2017年10月から、6週間にわたってセブ島に留学していた「恋する旅ライターかおり」です。私は、ライターの芸を活かし学費と滞在費が無料で提供される「一芸留学」という制度を使って、語学学校「3D ACADEMY」にて英語を学びました。

そこで、私が感じた「フィリピン留学のすべて」を、Vol.8までの連載として寄稿させていただいています。

Vol.7となる今回は、セブ島のボランティア団体「DAREDEMO HERO」さんに伺い、子どもたちが住む貧困地区や学校の見学、そして団体代表の山中博さん(以下HIROさん)にインタビューをさせていただきました。

取材の日に偶然DAREDEMO HEROさんの表彰があり同行しました。表彰会場で代表のHIROさんと一緒に

DAREDEMO HEROは、HERO’S HOUSE(ヒーローズハウス)と呼ばれる子どもの家をオープンし、家庭環境や学費が原因で勉強できない子どもたちに、上質な学びの場を提供しています。教育によって貧困問題を解決する取り組みを実施している団体です。

取材を通して感じたのは、HIROさんの一言一言からほとばしる「本気度」。HIROさんは単純にセブ島に住む子どもたちの貧困を救うだけじゃなく、フィリピンが抱える貧困問題を根本から解決しようとしている。

「真のボランティアとはなんなのか」、これまでの人生で気づけなかったことをHIROさんに教えていただいた気がします。DAREDEMO HEROの教育の在り方、そしてHIROさんが目指す「300年後の未来」に、じっくりと耳を傾けてみてください。

日本語で「夢」を語ってくれた女の子との出会い

私を出迎えて日本語で自己紹介をしてくれた女の子たち

2017年11月某日、私はDAREDEMO HEROさんを取材するため、「HERO’S HOUSE」を訪れました。少し早めに到着すると、そこには2人の女の子が。おそらく小学生と中学生。まるで姉妹のように仲良くじゃれあっていた彼女たちは、私を見つけると英語で話しかけてくれました。

「Are you Japanese?」

「Yes」と答えると、2人から予想外の言葉が返ってきたのです。

「私の名前は〇〇です。私の夢は警察官になることです。なぜなら、フィリピンの麻薬問題を解決したいからです」

「私の名前は〇〇です。私の夢は看護師になることです。なぜなら、困っている人や家族を助けたいからです」

スラスラ飛び出す流暢な日本語に、私は目を丸くしてビックリ!

HERO’S HOUSEの壁には「志」「夢」という文字が書かれていた

彼女たちは、HERO’S HOUSEで教育を受けている子どもたちでした。その後も、やってきた数人の子どもたちが次々と日本語で自己紹介をしてくれたのです。

「医者になりたい」「フライトアテンダントになりたい」、子どもたちはキラキラした目で私に夢を語ってくれ、心のなかに花が咲いたかのような幸せな気持ちに包まれたのでした。

貧困地区と学校見学で見えた「リアルな子どもたちの生活」

その後は、子どもたちが住んでいる貧困地区の見学へ。DAREDEMO HEROでインターンをしている、KANさんとAOIさんのお2人が私を案内してくれました。

インターンのKANさん

インターンのAOIさん(写真:左)

狭い道の両側に、ぎゅうぎゅうに家が立っています。家々は密着していて、これでは両サイドの生活音は筒抜けでしょう。プライバシーなんてあったもんじゃない。

こちらは「タンバイ」と呼ばれるニートたちの溜まり場で、彼らはいつもバスケットボールをして遊んで暮らしているのだとか。タンバイとは、仕事がくるのを「スタンバイ(待っている)」している人々のことだそう。

こちらは、ミネラルウォーターの自動販売機。中にサーバーが入っていて、コインを入れると水が出てくる仕組み。地区の子どもたちは、透明のビニール袋にお水を入れて直接口を付けて飲んでいました。

髪の毛を洗いながら、同時に歯磨きしているオジサンを発見。貧困地区では、各家庭にお風呂場はないため、道端の水道が共同の水浴び場となっているのだとか。

地区には惣菜を販売しているお店が立ち並んでいます。住民たちはご飯は自宅で炊いて、おかずは買って食べるという食事スタイルが多いそう。

ものすごい数の食べ物が吊られているこちらは売店(サリサリストアー)。お米も販売しています。日々の食料調達は、売店で済ませることが多いそうです。

「道路に流れている水に気をつけてくださいね」と、私に何度も促すAOIさん。貧困地区にはトイレがない家もあり、排泄物が道に流れていることも多いからです。水を踏まないように注意を払いながら歩きます。

過酷な状況が見え隠れしつつも、子どもたちの表情はいたって明るい。カメラを向けると、こんなにキュートな笑顔を見せてくれます。

続いて、子どもたちが通う学校を見学。ちょうどお昼休みの時間だったため、子どもたちが一斉に外に出ていて明るい声が響いていました。給食制度がないフィリピンでは、子どもたちは自宅に帰るか、外で食べ物を購入して昼食をとるようです。みんなワイワイはしゃいでいて、とっても元気そう!

見学する私たちのあとをずっと追ってきた女の子たち。みんなでくっついて笑って、とにかく仲が良さそう。幸せそうな笑顔が見られて、なんだかホッとします。

子どもたちはかわいらしい制服を着ています。フィリピンの公立学校は学費は無料ですが、このように学校指定の制服を準備する必要があります。制服を買うお金がないという理由で、学校に行くことをあきらめる子どももいると言います。

制服の問題だけで教育の機会を奪われてしまうのは、とても悲しい。なんとか解決の術が見つかることを祈るばかりです。

こちらは校舎。とても大きく広々とした校舎ですが、それでも教室が足りないそうで、敷地内では新しい校舎の建設も進行していました。フィリピンは、本当に子どもの数が多いんです。

こちらは幼稚園児たちの教室。かわいい笑顔に癒やされます。この学校には、日本で言う幼稚園児から高校生までの教室が同じ敷地内にありました。

未来のリーダーを輩出するDAREDEMO HEROの教育とは

貧困地区と学校見学のあとは、代表のHIROさんにインタビューをさせていただきました。ここからはQ&A形式でお届けします!

ー今、貧困地区と学校の見学をしてきたんですが、環境の悪さを感じることはありつつも、子どもたちはとても生き生きとしていました。HIROさんは、なぜこのセブ島で国際協力ボランティア団体を設立するにいたったのでしょうか?

HIROさん:私は20代で呉服屋勤務と東進ハイスクールの講師を経験しまして、30代でちょっと人生に迷ってしまったんです。そんなときにリゾート地のセブを訪れ、縁あってとある私立大学で日本語を教えるという体験をさせていただきました。

そこには「もっと教えて」と目を輝かせて歓迎してくれた子どもたちが大勢いて、私はヒーローになれた。そのときに「やっぱり私は子どもたちに教えることが大好きなんだ」と悟りました。

フィリピンに興味を持ち、この国の教育について調べてみたところ、複雑な状況下であることを知ったんです。奨学金をもらえるのが裕福な家庭だけだったり、兄弟が多い家庭では一番頭のいい1人だけを私立の学校に通わせ、他の子どもたちは学校を辞めさせられていたり。

決して幸せとは言えない状況でしたが、それでもフィリピン人たちはずっと笑顔を絶やさないんです。彼らはつらいことを笑顔で乗り越える価値観を持っていて、それは何よりすごいことだと思いました。私自身が貧困層のフィリピン人たちに元気をもらうなかで「そうだ、フィリピンに恩返しをしよう!」と考え、DAREDEMO HEROを立ち上げるにいたりました。

教育で貢献した団体として、フィリピンで表彰を受けるHIROさん

ー私も日頃、語学学校でフィリピン人の先生と触れ合っていますが、彼らって根っからの明るさを持っていますよね。DAREDEMO HEROでは、子どもたちにどんな教育をされているんですか?

HIROさん:DAREDEMO HEROでは厳選した子どもたちに対して、道徳・日本語・英語・数学・パソコンの授業を提供しています。フィリピン人はほぼカトリック教徒なので、道徳はフィリピン人スタッフが聖書を使って行っていますね。

ー子どもたちはどのように厳選されているんですか?

HIROさん:うちは相当厳しいですよ。面接を何度も積み重ねて、さらには抜き打ちチェックもします。子どもに内緒で、その子の自宅にこっそり調査をしに行くんです。面接のときだけ良い子を演じている可能性もありますからね。

そして、DAREDEMO HEROに入れるのは小学校3年生と定めています。なぜなら、小3未満は面接で自分の意見を言うことがむずかしく、逆に小4以降は自我が目覚めてしまい、正しい道徳理念を伝えることが困難になってしまうからです。

ー徹底されていますね。DAREDEMO HEROで教育を受けた子どもたちには、どのような変化が表れたのでしょうか?

HIROさん:一番目立った結果ですと、ザーラという高校生の女の子が5,000人の子どものなかで1位の成績をとりました。彼女は現在、フィリピントップクラスの大学の付属高校に通っていて、そのまま大学に進学する予定です。将来は探偵になって、真実を見つけて無実の人々を守りたいと言っています。

その他にも、成績優秀者として表彰される、学年トップになる、勉強以外のコンクールで入賞するなど、著しい変化が表れていますね。

ー素晴らしい成果ですね! 子どもたちはみんな、困っている人々を救うための仕事をしたいと話していて、その志しの高さに感動しました。

真のボランティアとは、団体の存在がなくなること

貧困地区で出会った天然パーマがかわいい女の子と

ー私のようにフィリピンにいる日本人留学生の方々に、子どもたちに触れてもらいたいです。

HIROさん:そうですね。スタディーツアーは不定期で開催しているので、ぜひ参加していただきたいです。ただ、そればかりやりすぎると、私たちが本当にやりたいことに支障が出る可能性もあるので、ビジネスボランティアにならないように気をつけています。

ービジネスボランティアと言いますと?

HIROさん:人助けと謳いつつ、子どもたちを使ってお金儲けをしているボランティア団体もあるので、私たちは「それは真のボランティアではない」と思っています。私たちの活動の目的は、子どもたちがリーダーになってここを巣立っていくこと、そしてフィリピンの貧困課題を解決し我々の存在がなくなることです。その目的からズレてしまっては意味がないですしね。

ー確かに、おっしゃる通りですね。

HIROさん:さらに言うと、当団体では支援者から受け取った大切な寄付金を、日本人スタッフの給料には使っていません。すべて子どもたちに使う形になっています。

ーただ、ボランティア団体は寄付金で給料を賄わないと存続できないのではないでしょうか?

HIROさん:DAREDEMO HEROでは講演や語学学校の運営によって利益を得ているので、寄付金はすべて子どもたちの支援活動に充てることができています。そうじゃないと、子どもたちの生活は変わらないんです。私がここまで強く言うのには、理由がありまして。

私は自分の団体を立ち上げる前、とあるボランティア団体に寄付していたんです。2年ほど経過して久しぶりに子どもたちに会いに行ったら、彼らは2年前と変わらないボロボロの服を着ていました。私の寄付金のほとんどがスタッフの給料に消えていたんです。

こんなのおかしくないですか? 私はかなりのお金を寄付しました。それなのにスタッフは「お金がない」と言う。私はどうしても納得できませんでした。だから、DAREDEMO HEROでは寄付金をすべて支援活動に充てているんです。

ーHIROさんが憤るのもごもっともですね。子どもたちの生活が変化していかなかったら、ボランティア団体を続ける意味がないですよね。

HIROさん:世の中にはボランティアの意味を履き違えている人が多すぎるんです。私は「本当のボランティアのあるべき姿」を、これからも訴え続けていきたいと思っています。

貧困地区で出会った笑顔がキュートな女の子

ー最後にHIROさんの将来的なビジョンを聞かせてください。

HIROさん:300年後に我々が教育した子どもたちのなかから、大統領を生み出したいと思っています。なぜなら、フィリピンの政治は腐っているから。貧困層に缶詰1個、Tシャツ1枚を賄賂として渡して票を獲得するなんて当たり前だし、票を獲得するためだけに建物を建てることもあります。

パフォーマンスとしての建設工事なので、当選したら工事が途中のまま放置されます。こんなだから、フィリピン人の90%が政治家を信用していないんです。

これを解決するには、「貧困層の人々をリーダー・政治家にするしかない」と私は考えています。簡単なことではありませんが、目標達成のためには「できる方法」を探し続けるのみ。周囲の人たちに手を借りることも多いと思いますが、300年先の未来を見据えて前進します。

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DAREDEMO HEROの取材を通して、フィリピンという一つの国を根底から変えようとしているHIROさんの想いに心を打たれました。目の前の1人を救うだけでも果てしなく大変なことなのに、国を変える覚悟は一体どれほどのものなのだろうと。

HIROさんの熱量と深い知見に触れ、私もよりフィリピンの文化や歴史に興味を抱くことができました。ぜひ、セブ島を訪れた際は、DAREDEMO HEROさんのスタディーツアーに参加してみてください。基本的には、第2・4土曜日に開催しているそうです。

フィリピンの未来を担う、頼もしいHEROたちが大歓迎してくれるはずだから。

★DAREDEMO HEROさんのスタディーツアーの詳細は、こちらから。

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  8. 【セブ島留学体験総まとめ】TOEIC190点の私が6週間の語学留学で得た“変化”とは?

私が通っている3D ACADEMY公式サイトはこちら
http://3d-universal.com/

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小林香織
1981年、埼玉県生まれ。2014年ライターデビュー。
WEBメディアを中心に、【働き方、ライフスタイル、旅、恋愛、美容】など幅広く執筆。 東京を拠点に、ときどき国内外を旅しながら旅と仕事を両立して生きています。2017年10月からセブ島に一芸留学中! 自由に生きるための選択肢を提供したい。そんな想いで日々、文章を綴っています。 恋する旅ライターかおりのブログ:http://love-trip-kaori.com/ Facebook:facebook.com/everlasting.k.k Instagram:instagram.com/love_trip_writer_kaori/ Twitter:twitter.com/lovetrip_writer

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