Filipina Young business couple working in the office

フィリピンでは、女性の社会進出が目立って多いことを知っていますか?

企業はもちろんのこと、学校や役場・病院などの公共施設においても、管理職の大半は女性で占められています。ことに教育現場では、小学校から高校までの教員の8割ほどが女性で固められているほどです。

オンライン英会話の講師リストを見ても、フィリピン留学で自分の語学学校の先生たちを見渡しても大半が女性です。

オフィスに足を運べば、女性が女性を仕切って指示を出している光景をよく目にします。レストラン、ホテル、銀行、コールセンター、モール、語学学校、、、フィリピンでは間違いなく、女性が社会の第一線で活躍しているといえるでしょう。

女性の社会進出

引用元:https://twitter.com/tmaita77/status

上のグラフを見ていただければ、専門職や管理職における女性の比率において、他国に比べてフィリピンが極めて高いことがわかります。

日本では安倍政権が「すべての女性が輝く社会づくり」を賢明に進めていますが、フィリピンはすでに女性活躍先進国として世界的にも高く評価されています。

男女格差がなく、女性が活躍できる社会を実現できたのは、女性が家庭から社会までを支えるというフィリピンの伝統的な文化があったからこそです。それはもちろん、フィリピンにとって誇るべきことですが、実は喜んでばかりもいられない一面があります。

今回は女性の社会進出とともに結婚件数が減っている事実と、女性の社会進出がフィリピンにとって不都合な真実によって支えられているという現状について紹介しましょう。

1.フィリピンでは結婚数が減っている?

結婚

1-1.フィリピンの結婚事情

フィリピン統計機構(PSA)が発行した2017年度の最新レポートには、ここ数年で結婚件数が大幅に減っていることが示されています。

データの取れた2014年から2015年にかけて、結婚件数は3.6%減っています。2012年から2013年にかけては約4万件、率にして8.2%も減っていたことを考えれば、多少の改善は見られたといえるでしょう。

しかし、2005年から2015年の10年間という長いスパンで見ると、フィリピンの結婚件数は実に20.1%も減少していることが、レポートに記されています。

レポートによると、結婚の平均年齢は女性で26歳、男性で28歳です。女性は20~24歳で結婚することが多く、全年齢層の34%を占めています。一方、男性は25~29歳が最多で35.2%を占めています。

ここ十年、適齢期を迎える人口が増え続けているにもかかわらず、結婚件数が20%以上も減り続けているのは奇妙な現象といえるでしょう。

いったいなぜ、フィリピンの結婚件数は急激に減っているのでしょうか?

その理由として、主にふたつの理由をあげられます。

ひとつは役所に届けることなく、事実上の内縁関係になる夫婦が増えていること。もうひとつは女性の社会進出が進んだために、結婚しない女性が増えているためです。

1-2.フィリピンでは離婚できないってホント?

離婚

フィリピンでは法的な婚姻関係を結ぶことなく、事実婚に入るカップルが増えています。その理由として最も多いのは、「フィリピンでは一度結婚すると法的に離婚が出来ないから」です。

離婚ができない、と聞いてびっくりする方も多いことでしょう。

しかし、事実です。なぜならフィリピンの法律はカトリックの教えに倣い、離婚する方法が法律がありません。離婚はカトリックの教えによって、固く禁じられているからです。フィリピンは、国民の8割以上がカトリック教徒です。

他のカトリック教国が離婚や中絶を条件付きで認めていることに比べると、例外なくカトリックの教えに忠実に従うフィリピンは、まさに世界一信仰心の厚い国といえるでしょう。

バチカン市国を除くと離婚が出来ない国は、世界でただ一カ国、フィリピンだけです。

ただし、法的に離婚は絶対できませんが、事実上は離婚したも同然となる制度は残されています。それはアナルメント(婚姻関係無効)の制度です。

弁護士に依頼してアナルメントを提訴することで、正式な裁判が始まります。5~6年に渡る裁判の結果、アナルメントが認められると婚姻していた事実をなかったことにできます。つまり、事実上は離婚したことと同じ扱いになるわけです。

だからといって、誰もが簡単にアナルメントを利用できるわけではありません。弁護士費用として30万円もの大金がかかるため、利用できるのはもっぱら富裕層に限られています。

そのため大多数のフィリピン人は、夫婦関係が壊れてすでに別居していたり、お互いに違う家庭をもっていたとしても離婚できません。相手が死ぬまでは再婚できない、という理不尽な状態におかれているのです。

このように、離婚ができないというフィリピン特有の事情があるため、法的には結婚しないまま事実上の婚姻関係を結ぶカップルが増えています。その場合でも子供は生まれますが、婚外子が多いフィリピンでは特に不利な扱いを受けることもありません。

内縁関係は統計的にかなり少なめに発表されていますが、実際には相当な数に上るといわれています。

1-3.女性の社会進出とともに増えた結婚しない女性

離婚できないために、届出をしないまま事実婚に入るカップルが増えていることと並び、フィリピンで結婚件数が激減している理由のひとつとしてあげられるのが、女性の社会進出とともに結婚しない女性が増えているという事実です。

女性が安定した収入を得られるようになることで男性に頼る必要がなくなり、独身を通す女性が増えるのは先進国によく見られるパターンです。ですがフィリピンの場合は、こうしたありがちなパターンとは異なる特別な事情が働いています。

社会の第一線で活躍しているフィリピン女性に共通しているのは、いずれも高学歴であることです。日本以上に学歴を重んじるフィリピンでは、高学歴でなければ企業の管理職や公務員の職に就くことさえできません。

フィリピンでは小学校から大学までのほとんどの過程において、女性の就学率が男性を上回っています。データからは、フィリピンでは女性の方が男性よりも頑張り屋さんが多いことがうかがえます。

実際のところ、勉強にしても仕事にしても女性は男性よりも勤勉でまじめに取り組む人が多い印象を受けます。

その原動力となっているのは家族です。

ことに、さほど裕福ではない家庭では、学業成績が良い子を家族全員で支える風潮がフィリピンにはあります。弟や妹も賢明に働き、兄や姉が大学に進学できるように頑張ります。

家族のなかから高学歴の子が出ると、良い就職先に恵まれることから実入りがよくなり、家族の暮らしぶりが全体的に上向くからです。

大学に進学できた本人にしても、家族の犠牲の上に勉強が続けられることを知っているため、日本人では想像できないほどまじめに勉学に取り組みます。このとき、その熱意において男女で違いが生じるようです。

男性に比べて女性の方が家族愛が強いため、女性の方がより真剣に学業に専念する姿が目立ちます。

本来であれば、恋愛に熱中してもおかしくない20代の時期を、フィリピンの女子大生は大学の勉強や研究に費やします。より良い成績を残すことが良い就職先へとつながり、家族に幸せをもたらすことができると知っているからです。

そうして、博士課程を修了して大学の講師になる女性もいれば、医師や弁護士などの専門職に就いたり、企業に就職して管理職におさまる女性もいます。

賢明に勉学に励み、精一杯仕事に打ち込むことで、ようやく社会的なステイタスを得られるようになります。高給を稼ぐことで家族の暮らしも安定し、そろそろ結婚してもいいかなと思える頃には、とうに30代後半です。

高学歴の女性が就く職場には、女性の方が男性よりも多いことが一般的です。ただでさえ男性の数が少ないにもかかわらず、男性は学歴に関係なく20代で結婚することが多いため、気がつけば職場に独身の男性は、ほとんどいません。

結婚したいという意思はあっても、社会的なステイタスを築いた女性に釣り合う男性は、周りにいないのが現実です。自分よりあまりにも低所得の男性と結婚する気には、普通はなりません。独身で無職の男性は近所にも相当数いますが、もちろん問題外です。

求婚する男性側にしても、医者や弁護士、一流企業の管理職の女性が相手となれば、なかなか告白する気にもなりません。

そのため、高学歴の女性の選択肢はお見合い結婚に絞られてしまいます。何度かお見合いをしても良い人に巡り会えないまま、生涯を独身で通す女性も多いのです。

社会進出を果たしたフィリピンの女性は、日本の高学歴の女性以上に結婚するのが難しい状況に置かれています。

それにしてもフィリピン社会では、どうして女性の活躍ばかりが目立つのでしょうか?

分野にもよりますが一般的に管理職や専門職となると、女性の方が男性よりも多い傾向にあります。その原因をたどってみると、他国では見られないフィリピン固有の文化が浮き上がってきます。

2.なぜ女性の社会進出が多いの?

社会進出

2-1.産休・育休が充実……していない!

女性が社会で活躍する上で、もっとも障害となるのが出産と育児です。子供を産むことができるのは女性だけなのですから、こればかりは男女同権がどうのこうのと言ってみても仕方ありません。

「産休や育休の制度を手厚くすることで、女性が安心して働ける社会を築くことができる」と考えるのが、ごく一般的です。

ということは、女性が活躍する先進国であるフィリピンの産休・育休の制度は、日本に比べてさぞかし優遇されているに違いないと思いますよね?

たとえば日本では労働基準法によって、「産前6週、産後8週」の休みが保障されています。さらに産後6週間は、たとえ本人が希望したとしても仕事をさせてはいけない決まりになっています。

では、フィリピンはどうなのかといえば……。

産休期間は長いこと60日のみでした。例外として、帝王切開の場合は78日です。

日本は合計14週ですから、全部で98日です。つまり、実は日本の産休期間の方がフィリピンよりも恵まれているのです。

ただし、2017年3月に「国際基準と比べても、さすがに60日は短か過ぎるだろう」ということになり、産休を120日まで認める法案がフィリピンの上院で可決されています。

この法律により、フィリピンでも今後は長い産休をとる女性が増えるかもしれません(実際に法律になるには、まだ何年もかかるでしょうし、最終的に何日に落ち着くのかはまだわかりません)。

これまでのフィリピンでは、女性は出産の二週間前から休みをとり、出産後1ヶ月で職場に復帰することが普通でした。ここにも、フィリピン女性のたくまさしさが表れています。

育休に関しても、日本とフィリピンでは天と地ほどの差があります。日本では子供が1歳になる前日まで育休を取得できます。さらに保育所がいっぱいで入れないときなど、最長で子供が2歳になるまで育休をとれます。

育休をとっている間は企業からの給与はありませんが、育児休業給付金の制度により、雇用保険から給付金が支給されます。給付額は原則として育休前の日給の67%です。

一方、フィリピンの育休制度は……。

そんなものは、ありません。

フィリピンには「育休」自体が存在していません。

出産から一月後には職場に復帰するという暗黙のルールを、ほとんどの女性が守っています。育休という制度がないため、法律で定められた産休を超えて休む場合は、解雇されても文句は言えません。たとえ休みが認められたとしても、給与はどこからも支給されません。

さて、もしあなたなら、フィリピンと日本のどちらで子供を産みたいと思うでしょうか?

女性が大いに活躍するフィリピンだけに、産休・育休の制度が手厚く保護されているように思われがちですが、女性活躍後進国の日本と比べてもはるかに劣悪な環境です。

女性が活躍できる社会基盤が整備されていないにもかかわらず、なぜフィリピンでは女性の社会進出がめざましいのでしょうか?

そこには、女性が社会を支えるというフィリピン独自の文化が大きく影響しています。

2-2.女性が社会を支える文化

フィリピンには古来より、女性が社会を支える文化が根付いています。社会の最小単位である家庭を見れば、そのことがよくわかります。

たとえば古代フィリピンでは、母親が子供たちの名前をつける特権をもっていたとされています。女性上位社会の名残は今日まで続いており、ほとんどの家庭で最も敬われることで、事実上の家長としての役割を果たしているのは、家族のなかで一番年長の女性、つまりおばあさんです。

子供は母親に従い、母親は祖母に従うため、自然とおばあさんの発言力が家庭内で強くなるのです。フィリピンの家庭を仕切っているのは、もっぱら女性です。

なぜ男性よりも女性の方が強くなったのかと言えば、女性のもつ母性本能が大きな鍵を握っているようです。子供に食べさせ、学校へ通わせるために、母親は自分が働かなければといった意識を強くもっています。

日本や欧米の社会であれば、このような役割を担うのは父親ですが、フィリピンでは古代より男性と女性の役割に差をつける習慣がなかったため、「外に出て働くのは男性、内で家庭を守るのは女性」といった役割分担が、そもそも存在しません。

そのため、母性本能ゆえに子供を守ろうとする意識が強い女性の方が、外に出て働いてお金を稼ぎ、子供や家族を養っていく役割を担うことが多くなったのです。古代より連綿と受け継がれてきた慣習は、今日に至るも変わっていません。

特に現在のフィリピンは国内に仕事がないため、男性がまともな仕事に就くことが極めて難しい状況です。

一方、女性は子守や洗濯・掃除の請負など時間単位で収入を得られる仕事があるため、フルタイムにこだわらなければ男性よりも働き口を見つけやすくなっています。

この傾向は、中低所得者に特に目立っています。かくして女性は、子供を守るために汗水垂らして賢明に働くことになるのです。

実際に稼いでいる人の力が強くなるのは、日本であろうがフィリピンであろうが、どの家庭でも同じことです。フィリピンでは、仕事がない男性に代わって女性が稼ぎ頭になることが多いため、女性の家庭内での立場がますます強くなるわけです。

さらに、フィリピンの女性を経済的に優位にしているのは、フィリピンの貧困層を主体とする貸し借り文化です。その日暮らしが精一杯のフィリピンの貧困層では、食べるものやお金が盛んに貸し借りされています。持てる者が持たざる者を助けるのは、フィリピンの伝統です。

たとえば米がなくなり、新たに買うお金がないときには、親戚や近所から米を借りてきます。このとき、「借りる」役割を一手に担うのは女性と決まっています。

お金や食べるものを集めてくるのが妻であれば、夫の立場はますます弱くなります。こうして貧困層の家庭ほど、女性が主導権を握っていくことになるのです。

この状況では、日本の亭主関白のように男性が偉そうにふんぞり返ることなど、とてもできません。フィリピンの男性は控えめに、妻にひたすら尽くすのです。

少なくとも日本の男性に比べると、フィリピンの男性はより多くの時間を妻のために割いています。何事も妻を立てることが、家庭円満の秘訣(ひけつ)のようです。

2-3.フィリピン人女性と結婚した日本人男性が無一文になったなら……

日本に比べると男性の立場がなにかと弱いフィリピンですが、それは必ずしも悪いことではありません。たとえば、もしあなたがフィリピン女性と結婚したあとに無一文になったとしたら、どうなると思いますか?

あくまで一般論ですが、このようなとき妻がタイ人女性であった場合は、金の切れ目が縁の切れ目になることが多いようです。ことに、ロングステイしている日本人男性の老人が若いタイ人と結婚したあとでは、よく耳にする事例です。

タイは封建的な文化が残っているため、男性には家庭を守る役割が求められます。それを果たせないとなると、どうしても家庭不和が起こりやすくなるのです。

ではフィリピンでは、どうでしょうか?

あなたがお金を持っている間はもちろん、ちやほやされます。家族のなかでもっとも経済的優位に立つ者が、もっとも尊重されるのがフィリピンです。

でも、お金を使い果たし、あなたが無一文になったとわかっても「この、 かいしょうなし!」と非難されることはありません。

先にも紹介した通り、フィリピンには男性が稼ぐという文化がそもそもないため、「お金が尽きた、収入の見込みもない」となっても、男性だけが一方的に非難されることは、まずありません。

お金が尽き、収入の見込みもないとなると日本では大騒ぎになるでしょうが、フィリピンでは日常茶飯事のありふれた光景として平然と受け止められます。多くのフィリピン人にとって、男性とはそんなものなのです。

こうなるとフィリピン人妻は、張り切って自ら働きに出ます。このときのあなたの役割は父親として子供に寄り添うことと、男でなければこなせない力仕事を担うことです。

夫が家庭内に留まり、妻が働きに出るというライフスタイルは日本では目立ちますが、フィリピンではごく普通のことであり、そのこと自体を負い目に感じることなどありえません。なにせ親戚やご近所を見回しても、そんな家庭ばかりなのですから。

持てる者が持たざる者を助けるというフィリピン文化は、あなたが「持てる者」であるときにはうっとうしく感じるものですが、あなたが「持たざる者」になったときには、この上なく有り難いものです。

持たざる者になったからと言って、卑屈になる必要はありません。持てる者から助けてもらうことはフィリピンでは当然のことなのですから、へりくだらなくても大丈夫です。胸を張って援助してもらいましょう。

以前、鎌田實氏の「がんばらない」という本がベストセラーになりましたが、がんばるだけが人生ではありません。ときには肩の力を抜いて、がんばらない時間を過ごしてみれば幸せを感じられるかもしれません。

フィリピンには、がんばらなくても幸せを感じられる時間が、ゆったりと流れています。

しかし、男性にとって心地よい時間を支えているのが女性の頑張りであることもたしかです。フィリピンの女性はとにかくよく働き、家族を全力でサポートします。

最近では嫁不足に悩む日本の農家で、フィリピン人妻を迎えるケースが増えていますが、フィリピンでは幼少の頃より家業の手伝いをすることが当たり前のため、肉体労働が中心の農業であっても健気に頑張る姿が目立ちます。

農家に限らず、フィリピン女性が家族のために賢明に働く姿は、世界中で絶賛されています。

こうしたフィリピン女性の頑張りが、女性の社会進出を促していることは事実ですが、実はフィリピン女性が社会を支えている背景には、女性が女性を支えるという構図がひそんでいます。

その構図自体に特に問題はないものの、女性が女性を支える社会を成り立たせているものがなんなのかと突き詰めていくと、そこにフィリピンにとって不都合な真実が隠されていることがわかります。

次回はこのあたりの事情を掘り下げてみましょう。

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ドン山本
タウン誌の副編集長を経て独立。フリーライターとして別冊宝島などの編集に加わりながらIT関連の知識を吸収し、IT系ベンチャー企業を起業。 その後、持ち前の放浪癖を抑え難くアジアに移住。フィリピンとタイを中心に、フリージャーナリストとして現地からの情報を発信している。

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