「~しなければ」や「さもなければ」等の意味を表す「Unless」「If not」「otherwise」「or」。文章で見ると意味は分かるけど、実際の英会話で使いこなすのは少し難しいですよね。
それぞれ同じ様に使える事もありますが、一体何が違うのでしょうか?
ジブリ映画を観ながら英文法を学ぶシリーズでは、実際にジブリ映画に使われているセリフをもとに、ネイティブスピーカーが使う英語のニュアンスと英文法を学びます。
今回は、「千と千尋の神隠し」から、「Unless」「If not」「otherwise」「or」の違いと使い方を学びましょう。
Unless~ ~しない限り・・・例外を表す
Unless SV・・・で、「SがVでない限り・・・」や「SがVでない場合・・・」を意味します。例外を伝えるニュアンスとして使われます。
ジブリの例を見てみましょう。
人間界から不思議な世界に迷い込んでしまった主人公の女の子、千。心細く泣いているところへ、ハクがやってきて、千に飴玉を食べさそうとします。嫌がる千にハクが言うシーンです。
英語訳:Unless you eat something from this world, you will disappear.
まず、「Unless」の後に続く文章「you will disappear.」を見てみましょう。
直訳で、「あなたは消える」ですよね。つまり、千が消えてしまうということです。
しかし、その文章の前にハクは「Unless you eat something from this world」と言っています。これは、「この世界のものを何か食べなければ」という例外を表す意味になります。
つまり、「この世界のものを何か食べれば、消えない」ということですよね。「you will disappear. あなたが(千)消えてしまう」ということの、例外を伝えるニュアンスで、「Unless」が使われています。
この文章では文頭にきていますが、「You will disappear, unless you eat something from this world.」と順番を逆にして言うこともできます。
We will have BBQ party at Saturday unless it rains heavy.
大雨が降らない限り、BBQをします。
Unless I had permission from my parents, I couldn’t travel alone.
両親の許可を得ない限り、一人で旅行に行くことはできませんでした。
if not~ もし~なければ・・・否定の条件を表す
”もし~なければ” という否定の条件を表します。
Unlessと似ていますが、ニュアンスの違いを意識して、ジブリの例を見てみましょう。
人間界から不思議な世界に迷い込んだ千に、ハクが説明するシーンです。
英語訳:If you don’t work, Yubaba will turn into an animal.
「If you don’t work」で、「もし、あなたが働かなければ」という条件を表す文章ですよね。
ここでは、「もし働かない」という条件であれば、湯婆婆があなたを動物に変えてしまうという文章です。
働けば動物にはならないですが、もしかしたら、ここで述べられていないだけで、他にも動物にされてしまう別の条件があるかもしれませんよね。
一方、この文章が「Unless you work, Yubaba will turn into an animal.」であれば、「あなたが働かない限り、湯婆婆が動物に変えてしまう。」となります。
これは、動物にされてしまう、唯一の例外が「働く」というニュアンスになるのです。
If notが”条件”を表し、”unless”が”例外”を表すニュアンス、掴めましたか?
otherwise~ さもなければ・・・を表す
「otherwise」の意味は複数ありますが、基本的に「other + wise」で、「別の方法」というニュアンを持つ意味になります。
意味の一つが、Otherwise SV・・・の形で、「さもなければ(別の方法であれば)、SがVする」、何かをしなかった場合に、起こりうる可能性を話すときに使われます。
ジブリの例を見てみましょう。
千と両親を人間の世界に戻すよう約束したハクが、千を連れて銭屋に戻ってきたシーンです。
どうやら、魔法の世界には決められたルールがあり、なかなか千を元の世界に戻そうとしてくれません。すると、湯婆婆の愛する息子が「もう(意地悪をするのを)やめなよ」と言い放ち、困った湯婆婆が慌てて弁解するセリフです。
英語訳:I’m just following the rule. Otherwise I can’t break the spell.
「I’m just following the rule.」で、「私はただルールに従っているだけ」という意味ですね。その後に「otherwise」が続いています。
ここでは「そうしないと」つまり、ルールに従わないと、という意味になります。
その後、「I can’t break the spell.」、「呪いを解くことが出来ない」と言っていますね。
この様に「otherwise」は、前に述べた事柄をしなかった場合、(ここでは、ルールを無視する事)起こり得ることを言う時に使われます。
We need to hurry up! Otherwise you will miss the train.
(急がないと!そうじゃないと電車に乗り遅れるよ。
Thanks for driving; otherwise I couldn’t go.
(運転してくれてありがとう。じゃないと行けなかったわ。)
命令文+ or~ さもなければ・・・を表す
命令文の後にorが続く形で、「~しないと」「さもなければ」という意味を表します。
例を見てみましょう。
ハクを助けに湯婆婆の部屋にやってきた千。湯婆婆の息子、坊に見つかってしまい遊んでほしいとせがまれています。後で遊ぶからね、と千はその場を離れようとしますが、今すぐ遊んでほしい坊が言うセリフです。
英語訳:Right now, or I will start crying.
「Right now」で、「今!」と命令していますね。その後に「or I will start crying.」と続くことで、「今遊ばないと、僕は泣き出すぞ」というニュアンスになります。
これは、
”命令文 + and” で、「~したら、~になる/~する」
“命令文 + or” で、「~しなかったら、~になる/~する」
という意味になります。
Take un umbrella, or you will get wet.
(傘を持っていかないと、濡れるよ)
Study hard, or you won’t pass the exam.
(しっかり勉強しないとテストに受からないよ)
まとめ
いかがでしたか。それぞれ日本語にすると同じ様な意味になりますが、使い方やニュアンスが少しずつ違いますよね。
実際のネイティブスピーカーも頻繁に使う、とても便利な単語です。
ジブリのシーンを例に、自分の日常に置き換えて練習してみてくださいね。