http://www.scind.org/123/Science/intelligence-in-matter.html

序文:ほんやくコンニャクがもうすぐできる・・・かも

このところ「人工知能」という言葉を、よく耳にするようになりました。将棋や囲碁では、人工知能を搭載したコンピュータにプロ棋士でさえかなわない時代に入っています。

http://watson2016.com/
http://watson2016.com/
IBMの開発したAIコンピュータ「ワトソン」は、アメリカで人気のクイズ番組において、歴代のチャンピオンに勝利して話題となりました。

ワトソンは企業の経営判断や医療研究にも、実際に使われています。

米ベイラー医科大学では、ガンを抑制する可能性のあるタンパク質を1つ発見するのに平均して1年かかっていましたが、ワトソンを導入したところ、わずか数週間で6つ発見することに成功しています。

トレードの世界は今や、人工知能を用いた高速トレードの戦いになっています。もはや人間が高速トレードで人工知能を出し抜くことは、絶対に不可能です。現在の高速トレードは、1秒の10億分の1にあたるナノ秒で争われているのですから!

今、人工知能は目覚ましい進化を遂げています。その進化のスピードは、語学を学ぶ者にとってけして無縁なものではありません。

「人工知能が驚異的に進化しているから、語学力はもういらないんじゃない?」といった疑問の声は、ネットを中心に、さまざまな場所で聞かれるようになりました。

たとえばリアルタイムの音声翻訳は、あと5~10年で研究のめどがつき、10~15年後には実用化できると言われています。

リアルタイム音声翻訳といえば、ドラえもんの「ほんやくコンニャク」を思い出す人も多いことでしょう。

http://doradougu.com/wp-content/uploads/2015/12/honyakukonnyaku.png
http://doradougu.com/wp-content/uploads/2015/12/honyakukonnyaku.png

ほんやくコンニャクは、食べることでどんな言語も相互で翻訳できるようになるひみつの道具です。ほんやくコンニャクが効いている間は、あらゆる言語が日本語に翻訳されて聞こえてきます。自分が話す言葉も、相手の母国語へと自動的に翻訳されます。リスニングだけではなく文章さえも、それぞれの母国語に翻訳された上で読み取ることができます。

夢物語に過ぎないと思われていた「ほんやくコンニャク」が、今や現実のものになろうとしています。交通機関の一部では、すでにリアルタイム音声翻訳が実際に使われています。

2020年の東京オリンピックに向けて、リアルタイム音声翻訳は急ピッチで開発が進められています。

人工知能は確実に、私たちの英語環境を変えようとしています。

これからの世界は、人工知能によってどう変わっていくのでしょうか? 

人工知能によるリアルタイム音声翻訳と機械翻訳の進歩によって、本当にもう英語を学ぶ必要はなくなるのでしょうか?

Google翻訳が一夜で進化したワケ

http://oncologynews.com.au/sabcs-2016-ibm-watson-for-oncology-shows-high-degree-of-concordance-with-physician-recommendations/
http://oncologynews.com.au/sabcs-2016-ibm-watson-for-oncology-shows-high-degree-of-concordance-with-physician-recommendations/
2016年11月11日の明け方、Twitterのトレンドにおいてある言葉がトップに躍り出ました。それはアニメの話題でも、アイドルのニューシングルの話題でもありませんでした。

日本中の多くの人々がツイートしたキーワード、それは「Google翻訳」です。

その晩、英語と日本語のGoogle翻訳はなんの前触れもなく突然、劇的な進化を遂げました。

「なにこれ、昨日とまったく違うぞ! ちゃんとした訳になってる!」
「Google翻訳がスゴいことになってます! 試してみて!」
「ウソだろ、おい! 精度上がりすぎだって!」
「Google翻訳から突然、翻訳感が消えたぁ!」
「すごい、めちゃめちゃ流暢になってる」
「魔法か! めっちゃ自然な日本語」

Twitter上には、Google翻訳の突然の進化に驚く声が飛び交い、あたかも「Google翻訳祭り」のような賑わいを見せました。

それはたしかに、「進化」と呼べるほどの大きな変化でした。

Google翻訳をはじめとする機械翻訳は、ここ数年の間に着実に進歩を遂げてきました。機械翻訳を使っていると、精度が少しずつ上がっている様をたしかに実感できました。

ところが、この一夜に起きたGoogle翻訳の変化は、そうした十数年の歩みを一気に押し流すほどの劇的なものでした。

この夜のGoogle翻訳は、昨日までのGoogle翻訳とは明らかに異なり、かなり自然な日本語を吐き出すようになったからです。

試しにオバマ大統領が2016年5月27日に広島平和記念公園の慰霊碑前で行ったスピーチの冒頭を、Google翻訳で訳してみましょう。

http://www.japantimes.co.jp/news/2016/05/27/national/politics-diplomacy/obama-pays-historic-visit-to-hiroshima/
http://www.japantimes.co.jp/news/2016/05/27/national/politics-diplomacy/obama-pays-historic-visit-to-hiroshima/

Google翻訳 事例1

Seventy-one years ago, on a bright cloudless morning, death fell from the sky and the world was changed. A flash of light and a wall of fire destroyed a city and demonstrated that mankind possessed the means to destroy itself. 

七十一年前、明るい曇りのない朝、死が空から落ち、世界が変わった。 光の閃光と炎の壁が都市を破壊し、人類が破壊する手段を持っていることを実証した。

ほとんど違和感のない日本語ではないでしょうか?

次に、以前のGoogle翻訳がどう訳していたかを紹介できればよいのですが、さすがにこんな進化を遂げるとは思っていないため、データがありません。

Google翻訳のライバルとかつては見られていたエキサイト翻訳で、試してみましょう。

71年前は明るい雲ひとつない朝、死において空から低下し、世界は変更された。ライトのフラッシュおよび火の壁は、都市を破壊し、人類が、自身を破壊するための方法を所有しているのを証明した。

う~ん、なんとなくわかる気もしますが、かなり厳しいですね。前日までのGoogle翻訳にしても、感覚としては似たり寄ったりのものでした。

もうひとつ、有名なキング牧師の名演説でも比較してみます。

http://www.historyextra.com/feature/martin-luther-kings-i-have-dream-greatest-speech-history
http://www.historyextra.com/feature/martin-luther-kings-i-have-dream-greatest-speech-history

キング牧師の演説

I have a dream that one day on the red hills of Georgia, the sons of former slaves and the sons of former slave owners will be able to sit down together at the table of brotherhood.

I have a dream that one day even the state of Mississippi, a state sweltering with the heat of injustice, sweltering with the heat of oppression, will be transformed into an oasis of freedom and justice.

今度は先にエキサイト翻訳にかけてみます。

私が夢を見る ジョージアの赤い丘、以前のスレーブの息子、および以前のスレーブオーナーの息子のある日は、兄弟関係のテーブルで一緒に座ることができる。

抑圧の熱によって蒸し暑さに苦しみ、私は、夢 that ある日 ミシシッピ州、不正の熱を持つ国の暑気あたりでさえ を見て、自由と公正のオアシスに変わる。

意味不明ですね。というか、that がそのまま表示されていますから、バグっているのでしょうか。でも同じようなことは、以前のGoogle翻訳でもよく見られました。

この翻訳ではさすがに、なにをいっているのか、さっぱりわかりません。

次に、Google翻訳で訳してみます。

キング牧師の演説 Google翻訳

私はいつかジョージアの赤い丘の上で夢を見ました。元老奴隷の息子たちと元奴隷所有者の息子たちは、兄弟姉妹のテーブルに一緒に座ることができます。

私はいつかミスシッピ州の州でさえ、圧政の熱で揺れ動く不公正の熱で揺れ動く国家は自由と正義のオアシスに変わるだろうという夢を持っています。

ちょっと微妙ですね。でも、英文がなにをいっているのかというニュアンスは、十分に伝わってきます。

もちろん、まだまだ商業レベルには達していません。しかし、少なくともなにが書かれているかをサッと読み取れるようになったことにおいて、この夜のGoogle翻訳は一足飛びの進化を遂げたといえるでしょう。

これまではとてもではないけれど使えるレベルではなかった機械翻訳が、とりあえずは使えるレベルに到達したことは、画期的なことでした。

いったい、この夜、Google翻訳になにが起きたのでしょうか?

Google翻訳になにが起きたのか?

http://geoffweinstein.com/the-google-brain/
http://geoffweinstein.com/the-google-brain/

Googleの無料サービスのひとつとして、Google翻訳は2006年にスタートしました。以来、1日当たり2億人を超える利用者に支えられて、Google翻訳は着実にその精度を高めてきました。

ところが十年の歳月をかけ成し遂げた進歩以上のことを、たった一夜でGoogle翻訳は達成してしまいました。

その秘密は、2016年11月16日に Google Japan Blog に掲載された「Google 翻訳が進化しました。」と題された記事のなかで明かされました。

見知らぬ人同士を結びつけたり、恋のキューピッド?になったり、言葉の壁を超えて友情を育むお手伝いをしてきた Google 翻訳は、ニューラルネットに基づく機械翻訳 (Neural Machine Translation) の導入で、さらに進化しました。

Google 翻訳が進化しました。より引用

これは、びっくりですよね!

Google翻訳が「恋のキューピッド」だったなんて!

いやー、まったく気がつきませんでした。。。。

え? 驚くポイントはそこじゃない?

失礼しました。ポイントは、「ニューラルネットに基づく機械翻訳 (Neural Machine Translation) の導入」の箇所です。

Googleが導入した機械翻訳とは?

http://geoffweinstein.com/the-google-brain/
http://geoffweinstein.com/the-google-brain/

「ニューラルネットに基づく機械翻訳」と言われても、なんのことかよくわかりませんよね。

「ニューラル」は日本語で「神経の」という意味です。ですから、ものすごく簡単にまとめてしまうと、「ニューラルネットに基づく機械翻訳」とは、神経が伝わる仕組みを活用した人工知能(AI)による機械翻訳のことです。

「人工知能」という言葉は、最近よく耳にします。人工知能とは、コンピューター上などで人間と同じような知能を人工的に実現しようとする試みのことです。

では、人工知能を使った機械翻訳へと切り替わったことで、具体的に翻訳の仕方がどう変わったのでしょうか?

その答えも、「Google 翻訳が進化しました。」の記事のなかに書かれています。

ニューラルネットを活用した機械翻訳は、数年ほど前から素晴らしい研究成果を生み出しており、9 月には Google の研究者がこの手法の発表を行いました。今回、採用した新しいシステムでは、文章をパーツごとに翻訳するのではなく、ひとつの文として扱います。文のコンテキストを把握することで、より正確な訳語の候補を見つけることができるようになり、その後、言葉の順番を変え調整することで、文法により正しく、人の言葉に近い翻訳が出来るようになります。

Google 翻訳が進化しました。より引用

つまり、こういうことです。これまでのGoogle翻訳では、文字の並びから単語や文法を取り出しては片っ端からデータベースと比較して、もっとも似ているものを探して答えを吐き出していました。

そのため、結果としてつぎはぎだらけの文にならざるを得ず、ひとつの文としては意味不明になることが多かったのです。

ところがニューラルネットを取り入れた人工知能では、人間に近い思考回路をもつことにより、文全体を見渡します。そして、まだなんとなくですが、まがりなりにも文の意味を理解した上で答えを吐き出すようになったのです。

これが、11月上旬の一夜に起きたGoogle翻訳の劇的な進化の秘密です。

自ら学習できるディープラーニング

http://www.7wdata.be/tag/unsupervised-learning/
http://www.7wdata.be/tag/unsupervised-learning/

つぎはぎだらけの意味不明な迷文を返していたGoogle翻訳が、たった一夜で自然な翻訳を返せるようになったのは、システムが人工知能に置き換わったためです。

とはいえ、まだまだすべての文章が自然に翻訳されるわけではありません。相変わらず意味不明な文章を返すこともあれば、文法的な解釈を間違えているために、本来の結論とは逆の意味の翻訳を返すこともあります。

しかし、機械翻訳が行間を読もうとする領域に入ったことはたしかなことです。

しかも、最先端の人工知能が搭載されているため、これからのGoogle翻訳は日ごとに精度を高めていくはずです。

「Google 翻訳が進化しました。」には、前掲の文に続いて次のように記載されています。

ニューラルネットに基づく機械翻訳は、システム上にエンドツーエンドで学習し続けるシステムを構築しています。お使いいただくことで、よりよい、より自然な翻訳が出来るようになっていきます。

Google 翻訳が進化しました。より引用

ニューラルネットを取り入れた人工知能のもっとも優れていることは、人工知能のプログラム自身が、学習する仕組みを備えていることです。

これまでのプログラムでは、人工知能がより正しく考えられるようにするために、人間が人工知能の設定を変えることで、正解を教える必要がありました。これを「教師あり学習」と呼びます。

ところがニューラルネットを取り入れた人工知能では、人間の手を必要としません。人工知能が勝手に学び、より正しい答えを返せるように思考回路を自ら変えることができます。いわゆる「教師なし学習」です。

このところあらゆる分野にわたって人工知能が目覚ましい進化を遂げているのは、ニューラルネットを取り入れた人工知能により、この「教師なし学習」が実現したからです。

この技術を、「ディープラーニング(深層学習)」と呼びます。今日の人工知能ブームの火付け役となったのが、ディープラーニングです。

人工知能によって多くの職業が奪われる!

http://shortsleeveandtieclub.com/are-robots-going-to-take-over-the-world/
http://shortsleeveandtieclub.com/are-robots-going-to-take-over-the-world/

人工知能の驚異的な進化は、私たちのライフスタイルそのものを一変させようとしています。

「人工知能がどれだけ進化しようとも、今の自分の生活が変わるわけではないさ」と高をくくっていると、とんでもない目にあうかもしれません。

なぜなら人工知能によって、多くの職業がなくなると予測されているからです。近い将来、私たちの身近にある多くの仕事は、人間から人工知能へと置き換えられていくといわれています。

マイケル・オズボーン准教授 https://article.wn.com/view/2017/02/01/Metropolitan_Area_Employment_and_Unemployment_Monthly_BLS_US/
マイケル・オズボーン准教授 https://article.wn.com/view/2017/02/01/Metropolitan_Area_Employment_and_Unemployment_Monthly_BLS_US/
この種の研究でもっとも有名なのは、2013年に英オックスフォード大学のAI研究者マイケル・オズボーン准教授が発表した「雇用の未来:私たちの仕事はどこまでコンピュータに奪われるか?(The Future of Employment: How Susceptible are Jobs to Computerisation?)」と題した論文です。

この論文は、アメリカにある700種類を超える職種について、人工知能に置き換えられる確率を計算したものです。

論文によると、今後20年以内にアメリカの雇用の47%が人工知能に置き換えられ、人間は失業するとされています。しかも、そうなる確率は70%以上と予測されています。

ちなみに人工知能に置き換えられる確率が高いとされた職業の一例をあげておきましょう。パーセント表示は、仕事を奪われる確率です。

電話による販売員 99%
データ入力 99%
銀行の融資担当者 98%
金融機関などの窓口係 98%
簿記・会計監査 98%
小売店などのレジ係 97%
料理人 96%
給仕 94%
タクシー運転手 89%
理髪業者 80%

その他にも小売店販売員や一般事務員・セールスマン・一般秘書・大型トラックやバスの運転手・箱詰めや荷卸しなどの作業員、コールセンター案内係・手作業による組立工・自動車整備士や修理工・機械工・建設作業員・大工・警備員・郵便配達人・庭師・通関士などなど、多くの職業が人間から人工知能へと移っていく確率が高いと結論づけられています。

論文はあくまでアメリカの雇用について言及したものですが、日本社会とそれほどの差があるとは思えません。

野村総合研究所でも同様の試算が行われていますが、20年後には日本の労働人口の半分がロボットなどの人工知能に代わるとされています。

それがほんとうであれば近い将来、日本人の二人のうち一人は、今の仕事を失うことになります。

では、突然仕事を奪われた人はどうやって暮らしていけばよいのでしょうか?

その答えは、まだ見えていません。

240px-Exp.svg

注目すべきことは、この変化は指数関数的に早まっていくと予測されていることです。
指数関数とは、はじめはなだらかな傾きから一転して、急な傾きへと変化する関数のことです。

つまり、人間から人工知能への置き換えは、最初のうちはゆっくりとしたペースで進むものの、どこかを境に突然加速しだし、気がつけば周囲のほとんどが人工知能になっていた、という状況が生まれるということです。

米サン・マイクロシステムズ社の共同設立者の一人であるビノッド・コースラ氏は「この変化は竜巻のようなもの。最初は小さいかもしれないが、すぐに大きくなってあらゆる領域を飲み込んでしまう。人々は直近の動向を見てそれほどたいしたことではないと思うかもしれない。最初はとてもゆっくりとした変化だから」と警鐘を鳴らしています。

これまで人間の雇用が守られてきたのは、なにかを学ぶことによって新しい能力を身につけることは、人間にしかできないことだったからです。

http://keywordsuggest.org/gallery/99445.html
http://keywordsuggest.org/gallery/99445.html
ところが人工知能は、将来的には人間よりもはるかに高い学習能力を備えることが確実と見られています。

人工知能による自動車の自動操縦は、まもなく実現します。人工知能はその高度な学習能力により、人間が運転するよりもはるかに事故率を抑えることができます。そうなると、タクシー運転手やトラックやバスの運転手は、その多くが失業に追い込まれると予測されています。

自動操縦は自動車だけに留まりません。船舶や飛行機・電車などにも次第に応用されていきます。


小売店のレジ係などにしても同様です。人間はミスをしますが、人工知能はけしてミスをしません。ひとつの職業に関連する能力において、人工知能はすべての面で人間より勝っています。

人間がどれだけあがこうと、人工知能の能力には遠く及びません。

産業革命により多くの人が失業。歴史は繰り返すか?

http://www.historydiscussion.net/history/industrial-revolution/history-of-the-industrial-revolution/1784
http://www.historydiscussion.net/history/industrial-revolution/history-of-the-industrial-revolution/1784

技術の進歩が人間から雇用を奪うことは、なにも今にはじまったわけではなく、過去に何度も繰り返されてきたことです。

たとえば、こんな逸話があります。

16世紀のイギリスで、牧師を務めていたウィリアム・リーが靴下編み機を発明しました。当時は編み物に慣れた女性で1分間に60~80針を編むことができましたが、リーの発明した靴下編み機は、1分間に800針を編むことができたと伝えられています。

リーの機械は人間に比べて10倍の能力をもっていることになりますから、当時としては画期的な発明といえるでしょう。

リーはこの機械を売り出す際の後ろ盾になってもらうために、女王エリザベス一世に拝謁しました。ところが女王の反応は、リーの予期しないものでした。

「あなたは、この発明が靴下を手編みで製造する労働者たちにどんな影響を与えるかを考えたことがあるのですか? あなたはこの者たちの職を奪い、路上の物乞いに変えようとしているのですよ」

女王はリーの靴下編み機に、特許を与えることを拒否しました。

しかし、そんなイギリスでも18~19世紀にかけて産業革命が起こると、人間から機械への入れ替えが行われ、多くの労働者が職を失いました。

機械の普及により職を失うことを恐れた多くの労働者が、機械を破壊する運動も起きています。いわゆる「ラッダイト運動」です。

それでも産業革命は結果的に、機械による生産向上が市場を成長させるとともに、新たな雇用を生み出すことに成功しています。機械を管理するために、多くの人の雇用が確保されたのです。

その意味では、人工知能が普及する近未来においても、新たな雇用が生まれるだろうと予測されています。

それがどのような職種になるのかは、まだ想像もつきません。

ただし、産業革命のときのように、機械を管理するという単純な図式が成り立たないことだけはたしかです。人工知能の管理は、人工知能自身が行えるのですから……。

マッカーサー財団デジタルメディア&ラーニング・コンペティション共同ディレクターのキャシーN.ダビッドソンは、「今の子供たちの65%は、大学卒業時に、今はまだ存在していない職業につくだろう」と語っています。

GoogleのCEOラリー・ペイジ氏 https://9to5google.com/2013/01/17/google-ceo-larry-page-on-competition-regulation-and-innovation/
GoogleのCEOラリー・ペイジ氏 https://9to5google.com/2013/01/17/google-ceo-larry-page-on-competition-regulation-and-innovation/
GoogleのCEOラリー・ペイジ氏もまた、「人工知能の急激な発達によって現在日常で行われている仕事がロボットに代行されることになり、近い将来には10人中9人は今とは違う仕事をしているだろう」と予測しています。

ビル・ゲイツ氏は「創造性を必要としない仕事は、すべてテクノロジーに代行される」と断言しています。

現在の私たちには予想できない近未来が待っていることだけは、どうやら間違いなさそうです。

ラリー・ペイジ氏は語っています。
「あなたが望むかは別として、必ず起こる未来だ」と。

語学に関連する仕事がこの先どうなるのかもまた、まだまだ不透明です。

このような現実を踏まえた上で、本題に戻ることにしましょう。私たちは改めて問いかける必要があります。

人工知能が進化することで、もはや人は語学を学ぶ必要から解放されるのでしょうか?

「ほんやくコンニャク」が現実のものになろうとしている今、あえて英語を勉強する意味など、まったくないのでしょうか?

近い将来、英語学習も必要なくなるか?

http://shortsleeveandtieclub.com/are-robots-going-to-take-over-the-world/
http://shortsleeveandtieclub.com/are-robots-going-to-take-over-the-world/

人工知能への変換は、いずれは社会全体を覆うことになるでしょう。人工知能やロボットはもはや研究の段階を超え、すでに世界中の市場経済に組み込まれつつあります。この流れはもはや、変えようがありません。

ディープラーニングによって、それまで停滞していた画像認識や音声認識などが飛躍的に進化したことはたしかなことです、

しかし、人類はまだ、本当の意味での「人間のように考えることができるコンピュータ」を作れてはいません。

Google翻訳にしてもワトソンにしても便宜的に「人工知能」と呼んでいますが、それらはまだ人間のように考えているわけではありません。

だからこそまだ、語学に通じた人が翻訳した文章の方が、Google翻訳よりもはるかに自然な文章として感じられるのです。

本当の意味での人工知能が誕生するのは、もうすぐそこに迫っているといわれています。そうなればリアルタイム音声翻訳や機械翻訳は、一流の通訳や翻訳家を雇っているのと同じ状況になることでしょう。

それならば今、苦労して英語を学ぶ必要などないのかといえば、そうともいえません。

あと十年もすれば「ほんやくコンニャク」は完成すると言われています。でも、それは単なる予測に過ぎません。

実用的な「ほんやくコンニャク」が完成するのが、明日なのか、5年後なのか、10年後なのか、はたまた30年後なのか、わからないということです。

あるいはあなたが生きている間には、実用的な「ほんやくコンニャク」など誕生しないかもしれません。

あと10年と呼ばれて、実は今回で3回目だった

http://www.slideshare.net/kepark07/ai-history-tomlearning
http://www.slideshare.net/kepark07/ai-history-tomlearning

少なくとも、人工知能のブームは過去に2回起きていることを、知っておいた方がよいでしょう。

1956年から1960年代に起きたのが第1次ブーム、次に1980年代から起きたのが第2次ブームです。

その頃も、今となんら変わらないフレーズが繰り返されました。

「人工知能はもうすぐできる」と。

政府からは大量の資金が投入され、意気揚々と研究は進められました。しかし、いざ研究を進めていくと思いもかけなかった障害に突き当たり、その度にやっぱり人工知能なんてまだ無理なのだと、再び振り出しに戻る繰り返しだったのです。

今日、ディープラーニングにより長年の停滞を突破したことはたしかですが、この先、果たしてなんの障害もなく真の意味での人工知能が誕生するかどうかは、まだまだ未知数です。

先の2回の人工知能ブームが失敗に終わったように、3回目の今回もまた失敗に終わる可能性を完全には否定できません。

あと十年もすれば、想像を絶するほどの人工知能が誕生しているかもしれません。あるいは意に反して、一応流暢な言葉を返すけれども、幼児並みのレベルにしか到達していないかもしれません。

 
これまで紹介してきたように、私たちの近未来は不確定な要素があまりにも多すぎるため、正確に予測することなど誰にもできません。

このような状況のなかで、「いずれ人工知能が進化するから英語を学ぶ必要はなくなる」と高をくくり、あっさりと英語学習を切り捨てることは、けして賢明な選択とはいえないでしょう。

結論付けるには早すぎます。

不確かな未来だからこそ、選択肢は多ければ多いほど有利なのですから……。

そもそも、言葉のやり取りだけが問題だったのか?

http://languagesystems.edu/
http://languagesystems.edu/

リアルタイム音声翻訳や機械翻訳は、たしかに便利なものです。人工知能が搭載されることで、その精度はどんどん高まっていくでしょう。

いつかは人工知能が人間よりも上手に通訳や翻訳をこなせるようになるかもしれません。でもだからといって「もう英語を一切勉強しなくてもよい!」と考えるのは、あまりにも短絡的すぎます。

たとえば電卓です。電卓があれば、複雑な計算でも一瞬にしてこなせます。人間よりもはるかに速く正確に、電卓は答えを弾き出します。

では、「電卓があるのだから、もう数学なんて勉強する必要がない」といえるでしょうか?

あるいは「電卓があるのだから、九九なんて覚えなくてもよい」、という人がいるでしょうか?

いませんよね。

その理由について、いちいち説明する必要もないでしょう。

英語にしてもまったく同じことです。

人工知能の進化により、英語の通訳や翻訳は、今と比べたら格段と便利になります。海外旅行で英語を使う程度であれば、それだけで十分かもしれません。

その意味では単に旅行で困らない程度であれば、英語を学ぶ苦労から解放されることでしょう。

ただし、ビジネスや信頼関係がお互い持てるような交流として英語を使いたいのであれば、話は別です。

たとえばビジネス上の交渉を考えてみましょう。人工知能を用いることで、語学上の障害はたしかになくなるかもしれません。

でも、言葉の壁が取り払われさえすれば、交渉はまとまるのでしょうか? 問題が言葉のやり取りだけであるなら、優秀な通訳を一人連れて行くだけですべて解決します。

http://keywordsuggest.org/gallery/99445.html
http://keywordsuggest.org/gallery/99445.html
わざわざ人工知能が完成するのを待つ必要などありません。人工知能を導入するよりも、プロの通訳を雇った方が、はるかにコストも安く抑えられることでしょう。

実際、まだ英語を学ぶ人が今ほどいなかった時代には、「出世すれば通訳がつくから、英語を学ぶ必要などない」と豪語する人が、結構いたようです。

でも、現実はどうでしょうか?

商談の場で、通訳を通してしか語れない人と、多少下手でも自分の言葉で一生懸命に語りかける人と、どちらが信用に値するのかと言えば、答えは明らかです。

グローバル時代を迎え、英会話を使ってコミュニケーションがとれる人材は10年前より明らかに需要が高まっています。「通訳がいるから英語の勉強などいらない」と言っていた人の多くは、出世街道から弾き出されていませんか。

同じことは、人工知能というツールに100%頼る人と、たどたどしてくても自力で話せる人との差にもつながってくるでしょう。

人工知能がどれだけ普及しようとも、私たちの社会が人間同士の交流で成り立っていることに変わりはありません。仕事は人から受注するものですし、その受注は信頼関係から生まれます。

すべてを人工知能に頼らざるを得ない人と、補助的に人工知能を利用する人とでは、仕事の質も大きく違ってくるはず!

つまり、ツールに頼りきった英語力と自ら培った英語力の間には、目には見えない大きな差があるのです。

予想:今まで以上に英語を学ぶ人が増える

http://www.chilloutpoint.com/featured/human-and-robots-visions-of-the-future.html
http://www.chilloutpoint.com/featured/human-and-robots-visions-of-the-future.html

人工知能はまもなく、私たちの日常生活のなかに入ってきます。その際、多くの職業が人間から人工知能へと置き換えられます。

英語に関連した仕事が今度どうなるのかもまた、こうした大きな流れのなかのひとつの事象として捉える必要があります。通訳にしても翻訳にしても、今度どうなっていくのかは誰にもわかりません。

ただ、個人的には翻訳機能を通じて多くの日本人が英会話をもっと身近に感じるようになり、英語を喋らなくなるどころか、外国人とのコミュニケーションの楽しさを知り、英語を勉強し始める人口が増えるのではないかと思っています。

例えば、YouTube

日本の作り手は、何かを伝えたいと思ったとき、今までは英語圏の人たちをターゲットに入れて制作してこなかったかもしれません。でも、翻訳機能の進化により、一度その人達にもリーチできると分かれば、ターゲットが一気に広がります。

動画を作る方はきっと「字幕で見てもらう」よりも、「機械翻訳を使う」よりも、「直接英語で喋って伝えたい」と思うようになるはずです。

仕事に関しても、減る職業がある一方、ウェブサイトなんかは英語化によって新しい仕事を受注するチャンスも生まれてきました。

これらの理由から、英語翻訳の進化は「英語を学ぶ必要がなくなるどころか、英語に触れる機会がますます増え、更に重要視される未来を作り出す」のではないかとも考えられます。

いずれにしても近い将来が不確定なだけに、私たちに今できることは考える力をつけ、個々の能力を伸ばすことだけです。

選択肢は広いほど有利になります。英語力もまた、そうした選択肢の一つです。

関連記事

これで就職力120%アップ!フィリピン留学中に身に着けるべき3つのスキル
【職業まとめ】英語を活かす仕事って何があるの?海外留学を活かす仕事「37選」
ワーホリ失敗後、フィリピン語学学校でインターンをしてTOEIC920点!企業の翻訳家になれたワケ

【まとめ】セブ島にある有名・評判な語学学校の一覧表
シェア
斉藤 淳
当サイトの管理人 2012年に初めてセブ島に留学。以降今までに複数の語学学校に留学&訪問。フィリピン留学を通じて「英語が伝わる楽しさ」をより多くの方に体験してもらいたいと思い、このサイトを立ち上げました。 英語留学前の方はもちろんの事、留学中の方、留学後の方にも役に立てる情報の提供を目指しています。なお、基本的にはセブ島ではなく、東京(高田馬場)にオフィスを構えて働いています。 何かご質問ございましたら、コメント欄かinfo@ceburyugaku.jpまでお願いします。 ・TOEIC(R):805点(L 430 R 375) ・TOEIC SW:280点(S 130 W 150)

この記事、あなたはどう思いましたか?ぜひご感想をください。

Please enter your comment!
Please enter your name here