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パソコンやスマホを持っていてネット通販を利用したことがない人は、ほぼいないことでしょう。Amazonや楽天、メルカリやヤフオクは大半の人にとって身近な存在です。

このようなネットを使った取引は「eコマース」あるいは略して「EC」と呼ばれています。「e」は「Electronic」の略です。「Electronic Commerce」で「電子取引」の意味になります。

国内のeコマース市場は年々拡大を続けており、野村総合研究所の調査によると、2020年には22.9兆円に膨らむと見られています。

さらに最近では国内に留まることなく、海外のeコマース市場をターゲットにする企業も増えてきています。いわゆる「越境(えっきょう)EC」です。

「越境EC」とは一言で言えば『母国語ではない外国語のECサイトを作り、外国人消費者に販売していくEC形態』の事です。国境を超えた通販と考えればOKです。

越境ECといえば、これまでは中国とアメリカのeコマース市場が大半を占めていました。しかし、このところ東南アジアのある国のeコマース市場が世界的に注目されています。

それは、フィリピンです。今回はフィリピンのeコマース市場を狙って仕掛ける、越境ECの魅力について紹介したいと思います。

第1章 越境ECの市場規模は120兆円を超える!?

1-1.国境がない越境ECの魅力

まずは「越境EC」の魅力と仕組みなどについて紹介します。

1-1-1.巨大化する一方の越境EC市場

eコマース市場が急激に成長しているのは、日本だけではありません。世界的に見てもネットを使った取引は、増加の一途をたどっています。

ことに越境ECは全世界で起きている大きな潮流といえるでしょう。

【 全世界の越境EC市場規模推移 】

越境ECはフィリピンが今アツい!
http://www.c2j.co.jp/blog_jp/ec より引用

上のグラフを見れば、越境EC市場の規模が2014年からわずか4年ほどで、90兆円も上積みする急成長を遂げていることがわかります。2020年には120兆円近くに達すると予測されています。

拡大し続ける市場と縮小を余儀なくされる市場と、どちらにビジネスチャンスがあるのかは考えるまでもありません。

肥大化する一方の越境EC市場であれば、今から新たに参入しても成功できる公算が十分成り立ちます。

1-1-2.世界中が新規顧客層になる

国内に留まっていながらも、海外のeコマース市場に進出することで海外に住む人々に直接モノを売れることが、越境ECの最大の魅力です。

いわば世界中の人々を新規顧客層にできる、ということです。範囲が限られたなかで新規顧客層を見つけ出すことは難しくても、全世界に対象が広がれば容易に新規顧客層を見つけられます。新規顧客層が多ければ多いほど、商品の売れ行きも期待できます。

さらに新規顧客層の広さは、マーケティングにおいても有効です。 eコマースの強みは、アクセス数やクリック率をはじめ、ユーザーの属性(国、年代)などのデータが蓄積されることです。

蓄積されたデータを分析することで、自社製品に対するニーズが見えてきます。その上でチャンスがある国を絞り込み、積極的にマーケティングを仕掛けることができます。

世界中が新規顧客層になることで、ビジネスチャンスは飛躍的に増えます。

1-1-3.低コストで海外市場に参入できる

eコマースに頼ることなく海外市場に進出となると大変です。現地に法人を設立したり、販売代理店を開拓したりするにしても、手間とコストが重くのしかかってきます。まして、実際に店舗を出店するとなると、コストは跳ね上がります。

それでも成功するのであればまだしも、出店してみたけれども振るわず撤退するとなると、中小企業であれば経営自体が傾きかねません。海外進出には多大なリスクがつきまといます。

ところが越境ECであれば、実店舗を出すことに比べればタダ同然の低コストで始められます。低コストだけにリスクもほとんどなく、気軽にチャレンジできることが越境ECが流行っている理由のひとつです。

1-2.越境ECの仕組み

越境ECを始めるには2つの方法があります。ひとつは現地のECモールを利用する方法、もうひとつは自社で越境ECサイトを構築する方法です。

簡単なのは現地のECモールと契約を交わし、モールのなかで出店する方法です。日本でいえば「楽天」をイメージするとわかりやすいでしょう。

楽天のような大手ECモールともなると、ユーザーが勝手に集まってきては検索してくれます。出店することで自社製品の露出度が自然に増え、黙っていても売れていきます。

決済についてもECモールで代行してくれるため、なんの心配もいりません。ECモールによっては予め商品を現地ECモールの倉庫に送っておくことで、受注から配送まで代行してくれるシステムも用意されています。

受注から発送まで煩わしいeコマースの運用業務をECモールや販売パートナーに委託することで、手軽に越境ECを始められます。

ただし、業務を丸投げすれば当然ながらコストが発生します。ECモールの出店料や手数料もかかってきます。

こうしたコストを節約したいのであれば、自社で越境ECサイトを立ち上げるという選択があります。自社サイトを活用することで、ECモールに支払う料金を丸ごと浮かせられます。

しかし、今度はエンジニアのリソースや人件費など、新たな課題が生じます。さらに問題となるのは集客です。ECモールを利用しない場合は、海外向けのプロモーションを一から行う必要があります。アクセスを集めるには、それなりのコストを覚悟しなければなりません。

こうしたことを考えると、自社サイトを立ち上げたからといってコストを節約できるとは、必ずしもいえません。はじめにまとまった額の投資を行いたくない場合は、ECサイトを活用した方が無難といえるでしょう。

資金力に余裕のある大手企業ともなれば、自社の越境ECサイトを立ち上げながら、なおかつ複数の現地ECサイトにも出店することが一般的です。

*越境ECは正確には日本国内で多言語化ECサイトを作り、国内で受注してから全部自社で海外発送する方法や、楽天やアマゾンのような海外向けECカート(海外販売機能)を持っている会社に丸投げする方法もあります。

1-3.現在の主流は中国とアメリカ

日本から海外への越境EC市場規模で大きなシェアを占めているのは、中国とアメリカです。ことに近年では中国の eコマース市場に進出した企業が、大きな利益を出しています。

【 中国における日本の越境EC市場規模 】

越境ECはフィリピンが今アツい!
http://www.c2j.co.jp/blog_jp/ec より引用

訪日中国人による「爆買い」は記憶に新しいところです。2015年を頂点とする爆買いは現在では落ち着きを取り戻していますが、eコマース市場ではまだまだ続いています。2014年に比べて、2018年には市場規模が2.2倍の1.4兆円になると予測されています。

一方、アメリカの市場は中国ほどの伸びはありませんが、それでも2018年には7,803億円になると見られています。

中国とアメリカでの越境ECの成功が、今日の越境ECブームに火をつけたといえるでしょう。

ではなぜ日本からの越境ECが、中国で大成功を収めたのでしょうか?

第2章 中国で越境ECはなぜ成功したのか

2-1.大きな市場規模と有望な将来性

中国のeコマース市場が注目されるようになったのは、2013年以降、中国政府による情報規制が大幅に緩和されたからです。それ以前は政府による情報規制が厳しく行われており、SNSを自由に使ったり海外の情報を入手することが許されませんでした。

しかし、2013年以降は情報規制の緩和を受け、SNSが瞬くうちに中国人ユーザーの間に広まりました。SNSの浸透こそが、ネットを使って海外の商品を購入する中国人が増えた大きな理由です。

日本とは異なり性悪説の文化をもつ中国では、商品にしてもeコマースの仕組みにしても疑いの目から入るため、ネットを信頼して購入するという行動にはなかなかつながりません。そこで活用されたのがSNSによる口コミです。

口コミが広がることで、商品とeコマースそのものに対する信頼感が生まれます。こうして多くの中国人が抵抗なくeコマースを使うのようになったことで、人口12億を超える巨大なeコマース市場が中国に誕生したのです。

中国のネット利用ユーザーは6.7億人もいます。その数だけでも十分に魅力的ですが、ネットの普及率が50%程度に過ぎないことを考えると、伸び代はまだまだあります。

抱える人口が多く、ネットの普及率が年々上昇している中国のeコマース市場のもつ潜在力は、まさに無限大です。

いま、自社企業のブランディングに成功しておけば、将来にわたって中国のeコマース市場で売上げを伸ばすことを期待できます。こうした目論見から多くの日本企業が、中国での越境ECに乗り出しています。

2-2.軸足はBtoCへ

日本のeコマース市場を見ると、メルカリやヤフオク、楽天オークションなどの CtoC取引が年々シェアを伸ばしています。「CtoC」とは、個人間で行われる取引のことです。

個人間での取引が増えてくると、企業としての売上げはその分減るものと考えられます。CtoCのシェア拡大は企業にとっての脅威です。

ところが中国のeコマース市場ではCtoCに元気がなく、ほとんどのシェアは企業から人への取引にあたる BtoCが占めています。

その理由は、中国ではブランド品などの偽物が出回っているためです。中国のCtoCネット通販で最大のシェアを誇るサービス「タオバオ(淘宝)」で取引されている商品を政府が調べたところ、その6割以上が偽物だったと発表され話題になりました。

世界の工場となった中国は、世界中の名だたるブランドの生産拠点になっています。工場からの横流しもあれば、生産工程をまねたコピー品が大量に市場に出回っています。

こうした事情があるため、信用できない個人ではなく信頼できる企業から本物を買いたいと希望する中国人が多いのです。

BtoCが中国のeコマース市場の軸足になることで、企業としては大きなメリットを受けることになります。

以上、ふたつの理由を中心に、中国での越境ECは活況を帯びています。

第3章 これから越境ECを狙うならフィリピン!

フィリピンペソ物語(1/3) なぜペソ安はフィリピンの経済成長に必要不可欠なのか

中国での越境ECは、世界中の先進国の企業が狙っています。さらに最近では、東南アジアのeコマース市場が注目されています。

3-1.世界が注目する東南アジアのEC市場

東南アジアのeコマース市場に、もっとも早く手をつけたのは中国の企業です。ことに中国最大のeコマース企業アリババが、東南アジア6カ国に展開していた同地域最大級のECサイト、Lazada(ラザダ)を2016年に買収して傘下に加えたことで、中国企業による越境ECが盛んに行われています。

東南アジアの魅力は、その人口にあります。中国の総人口の半分にあたる6億人を抱え、近年の経済成長の高まりとともに購買意欲も増しています。

しかし、ネットの普及率はけして高くなく、東南アジアのEC市場規模は中国のわずか1%に留まっています。市場規模が小さいことは越境ECを仕掛ける上でのデメリットかと思いきや、実はそうでもありません。

ラザダのCEOは「東南アジア市場にはネット通販の経験が浅いネットユーザーが多く存在している」こと自体に、魅力を見出しています。

現在の市場規模が小さくても、経済成長が著しい東南アジアでは今後、爆発的にeコマース市場が肥大化することを期待できます。規模が大きいけれども飽和を迎えた市場よりも、規模は小さくても将来的にはどんどん拡大することを見込める市場の方が、はるかに魅力的です。

しかも、東南アジアのeコマース市場は現地企業の売り手が大半を占めているだけに、越境ECを仕掛ける余地が豊富に残されています。

世界のeコマース企業の耳目は今、東南アジアに集まりつつあります。

3-2.フィリピンのEC市場がアツい5つの理由

ポイント

注目を浴びる東南アジアですが、なかでもフィリピンはもっとも多くの人気を集めています。その理由を紹介しましょう。

3-2-1.購買意欲は東南アジアNO.1

フィリピンが東南アジアでもっとも注目されている一番の理由は、フィリピンが世界トップクラスの消費大国だからです。

フィリピンのGDPに占める個人消費の比率は、70%ほどです。日本は60%ですから、日本人よりもフィリピン人の方が高い購買意欲をもっているといえるでしょう。発展途上国とは思えない70%という驚異的に高い数字は、アメリカと肩を並べるほどです。

データが示すように、フィリピンの人々は買い物が大好きです。お金が余れば貯蓄や投資に回すよりも、ショッピングや飲食などに惜しみなく費やすのが標準的なフィリピン人気質です。

購買意欲の高さから、フィリピンが eコマースの有望市場であることがわかります。

3-2-2.経済成長が著しい

最近のフィリピンの経済成長率には、目覚ましいものがあります。下のグラフはフィリピンの名目GDPの推移を表しています。

越境ECはフィリピンが今アツい!
https://gentosha-go.com/articles/-/504 より引用

グラフをひと目見ただけでも、フィリピンのGDPが右肩上がりで伸びていることがわかります。

ドゥテルテ政権になり、大型インフラ整備が次々と進む現在のフィリピン経済は、まさに日の出の勢いです。

世界三大格付け機関のひとつ、米ムーディーズは「フィリピンは今後、世界のほとんどの国を上回って成長する『アジアのライジング・スター(新星)』である」と高い評価を与えています。

世界最大級のメガバンクHSBCが発表した「HSBC 2050REPORT」によると、2050年までにフィリピンは世界のGDPランキングで16位にまで登り詰めると予測されています。そこまで成長すれば、発展途上国どころか経済大国と呼んでも差し支えないでしょう。

経済が成長すれば国民の所得も上昇し、消費活動はより加速されます。経済成長に伴いフィリピンのeコマース市場は、今後ますます拡大し続けるものと予想されます。

3-2-3.インターネット使用率は世界トップ

ロンドンに本社を置くソーシャルメディア・コンサルティング企業「We Are Social」が、毎年、国別のインターネット使用率ランキングを発表しています。

そのランキングで、フィリピンは毎年のようにトップに位置づけられています。2018年は「1日あたりのインターネットに費やす時間」において僅差でタイにトップの座を奪われましたが、ソーシャルメディアに費やす時間では相変わらず世界トップを守っています。

【 1日あたりにソーシャルメディアに費やす平均時間のランキング 】

越境ECはフィリピンが今アツい!
https://wearesocial.com/blog/2018/01/global-digital-report-2018 より引用

外国人出稼ぎ労働が盛んなフィリピンでは家族や友人・恋人同士で国境を越えて連絡をとる機会が多く、インターネットが有効に活用されています。

ネット使用率の高さは、eコマース市場にとっての起爆剤です。環境が整うことでeコマースが身近な存在になれば、フィリピンのeコマース市場は一気に拡大すると見られています。

1億を超える総人口と平均年齢23歳という若さも、フィリピンのeコマース市場の将来性を支えています。

3-2-4.国をあげて eコマースの発展を支援

発展途上にあるフィリピンのeコマース市場ですが、ドゥテルテ政権ではeコマース発展支援に向けた長期目標を掲げています。その目標とは、GDPの25%をeコマース市場で達成することです。

この目標を達成するために、インターネットやオンライン決済システムに関連するインフラ整備が着々と進んでいます。さらに、地下鉄を含めた鉄道や高速道路などの大型インフラ整備が進むことで、物流が飛躍的に発展することが期待されています。

国をあげてeコマース市場の拡大に努めていることは、越境ECをフィリピンで行う上での大きな追い風といえるでしょう。

3-2-5.日本製品の評価は総じて高め

ASEAN各国はどの国も日本に対して好意的ですが、なかでもフィリピンは一番の親日国として知られています。

アウンコンサルティング株式会社が2017年に行った調査においても、「日本が好きですか?」という問いに対して「大好き」と答えたフィリピン人は 82%にも上っています。その比率はASEANトップでした。

かつて日本は東南アジアの地で連合国と戦争を行いました。その際フィリピン人をはじめ、ASEAN各国の多くの民間人が犠牲になっています。それでもASEAN各国が親日国であることは事実です。その理由については、また別の機会に紹介する予定です。興味がある方は、ぜひ調べてみてください。

世界的にも評価の高い日本製品ですが、さらにフィリピンはもともと親日国でもあるため、日本の製品に対する好感度は抜群です。日本製品というだけで「品質が高く安全」と信頼してもらえるため、モノを売りやすい環境がはじめから整っています。このことは越境ECにとっての大きな武器といえます。

ここまでフィリピンのEC市場がアツい5つの理由について紹介してきました。今はまだ現地企業が多いフィリピンのEC市場に、今のうちに進出するメリットには大きなものがあります。

でも、フィリピンで越境ECを仕掛けるには、知っておいた方がよいリスクもあります。そこで5つのリスクについて紹介しましょう。

第4章 フィリピンでの越境ECに伴うリスク

4-1.クレジットカードが普及していない

フィリピンのeコマース市場が発展していく上で最大の障害になっているのが、クレジットカードの普及率があまりにも低いことです。

フィリピンでクレジットカードを持っている人の割合は、わずか8.3%に過ぎません。日本のクレジットカード普及率205%と比べると、あり得ない低さです。

実はクレジットカードどころか、その前提条件となる銀行口座自体がフィリピンでは普及していません。フィリピンの銀行口座保有率は、世界銀行が発表した2017年版「金融包摂データベース」報告書によると34%です。

(もっともフィリピン中央銀行が2014年に行った調査では、世帯ごとのフィリピンの銀行口座保有率は14%に過ぎませんでした。世界銀行による2014年度の調査では31%とされています。両者の統計の取り方に違いはあるものの、年を追うごとに多少なりとも改善されていることがうかがえます。)
▶ 関連リンク:【フィリピン銀行口座事情】普及率わずか14%?独特なフィリピン文化とは

銀行口座自体が普及していない以上、クレジットカードの普及率がちっとも伸びないのは当然といえるでしょう。そもそも銀行口座がなくてはクレジットカードを作れません。

その理由を突き詰めていくと、フィリピンに横たわる経済格差という問題にぶち当たります。フィリピンの銀行口座は持つだけで維持費がかかるため、国民の大半を占める貧困層の人々には手が届かないのです。事実上、クレジットカードを持てるのは富裕層と中間層の一部に限られています。
▶ 関連リンク:なぜフィリピンは貧しいのか?今でも貧富の差が解消できない本当の理由

普及率が低いため、使用率も低めです。ましてフィリピンでは情報セキュリティに対する不安が大きいため、富裕層ほど個人情報をオンラインで入力することを嫌います。

クレジットカードの普及率と使用率を高めていくことは、フィリピン政府にとっての課題となっています。

4-2.現地のビジネスパートナーが必須

フィリピンで外国資本100%での事業を行うためには、払込資本金額で250万米ドル(2.74億円)以上を出資するという厳しい規制があります。そのためフィリピンでビジネスを始めるためには外国資本100%はあきらめ、代理人として活動してくれる現地パートナーを獲得することが一般的です。

越境ECを始める前に、信頼できる現地ビジネスパートナーを探す作業が必須となります。

しかし、ドゥテルテ政権下で外資規制緩和の動きが活発化しています。順調にいけば2018年中に、業種によっては20万ドル(3,000万円)で外資100%経営が可能になるかもしれません。

4-3.税関での不正

フィリピンは公務員の汚職が多いことで知られています。なかでも税関事務所は、フィリピンでもっとも腐敗した政府機関といわれています。

フィリピンに物品を持って入国する際によくあるのが、手続きを早めるためとの理由で税関事務職員に割増金を要求されるケースです。割増金を渡すことでたしかに手続きは早く済みますが、これは明らかに違法行為です。このような賄賂の要求には応じない方が賢明です。

税関での不正のすべてがなくなったわけではありませんが、ドゥテルテ大統領が不正に対して厳罰で臨んでいるため、最近ではかなり改善されています。税務・税関処理関連のリスクを回避するためには、現地パートナーや弁護士からの支援を受けた方がよいでしょう。

4-4.発展していない物流システム

フィリピンでは物流システムと国営の郵便局システムが、まだまだ発展途上です。そのため、商品の配達には民営の物流会社を使用した方が安全です。

また、着払いは避けた方がよいでしょう。着払いにすると、配達員が強盗の被害にあうリスクと、配達員が回収代金を着服するリスクが生じてしまいます。

さらに問題となるのは、都市圏以外への配達が難しいことです。フィリピンは多くの群島から成り立つ国です。地方に行けば行くほど、配達料も跳ね上がってしまいます。配達料のことを常に意識しながら、売るべき商品を選ぶ必要があります。

首都圏の交通渋滞については、ドゥテルテ政権下で大型インフラ整備が進められているため、物流システムは次第に発展していくことでしょう。

4-5.模倣品が出回ることも

チェック

中国ほどではないにしても、フィリピンでも模造品の製造は盛んです。2013年の模造品被害額は530億ペソ(約1107億円)に上っています。

多くの製品が模造され、オリジナルのブランド名をつけてオンラインショップや店頭で販売されています。自社製品がフィリピンで人気が出れば、模倣品が出回るリスクが増します。自社のオリジナルロゴやブランド名が盗用され、他社の製品で勝手に使われるケースもあります。

知的財産法専門の現地法律家の支援を受けることで、こうしたリスクを軽減できます。

今回紹介したフィリピン特有の5つのリスクについては、越境ECを仕掛ける前に事前に対策を用意しておいたほうがよいでしょう。

第5章 フィリピン越境ECの将来性

海外ノマドワーカー

今回はフィリピンを狙った越境ECが今アツい理由と、そのリスクと対策について紹介してきました。まったくリスクのないところには、ビジネスチャンス自体もありません。何をするにしても多少のリスクが伴うことは避けられません。

大切なことはリスクを恐れることではなく、予め十分な対策を施してから事に臨むことといえるでしょう。

中国のeコマース市場を狙った越境ECにしても、仕掛けた企業のことごとくが成功しているわけではありません。大きな利益を継続して叩き出している企業もあれば、採算がとれずに撤退した企業もあまたあります。

自社の業務内容に近い企業による中国での越境ECの成否について、深く検討してみることは有益です。その上で、フィリピンでの越境ECの将来性についても、長期的な視野で考えるとよいでしょう。

下のグラフはアジア主要国のEC売上げ規模を比較したものです。右端の青色がフィリピンです。

越境ECはフィリピンが今アツい!
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/fb62cc2ca58764b0/20170022.pdf より引用

ひと目見ただけでも、フィリピンのEC売上げが極端に低いことが見てとれます。最近のフィリピンの好調な経済成長率からしても、不釣り合いな低さです。

その理由については前章で紹介した通りです。現在の数値は低いものの、フィリピンのもつ潜在的なパフォーマンスからすれば、将来的な伸び代は十分に期待できます。

フィリピンのeコマース市場の最大の魅力は、まだ始まったばかりで発展途上にあることです。このことは短期的に見れば弱みですが、長期的に見れば強みです。

たとえ今すぐに期待するほどの売上げにはつながらなくても、今後eコマース市場が拡大するにつれて後から売上げはついてきます。

たとえば東南アジアに対していち早く越境ECを仕掛けた中国企業は、わずかの間に将来への布石をしっかり敷き詰めることに成功しています。

中国企業が進出してから3年も経たないうちに、東南アジアのeコマース市場はロシアに匹敵するほどの規模にまで急成長を遂げました。

中国企業からすれば、まだまだロシアのeコマース市場のほうが東南アジア全体よりも売上げが大きいものの、近い将来に逆転する可能性も大いにあります。

フィリピンのeコマース市場についても同様で、環境が整備されれば一気に拡大することでしょう。そのとき先行者利益を受け取れるかどうかは、まだ爆発前にあたる現在のフィリピンのeコマース市場を相手に、しっかり市民権を得られるかどうかにかかっています。

先にもふれた通り、ドゥテルテ政権下ではeコマース市場の発展こそがフィリピンがグローバル市場に参入するための一番の早道と捉え、インフラ整備を積極的に推し進めています。

まもなくインターネットは高速化し、オンライン決済のセキュリティも高まります。さらに物流システムの発展が、eコマース市場を拡大へと導きます。

eコマース関連の法規の整備も進んでいます。創業間もないeコマース事業に対しては、減税による奨励金制度も準備されています。海外企業の誘致も積極的に進められているため、様々な優遇措置を受けられそうです。

こうした背景を考えると、フィリピンのeコマース市場が近い将来に爆発的に拡大することは、もはや予定調和といっても過言ではありません。

越境ECはまさに、フィリピンが今アツいといえます。鉄は熱いときに打つのが鉄則です。百年に一度ともいわれる大きなビジネスチャンスをつかみに行くのか否かは、あなたの決断にかかっています。

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訪日観光きっかけの越境EC規模は約8000億円、半数以上を中国が占める

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斉藤 淳
当サイトの管理人 2012年に初めてセブ島に留学。以降、今までに複数の語学学校に留学&訪問。フィリピン留学を通じて「英語が伝わる楽しさ」をより多くの方に体験してもらいたいと思い、このサイトを立ち上げました。 英語留学前の方はもちろんの事、留学中の方、留学後の方にも役に立てる情報の提供を目指しています。 ・TOEIC(R):805点(L 430 R 375) ・TOEIC SW:280点(S 130 W 150)

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