私はこの秋学期からロサンゼルスにやってきた社会人留学生です。
いくつかの記事で、ここまでの経緯を簡単にご紹介してきましたが、今回はアメリカ留学中の収入についてお伝えします。
学生ビザの就労制限
まず初めに、アメリカでは留学生の就労は制限されています。基本的にアルバイトはできません。
ご両親が留学資金を保証してくださる学生さんは、アルバイトの心配などしないで将来のための勉強に集中すれば良いと思いますが、私のように社会人で自分の貯金からやりくりしている留学生にとって、この就労制限はかなり大きな痛手になっています。
「勉強をしにきたのだから、働くのではなく学びなさい」というアドバイスは、この物価高騰中のロサンゼルスで、自分でお金をやりくりしている人にとっては何のモチベーションにもなりません。
お金がなくなったら夢や目標を一旦諦め、休学などをして日本に帰るしかないからです。
ここでは、アメリカ留学生の就労に関する基本的なルールと、制限の中で働ける条件をご紹介した後、私が留学中の収入を維持するために行っている方法や現状についてお伝えしたいと思います。
条件付きの就労
基本的にアルバイトは禁止されていますが、いくつか条件付きで可能な方法があります。
私の学校の留学生向けの要項を基にご紹介します。
各学校のルールは違う可能性があるので、実際にアルバイトされる際はご自身の学校によく確認することをおすすめします。
学内アルバイト
F1ビザの学生には、条件付きで学内のアルバイトが許可されています。
学校の中の図書館や本屋さん、コンビニのような場所での仕事が例に挙げられます。
ただし、最初の学期から働くことは認められていません。
私は秋学期からの入学なので、この秋学期に最低でも12単位を、学校が指定する良い成績で取得できたという実績がまず必要です。
秋学期にこの条件を達成した場合でも、そこからすぐ働ける訳ではありません。
私の学校の場合、春学期に最低12単位を履修すれば週に20時間まで学内でアルバイトが可能であると記載されていました。
学内求人に応募できるようになるまでには各種申請が必要で、手続きに少し時間がかかるようなので、希望の職に就くためには早めに行動する必要がありそうです。
冬学期と夏学期の就労
学生ビザを維持するためには、8月末〜の秋学期と2月半ば〜の春学期を各4ヶ月間、最低12単位ずつ、1年間で合計24単位以上取得する必要があります。
一方、1月〜の冬学期と6月〜の夏学期はそれぞれ2ヶ月弱しかない短い学期で、1単位も履修しなくても学生ビザは維持できます。
そのため、多くの日本人留学生は、この冬と夏の間に日本に帰国して、日本で働くという方法をとっています。
もしくは、冬学期と夏学期にアメリカに残って留学を続け、それぞれ最低3単位ずつ履修すれば、週に40時間まで学内でアルバイトができることもあるようです。
私は今のところ、秋学期が終わったら日本に帰国して日本で働くつもりですが、もし冬学期に履修したい授業などが見つかった場合は、学内アルバイトに挑戦してみようと思っています。
OPTやインターンシップ
私の学校で取得できる学位や認定には「Associate Degree」と「Certificate」があります。
Associate Degreeは、その学科専攻において一般教養課程を修了したという準学士号のことで、アメリカではこの準学士号を使って4年制大学に三年次編入する学生が多くいます。
Certificateは、学位を伴わないもので、証明書や修了証明書、免許状などのことを指します。
学校に通った期間や単位数など、指定されている条件をクリアしてAssociate Degree かCertificateを取得した後は、その学科や専攻に関連した分野で最大12ヶ月間働くことができます。
これをOPT(Optional Practical Training)と呼びます。
各種条件などは、ご自身の学校で詳しく確認されることをおすすめしますが、私も今このOPTで経験を積むことを視野に入れて留学しているので、また詳細を後日ご紹介できればと思っています。
OPT以外にもインターンシップという方法があります。
一年間学校に通った後で申請できるものの他に、学校で履修しているコース課程にインターンシップが必須科目として含まれていることもあり、有給、無給などの条件もさまざまですが、こちらも将来的に私が楽しみにしているもので、現地で現場経験を積める機会です。
ここまで学校の留学生向けの要項を調べてみて、結局どの条件を見ても、私の学校で最初の学期に合法でアルバイトする方法はないということがわかりました。
次にご紹介する内容は、合法的に働ける別の方法です。
合法な留学中の就労
前回は、コミュニティカレッジの留学にかかる一年間の費用などについてもざっくりご紹介しましたが(前回記事はこちら)、もし私が4年間働かずに留学しようとした場合、400万円〜600万円×4年間という計算になります。
1,600万円〜2,400万円を、渡米する前に全て準備する必要があったということになります。
残念ながら私はそこまでの貯金を準備していないので、このまま留学を続けるならば同時進行で合法的に収入を得ないとなりません。
以下は、そのために私がこれまで調べてきた内容と、実際の体験談です。
日本の仕事を継続する
F1ビザ学生に制限されている就労は、「アメリカ国内での就労」です。
例えば、日本企業に属したまま留学し、給与が日本円で日本の口座に入ることはアメリカ側としては合法です。
日本にある不動産の賃貸収入なども、日本国内の銀行に日本円で支払われていれば問題ないでしょう。
そもそも留学生の就労制限は、「外国人にアメリカ人の就労機会を奪われないようにする」ために存在しています。
そのため、日本にある企業から依頼された仕事をしている分には、アメリカに住んでいるアメリカ人に向けた就労機会を奪っているとはみなされないので、アメリカ政府からすると問題がありません。
ただし日本での収入を得るためには、日本の現住所が必要であったり、日本の銀行に入った収入には、通常通り確定申告が必要で税金もかかります。
そのため、勤め先の企業での手続きや、住所変更の方法、税金支払い方法など、さまざまな項目について調査し、継続的な収入獲得の可否を確認する必要があります。
オンライン在宅勤務の求人
私の場合は副業も含めて日本でいくつかの仕事をしていましたが、留学中に現地で対応できる内容ではなかったこともあり、さまざまな状況を加味して、一度ほぼ全ての仕事を休職してから留学しています。
渡米前からクラウドソーシングやインディードなどで海外から在宅勤務可能な求人を探していますが、日本時間の9時〜17時で週5日勤務できる人が優遇されるものがほとんどです。
今のロサンゼルスの時間でいうと、17時〜夜中の1時まで働くことになります。学校では、午前中から午後の授業を履修するようにして、帰宅次第オンラインで働けばできないことはありません。
ただ倍率も高く、同じ条件であれば日本在住の人が優遇されているように感じます。
また、新型コロナウィルス感染拡大防止の特別措置がとられていた時期には、多くの日本企業で完全在宅勤務が可能な状況にありました。
今年は、感染拡大が収まって規制が緩和されているので、元々あった会社の定款や各種ルールの変更手続きをしないと、100%在宅勤務可能な就労体制を用意することが難しいという企業も増えています。
そのため、1日も出社ができない海外居住の応募者は、余計に受かりづらくなっているような印象です。
一方、クラウドソーシングなどには個人事業主の方からのオンライン上での仕事の求人も多いため、時間帯に指定がなく好きな時間に細切れで働いても良いという自由度の高い求人もあります。
ただ、大抵の場合就労に対して対価がとても低く、時給換算してみるとビックリするような値段に設定されています。
最初のうちは、自分の経験のある職種で自分の希望通りの対価を設定して求人を検索していましたが、「98%の確率で受からない」という状況に直面してからは、職種や対価にこだわっている場合ではないことに気付きました。
今は、ありがたいことに何名かの日本在住の個人事業主の方をオンライン上でお手伝いさせていただきながら、月に数万円稼げるようになりました。
留学資金を安定させるためには程遠い金額ですが、日本と時差が16時間もあるロサンゼルスでの状況を受け入れてくださって、お仕事をさせていただけることには感謝しかありません。
そうは言っても安定した収入があるかどうかは、今後、留学が続けられるかどうかに直接繋がる死活問題のため、渡米してからこの1ヶ月間で、毎日3件ずつくらいの求人に応募し続けているのが現状です。
掲示板の求人や注意すること
私が仕事探しをする際は、基本的にインターネット上の求人を検索していますが、日本で馴染みのある求人サイト以外に、アメリカには日本人向けの「掲示板」というものがいくつかあります。
「アメリカ 掲示板」や「ロサンゼルス 掲示板」などのワードで検索するといくつも出てきます。
このオンライン上の掲示板では、アメリカ在住の日本人の方々が情報交換をしているようですが、ごく稀に日本からの求人も掲載しています。
日本人からの求人で日本円で日本の口座に入金されるものであれば、アメリカの掲示板で見つけた求人でも違法ではない場合があると思いますので、継続してチェックしていきたいと思っています。
こうして、あらゆる方法を駆使しながら、法律の抜け道を探して働いている留学生もさぞ多いのだろうと想像します。
ただ個人的には、自力でビザを取得するまでにものすごい苦労をしたこともあり、ちょっと気が緩んで違法なことに手を出してしまった後の後悔の方が恐ろしいと感じます。
アメリカには、弱者を狙った詐欺グループのサイトも多数存在すると聞いていますし、何かを間違えて不法就労と判断された場合、いくら学生ビザの期限が残っていたとしても日本に強制送還されます。
そして、その後アメリカに最低10年間は入国できなくなってしまうそうです。
大切なことは、自分が何故留学しているのか、本来の目的は何だったのかを常に思い出して生活することだと感じます。
それと同時に、日本に居る間に計画していたような、いわゆる「夢物語」は、留学生となって現状を知るやいなや、ことごとく崩れていくのも事実です。
「必ずしも思っていた通りにはならない」という考えを前提に持ち、その上で自分の留学目的が本末転倒にならないように、自ら軌道修正していく力が、社会人留学生の生き抜く鍵になりそうです。
とにかく精神的にタフで居ることと、正しい情報を手に入れること、自分の責任でひとつひとつ丁寧に計画し進めていくことを肝に銘じて日々奮闘しています。
まとめ
私はロサンゼルスが大好きです。留学して良かったと心から思っています。
それでも、留学は「独り」です。不安だらけで失敗だらけなことは事実なので、綺麗事ばかりは言えません。
だからこそ、ひとつひとつ得るものも大きいと、こっそり未来の自分に期待して、またこれから地道に頑張っていこうと思います。
私の体験談が、これから留学をお考えの方、現在同じような境遇で頑張っている方の何かの参考になれば幸いです。