私はロサンゼルスに今学期から留学中の社会人留学生です。
渡米前のさまざまな準備の中で、ともすると疎かになってしまうのが、保険に関する下調べだと思います。
なぜなら、実際現地でどのように使うのか想像が難しいことと、現地の保険会社をいくつも調べることが難しく、大して病気になったり事故に遭ったりしないだろうと予想して、日本の代理店にすすめられたままの保険に入ることがごく一般的な流れだと感じるからです。
今回は、私が実際に使っているアメリカの留学保険についてご紹介します。
留学生の医療保険
「保険」と一言でいっても内容はさまざまですが、まずは病気や怪我に対する医療費補助の保険が必須だと思いますので、今回は医療保険についてご紹介します。
こちらは、留学先の学校で指定の保険会社がある場合、学費の中に勝手に組み込まれているため選ぶ余地がありません。語学学校や短期留学などだと、自分で保険を選ぶことができますが、私のようなコミュニティカレッジの留学生でも、学校指定の保険会社がある場合は、自動的に、学校が指定した種類の保険に入ることになります。
私の学校はLewer Mark Student Insurance1という保険に入ることが義務付けられていて、保険料は、過去の記事「ロサンゼルス留学の魅力と1ヶ月の留学費用、留学生が教えます!」でご紹介しましたが、9月〜12月の秋学期で736ドルでした。
学校ウェブサイトの留学生募集要項で学費の詳細を確認したときに、内訳の中に「保険料」という記載があれば、おそらくその学校が決めた保険会社の指定のコースに入ることになると思いますので、事前にチェックしておくことをおすすめします。
「事前にチェック」と言っても、私は渡米前には金額をチェックしただけで保険補償内容の詳細まで確認することはしませんでした。私の場合、留学前から海外に出掛ける機会が多かったこともあり、日本で入っている終身保険や医療保険、クレジットカードに付随している保険などが海外でも対象になるものなので、あまり気にしていなかったというのが正直なところです。
例え留学生の保険で賄えたとしても、後から申請すると日本の保険会社からも負担してもらえることもあるそうで、それはかなり安心だ、ということを確認して終わりにしてしまいました。
ただ、「アメリカの医療費は高い」と散々聞いていたので、日本の主治医に留学することを説明し、できる限り多い量の常備薬を持参しました。一番気をつけたことは、5ヶ月間分の常備薬は大層な量になるので、入国審査や税関通過の際に違法と疑われないよう、日本のドクターから出された処方箋の控えや薬の説明書をまとめて持参するようにしたことでした。
さて、留学生に向けた最初のオリエンテーションは全部で3時間ほどありましたが、そのうちの1時間弱が保険に関する説明でした。正直、留学初日に難しい保険内容の詳細について説明をされても、全く聞き取れずに何を聞いたか覚えていません。
どうやったら保険を使えるのかだけは理解しようとトライしましたが、保険会社のサイトに入って留学生用の保険に対応している病院を見つけ、病院のサイトで予約をしてから、実際に受診するという大まかな流れがあることを理解するので精一杯で、どこで保険証を受け取り、どのように提示したり自己負担額を支払ったりするのかは全然理解できませんでした。
唯一、「歯医者は対応していません!!!」ということだけ何度も念を押されたので覚えていますが、大体の学生が「具合が悪くなったら考えよう」と諦めたのではないかと思います。
本当に具合が悪い時になって、つたない英語で医療機関や保険会社に一から問い合わせをすることは、それだけで余計に具合が悪くなるストレス量だと思いますので、これから留学される方や現在留学中の方には、元気なうちに調べて、必要な手続きを済ませておくことをおすすめします。
1https://www.lewermark.com/ Lewer Mark
アメリカの保険
ところで、アメリカには日本のような健康保険がないため、各自、それぞれ自分や家族で選んだ保険会社のプランに申し込みをして医療費を賄っています。ほとんどの医療保険に歯の治療は含まれていないため、大体の人は別途、歯の治療用の保険にも入っているようです。
私は定期的に日本に帰国するので、日本の健康保険料は支払いを続けています。次の帰国の際にもまた多めに薬を処方してもらえるように日本の主治医に頼んで、アメリカでの医療費負担を抑えられるようにしたいと考えていますが、もうひとつ、日本の歯医者にも行って定期検診をしてもらい、必要な治療があれば済ませてから戻ってくることも大切な項目になっています。
アメリカの医療保険の補償内容は各保険会社やプランによりさまざまですが、自己負担額の支払い方法は大きく分けて二通りあるようです。ひとつは、会計時に既に保険会社が負担するパーセンテージが引かれて支払う方法(copay)と、もうひとつは、先に全額を自己負担してから後で請求する方法(deductible)があります。アメリカの医療費は高いので、最初に全額負担するとかなりの出費になります。個人的には、copayがおすすめです。
さて、私は渡米してから3ヶ月間で、4回クリニックを受診しました。最初のひとつは学校内にあるクリニックです。オリエンテーションの際に全く理解できなかったので、日本から持参した常備薬がなくなったらどうやって処方してもらえるのかを確認するために受診しました。学校のクリニックの受診は学費で賄ってもらえるので無料ですが、そこで薬を処方してもらうと保険が効かない、ということも行くまでは知りませんでした。
日本のどの病院でも、初診の問診票があると思いますが、受診に差し当たって、アメリカでも同じようなものを記載、もしくはオンライン上で入力していく必要があります。馴染みのない病名や症状が英語で羅列されていて、全く分かりません。私はいつも諦めて、適当に記入して受診してしまっていますが、ひとつひとつ調べて正確に入力しようとすれば、かなり時間がかかるので、受診予約時間よりも15分以上は前に来院することをおすすめします。
実際の体験
以前の記事『現地とのコミュニケーションについて・・・たらい回しの刑?』で、この学内クリニックの受診の際に発生した性別に関するハプニングをご紹介しましたが、その後、初めて学外のクリニックを受診した際に、「健康保険の情報は必ずしも正しいかどうか分からない」ということがよく分かりました。
間違って登録された性別は、学生課で修正変更してもらってから学外のクリニックを受診したのですが、いざ薬を受け取ろうとした際に、またハプニングが発生して、結局その日のうちに薬を受け取ることはできませんでした。
学校のクリニックの先生には、私に必要な常備薬が保険対象になるかどうかを事前に質問してみましたが、保険会社に直接聞かないと分からないという回答をもらいました。
とりあえず、どれくらいの値段になるのかを調べるために、学校で教えてもらったサイトから近くの病院を探し、手軽なクリニックを予約をして受診しました。
初診料は保険対象で20ドルでした。こちらが高いのか安いのかは、よく分かりませんでしたが日本でも初診料は同じくらいの金額だと思い、納得して支払いました。(後から気づきましたが、こちらの金額は保険証に記載されていました。私の保険の場合は、診察料は毎回20ドルのようです。)
保険証のトラブル
次に、隣の薬局で薬を処方してもらいました。日本では処方箋の紙を持って薬局に行くのが一般的ですが、こちらでは受診の際にどの薬局にするかを受付の人やドクターから聞かれて、指定した薬局にオンラインで処方箋が届く形になっています。
先述したようにアメリカでは各個人が入っている保険の内容がさまざまなため、処方された薬がその患者さんの入っている保険の対象になるかどうかを、毎回、薬剤師さんが保険会社に確認する作業が必要なのですが、私が提示した保険証番号と私の住所や名前が、保険会社の情報と一致していないので私を特定できないと言われてしまいました。
ちなみに、日本で想像するような保険証は、学校からは送られてきません。代わりに、学校からメールで送られてきたオンライン上のリンクからログインをすると、自分で印刷したりスクリーンショットを撮ったりして保存できる状態になっている保険証のデータを手に入れることができます。
そのデータには名刺サイズの枠がふたつ囲ってあり、その中に各種情報が記載されていて、ひとつは保険証番号と私の名前、学校名に加え、保険料自己負担額の詳細情報が記載されている「表面」のようなもの、もうひとつは各種問い合わせ先などが記載されている「裏面」のようなものが記されています。
保険番号は、情報学校に登録している米国の住所と紐づいている必要があり、予約の際の入力項目や問診票に記載する住所がそれと一致することが必要です。ところが、私は学校に登録している住所や名前などでは保険番号が特定できませんという状況になってしまいました。
何度確認しても自分の登録住所に間違いはなかったため、薬局から学校の留学生担当課に電話をすることになりました。(こんな時のために、学校の各主要部署の電話番号は携帯電話の電話帳に登録しておくことをおすすめします。)
幸い、薬局に行った時間は学生課が稼働している時間帯だったので電話が繋がり、事情を説明して調べてもらいましたが、学校側でも登録は間違っていないという結果になり、誰も理由が分からないまま、保険会社の回答を待つことになってしまいました。
薬局で受付をしてから1時間以上経ってから、最終的に二つの間違いがあったことが分かりました。まずは、薬局が電話していた保険会社の電話番号が違っていたこと、次に、正しい番号に電話した先の担当者が、私の保険証番号をコンピューターに入力する際に、誤って一桁足りない状態で入力していたことです。
全てが解決した時点では、2時間近く待たされていて、文句を言う気力も全く無くなっていたので、「なんだ、良かった。ありがとう」と言って終わりにしましたが、さすが?アメリカ???という体験でした。
保険証情報が正しいかどうか分からない、情報が正しくても現場で誤って登録されることがあるという体験を経て、アメリカでは一回で引き下がらずに気長に待ち、自分が正しいと思ったら相手に伝わるまで諦めずに詳細を確認してもらことが大切だなと感じました。
終わりに
今回私が処方してもらった薬は、日本でも高額な薬なのですが、種類によってはアメリカの方が安く手に入ることも分かりました。病気にならずに健康に過ごせることが一番ですが、せっかく736ドルも保険料を支払っているので、出来るだけその恩恵を受けられるといいなと思います。
ちなみに、コロナウィルスのワクチンとインフルエンザのワクチンも無料で打ってもらうことができます。基本的にほとんど全ての人に対して無料だと聞きましたが、薬局で確認してみたところ、保険から賄っているとのことでしたので念のために接種しておきました。
日本では既にインフルエンザが流行っていると聞きましたが、ロサンゼルスもだいぶ寒くなってきました。友人が通っている別の学校では、風邪かコロナか分からない症状の学生が多発していて、授業を休んでいる人も多いそうなので、節約しつつも健康的な食事と運動を心掛け、この冬を乗り切りたいと思います。