ビットコイン
https://news.bitcoin.com/theres-no-ledger-like-bitcoin-blockchain/

前回はフィリピンで進行しているビットコインによる金融革命について紹介しました。その続きとなる今回は、「ビットコインの登場によって私たちの住む世界がどう変わったのか?」から話を始めましょう。

第1弾は、ビットコインは世界のなにを変えたのか、ビットコインについて基礎的な部分をお話しました。まだお読みで無い方は先にご覧ください。
▶︎【ビットコインとは①】当時より○○万倍!?ビットコインってなに?その仕組みと経済効果とは?

第2弾は、フィリピンで進行しているビットコインによる金融革命についてお話ししました。まだお読みで無い方はこちらから先にご覧ください。
▶︎【ビットコインとは②】ビットコインがフィリピンに浸透した送金事情

1.ビットコインはなにを変えたのか?

ビットコイン
http://aleconomico.org.br/a-verdade-sobre-bitcoin-e-moedas-alternativas/

すでにフィリピンで起きていることを振り返れば明らかなように、ビットコインは既存の社会を大きく変えようとしています。

ビットコインは後進国を中心に、今後さらに普及していくはずです。ビットコインが世界中で十分に普及すれば、もはや送金で銀行を利用する人はいなくなると予想されています。ビットコインを使って送金した方が、銀行よりも安くて早いからです。

銀行の売上げの大半を占める送金手数料が入ってこないとなると、銀行業務の継続自体が難しくなります。ビットコインが次第にメジャーになるにつれて、銀行や送金会社、クレジット会社など多くの企業が姿を消すことになると予測する識者は数多くいます。

たかが仮想通貨に過ぎないビットッコインが、なぜこれほどまでに大きな影響を社会にもららしたのでしょうか?

それをひと言で表すならば、ビットコインがこれまでの常識を覆してしまったからです。

1-1.ビットコインが変えた常識とは

ビットコイン
https://www.lifewire.com/securing-your-home-network-and-pc-after-a-hack-2487231

それは、「この世界に絶対にやぶれない暗号は存在しない」という常識です。

「ハッカー」という言葉があるように、オンライン上の情報はどれだけセキュリティを高くしても情報技術を駆使することで、必ず盗むことが可能とこれまで考えられてきました。

セキュリティをより強固なものにするために、これまでさまざまな暗号が作られてきましたが、人間が作る以上はその暗号を解く術が必ずありました。時間をかけさえすれば、あらゆる暗号は解かれる定めにあったのです。

ところが2008年にナカモト・サトシが発表した暗号システムは、この常識をものの見事に覆してしまいました。その論文を読んだとき、この世界に誰にもけしてやぶることのできない暗号システムがあることに、人々ははじめて気づいたのです。

それほどまでに、ビットコインの構想として示された暗号システムは秀逸でした。

もっとも、その暗号システム自体が目新しいわけではありません。ひとつひとつの暗号システムは従来からあった考え方に過ぎないものです。ところがナカモト・サトシはこれまでにない斬新な組み合わせにより、誰も気がつかなかった方法で不可能を可能にしてしまいました。

まさに「コロンブスの卵」でした。

ビットコイン以前に仮想通貨が普及しなかったのは、暗号システムをやぶることで情報が改ざんされる恐れがあったためです。

1-2.今まで仮想通貨が普及しなかった理由

たとえばAさんがBさんに仮想通貨で十万円送金したとします。このとき、Cさんがその情報を自由に改ざんできるなら、AさんからCさんに十万円送金したと書き換えることができます。さらに金額も書き換えて、一千万円送ったと改ざんすることもできます。

するとCさんのウォレット(仮想通貨を蓄えるためのパソコンやスマホ上の口座のようなもの)には一千万円分のビットコインが送金されてくるため、現金と交換することで現実に一千万円を手にできます。

ネット上で情報をやりとりをするからには、いつでもこうした改ざんの問題がつきまといます。これまではどれだけセキュリティを高くしても改ざんを防ぐ方法はありませんでした。

そのため、なにか事が起きたときには責任をとってくれる管理者が必要でした。クレジットカードを使ったオンラインの決済や銀行のオンラインシステムでは、不正使用や情報の改ざんが行われたときには、システムを管理するクレジット会社や銀行が管理者として責任をとってくれます。

具体的には、それらのサービスを使うことでハッカーなど悪意を持つ人の手によって被害を受けたとしても、管理者がその被害額を担保してくれます。

だからこそ安心してオンラインによる決済を利用できるわけです。

ところがビットコインは、誰にも改ざんされることのないシステムを作り上げてしまいました。そのためビットコインを使った取引では、もはや管理者さえ不要です。はじめから改ざんされる恐れがないため、誰も責任をとる必要などないからです。

2.ビットコインがこじ開けたIT革命の最後の扉

インターネットの誕生は世界に革命を起こしました。しかし、実はそれ以上の変化が、ビットコインの誕生によって始まっています。

インターネットが急速に普及した当時、世界中の多くの人々がその革新的な技術に目を見張りました。情報処理や通信にかけていたコストが劇的に低くなり、世界中がネットでつながったことは、産業革命以来、あるいは産業革命を上回る革命と捉えられました。

ことに情報処理と通信のコストが下がったことは大きな変化でした。

このふたつの分野にかかるコストは高額なため、これまでは大企業によって独占されていました。そこへ小さな企業や個人が参入する余地など、どこにもなかったのです。資金力の膨大な大企業ばかりが得をする社会が作られていました。

ところが、インターネットの誕生によって事情は変わったのです。情報処理と通信のコストが引き下げられたことにより、資金力の乏しい小さな企業や個人でも様々なビジネスに参入できる環境が整ったのです。

「 IT革命によって大企業と個人の差がなくなる!誰もが成功のチャンスをつかめる世の中がやって来る!」と、多くの人たちが夢を見ました。

大企業ばかりが得をする社会が壊れ、世界は平等になると信じられたのです。

2-1.IT革命は平等の世を作ったのか

しかし、現実はそうはなりませんでした。私たちが暮らす現在の世界は、けして平等ではありません。

たしかにインターネットの誕生は、既存の多くの大企業を没落へと導きました。それらと入れ替わるように台頭してきたのは、GoogleやAmazon、FacebookやアップルなどのIT企業です。

IT革命はこれらIT企業を巨大化させるばかりで、小さな企業や個人が成功する芽をことごとく奪っていきました。今日、Google・Amazon・Facebookやアップルに代表されるIT企業によって、インターネットの世界は完全に支配されています。

世界は平等になるどころか、結局のところ、IT革命以後の方が企業間、および企業と個人の格差はより大きくなっています。

IT企業が牛耳るインターネットの世界に、個人が入り込む隙間はほとんどありません。当初は、インターネットの誕生によって起業が増えると予想されていました。ところがここ30年間で見ると、多くの先進国では新たに創業された起業の数が、減少の一途をたどっていると言われています。

巨大な資本を擁するIT起業が牛耳るネットの世界で旗揚げすることは、年々難しくなってきています。

2-2.IT革命がもらたしたものとは

IT革命が残したもの、それは社会の支配者をチェンジしたことと、社会の格差を広げたことです。

既存の大企業が支配する世界は、新たに興ったIT企業の支配する世界へと様変わりしたに過ぎず、情報を一手に握るIT企業が台頭したことで、社会の不平等は明らかに拡大してしまいました。

どうして、こんな結果になってしまったのでしょうか?

世界が平等になるという夢を紡いだはずのIT革命が、社会の格差をより広げてしまうとは……。

「ブロックチェーン革命–分散自律型社会の出現」のなかで野口悠紀雄氏は、大組織と個人が対等に渡り合える社会をIT革命による「約束の地」ととらえ、未だに約束の地に到達できないのは、これまでのインターネットになにか重要なものが欠けていたからだと指摘しています。

そして、欠けていたものの正体について、インターネットの世界では「経済的な価値」を簡単に送ることができなかったことだと断じています。

単なる情報と「経済的な価値」の間には、超えられない溝があります。

「経済的な価値」は改ざんされると莫大な損失がかかってくるからです。そのため、「経済的な価値」のやり取りのためには強固なセキュリティを築くよりなく、それができるのは資金力のある大企業に限られていました。

どんなITビジネスでも、ビジネスである以上は決済が必要になります。ところが決済については「経済的な価値」のやり取りになるため、中小企業や個人では太刀打ちできません。

結局のところ、肝心の決済の部分を大企業に頼らざるを得ませんでした。ネット上の決済を大企業が独占しているため、大組織と個人が対等に渡り合える「約束の地」はいつまで経っても訪れなかったのです。

2-3.約束の地にたどり着いた、ビットコイン

しかし、このような状況に今、大きな変化が生まれています。ビットコインが誕生したからです。

大企業を通さなくても、ネット上で誰でも安全に「経済的な価値」をやり取りする方法を、ビットコインは確立してみせました。

改ざんの心配がつきまとうため、従来まではインターネットの限界と思われていた「経済的な価値」のやり取りを、ビットコインは難なく実現してしまいました。これこそが、ビットコインのスゴいところです。

約束の地にたどりつくための障害となっていた最後の扉を、ビットコインはついにこじ開けました。世界は今、確実に変わりはじめています。インターネットが誕生して以来の約束の地を目指して、世界は動き始めています。

では、ビットコインはどのような仕組みによって最後の一線を超えたのか、気になりませんか?

ビットコインや、その中核の技術であるブロックチェーンの仕組みがなにもわかっていないと、これからの大きな波に乗り遅れるかもしれません。

もちろん、ビットコインやブロックチェーンの仕組みについて知らなくても、それらを利用することは誰にでもできます。メールやインターネットの仕組みがわからなくてもメールのやり取りをしたり、webを見られることと同じです。

しかし、ビットコインとブロックチェーンのおおよその仕組みがわかってさえいれば、これからの社会がどう変わっていくのかを、ある程度見通せるようになります。それは誰にとっても有益なことになるはずです。

そこで、ビットコインの仕組みと、ビットコインが改ざんを防ぐために導入したブロックチェーンの仕組みについて、次章から簡単に紹介しましょう。

3.ビットコインの仕組み

ビットコインの仕組みについて理解するために、AさんがBさんに10万円送金したい場合の流れについて追いかけてみます。

ビットコインを利用するためには、ビットコインを蓄えるための口座が必要になります。ビットコインは仮想通貨のため、パソコンやスマホでアクセスできるウォレットが口座の役割を果たします。

ビットコインを送金するためには、送金先のアドレスと送金額を入力したあとに鍵をかけます。「鍵」とは、データを暗号化する際に必要なものです。

ネット上で「経済的価値」のやり取りをするためには、改ざんを防ぐために必ず暗号が用いられます。暗号化しないと誰でも情報を盗み見ることができ、改ざんも自由にできてしまうからです。

誰にも解くことのできない暗号をいかに作るかが、これまでの仮想通貨に課せられた宿題でした。仮想通貨が「暗号通貨」と呼ばれるのもそのためです。

3-1.秘密鍵と公開鍵

ビットコイン
https://eng.paxos.com/blockchain-separating-hype-from-substance-part-2

ビットコインでは誰にも解けない暗号を作るために、まず秘密鍵と公開鍵というふたつの暗号を用います。

Aさんが送金先のアドレスと送金額を入力したあとにかけた鍵が、秘密鍵です。このとき使われた秘密鍵は、世界でただ一人Aさんしか持っていません。

そのため、秘密鍵を使って暗号化することでなりすましを防止し、間違いなくAさん自身が作ったデータであることが証明されます。つまり秘密鍵とは、小切手のサインにあたるものと考えるとわかりやすいでしょう。

次にAさんは暗号化したデータに公開鍵を添付して、ビットコインのネットワークに参加しているすべてのコンピュータに向けて送信します。

ここで、ちょっと違和感を覚えませんか?

AさんからBさんに送金する以上、Aさんから直接Bさんのウォレットに向けて送信した方が自然です。でも、ビットコインではそうはしません。送信はあくまで、ネットワークに参加している世界中のすべてのコンピュータに向けて一斉に為されます。

なぜならビットコインの取引は、ネットワークに参加しているすべてのユーザーの承認によってのみ、その正しさが担保されるからです。

従来までは、銀行なりクレジットカード会社なりの管理者が承認することで、その取引が正しいことが証明されました。しかし、ビットコインには管理者がいません。

特定の管理者ではなく、ネットワークに参加している人々が取引のデータを共有し、相互に監視し合うことで、取引の真正さが保たれているのです。

つまり、ビットコインにはネットワーク全体で信頼を担保する仕組みが備わっているということです。

では、具体的にどのようにしてネットワーク全体で信頼を担保するのでしょうか?

3-2.マイナーと呼ばれる人

ビットコイン
https://www.digitalcoinsexchange.com/blogs/bitcoin-mining-pros-and-cons-at-a-glance/

ここで重要な役割を果たすのが、「マイナー」と呼ばれる人たちです。「マイナー」とは「採掘者」の意味で、主として金の採掘に使われた言葉です。

ビットコインにおける「マイナー」とは、ビットコインの取引データを帳簿に移す人のことです。

Aさんが送信したデータは、ネットワーク上に存在するマイナーたちによって集められます。マイナーはAさんが添付している公開鍵を使うことで暗号を解くことができます。

秘密鍵は暗号をかけるための鍵ですが、公開鍵は暗号を解くための鍵です。

秘密鍵と公開鍵については基本から解説しているとかなりの長文になるため、ここでは詳しい説明は省きますが、ふたつの鍵を使ってセキュリティを高めることが、現在の暗号システムの主流になっています。

もし、公開鍵を使ってもデータが正しく復活しないときには、データの改ざんが行われたか、あるいは秘密鍵が間違っていたことになるため、そのデータの受け入れは拒否されます。

ビットコインのネットワークには、Aさん以外にも世界中で行われている多くの取引データが流れてきます。それぞれの公開鍵を使うことで正しいことが確かめられたデータは、およそ10分ごとにひとつのブロックとしてまとめられます。

マイナーがブロックをチェックして、改ざんなどの不正行為や間違いがないことを確認すると、そのブロックはビットコインの帳簿に記録されます。

帳簿に記録されることで、はじめてビットコインの取引が成立します。BさんがAさんから送金されたビットコインを無事に受け取れるのも、この段階です。

この一連の流れがビットコイン取引の大枠です。

ここまで理解してもビットコインがなぜ画期的なのか、なぜ改ざんができないのかを把握できる人は、まずいないでしょう。

秘密鍵と公開鍵にしても、ビットコインの帳簿に使われている技術にしても、ビットコイン誕生前からすでにあったものであり、特に目新しいものではありません。ビットコインが世界に革命をもたらしたのは、それらの巧妙な組み合わせ方にあります。

3-3.プルーフ・オブ・ワーク

ビットコインが誕生する前の世界は、見ず知らずの他人同士が集まって共同作業を行い、互いに信頼し合って合意に至ることは不可能と考えられていました。互いに相手を信頼できないからです。悪意のある誰かによる裏切りを、ネットでは常に警戒する必要がありました。

そのため、取引を管理するために国家や銀行、信頼できる企業がなくては、取引自体が成立しなかったのです。

この常識をビットコインは一瞬にして過去のものにしてしまいました。

信頼できないはずのネットの世界を、絶対に裏切ることのできない信頼できる世界に塗り替えたのは、プルーフ・オブ・ワーク(PoW:Proof of Work)と呼ばれる仕組みです。

先に紹介したように、ビットコインでは為された取引が正しいかどうかを、ネットワークに参加している人たちの合意によって決めています。問題は、その合意をどのような方法で取り付けるかにあります。

銀行や企業なりの管理者がいれば最後は管理者が決めれば良いだけのことですが、その場合は管理者の都合次第で結果はどうにでもなります。

管理者を置かない場合、ネットワークに参加している人々の多数決で決める方法が一般的です。

しかし、単に多数決で決める場合は、悪意を持った人が複数のIDを使ったり、グループを組むことで得票を操作して結果をねじ曲げる恐れがあります。

「ネット上の合意をいかにして取り付ければよいのか?」この部分が解決できないため、ビットコイン以前の仮想通貨のことごとくは失敗に終わっていました。

ビットコインはこの問題に対して、プルーフ・オブ・ワークという画期的な手法で応えました。

「プルーフ・オブ・ワーク」とは、大変な労力をかけなければならない作業を課すことを意味しています。

ビットコインでは多数決によらずに、特定の大変な作業をした人だけに発言権を与える仕組みを採用しています。この作業が「マイニング」と呼ばれるものです。

まだ帳簿に記録されていない未処理のブロックに対して、特定の法則に沿ってパズルのような値を解く仕掛けが、ビットコインには備わっています。パズルを解くことで、それらの取引が本当に正しく行われたのかどうかを確かめられる仕組みになっているのです。

先ほど出てきた「マイナー」とは、このマイニングを行う人たちのことです。このパズルを解くために、今この瞬間も世界中の多くのマイナーたちが競い合っています。

誰よりも早くパズルを解いたマイナーは、「発見した」と宣言できます。

すると、多くのマイナーがその答えが本当に正しいかどうかを確かめます。パズルを解くことは難解なものの、その答えが正しいかどうかを確かめることは簡単にできるようになっています。

多くのマイナーによって、そのパズルの解が正しいことが確かめられると、はじめにパズルを解いたマイナーは「何時何分に私が確認した」とスタンプを押すことができます。スタンプを押せるのは、ただ一人だけです。

こうして、ほぼ10分ごとにマイニングが行われることで、ビットコインの帳簿には新しい取引のブロックが続々と足されていきます。世界中で行われるビットコインの日々の取引は、こうしたマイニングによって支えられているのです。

4.マイニングの役割

でも、不思議に思いませんか? 

なぜ、マイニングのような時間と労力をようする面倒なことを、多くのマイナーが先を競って挑戦するのでしょうか?

その理由は、一番先にパズルを解いたマイナーには報酬として、ビットコインが新たに発行されるからです。

これは一般の通貨で言うところの「通貨発行」にあたります。マイニングに成功したマイナーには、その都度、報酬としてビットコインが新たに発行されるシステムになっているのです。

報酬として与えられるビットコインの額は、ビットコインのプログラムによってあらかじめ定められています。ビットコインが誕生してから最初の4年間は、1ブロックにつき50BTCが与えられました。2012年末からは25BTCに変更され、2016年6月には12・5BTCに減額されています。

通貨発行があまりに多すぎるとビットコイン全体がデフレに陥るため、はじめから時期が来れば半減するようにプログラムされています。年を重ねるごとに報酬額自体は減るものの、ビットコインが値上がりしているため、十分に魅力的な報酬と言えるでしょう。

たとえば2017年8月のレートで1BTCがおよそ30万ですから、この時期にマイニングに成功したマイナーは、一回につき375万円の報酬を手にできる計算になります。

マイニングは毎日休むことなく10分ごとに繰り返されるため、報酬を手にできるチャンスも数多くあります。

この報酬の高さゆえにマイニングに夢中になるマイナーはあとを絶たず、その結果としてビットコインの信頼性を高めることに貢献しています。

マイニングで大金を稼げるチャンスがあると聞くと、自分でもマイニングに参加したいと思う方もいるかもしれません。しかし、残念ながら現実的ではありません。

マイニングのためのソフトウェアは無料で提供されているため、あとはコンピュータさえあれば、誰でもマイニングに参加できます。ただし、市販されている最高性能のコンピュータ1台を使ったところで、マイニングには絶対に勝てません。

マイニングに勝つためには難解なパズルの答えを見つけなくてはなりませんが、簡単に答えにたどり着くような抜け道はありません。

ひたすら数字を当てはめてコンピュータに計算させることを繰り返し、ただひとつの正解を見つけ出すのみです。つまり、コンピュータの演算速度がすべてです。

ビットコイン
http://www.altcointoday.com/chinas-bitcoin-mining-farms-are-relocating-or-closing-down-operations/

そのためマイニングの現場では、いわゆるスーパーコンピュータが何百台も並び、効率よく分担して一斉に計算を行うことでパズルを解く競争が行われています。

それらのコンピュータを動かすには莫大な電力を消費します。電気代だけで軽く数百万円は飛んでいくほどです。

このようなマイニング集団は、中国を中心に複数あります。もはや個人レベルでこれに対抗することは、無謀としか言い様がありません。

共同出資して設備を整え、マイニングで儲けようという投資話がよくありますが、そのほぼすべては眉唾物と思った方がよいでしょう。どれだけ環境を整えても、先行する中国人のマイニングチームに打ち勝つ可能性は限りなくゼロに近いからです。

5.ビットコインの取引はなぜ改ざんできないのか?

マイニングにあえて難しい作業を課すプルーフ・オブ・ワークを取り入れたことが、ビットコイン以前にはなかった工夫です。

では、難解な作業を課すことで、なぜ改ざんを防止できるのでしょうか?

5-1.改ざんすべきデータは過去に遡らないといけない

冒頭でも少し説明しましたが、ネット上には悪意を持った人たちが多くいます。たとえばAさんからBさんに10万円支払ったというデータを改ざんして、Aさんから自分に100万円支払われたと書き換えたい人もいれば、送金した自分の取引をなかったことにしたい人もいます。

こうした悪意を持つ人たちが、ビットコインのブロックを書き換えるための方法はただひとつしかありません。それは、マイニングに勝つことです。

マイニングに勝つことで、そのブロックのデータを改ざんする機会をはじめて手にできます。世界中から参加するマイナーたちとの競争に勝たない限り、データの改ざんは絶対にできません。

しかも、単に一回だけマイニングに勝ったからといって、すぐに改ざんできるわけではありません。改ざんすべきデータは、対象となる取引が含まれたブロックだけではないからです。

ビットコインのブロックには、実はそのひとつ前のブロックデータの一部が使用される仕掛けになっています。そのため今回のブロックの一部を改ざんしただけでは、他のマイナーが確かめたときにエラーが発生してしまいます。

エラーが出るのはパズルの答えが間違っていたか、データが改ざんされたときです。エラーが出た場合は帳簿に載ることなくブロックごと削除されるため、ビットコインの取引が実際に反映されることはありません。

したがって改ざんしようと思ったなら、過去のブロックに遡って改ざんしなければなりません。そのためにはコンピュータに膨大な計算を課す必要があり、解を得るためには長い時間が必要になります。

しかもそうしている間にも次々に新しいブロックが生まれ、帳簿に追加されていきます。改ざんのためには、こうした新しいブロックのマイニングにもすべて打ち勝たなければいけません。

5-2.改ざんよりも手取り早いのがマイナーになることだった

世界中のマイナーが競い合っているなか、改ざんが終わるまですべてのマイニングに勝利し続けることなど、常識的に考えて不可能です。

もちろん物理的には可能です。ネットワークに参加しているすべてのマイナーの計算能力の51%を上回るコンピュータ・パワーをもってさえいれば、理論的には可能だからです。

ところが理論的には可能であっても、その場合、ビットコインのデータを改ざんすることは極めて不合理な行為になるのです。

考えてもみてください。

マイニングに安々と勝利できるだけのマシンパワーがあるのなら、なにも不正を働かなくても普通にマイニングに参加するだけで莫大な富を手にできます。

10分ごとに400万円弱の報酬を得られるのですから、一日に億単位を稼ぐこともけして難しいことではありません。

ということは、ビットコインが継続して成長を続ける限り、ほぼ永久的に莫大な収入を得ることができるということです。まさに笑いが止まらない美味しい状況といえるでしょう。

5-3.改ざんしない理由はまさに人の真理を利用していた

しかし、ビットコインの改ざんに手を染めてしまったなら、この美味しい状況は一瞬にして終わってしまいます。仮に改ざんが成功すれば、そのことでビットコインの信頼性は地に落ち、ビットコインの存続さえ危うくなるからです。

そのようなリスクを冒すよりも、ビットコインを守る側に回った方があり余る利益を継続して手にできることは、子供にもわかります。

つまり、ビットコインの改ざんは現実的に不可能であり、理論的には可能だとしてもそのシステム上、改ざんすることが合理的ではなく、ビットコインの信頼性を高める側に回った方がよほど利益になる、ということです。

これはけして偶然の賜物ではありません。はじめから意図してプログラムされた結果です。

ビットコインはマイニングにあえて「プルーフ・オブ・ワーク」を取り入れることで、けして破れることのない暗号システムを作り上げることに成功したのです。

6.ビットコインは人の善意を期待しない

http://bitcoinadvice.org/2016/08/04/hackers-sink-bitcoin-stealing-65-million-exchange/

ビットコインのプログラムが優れているのは、その課程において人の善意にまったく頼っていないことです。

あくまで悪意を持った人が多数いるという前提でシステムが組まれています。

その上で、ビットコインは人がなにによって行動を起こすのかを冷静に分析し、それを逆手にとっています。考えてみれば私たちが経済活動においてもっとも優先するのは、自分にとっての利益にほかなりません。

ビットコインの理念がどれだけ素晴らしいものであろうとも、自分が損をしてまで協力しようとは思わないはずです。人は自分にとって得になることには積極的に手を出しますが、損になることは避けようとします。

ビットコインはまさにこうした人間心理を逆手にとることで、システム全体の信頼性を高めています。

実際のところ、ビットコインに参加している人々はビットコインの信頼性を守ろうとする善意から行動しているわけではありません。誰もが自分の利益のために行動しているに過ぎません。

たとえばマイニングです。

マイナーたちがマイニングに夢中になる動機は、報酬を獲得するためです。マイナーは報酬を得るという欲望のために競い合っているだけですが、その結果としてビットコインの取引は円滑に為され、ビットコインの信頼を高めています。

つまり、ビットコインに参加している人々は自分の利益のために行動しさえすれば、それによってビットコインから不正が弾き出され、ビットコインの信頼性がますます上がるように、はじめからプログラムされているのです。

誠実ではない行動をとる人がいても、ビットコインに参加している人々が、自分の利益を追いかけることで自然に排除される仕組みが、ビットコインには組み込まれています。

こうすることでビットコインは、信頼性を増す方向に向けて、あたかも永久機関のように成長を続けています。

ネットを使った信頼できる取引が、ビットコインの誕生によってはじめて可能になりました。

「プルーフ・オブ・ワーク」という新しい考え方が改ざんできないシステムを現実のものとし、ネットワークにつながる人々が自らの利益を追求するために全員で監視し合うことで、不正を仕掛ける人々を排除する信頼できるシステムを完成させたのです。

7.ビットコインが実証した分散して情報をもつことの意味

ここまで、ビットコインはなぜ改ざんができないのかを、ビットコインの仕組みとともに紹介してきました。

「プルーフ・オブ・ワーク」を取り入れるという発想自体が、まさにコロンブスの卵でした。

さらにもうひとつ、ビットコインの中核を為す技術についても軽くふれることにします。

それは、「ブロックチェーン」です。

7-1.ブロックチェーンとは

ビットコイン
http://diginomica.com/2015/04/13/its-not-about-bitcoin-its-the-blockchain-stupid/

ブロックチェーンは日本語で「分散型台帳」と訳されます。

世界中で行われているビットコインの取引は、10分ごとにブロックにまとめられた上で帳簿に記録されると先に紹介しましたが、この帳簿こそが「ブロックチェーン」と呼ばれるものです。

ここまでビットコインの取引に参加しているなかに裏切り者がいても、すぐに排除する仕組みが備わっていることを説明してきました。

残る問題は外部からの攻撃です。ハッカー集団に狙われることで国家や巨大企業のセキュリティが破られ、情報が改ざんされたり盗まれたりする事件は数多く起きています。

では、ビットコインにはこのような心配はないのでしょうか?

どれだけ厳重なセキュリティを築こうとも、ハッカー集団が狙った獲物を逃がさないことは広く知られています。

ところがビットコインに関しては、この手の心配はありません。なぜならハッカーがビットコインの情報を書き換えようとする場合、そのターゲットとなるのはブロックチェーンだからです。

ブロックチェーンは従来までのセキュリティの考え方とは真逆の発想で作られています。これまでは銀行の中央サーバに代表されるように、情報をひとつのコンピュータに集めて強固なセキュリティを築くことが普通でした。

何重にも囲った厳重なセキュリティを築くためには莫大な予算がかかります。そのため、一つのコンピュータにすべての情報を集めたうえで、巨額の資金を投入してセキュリティを強化するより他に方法がなかったのです。

それが悪意をもつ人々から情報を守るための唯一の有効な手段でした。

7-2.ブロックチェーンの発想とは?

ところが、ブロックチェーンは真逆の発想で作られています。ブロックチェーンは中央サーバを必要としません。

情報を一箇所に集めるのではなく、ネットワークにつながっているすべてのコンピュータに分散させ、共有するという方法をとっています。だからこそ「分散式台帳」と呼ぶのです。

一極集中しての管理から分散して管理するという発想の大転換を成し遂げたことに、ビットコインの大きな価値があります。

ブロックチェーンという考え方自体は以前からあり、研究が進められていましたが、「プルーフ・オブ・ワーク」と組み合わせることで実用化に成功したのは、ビットコインが史上初です。

実際のところ、情報を分散して共有することのメリットには計り知れないものがあります。

従来までハッカーは情報が集中して眠っている中央サーバだけを狙えば事足りました。ところがブロックチェーンには、ハッカーが狙い撃ちすべき中央サーバ自体が、はじめから存在していません。

標的さえ定まっていれば、どんなに堅牢なセキュリティを施していようとも、時間をかければいつかは必ず破れます。

しかし、攻撃の目標となるコンピュータ自体が存在しないとなると、もはや手の打ちようがありません。

巨大なネットワークにまたがって情報を分散して保有するブロックチェーンに対して、ハッカーは攻撃対象そのものを設定することができないのです。

たとえハッカー集団がビットコインに参加している複数のサーバを攻撃してダウンさせたとしても、ビットコインの運営にはなんの支障も出ません。

ビットコインのネットワークには数千から数万を超えるコンピュータが常時つながっているため、一部のコンピュータが動きを止めたとしても、なんら問題が起きないからです。

しかもブロックチェーンには、過去に行われたビットコインのすべての取引の記録が含まれています。ビットコインに参加してさえいれば、誰でも自由にすべての取引の履歴を確認できます。

履歴が見えたとしても改ざんができないことは、先に説明した通りです。

絶対に改ざんができないシステムになっているため、誰でも取引記録のすべてを見ることができます。こうして透明性を高めることでネットワークに参加している全員で監視しあい、ビットコインの信頼性を担保しているのです。

ビットコインは実際の運用を通して、ブロックチェーンの優秀さを証明しました。現にビットコインは誕生以来、不正を許していません。

ビットコインの取引データは一度たりとも改ざんされたことがなく、高い信頼性を保ち続けています。

そう聞くと、「いや、そんなことはないはずだ。たしかビットコインを扱うマウントゴックス社の不祥事でビットコインの信頼は落ちたはずだ」と思う方もいるかもしれません。

7-3.マウントゴックス社破綻の真相

https://steemit.com/trending/blockchain

たしかに2014年2月に、ビットコイン両替所の大手であったマウントゴックス社は突然破綻しました。経営破綻の原因は、現金28億円とおよそ75万BTCを外部からのサーバ攻撃により奪われたためと、当初は発表されました。

マウントゴックス社は当時、日本で最大の両替所だったため、ビットコインの投資を行っていた多くの人たちが損失を被りました。マスコミも連日騒ぎ立て、ビットコインに欠陥があるような報道を繰り返しました。

麻生太郎財務大臣が記者会見にて「こんなものは長く続かないと思っていた。どこかで破綻すると思っていた」と語ったことも、国内におけるビットコインの信用失墜に輪をかけました。

ところが、あとから調査したところ、大量の現金とビットコインは外部からのサーバ攻撃で奪われたのではなく、会社ぐるみの業務上横領であることが判明しました。

マウントゴックス社が単に顧客の金とビットコインを盗んだに過ぎなかったのです。

マウントゴックス社の破綻を受けてビットコインは一時暴落しましたが、事件の真相が明るみに出たこともあり程なくレートを戻し、さらに暴騰を続けました。

しかし、たとえマウントゴックス社の事件が業務上横領ではなく、ほんとうに外部からのサーバ攻撃であったとしても、本来はビットコイン自体になんの影響も与えません。

たとえばドル円の交換をする大手の両替所がつぶれたとしても、そのことでドルや円の信用が落ちることなどありえません。

外部からのサーバ攻撃で損失が発生し破綻したとしても、それは両替所のセキュリティに問題があっただけのことです。ドルや円の信用とは、なんの関係もありません。

マウントゴックス社の破綻も同じことです。マウントゴックス社はビットコインの両替所の一つに過ぎません。両替所が経営の問題で破綻したとしても、そのことがビットコインの信頼性を揺るがすという道理は成り立ちません。

今日もなおビットコインが順調に上昇していることは、ブロックチェーンの信頼性の高さを示しているといえるでしょう。

ブロックチェーンを世に解き放ったことは、ビットコインの為した最大の功績です。従来まではネット上に大切なデータを保存しておくことは危険と考えられていたため、様々な制約が発生していました。

ところがビットコインはブロックチェーンによって、そのくさびを見事に断ち切りました。ブロックチェーンが実用化されたことで危険に満ちていたはずのネットの世界が、今やもっとも安全な世界へと様変わりしたのです。

ビットコインとブロックチェーンによって、今、世界は大きな変革の時を迎えています。実際、これからの世の中はどのように変わっていくのでしょうか?

第三弾は以上です。

次回は、「世界がどのように変わりつつあるのか」から話を始めたいと思います。

この記事はビットコインを徹底解剖する第三回目です。前回の記事は、こちらからどうぞ。
▶︎【ビットコインとは①】当時より○○万倍!?ビットコインってなに?その仕組みと経済効果とは?
▶︎【ビットコインとは②】ビットコインがフィリピンに浸透した送金事情

【まとめ】セブ島にある有名・評判な語学学校の一覧表

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