
社会人、学生の中でフィリピン留学がブームとなりつつあるものの、留学後のキャリアを描くことができず、再就職、再出発に困るキャリア難民が続出しています。
「フィリピン留学で得た英語力を活かし、いかに世界を舞台に自分らしく生きていくのか?」
海外キャリアコンサルタントで「キャリアデザイン英会話スクールBEYOND THE BORDER」代表(CEO)、「キャリアシフト〜人生戦略としてのアジア就職〜(経済界)」の著者である岡本が、留学後のキャリアの選択肢と世界を舞台に働く「アジア・海外就職」という新しいキャリアパスについて解説していくシリーズの第6回目です。
【第1回】【絶対に後で後悔する!?】フィリピン留学の目的とその後のキャリアの選択肢とは?
【第2回】フィリピン留学からアジア海外就職!このキャリア戦略が熱い○○という理由
【第3回】”英語力自信なし” ”経歴自信なし”でもアジア海外就職はできるのか!?
【第4回】アジア海外就職を目指すなら知るべき「海外駐在」と「現地採用」という2つの選択肢
【第5回】アジア海外就職を実現するための5つのステップ
【第6回】アジア海外就職で超えるべき4つのハードル〜英語が微妙でも実はアジアで働くことは難しくない!〜 ←今回はここ
アジア海外就職と聞くと、とてもハードルが高いものに感じるかもしれません。
一昔前のアジア海外就職と言えば、欧米への就職ばかりをイメージしていたということもあり、かなりハードルが高かったかもしれません。
しかし、日系企業がアジアにシフトをしている現在、アジア圏内が中心となっていて、ハードル自体は低くなっています。
ここではアジア海外就職を目指す場合に、超えていくべき4つのハードルについて説明をしていきたいと思います。
1.能力的ハードル
語学力(英語力)はどれくらい必要か?
アジア就職の選択肢に上がってくるASEAN諸国において、国によって様々な言語が使われていますが、仕事に限って言えば「英語」をある程度話すことが出来れば足りるケースが多いです。
また、求められる英語のハードルはそれほど高くはありません。
下記の表はアジアで働き始めるにあたり必要となる英語力についてまとめた表です。
若干高めに設定してありますが、TOEIC500点前後あれば、シンガポール、マレーシア以外の国であれば挑戦できるでしょう。
就職する際に求められるスキル、職務経験、年齢条件は?
各国によって異なりますが、ここでは一般的なアジア就職をする際の一般的な傾向について見ていきましょう。
まず、アジアでの就職を想定した場合、求められるスキルや実務経験はそれほど高いレベルではありません。
ただし、即戦力を求められることになりますので、あなたが20歳代後半以上の年齢であるならば、それ相応の職務経験やスキルはあった方がよいでしょう。
また、日本人が現地採用をする業種では製造業の割合が高く、職種で言うと営業及び技術系(製造、IT関連)の仕事が多くなっています。
しかし、近年のASEAN諸国の経済発展は凄まじく、以前は安価な人件費を使った製造業及びその周辺の業種(日系の販売商社)などが多数を占めていましたが、現在は製造業以外のサービス業などの現地市場をターゲットにした業種も増えてきています。
2018年現在、現地日本人の人材市場は明らかに求職者優位な状況が続いています。
そのため、日本でその分野の職歴やスキルがあると評価されることになりますが、就職したい求職者に比べて求人数が多いので、未経験の業界や職種であっても、年齢やこれまでの職歴次第では就職できるケースはあります。むしろ、日本人としての礼儀や常識、ビジネスマナーなどが重視されることが多いです。
シンガポールなどはビザの要件上、企業が支払う給料の最低額が高いということもあり、ある程度の職歴やスキルがないと厳しい国もあります。
また、アジア就職をする際の年齢ですが、最も需要があるのは20歳代から30歳代になります。
40歳以上でももちろん就職先はありますが、これまでの実績やスキル、マネジメント経験が求められます。
2.精神的ハードル
初めて海外で仕事をすることに対して、精神的なハードルを感じる方も多いと思います。
その気持ち、とてもよくわかります。
私も最初に海外で事業を興すときはとても不安になりましたし、海外で仕事をしたいと思う人のキャリアの相談に乗っている中で、アジア・海外就職について不安に思われる方とも多く出会いました。
私は、これまでにASEAN各国の30社以上の人材紹介会社を回り、100名以上の現地で働く日本人の方にお会いしてお話を伺ってきました。
その中で、海外でイキイキと仕事をされている人や、アジア就職を果たしたものの、明らかに失敗をしてしまって腐っている人、さらに失意の中、帰国を余儀なくされた方ともお会いしました。
その経験から、アジア就職に成功されている方の特徴について触れておきたいと思います。
特徴1.大まかでも良いので自分のキャリアについての青写真を持っており、アジア就職の位置付けがはっきりしている人
海外で働くことは新しい発見や経験ができてとても楽しいのですが、初めてのことも多いですし、言語や文化、考え方が異なる人々と一緒に仕事をするため、うまくいかないことやストレスを感じることもあります。
そのような時でも自分の将来の青写真があり、キャリアの方向性が明確ならば、目の前のつらいことにも耐えて次に進むことができると思います。
例えば、タイに就職してそこで将来起業することを夢見ているのであれば、タイでの仕事の経験はすべてその準備と捉えることができます。
逆に将来のキャリアの方向性を曖昧でアジア就職の位置付けがはっきりしていない場合は、少し嫌なことがあったら海外で仕事を続けていくことを諦めてしまうかもしれません。
また、居心地の良さから何年もダラダラと将来のビジョンにつながらない仕事を続けて、時間を無駄にしてしまうこともあるかもしれません。やはり大まかでも良いので、自分のキャリアの方向性を決めておいた方が良いでしょう。
特徴2.目の前の給料や待遇を求めるのではなく、自己の成長を追い求めている人
前の特徴と関連しますが、きちんと将来のキャリアの方向性が決まっている人は、得られるスキルや語学力など自分の成長にフォーカスしています。
そのため、仕事に主体的に取り組むことができ、会社からの評価も上がり、よりチャレンジングな仕事を任せてもらえるようになります。
その結果、再度転職をする場合でも、前の会社の実績やスキルを評価してもらえるので、より高待遇な仕事を得ることができるでしょう。
特徴3.オープンマインドで日本や自分のやり方に固執しない、おおらかな性格の人
海外で働き始めると、当然仕事のやり方も考え方も異なる人々と一緒に仕事をすることになります。国や人によっては自分の仕事が終わっていないのに平気で休暇を取ったり、定時に帰ってしまう人もいるでしょうし、仕事のやり方が日本基準でいうと雑な人もいるかもしれません。
そのような時も、日本や自分のやり方に固執せずに違いを認めつつ、おおらかな対応ができる人の方が海外で働くのには向いていると言えます。
逆にそうできない人は、ストレスを抱え込んでしまうこともあります。
もちろん、日本人としてきちんと仕事をこなすことは大切ですが、あまり神経質にならずにおおらかに対応できる人の方が海外で働くことには向いていると言えるでしょう。
3.経済的ハードル
経済的な観点でハードルを感じている人もいらっしゃるかと思います。
ここでは、アジアに転職して仕事と生活をスタートさせるのにどの程度の初期費用が必要なのか?実際にアジア就職をした後、 生活を維持していけるかどうについて見ていきましょう。
①英語学習費用(オンライン英会話3ヶ月+参考書等)5万円程度
②就職活動渡航費(往復チケット+宿泊費(3日)+滞在費)8万円程度
③渡航準備費用(スーツケース、着替え等)2万円程度
④渡航費(片道チケット)3万円程度
⑤下宿家賃費用(前払家賃2ヶ月分)12万円程度
⑥生活準備費用10万円程度
⑦予備費 5万円程度
合計 (①〜⑦)50万円程度
合計で50万円程度の予算があれば、ある程度余裕を持って就職活動から内定取得、渡航、生活準備などができるでしょう。
ただし、①英語学習費用については、現在のあなたの英語力及び英語の学習方法によって大きく変動します。既にある程度の英語力(TOEIC500〜600点ほど)を持っている人であれば、上記の予算通りで問題はないと思います。
逆にまだ英語力に自信がなく、フィリピン格安留学などをしてから、アジア就職に臨むのであれば1ヶ月あたり20万円〜30万円の追加費用がかかることになります。
→著者が運営しているアジア海外就職に特化したフィリピン・セブ「キャリアデザイン英会話スクールBEYOND THE BORDER」へ
アジア就職をしてもらえる給料で生活していけるか?
一般的なアジア就職である現地採用(※)で就職をした場合、当然国や都市、業界や職種によって給料は異なります。
また、海外で生活する費用についても住む国や街、住居や食生活によって当然異なります。
ここでは、あくまで一般的な国別の給料や生活費の水準についてご紹介します。
各国の詳細な生活費等の状況については、「アジア各国就職状況」にてご紹介していますが、ここではフィリピンを例に生活に必要な費用について考えてみましょう。
※現地採用とは、現地の日系企業や外資系企業、現地企業などに直接雇用されること。
詳細はこちらの記事へ
▶︎アジア海外就職を目指すなら知るべき「海外駐在」と「現地採用」という2つの選択肢
一般的に営業の職種に就いた場合の給与は、20万円程度になることが多いです(所得税控除前)。
ただし、シンガポールなどの物価が高い国に就職した場合や、特別なスキルや経験を持っている方については40万〜60万円程度の給与をもらうケースもあります。
一方、生活費ですがこちらも国や生活水準によって大きく異なります。
ここでは、フィリピンのマニラでアジア就職を果たした場合に想定される収入、支出、貯金額を表にして掲載したいと思います。
上記のようにコンドミニアムで生活した場合、5.5万円前後の貯金をすることができます。給料については日本と仕事をしていた場合と比べて減ってしまうかもしれませんが、生活費も少ないことから節約をすればある程度の貯金をすることは可能です。
4.ビザ取得上のハードル
海外で仕事をするためには、パスポートの他に就労ビザが必要になります。
この就労ビザの取得が、海外で働く上での一つのハードルになっています。
しかし、シンガポールで就職をする以外では、ASEAN諸国のビザの取得要件はさほど高くないのが現状です。
また、ビザの取得要件が一見厳しく、その要件に合致していなかったとしても、就労ビザが発給されるケースもあります。
ここで、普段あまり海外に行かない人のためにビザについて少し解説しておきます。
ビザ
…国が自国民以外に対して、その人物の所持する旅券が有効であり、その人物が入国しても差し支えないと示す証書。
就労ビザ
…その国で一定期間就労して、経済的利益を得るために必要なビザのこと。
(最新情報は現地の就職エージェントにご確認ください。)
アジア就職をする上で、就労ビザの要件は非常に重要になってきます。
タイやフィリピンのように、就労要件が非常に緩い国からシンガポールのように非常に厳しい国もあります。
一方でインドネシア、ベトナムのように政府の定めによるとある程度厳しい要件が課されていても、実務上この要件をクリアしていなくても就労ビザが発給されてしまうこともあります。
各国の就労ビザの発給要件は非常に変わりやすく、ビザ発給の担当者やビザを取得する就職先企業の力によっても変わってきます。そのため、就労ビザの発給要件については、必ず転職エージェントに最新状況を確認するようにして下さい。
ここまで、アジア就職をする上での4つのハードルについて見てきました。この4つのハードルをクリアできたとしたら、あなたにとってアジア就職は十分挑戦可能です。中には、現時点においては該当しなかった人もいるかもしれません。
ただ、今のあなたにとって当てはまらなかったとしても、足りない英語力を強化したり、ご自身のキャリアについて考えることで、将来的にアジア就職を目指すことは可能です。
5.まとめ
いかがだったでしょうか?
人によってはアジア海外就職のハードルはとても高いように感じたかもしれませんが、人によっては思ったほど高くないな、と感じたかもしれません。
今後、世界の経済はアジアにシフトしていきます。そして、日系企業の多くはアジアに出て行くでしょう。また、日本国内の内なるグローバル化は進んで行くことも容易に想像できます。具体的に言うとますます多くの外国人が日本を訪れ、日本で就業する外国人も増えていくことでしょう。
私は、今後の世界、日本の情勢を考えた時、また個人の5年後10年後のキャリアを考えた時、英語でアジアを舞台に仕事をするというキャリアパスはとても有意義だと考えています。
もし、あなたがアジア海外就職を今後のキャリア戦略として取り得る一つの選択肢であると思われたら、是非、下記のHPをご覧になってみてください。
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