
私立か公立か? これですべてわかる!
カナダに行く前に、決めておかなければいけないことと言えば何でしょうか?
ホームスティ先でしょうか? 留学のビザのことでしょうか? カナダのどこの都市に行くかも非常に重要ですよね。
では、どの語学学校に通うかはどうでしょうか?
海外留学を経験してないと、語学学校なんてどこを選んでも大して変わらないと考えがちですが、実はそれは大きな間違いです。
たとえば、語学学校のなかでもヨーロッパからの留学生が多い学校の方が、全体的に英語のレベルは高くなります。一方、アジア圏からの留学生が多い語学学校のレベルは、マイルドになります。
どうしてだと思いますか?
普通に考えて、アジア圏の生徒のほうがヨーロッパ圏の生徒に比べて英語ができない、という背景ももちろんあります。でも、それ以上に大きな理由があります。それは、英語発祥の地であるイギリスとヨーロッパの国々は地理的に近いため、そこで使われている言語が互いにかなり似通っているからです。
つまり、ヨーロッパの人たちの母国語は英語と極めて近いため、それほど勉強しなくても簡単に理解できるのです。でもアジア圏の言語は、発音から文法まで英語とはまったく異質です。
アジア圏の人たちが一生懸命勉強をしても、ヨーロッパ圏の人たちの英語力になかなか追いつけないのは、こうした母国語の違いがあるからです。
ですから語学学校を選ぶ際には、その語学学校の生徒の出身国を見ることで、語学学校全体のおおよそのレベルを推し量れます。
さらにカナダの場合は、民間による私立の語学学校とカナダ政府が管理する公立大学の語学学校とでは、授業内容や英語のレベル、教師の質や授業料などに大きな差があります。
日本でも私立学校と公立学校では大きな違いがありますよね。でも、カナダでの私立と公立の差は、日本よりももっと極端です。
そこで今回は、カナダにおける私立の語学学校と公立の語学学校の違いについて紹介しましょう。カナダでどの語学学校に留学しようかと決める際の、ぜひ参考にしてくださいね。
その1 授業料の差
さて、ここで問題です。カナダでは私立と公立のどちらが、授業料が安いでしょうか?
日本の場合は、間違いなく公立ですよね。大学にしても国公立のほうが、私立に比べるとはるかに安い授業料ですみます。
でもですよ、カナダは実は逆なのです!
私立の語学学校の授業料のほうが、公立よりも安く設定されています。ですからできるだけ安い金額で抑えたいならば、迷うことなく私立の語学学校を選ぶべきです。
カナダの公立の語学学校には、割引といった観念がほぼありません。国が管理している教育機関ですから当たり前といえば当たり前ですが、私立との開きはかなりあります。同じ時間だけ勉強しても、私立と公立の語学学校では料金が2倍以上異なることもあります。
なお、公立の語学学校の授業料は、大学によって異なります。
料金の面では、私立の語学学校の方がお得と言えます。さらに、もっと得をしたいなら、真冬に契約をすることです。
カナダでは季節によって、語学学校の授業料が違ってきます。なぜなら、カナダの冬はとっても寒いからです。真冬のカナダで語学留学をしようとする人の数は、さすがに少なくなります。年間を通して、留学生の数が一番減るのが真冬です。そのため真冬になると、語学学校の授業料は軒並値下がりします。
少しでも費用を節約したいときは、真冬を狙ってカナダに留学するとよいでしょう。英語を学ぶにしても、お金は節約するに越したことはありません。ちなみに賃貸住宅を借りる際にも、カナダでは冬のほうが断然安いですよ!
その2 多文化性(国際性)
日本でも都市部に行けば、外国人を当たり前のように見かけます。それでもカナダに比べれば、日本で見かける外国人の数は、ごくわずかに過ぎません。
日本は単一民族の国といってもよいほどに、民族が統合されています。Wikipediaによると、日本に住んでいる人の98%は医学的に日本人の人種(モンゴロイドの血が混じっている)なのだそうです。
「日本人なのだから当たり前だろ!」と思うかもしれませんが、世界的に見ても、これだけひとつの人種に統一されている国は珍しいのです。
カナダ最大の都市トロントでは、2割がアジア人、4割が白人、1割が黒人、そして残りの3割がその他の民族で構成されています。それほど国際性が豊かなのです。
語学学校で英語を学ぶなら、国際性が豊かな学校で勉強してみたいと思いませんか?
▶ 13,カナダ留学中、周りの生徒たちとの文化の違いはありましたか?
私立の語学学校と大学付属の公立の語学学校では、国際性が多少異なります。私立の語学学校は、中東やヨーロッパからの留学生が多い傾向にあります。お金持ちの国からやって来て、夏の間に観光を楽しみながら英語を勉強するというスタイルが一般的です。
では、大学など公立の語学学校の国際色はどうでしょうか?
公立では、英語だけを勉強する目的でやって来る生徒さんは少ないようです。大概の場合は語学学校で英語を勉強して、さらに学士号や修士号などを修了しようとする学生さんが多いのです。
カナダの大学の国際性は、とても豊かです。新興国から正規留学などの目的で来る方もいれば、他の国から移民して大学に入る人もいます。国際性に関していえば、大学附属の公立のほうが私立に圧勝します。
その3 教師の質

http://www.studying-in-australia.org/visas-and-entry-requirements/
教師の質と聞いて、違和感をもった人もいるかもしれませんね。
日本に滞在していたころの私なら、やはり同じような感覚をもっていたと思います。
「母国語が英語であるカナダ人が英語を教えてくれるのだから、誰が先生になっても同じでしょう? 何が違うの?」と、考えたことでしょう。
しかしながら、カナダに長期間滞在した今なら、そんなことはけして思いません。すこし差別的な表現になってしまうかもしれませんが、どのようなレベルの英語を使っているかによって、教師の質を見透かせるようになったからです。
たとえば、私が語学学校に通っていたとき、こんなことがありました。ポップコーンを食べながら映画を見るような授業が、私立の語学学校ではよくあります。金曜日の午後だったと思いますが、そのときの授業での出来事です。
Do not kill it, just leave it for me.
物騒な言い回しですが、これはスラングです。意味はわかりますか?
「最後の一本は私に残しておいてください」というスラングなのです。
この教師は冗談半分で喋った英語だったようですが、先輩教師に厳重な注意を受けたようです。いくら冗談でも、語学学校という正しい英語を教える環境では、このようなスラングを使うべきではありません。
英語のスラングは使い方によって、その人が育った環境などがある程度わかってしまうことがあるのです。
このような教師の質を比較すれば、公立の大学英語の教師の方が、私立の教師より圧倒的にレベルが上です。私立の語学学校では、教師の採用基準が学校によって大きく異なります。極端な話、英語を話せさえすれば教師として雇っている語学学校も珍しくありません。
その点、大学など公立の語学学校の教師は学歴が高く、言語学など専門的な学部を卒業した教師ばかりで構成されています。
教師の質にこだわるのであれば、公立学校を選んだ方が無難です。
その4 授業の内容
では次に、授業の内容の違いについて説明しますね。単純に考えて私立の語学学校は、カジュアルな英語を教えている場所と考えて問題はありません。具体的にいえば、私立の語学学校ではスピーキングやリスニングなど、英語の基本について勉強できることが多いのです。
また、クラスにしてもさまざまで、TOEICなどの英語の試験対策のクラスもあれば、ポッポコーンを片手に映画を見ようなどという非常にエンターティメント性に優れたクラスもあります。多種多様なクラスが用意されていることが、私立の語学学校の特徴です。
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一方、大学付属の語学学校では、どのようなクラスがあるのでしょうか?
基本的には、大学で勉強する科目の準備のためのクラス、エッセイやTOEFLのクラスなど、一般的に見て退屈なクラスと断じても言い過ぎではありません。
公立の語学学校では、みんなで楽しみながら英語を勉強するようなクラスは、皆無に等しいのです。そうです、とてもアカデミックなんですね。
その5 難易度
次に、私立の語学学校と大学付属の公立の語学学校との難易度の違いについて紹介しましょう。
私立の語学学校であれば、たとえ英語がまったく話せなくても、どこかのクラスには入れるものです。私立の語学学校では営利が優先されますから、当然のことです。しかし、公立の語学学校は、利益を出すこを目的としていません。
そのため、公立の語学学校では入学するだけでも簡単ではありません。アカデミックな英語を学ぶ前に、ある程度の英語力をつけておく必要があります。
最近ではカナダ留学の前に、フィリピンのセブ島に留学することで英語力を身につける人が増えています。
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その6 期間
ここで書いておかなければならない重要なことがあります。それは、公立の大学では学校に入学できる時期が決まっている、ということです。私立の語学学校では、プチ留学として1-2週間の短期留学ができたりしますが、公立の大学ではそうはいきません。
公立の語学学校に入学できるのは、基本的に9月か1月です。大学によっては5月という選択肢もあります。
ですので、もうすでに学期が始まっている11月や3月などの時期に来ても、大学付属の公立の語学学校に入学することはできません。
さらに私立の語学学校と違って、公立の場合は9月から11月までの2か月間だけ勉強して、途中で帰国するなんてことは、基本できません。公立学校のクラスはカナダの大学の1つのカリキュラムとして存在しているため、その学期の始めから終わりまで、約4か月間みっちりと勉強する必要があります。
その7 日本人の数
あなたは何を基準にして語学学校を決めますか? 価格ですか? 立地でしょうか? それとも評判?
では、日本人の数はどうですか?
その語学学校にいる日本人の数で語学学校を決める人は、現実にはかなりいます。「日本人が多い方がなんといっても安全ですからね……」、なんて思ってませんか?
そこ、まったく逆ですので!
日本人が少ない学校を選ぶ人が、圧倒的に多いのです。日本人が少なければ英語を使ってコミュニケーションをとるよりほかないため、英語力が伸びる、と考える人が多いからでしょうね。
私立の語学学校はカナダのどこであれ、日本人がまったくいないなんてことは、ほぼ皆無に等しいです。バンクーバーであればもちろんのことですが、オタワのような小さな都市でも、語学学校に日本人は一人くらいいることがほとんどです。
しかしながら、大学付属の公立の語学学校では、日本人が一人もいないこともよくあります。実際に私が個人的に受けたクラスでは、全生徒で80人くらいでしたが、日本人は私だけでした。英語力を伸ばすなら、これほど恵まれた環境はありません。
まとめ
私立の語学学校と大学付属の公立の語学学校の違いについて紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
私立の語学学校は価格が安く、クラスがバラェティに富んでいるという利点がある反面、日本人の数が多いことや教師の質が落ちるという欠点があります。公立の語学学校はその逆で、日本人の数が少なく、教師の質が高いという利点がある一方、価格が高く、アカデミックに偏った授業のために面白みに欠けるという欠点があります。
私立と公立の違いをわかった上で、どちらの語学学校が自分に合っているのかを、検討してみてくださいね。
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