この記事ではスコットランド留学のメリット・デメリットと留学費用を、2022年に留学した元留学生が徹底解説します!
スコットランド地域は、ロンドンを有するイングランド地域に比べると印象が薄い方が多いかもしれません。
しかし、実際にスコットランドのグラスゴーへ大学院留学を経験(2022年9月〜12月)した私は、自身の経験を通して、スコットランド地域への留学を強くおすすめしたいです。
スコットランド留学を一言でまとめると「程よい都会で、日本に近い安全性を確保しながら英語を学べる留学」という印象です。ちなみに、読者の方々が留学先として選びやすいスコットランド地域の都市は、グラスゴーとエディンバラが挙げられます。
そのため、本記事では2大都市(グラスゴーとエディンバラ)を念頭においた、スコットランド留学についてまとめています。
本記事に目を通していただき誠にありがとうございます。私の名前はAnlii(アンリー)と申します。
現在、国際共同修士課程の学生として欧州へ留学しています。2022年9月〜12月まで、スコットランド地域のグラスゴー大学にて国際経済学を学んでいました。イギリスの中でも安心して留学できる地域として、スコットランド地域の魅力を共有できるよう記事執筆に取り組んでいます。
目次
スコットランド地域の魅力・基本情報
人口
スコットランド地域は、550万人弱が居住する地域です(参照:National Records of Scotland)。
イギリスのグレートブリテン島の北側半分をスコットランド地域として区分されます。ちなみに、ロンドンを有するイングランド地域は6700万人、ウェールズ地域は300万人、北アイルランド地域は190万人を有します(参照:Office for National Statistics)。
スコットランド地域の都市ごとの人口は以下の通りです。
・エディンバラ 50万人 (都市圏人口:90万人)
・アバディーン 20万人 (都市圏人口:49万人)
・ダンディー 15万人 (都市圏人口:26万人)
・ペイズリー 7万人
スコットランド地域GDPは$205 billion (約27兆円前後)と言われています。現代名数辞典を参照すると、名古屋都市圏ほどの人口規模と経済規模に似通っています。
言語
公用語として英語が普及しています。地域言語として、スコットランド方言やガーリック語(Scottish Gaelic)などが挙げられます。
スラングとしてこれらの地域言語が日常会話に組み込まれる場面も多々見受けられますが、留学生相手には標準英語を話します。
宗教
2011年に行われたイギリス人口調査(2011 United Kingdom Census)によると、
・キリスト教:53.8%
・無宗教:36.7%
が主流であり、他の宗教(イスラム教やヒンズー教など)の占める割合は1%台と少数です。
イギリスは国教がキリスト教であるため、スコットランド地域においても総じてキリスト教信者が多数派を占めます。そのため、キリスト教由来の行事など(クリスマスなど)は祝日として制定されています。
信教の自由が保護されているために、実生活において宗教に関する制限などは全く存在しません。
天気
Weather Sparkによると、スコットランド地域は年間を通して降雨が見られます。
イギリスは雨の多い気候で有名ですが、スコットランド地域も例外なく降雨は日常茶飯事です。
また、スコットランド地域は日本と同様に四季があります。ただし、季節の内訳は日本とは異なります(bookmundi参照)。
夏: 7月~8月(平均気温: 24度, 降水量: 62~99mm )
秋: 9月~10月(平均気温: 13~19度, 降水量: 35~38mm)
冬: 11月~4月(平均気温: -1~7度, 降水量: 38~148mm)
年間を通して湿度は日本平均と比較して低めです。
観光シーズンとしては、春・夏・秋が最適です。晴れ間も増え、日照時間は夏場なら夜9時頃まで明るいです。
対照的に、冬は極めて寒い上に曇りか雨の日が多くなります。日照時間は、午前8時から午後4時ぐらいまでと極端に短くなります。
雪に関しては地域により大きく異なり、私が在住していたグラスゴーは基本的に雨ですが、エディンバラでは積雪が観測されるほど雪が降ります。
スコットランド留学のメリット3選
実際にスコットランド地域へ居住した私が感じるスコットランド留学のメリットは大きく以下の3点です。
治安がいい
ロンドンと比較して治安は良好です。命の危険を感じることはまずありません。
街中のカフェでノートパソコンを席に置いたままお手洗いを利用する方々が多くいる程、社会秩序が日本社会に近いレベルで維持されていることを実感できます(推奨はしませんが)。
ロンドンなどではスリや置き引きなどが深刻な問題として話題になりますが、グラスゴーではそのような話を聞くことはありませんでした。
加えて、地元の方々も温厚で歓迎色が強いため、疎外感を感じることが少ないこともメリットとして加えられます。
グラスゴーやエディンバラは、国際都市として発展しているため、英語力などで人を判断する地元民は少ないため留学先として住みやすいです。
ナイトライフの充実
イングランド地域同様、パブ文化が定着しているスコットランド地域において、ナイトライフ(いわゆる「飲み」)は大変重要な社会活動です。
特にスコットランド地域は冬場に夜の時間が極端に長くなるため、ナイトライフの充実が生活の質へと直結しています。
読者の皆様にも、平日の夜から人であふれかえる市内のパブへと足を運んでいただくことで、スコットランド人の日常を体験していただきたいです。
週末になると、パブに加えてナイトクラブも選択肢として加わります。私は日本ではナイトクラブに一回も行ったことはありませんでした。
スコットランド地域のナイトクラブは、年齢問わず皆さまがダンスを楽しむための社交場として利用されています。
若者向けのクラブなどは、良くも悪くも「元気な」スコットランドの若者の様子を観察できる場所でもあります。
(前述した治安の良さも相まって、ナイトライフも貴重品管理をきちんとしていたら基本的に安全です。)
水がおいしい
この点は他のサイトなどでも取り上げられていない細かな点ですが、大変重要かつロンドンなどイングランド地域には「全くない」メリットです。
スコットランド地域(特にグラスゴー)は、水道水が近隣の山水を用いるため、本当に美味しい軟水です。
エディンバラ周辺は「中硬水」といって、軟水と硬水の間の性質です。
ロンドンなどは超硬水であるため、日本人のように軟水に慣れている方々は水を購入する必要性があります(お腹を下しやすい)。
スコットランド地域で水を購入することはまずありません。私は日本でも水道水を飲む機会はありませんでした。
ところが、グラスゴーに来てから水の美味しさを初めて実感しました。
また、水が軟水であることのメリットとして、「髪が傷みにくい」ことが挙げられます。日本からのシャンプーなど(軟水向けに開発製造されている)も継続利用が可能です。
水は決して欠かすことのできない存在だからこそ、無料で美味しい水が飲めるスコットランド地域は日本人にとって大変住みやすい地域です。
スコットランド地域への留学は、治安が良いからこそナイトライフも楽しむことができて、加えて日頃の飲料水にも困らない点が生活していくうえで心地よい点です。
スコットランド留学のデメリット
完璧な人間が存在しないように、完璧な都市も存在しません。以下は、私が生活していて感じたスコットランド留学(グラスゴー)における注意点です。
物価が高い
スコットランド地域に限らず、イギリスは物価が高いです。
ロンドンと比較したらグラスゴー・エディンバラは相対的に物価は安いです。ところが、日本と比較したら物価は高く感じます。
特に、外食(レストラン・ファストフード・パブなど)と生活雑貨類(100均で手に入るような費用対効果の高い製品)を私は高く感じていました。
ちなみにグラスゴーでマクドナルドを利用すると、セットは最低でも800円前後はかかります。
ところが、日本以上にとても安く購入できるものもあります。
それは野菜や果物類です。
スーパーなどに足を運ぶと、玉ねぎ・人参・じゃがいもが1kgで150円前後だったりします。自炊をすることで食費は大きく節約できます。浮いたお金を上手に工面することで、外食や旅行などを楽しむことが出来ます。
寒い・暗い・終始雨(冬季限定)
イギリスは天気が良くないことが小ネタとして挙げられますが、スコットランド地域も例外なく天気は良くないです。
高緯度地域のため、冬季はかなり冷え込みます。加えて日照時間は11月ごろから極端に短くなります(午前8時〜午後4時)。また、天候も冬季では曇天か雨天(エディンバラは降雪も)がほぼ毎日続くため、日中も基本暗く太陽光を浴びる機会はありません。
常に暗いということは精神的不調にも繋がりやすく、課題量の多い留学生活においてスコットランド地域の気候は泣きっ面に蜂のような存在です。
留学生のみならず本国出身の学生も精神不調を訴えやすいため、大学は口酸っぱく心理カウンセリングの受診を勧めています。
私も夜間時間の長い生活に当初は慣れるのに苦労しました。
ところが、考え方を変えるとナイトライフが長くなることを意味することに気付き、そこからは午後5時頃でも積極的に友人とパブなどに出向くなど楽しく生活することを心がけていました。
ちなみに11月頃からクリスマスマーケットなどが開催され始めるため、冬季もグラスゴーやエディンバラは楽しいです。
スコットランド留学の一長一短な点
個人の考えによって魅力にも注意点にもなりうる点もスコットランド留学には存在します。
スコットランド英語
スコットランド地域では英語が公用語として話されますが、スコットランド人の特徴的なアクセントは慣れるまで聞き取りに苦労します。
イギリス人でもイングランド地域出身者だとスコットランド英語は聞き取れないと言われるレベルです。
私の個人的な例えとしては、標準語の語彙・文法だがこってこての関西弁訛りという感じです。
スコットランド英語は、人情味溢れとても愛着がわきますが、会話には一苦労します。
スコットランド英語の発音をチェック!
世間で言われる「イギリス英語(イングランド地域訛り)」を習得したいと検討する読者様にとっては、こちらの点は注意点となるかもしれません。
ただ、メリットでも触れました通り、スコットランド人は大変優しい方ばかりのため、こちらが会話したいという姿勢を示せば何回聞き返しても怒りません(多分彼らも聞き返されることに慣れているかもしれません)。
一瞬怒っているように感じつつ、実は思いやりのある点からスコットランド人(特にグラスゴー人)は日本でいうと大阪人に近いです。ちなみに、エディンバラは留学生・観光客が多いため、やわらかいスコットランド英語として聞きやすいです。
パーソナルスペース
イギリス人は総じて見知らぬ人に話しかけることはしません。スコットランド人も基本的に他者のことを気にせず無干渉です。
その点は日本社会に似ており、日常生活において距離感の取り方は難しくないです。
ところが、パブなどで現地民と仲良くなりたいという方は少し注意が必要な要素でもあると私は実際に生活して感じました。
ナイトライフの盛んなグラスゴーでも、グラスゴー人は友人同士でパブやクラブに出向き、グループ単体で時間を過ごします。
そのため、スコットランド地域でナイトライフを楽しむためには、
・クラスメートと一緒に行く
・観光客が集まりやすいパブなどに出向く
ことが、最も簡単かつ人脈が広がりやすいです。
観光都市として機能するエディンバラのほうがその点では優勢です。
人に干渉しないという点は裏を返せば、一人でも全く誰も気にしないので、一人飲みなどでパブを利用することも私としてはおすすめです。
スコットランド留学方法
スコットランド地域への留学の選択肢は主に3択です。
- 語学留学
- 学部留学
- 大学院(修士・博士)留学
留学先としては、大都市地域が留学生にも住みやすいために、グラスゴーかエディンバラが候補となりやすいです。
私はグラスゴーにて大学院留学(2022年9月〜12月)を経験しています。
スコットランド留学の費用
スコットランド留学の学費
授業料は、留学の形態に加え、語学学校などは学校ごとに期間や受講数などで大きく値段の上下が予想されます。
本記事では、私が体験した大学院留学に関して情報を提供いたします。
スコットランド地域における大学制度には以下の特徴が挙げられます。
- 学部は4年制(イングランド地域は基本3年制)
- 院は他のイングランド地域と同様に基本1年制(2年制の院課程もある)
- PGT(Postgraduate Taught)とReserachが存在する
PGTは基本1年制で講義・ゼミ中心(学部の専門性を問わず1から専門科目を学べる修士課程も存在する)
Resreachは研究中心で2年制もある(学部の専門性との一貫性などが必要)
大学の学費はプログラム毎に設定されていて、人気度や評価度の高いプログラムになるとより高額な価格設定だったりします。
また、本国人とEU学生、またEU圏外の学生(国際学生)の各々に学費設定している過程も多く存在しており、総じて日本人含む国際学生は本国人の2倍以上学費を払う必要があります。
例としてグラスゴー大学の看板学問である金融学(Fincane & Management)のPGT課程の学費を掲載します。
UK(本国出身者):13,650ポンド(約200万円)
International & EU (国際学生とEU出身者):29,370ポンド(約460万円)
修士課程に限ると、1年分の学費で修士号を取得できるため、アメリカの名門大学院(2年制)よりかは費用対効果は高いといえます。
ただし、スコットランド地域に限らずイギリスは学費が高い地域です。海外留学を目指す方向けの奨学金制度などもぜひ検討してください!
スコットランド留学での生活費
グラスゴー大学のウェブサイト上では「ロンドンよりも33%も安価に生活ができる」と記載されています。
学費分を除いた生活費を月当たりに割ると、月1,000ポンドが平均的であると捉えられています(日本円換算:16万円前後)
特に大きな出費を占める分野かつ節約しにくい要素として「家賃」が挙げられます。
留学生は主にフラットシェア(2LDKや3LDKの部屋を複数人でシェアする形式)を選択します。他の選択肢も列挙しつつ、各々の予算について軽く記載いたします。
月400ポンド/6万円前後(安い)~月550ポンド/9万円弱(相場価格)
・民間学生アパート(キッチンのみ共有):
週130ポンド/20,000円~160ポンド/25,000円
月520ポンド ~ 650ポンド
・学生寮(大学所有): 1年契約のため短期滞在は基本入居不可
バスルームとキッチンが共有するタイプやスタジオ(ワンルーム)など多様な形式:
週130ポンド~250ポンド
年5,000ポンド~10,000ポンド
・スタジオ(ワンルーム): グラスゴー・エディンバラは住宅不足が喫緊の課題のため値段は極端に高くなる(私の友人でスタジオを借りている学生は1人もいませんでした):
月1,000ポンドは確実にかかります。
そのほかの生活費として「食費」や「娯楽費」などが挙げられますが、基本的にこちらは読者様の生活様式に大きく左右されます。
外食を行う際は、ランチ料金は最低10ポンド〜、ディナー料金は15ポンド〜となります。
また、パブのドリンクは、私の肌感覚として、
- ビール1Pint(パイント=500ml) 4~6ポンド
- ワイン125ml 5ポンド前後
- カクテル類6 ~ 10ポンド前後
と基本的に日本より高めです。
家賃などはどうしても安全面に直結する点であるため、費用面での妥協は難しいです。スコットランド留学の際は、食費などをうまく節約する楽しさを享受することもおすすめです。
スコットランド留学はどんな人におすすめ?
スコットランド地域(グラスゴー・エディンバラ)は「程よい」です。
関西地域に例える(私は関西に住んだ経験あり)と、宝塚・西宮・高槻・茨木といった中核都市に神戸や京都の都会度を混ぜ込んだような雰囲気です。
加えて、両都市共に英語圏ということもあり、観光客・留学生が極めて多く、国際都市としての側面も有します。
私は元々大都市の喧騒が苦手な性格です。人口規模と都会度の程度が適度なグラスゴーは、私でも住みやすい都市でした。
加えて、スコットランド地域(特にグラスゴー・エディンバラ)は多くのアジア人が定住先・留学先として選択する地域です。アジア人として生活することに全く不安要素がないことも、私としては安心して住める生活環境です。
以上の要素を踏まえて、私は以下のような方々にスコットランド留学をおすすめいたします!
- 大都市が苦手!
- 中核都市で地元民と近い生活環境で英語を学びたい!
- 留学生(外国人)に慣れている地域に住みたい!
- 物価が相対的に安い地域に行きたい!
- スコットランド英語に興味がある!
本記事を最後までご覧いただき誠にありがとうございます。
本記事を通して読者様にスコットランド地域の魅力を知っていただけたことを心より願っております。
スコットランド留学に関するQ&A
スラングとしてこれらの地域言語が日常会話に組み込まれる場面も多々見受けられますが、留学生相手には標準英語を話します。
イギリス人でもイングランド地域出身者だとスコットランド英語は聞き取れないと言われるレベルです。しかし、エディンバラは留学生・観光客が多いため、やわらかいスコットランド英語として聞きやすいです。留学するならエンディンバラがおすすめ!
例としてグラスゴー大学の看板学問である金融学(Fincane & Management)のPGT課程の学費を掲載します。
2023年~2024年コース
UK(本国出身者):13,650ポンド(約200万円)
International & EU (国際学生とEU出身者):29,370ポンド(約460万円)