある一定以上のファンが獲得出来るのだと思います。
私自身はこの話を読むまで、Bo’s Coffee がフィリピン産の豆を使っていることを知りませんでした。しかしながらそんな熱い思いが Bo’s Coffee にあるのであれば、これからは Bo’s Coffee を応援していきたいと思います!!
▶︎フェイスブックページ
余談ですが、ポジショニング戦略といえばこの本
私自身も「俺のフィリピン留学」にせずに、「俺のセブ島留学」にしているのは、地元(つまりセブ島)に愛されるメディアにしたかったからです。
考えてみたら最近は英語学習法や留学後などの記事が多かったので、これからは Bo’s Coffee のように「地元の方にも愛される」メディアを目指し、そちらの記事も再強化していきたいですね。

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