メトロマート
公式サイトより引用

あるひとつのビジネスでやっと成功したと思ったのも束の間、苦心を重ねて開拓してきた市場を大手企業の進出によってあっけなく奪われるのは、よくある話です。

ビジネスの世界では、資本力に優れた大手企業が弱小企業を打ち負かすことが日常茶飯事のように繰り返されています。弱小を打ち負かすことで、大手企業はますます肥え太ります。

まして、世界的に名前が知られた巨大ブランドが海外から進出してきたとなると、小さなローカル企業では太刀打ちできません。激しく抗いながらも消えていったローカル企業の例は、いくらでも挙げることができます。

ところが、世の中には数少ない例外があります。フィリピンでも、小さなローカル企業が世界的なブランドと堂々と渡り合った物語が、いくつかあります。

たとえば、マクドナルド vs ジョリビーです。マクドナルドが出店した国のなかで、ファーストフードNO.1の座を世界で唯一とれていない国がフィリピンです。

なぜなら、フィリピンではローカル企業のジョリビーが、マクドナルドを超える人気を誇っているからです。
【ジョリビー vs マクドナルド】フィリピンのファーストフードを制するのはどっち?

その他にも、スターバックスと堂々と渡り合っている Bo’s Coffee の物語も魅力的です。
なぜフィリピン弱小ブランド「Bo’s Coffee」は、世界最大手「スタバ」と戦い続けられるのか

そして今回は、それらの系譜のひとつとして、弱小のローカル企業が海外から進出してきた業界最大手の大企業を、見事に打ち負かした物語を紹介しましょう。

今回、取り上げる業界はオンラインの日用品配達サービスです。大手企業を迎え撃ったのは、地元の中小企業「メトロマート・テクノロジー」です。対して、東南アジアでの日用品配達サービスのシェアでトップを独走している大手企業とは「ハッピーフレッシュ」です。

メトロマートは、業界トップのハッピーフレッシュのマニラ進出に対して、どのように戦ったのでしょうか?

メトロマートの採った戦略について、今回は紹介しましょう。

マニラで事業スタート

フィリピンの日用品配達サービス

日本ではAmazonや楽天、ヤフーショッピングなど、オンラインで買い物をして配達してもらうライフ・スタイルが定着しています。また、最近ではイトーヨーカドーや西友、イオンなど大手のスーパーマーケットが独自にオンライン配達サービスを設けています。

企業が単独でオンライン配達サービスを開設できるのは、日本では物流が発達しているからです。トラック便などの宅配サービスが充実しているため、オンラインで注文を受けた後は各々の宅配サービスに丸投げするだけで完了します。

少し前に宅配の運送料が値上がりしたことが話題になりましたが、それでも日本の宅配サービスは海外に比べると格安です。交通インフラも整備されているため、北海道や沖縄などの一部の遠隔地を除けば、日本中どこへも素早く配送されます。

このように物流が優れているからこそ、各社が単独でオンライン配達サービスを立ち上げることができるのです。

しかし、フィリピンは違います。日本のように充実した宅配サービスは、まだ望みようもありません。その最大の障害となっているのは、交通インフラの劣悪さです。ことに首都圏の渋滞はすさまじく、物流にとって最大の敵になっています。

こうした背景があるため、フィリピンでは大手スーパーといえども単独でオンライン配達サービスを立ち上げるのは、難しい状況が続いていました。

そこに目をつけたのが、地元企業のメトロマートです。「日用品を敏速に配達してくれるサービスは、マニラでもきっと需要があるに違いない」と、メトロマートCEOのステファノ・ファジーニは考えました。

スーパーマーケットが単独で日用品配達サービスを立ち上げることができないのであれば、自分たちが窓口となり、注文が入ったら実際にスーパーに足を運んで買い物を代行して届けよう、といったビジネスモデルを思い立ったのです。

「買い物を代行する」のは、日本ではあまり見かけないビジネスモデルです。つまり、こういうことです。

メトロマートのアプリやwebページから、メトロマートにつなぎます。はじめに住んでいる地域を聞かれるため、エリアを選択します。すると、メトロマートで取り扱うことのできるショップが一覧で表示されます。

それぞれのショップをクリックすると、実際に買い求めることができる商品がズラリと表示されます。あとは商品を選び、ショッピングカートに投げ込むだけです。もちろん複数のショップから商品を自由に選べます。

注文を受けたメトロマートでは、専門のスタッフがそれぞれのショップに買い物に出かけます。注文を受けた商品がすべて揃ったところで、スタッフがバイク便で注文先の住所まで配達します。無事に配達を終えたなら、代金を徴収して取引完了です。

これがメトロマートの考え出した日用品配達サービスです。ファジーニは2015年4月から、マニラで日用品配達サービスを立ち上げるための準備に取りかかりました。

難航したアプリ開発

まずはじめに取りかかったのは、アプリの開発です。フィリピンのオンラインの主役は、パソコンではなくスマホです。フィリピンではスマホを中心に、およそ6千万人の人がインターネットにつながっています。その数はフィリピンの人口の6割にも達しています。
日本とフィリピン、1日当たりにネットに費やす時間が多いのはどっち?

フィリピン人が1日にネットに費やす時間は、パソコンとスマホを併せて8時間59分で世界第一位です。スマホの普及率と使用率が高いだけに、スマホユーザーをいかにオンライン日用品宅配サービスに誘導できるかで、ビジネスとしての成否が決まってきます。

使いやすいアプリを開発することは、メトロマートにとって最大の課題でした。ファジーニと彼の兄・マイケルが中心となり、アプリの開発が進められました。

しかし、当初予想されていた以上にアプリ開発は難航しました。その間に莫大な金額が消えていったのです。手持ちの資本のほとんどをアプリ開発に注ぎ込みましたが、それでもまだ足りません。

ファジーニたちは折れそうになる心を、「このビジネスはきっと成功する!」という強い信念で支えました。

アプリ開発を進めるために、ファジーニたちは投資を募ることにしました。毎日、毎日、創業間もない企業に対して資金を提供してくれる投資家を探して訪ね歩いては、日用品配達サービスという従来にはない画期的なサービスが、投資対象としていかに魅力的であるかを訴えました。

ファジーニたちの熱意が実り、何名かの投資家が出資に応じてくれました。こうしてファジーニたちが理想とするアプリが完成し、メトロマートは2016年2月にマニラで開業したのです。

大手を打ち負かすための3つのミッション

業界トップのマニラ進出

マニラ

ファジーニたちは日用品配達サービスの開業を急ぎました。なぜなら3月には、この業界でトップを走る大手企業ハッピーフレッシュがマニラに進出することが決まっていたからです。

そのことを知ったのは、ファジーニたちが日用品配達サービスの準備を進めている最中でした。

ハッピーフレッシュは、インドネシアのジャカルタに拠点を置くオンライン日用品店です。オンライン生鮮食品注文サイトとして2014年に創業して以来、わずか2年でマレーシア・インドネシア・タイ・台湾へと進出し、東南アジアでは圧倒的なシェアを誇っています。

資本力や実績、経験や技術力においても、地元の中小企業に過ぎないメトロマートとは比較になりません。

業界大手のハッピーフレッシュのマニラ進出は、ファジーニたちにとって大きな脅威でした。しかし、ハッピーフレッシュに勝てるはずがないとあきらめてしまっては、アプリ開発にかけた莫大な資金が無駄になってしまいます。創業間もないメトロマートを信頼して投資してくれた投資家をも、裏切ることにもなってしまいます。

戦うしかない、とファジーニは腹を決めました。とはいえ、資金力や蓄積されたノウハウなど、すべての面においてメトロマートはハッピーフレッシュに負けています。

でも唯一メトロマートが有利に立てる余地が残されているのは、ハッピーフレッシュよりも1日でも早くオープンすることです。

「日用品配達サービス」という事業内容がかぶるだけに、先行してオープンしたほうが有利になります。

ネットの世界では、先行者利益がことのほか有利に働きます。ハッピーフレッシュよりも1ヶ月早くサービスをはじめることができたことで、メトロマートはフィリピンにおける日用品配達サービスの先駆者となることができたのです。

弱小が大手を打ち負かす方法とは

日用品配達サービスのパイオニアになることには成功したものの、資金力に乏しいメトロマートは、わずか10名にも満たないスタッフを雇うことしかできませんでした。

資金力が豊富で、はじめから数十人のスタッフを投入できるハッピーフレッシュと比べると、なんとも心許ないスタートでした。あと1ヶ月もすればハッピーフレッシュが開業します。

目新しさも手伝い、開業後のメトロマートの評判は上々でした。しかし、周囲からはハッピーフレッシュの進出に伴い、メトロマートの事業が頓挫(とんざ)するのでないかと危ぶまれていました。

傍からは、事業内容が完全にダブるようにしか見えなかったため、大手企業のハッピーフレッシュが弱小企業に過ぎないメトロマートを押しつぶすだろうと予想されていたのです。

もちろんファジーニたちも、まともに戦ったのでは勝てる相手でないことはわかっていました。ハッピーフレッシュは日用品配達サービスをインドネシアではじめて成功を収めると、そのノウハウをもってマレーシア・タイにも進出し、瞬くうちにシェアを独占してしまいました。

創業間もないメトロマートにとって、分が悪過ぎる相手です。この強敵に対して、いかに立ち向かっていくべきかファジーニたちは悩みます。

やがて、ファジーニたちは二つの方針を固めました。ひとつは、ハッピーフレッシュの進出に惑わされることなく、メトロマートとして継続して利益を生み出せる事業モデルを構築することです。

ファジーニは語っています。

「オンデマンド配達における最も重要な点は、利益です。継続して利益を生み続けることのできるビジネスモデルを描くことができなければ、廃業のリスクは高くなるでしょう」。

ファジーニがはじめに「継続した利益」を追い求める姿勢を打ち出したことは、賢明だったといえるでしょう。自社の利益を犠牲にしてまでライバル企業との競合に夢中にり、やがては撤退に至るケースは案外多いものです。

もうひとつの方針は、地元企業の強みを活かした戦略によって、ハッピーフレッシュとの差別化を図ることです。

そのためにファジーニは、メトロマートが生き残るために達成しなければならない3つのミッションを自社に課しました。

そのミッションとは次の3つです。

ミッション1.提供できる商品を広げよ!
ミッション2.利用(配達)料をタダ同然にせよ!
ミッション3.どこよりも早く届けよ!

これら3つのミッションを、メトロマートがどのように達成したのかを見ていきましょう。

ミッション1.提供できる商品を広げよ!

ファジーニが真っ先に手をつけたのが、地元企業ならではの市場分析です。マニラに暮らす人々がなにを求め、なにに対してお金を落とすのかを、長いことマニラに実際に暮らしてきたファジーニたちにはわかっています。

こうしたマーケットリサーチは、ハッピーフレッシュでも大量の資金を投入して事前に調査しているはずですが、地元に密着しているファジーニたちには、数字だけではわからない微妙な空気を読むことができます。

地元の利を活かせるはずだと、ファジーニたちは考えました。

その上で出た結論は、生鮮食品に的を絞った商品展開をしてもダメだと言うことです。フィリピンがインドネシアやマレーシア・タイと異なるのは、日用品配達サービスを利用する層が限られるということです。

フィリピンでは貧富の格差がかなりあり、国民の多くが貧困層に属しています。貧困層の人々がわざわざ日用品配達サービスを利用するとは考えにくいため、メトロマートが対象とするのは中間層と富裕層に限られます。

しかし、中間層と富裕層はメイドを雇っていることが多く、日常の買い物はすべてメイドが済ませてくれます。つまり、メトロマートで提供できる商品が生鮮食品に偏っていたのではメイドで事が足りてしまうため、日用品配達サービスを利用するメリットがないのです。

そこでファジーニたちは、提供できる商品を広げる戦略を採ることにしました。そうすれば、生鮮食品に的を絞っているハッピーフレッシュとの差別化も図れます。

ファジーニの号令のもと、メトロマートのスタッフは幅広い商品の提供を目指して、地道にショップ周りをしました。その結果、オンラインサイトが通常扱わないベーカリー商品やオフィス・学校で使う事務用品、玩具にまで、ラインナップを広げることができたのです。

メトロマートと提携している小売店は、スタート時点の2016年2月にはわずか6店舗でした。しかし、年末までには22店舗に増えています。

今では、メトロマートのアプリやwebページを開くと、近所のSMスーパーマーケットから日用品を配達してもらえるばかりでなく、エリック・カイザー(Eric Kayser)の手の込んだパンやホーリー・カラバオ(Holy Carabao)の有機食材、ナショナル・ブックストア(National Bookstore)の文具や教材まで取り寄せることができます。

こうして品揃えを豊富にすることで、メトロマートは客層を広げることに成功しました。日用品自体の利益は低くても、ラインナップを広げることで多くの利用客を呼び込めたため、高い利益率を維持することにもつながっています。

ミッション2.利用(配達)料をタダ同然にせよ!

ファジーニたちが次に取り組んだのは、消費者の視点から見て「ハッピーフレッシュではなくメトロマートを使うことのメリット」を明らかにすることでした。

そこでファジーニたちがまず目をつけたのが、利用(配達)料でした。ライバルとなるハッピーフレッシュは、60ペソ(約120円)の利用料を設定しています。

1回の配達につき60ペソという価格は、さすが業界トップだけに他社では真似できないほど安く設定されています。

しかし、ファジーニたちはひるみませんでした。メトロマートが優位に立つには、使用料をタダ同然に抑える思い切った営業努力が必要だと考えたのです。

これは、難題でした。先にも説明した通り、ファジーニたちはどのミッションを達成する際にも「継続して利益が出る」という枷(かせ)を自ら課しています。

使用料をタダ同然に低く設定すること、なおかつ継続して利益が出る料金設定にすること、この二つを同時に満たすのは至難の業でした。

配達の際にはどうしてもガソリン代や人件費がかかってしまいます。その分のコストをどこでどうやって補うのかが問題です。

どうすればよいのか、ファジーニたちは悩みました。商品価格を水増しして利用料に充てる案も出されましたが、そんなことをすれば同じ商品を見比べたとき、ハッピーフレッシュの価格設定の方が安くなってしまいます。これでは逆効果です。

そもそも日用品配達サービスは、スーパーで売られている価格と同じか、あるいはそれ以下の安い価格で購入できることを前提にしています。利用料を商品価格にしわ寄せすることは、絶対にできない選択でした。

何日も悩んだ末に、ファジーニたちは一つの案を思いつきます。それは、店舗からも料金を徴収するシステムの構築です。

たとえばネットの世界ではアフィリエイト(成功報酬型広告)が広く行われています。アフィリエイトという仕組みを世界で一番早く始めたのは Amazon です。小さな書店に過ぎなかった Amazon がアフィリエイトというシステムを思いつき採用したところ、瞬く間に世界最大の書店へと急成長したことはよく知られています。

ファジーニたちの発想は、アフィリエイトの制度を日用品配達サービスに取り込むことと同じといえるでしょう。店舗にしてみれば、メトロマートと提携をすることで新たな客が増え、売上げが上がるのだから大きなメリットがあります。

こうしてファジーニたちは、ユーザーと店舗の両方から料金を受け取ることで、利用料を極限まで引き下げることに成功しました。

メトロマートの利用料は基本的に無料です。1,000ペソ(約2,000円)以上の注文を入れると、無料になるからです。合計金額が1,000ペソ以下でも、わずか40ペソ(約80円)の利用料を払うだけで配達してもらえる仕組みになっています。支払いはクレジットカードや、配達時に現金でも行うことができます。

これにより、消費者の立場から見てメトロマートの日用品配達サービスはとても魅力的になりました。あえてショップに行かなくてもネットで簡単に注文できて、配達までしてもらえるのに、利用料がタダ同然だからです。

メトロマートはフレッシュマートと戦うための、大きな武器を手に入れたのです。

ミッション3.どこよりも早く届けよ!

品揃えを豊かにし、利用料を基本的に無料とすることに成功したファジーニたちに残された課題は、どこよりも早く商品を届けることでした。

その上で最大の障害となるのは、マニラ首都圏の渋滞でした。交通インフラが整備されていないためにマニラ首都圏は渋滞が激しく、バイク便といえども立ち往生することがよくあります。渋滞を避けながら、いかに早く届けるかがポイントでした。

配達時間でファジーニたちが目標としたのはフレッシュマートではなく、やはり日用品配達サービスを行っている地元企業のウォルター・マート(Walter Mart)でした。ウォルター・マートはユーザーが注文した商品を3~4時間で配達することを約束しており、人気を得ていました。

ウォルター・マートの掲げた「注文後3~4時間の配達」はフレッシュマートを上回っていただけに、ファジーニたちは、この時間をさらに短縮するための努力を続けました。

その結果、メトロマートは毎日午前11時から午後9時までの間は、スーパーでの清算が終わってから90分以内に届けることをユーザーに約束できるようになったのです。ほとんどの場合、競合するウォルター・マートよりも素早く顧客に配達できるようになりました。

この配達システムを完成させるための技術開発に、ファジーニたちは思い切って大きな投資を行いました。この技術開発により、スタッフが今どこにいて、なにをしているのかがリアルタイムでつかめるようになったのです。

「最新の呼び出し技術を使ってこの問題に対処しています。どこにランナーがいるかが鳥瞰図(ちょうかんず)でわかるようになっており、誰が仕事中で誰が対応可能か、そして誰がもうすぐ対応可能な状態になるかなどを見ることができます。ランナーが店舗の近くにいても渋滞のため時間に間に合わないかもしれないので、最適なルートを見て別の人を探します」とファジーニは説明してくれました。

もちろん最新技術ばかりでなく、品質管理を徹底したり、ドライバーをトレーニングすることも必要です。

こうした様々な努力により、メトロマートは日用品配達サービスの業界でどこよりも早く商品を配達することに成功したのです。

こうして見てくると、メトロマートの仕事の大部分が物流であることがわかります。ファジーニにとってメトロマートは、単に買い物を代行する企業ではなく、オンライン物販という大きな夢を運ぶ物流企業なのです。

ファジーニは語りました。

「ビジネスの核となる部分を見れば、やっていることは物流だとわかります。もちろん、店舗や商品のアピールもします。でも、注文が入ってきてからが本番です。顧客には見えませんが、ここからもっとも過酷な仕事が始まるのです。私たちは、フィリピンでもっとも優れた物流企業になることを目指しています」。

対立の果てに……

周囲が驚く予想外の結果

ファジーニが掲げた4つの課題をクリアしたことで、いつのまにかメトロマートはマニラでの日用品配達サービスにおいて、もっとも目立つ存在になっていました。

フレッシュマートのマニラ進出により、当初は圧倒的に不利と見られていたメトロマートですが、その結果は周囲を驚かせるものでした。

メトロマートが順調にユーザー数を伸ばすなか、東南アジアで最大のネットワークを誇るフレッシュマートは苦戦しました。その最大のネックとなったのは品揃えが生鮮食品に限られたため、マニラの消費者の心をつかむことができなかったことでした。

ファジーニが予見した通り、マニラの中流層と富裕層はほとんどメイドを雇っているため、生鮮食品の配達には関心を示さなかったのです。わざわざアプリを開いて商品を選ばなくても、メイドに口づてに頼んだ方がはるかに簡単です。

結局、3月にオープンしたフレッシュマートは、その半年後の9月に閉店となり、マニラから早々に撤退しました。

決着はつきました。業界最大手のフレッシュマート対地元の弱小企業メトロマートの戦いは、大方の予想を覆してメトロマートの完全勝利に終わったのです。

創業当時は10名にも満たないスタッフしかいなかったメトロマートですが、今では自社従業員として35名のドライバーと、「もっとも新鮮な商品を選ぶ」よう訓練された20名のパーソナルショッパー(実際に買い物を行う人)を雇用しています。

登録ユーザー数は9万人にふくれあがり、そのうち62%がリピーターとして定着し、安定した収益をメトロマートにもたらしています。

弱小企業でも知恵を絞り、努力を重ねることで、資本力でもブランド力でも敵わない大手企業を打ち倒すことができることを、ファジーニたちは見事に示したのです。

類い希(まれ)な3つの戦略を掲げたファジーニと、それを可能にしたメトロマートのスタッフたちが力を合わせた末につかんだ勝利といえるでしょう。

これからの課題

これまで紹介してきた特色を活かすことで、メトロマートはマニラのオンライン日用品配達サービスの市場でもっとも多くの顧客を獲得しています。顧客の大部分を占めるのは、都市部の住人と女性です。実にユーザーの60~75%が女性です。

女性に喜ばれる商品を揃えることにも努めました。その一例としてファジーニがあげたのは、チーズ・ハムやソーセージなどのコールドカット、そしてワインなどの輸入品を扱うデリセクションです。デリセクションの製品は、ファジーニ自身も大のお気に入りとのことです。

こうした高給輸入品を、メトロマートでは専門店よりも安い価格で提供しています。その分利益率は落ちるものの、入れ替えの早い日用品とは比べものにならないほどの十分な利益を弾き出しています。

最近では、実は利益の60%を高級輸入品の販売で得ているのだと、ファジーニは教えてくれました。

ファジーニによると、メトロマートの毎月の注文数は今や数万件に及び、サービス開始からのべ300万もの商品を配達したことになります。

「メトロマートは買い物をするところです。私たちは、日用必需品を買う際の入り口でありたいと考えています。毎日必要なものをお届けしているのです」

さらにファジーニは、ユーザーのなかにはレストランやオフィスも含まれており、それらのビジネスにとってメトロマートが欠かすことのできない存在になっていること、また、このサービスによって身体的障害を抱える人も、自分に必要なものをすぐに購入できるようになったと、うれしそうに語ってくれました。

しかし、ファジーニはまだ満足したわけではありません。ファジーニたちが今、取り組んでいる課題は「スーパーで買い物をしている大多数のユーザーをどうやって納得させ、オンライン通販へ流れ込ませるか?」ということです。

ファジーニは続けます。

「フィリピンでは、インターネットを使わずに行っている習慣をオンラインでさせこと自体が難しいのです。しかし、タクシー配車サービスのウーバーやファッション通販のザローラ(Zalora)、フードデリバリーのフードパンダ(foodpanda)などの開業により、人々はネットサービスの価値に気づき始めています。インターネットを使うことの便利さを市場が学んでくれれば、これから状況はもっとよくなると思います」。

ファジーニたちの次の挑戦は、もう始まっています。

▶ 参照元: http://www.entrepreneur.com.ph/run-and-grow/how-a-local-grocery-delivery-startup-is-surviving-low-margins-a00178-20161225?ref=home_feed_1

コメント

セブ島のスーパーマーケットはどこも大抵、超混んでいます。混んでいる要因としては、カゴいっぱいに購入する人が多いこと、バーコードが全然反応しなく、手打ちが多いこと、そして何よりレジスタッフの効率の悪さが挙げられます。
ちょっとしたものを購入しようと思っても、時間がかかるので面倒なんですよね。。。。

しかしながら、セブ島にもこのメトロマートがすぐに来るとのこと!セブ島留学中の皆さんが今まで面倒だと思っていた、お土産用のドライマンゴーの買い出しをしないで済むようになるかもしれませんね。

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海外ニュースの翻訳担当
沖縄県でフリーランスとして活動しておりますOffice Ninaと申します。タイムリーな記事を読みやすくお届けするのがモットーです! フリーランスとしては記事翻訳の他、通訳、英会話レッスンなど行っています!詳細はOffice NINAのFacebookページをご覧ください。 ▶ https://www.facebook.com/Office-NINA

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