「フィンランド」と耳にしたときに、みなさんは何をイメージしますか?
北欧家具やマリメッコなどのおしゃれな北欧デザイン、ムーミンや最近ではサウナも日本では有名ですね。
そんな北欧の国フィンランドへの留学ではどんなことが出来るでしょうか?
本記事では、1年間交換留学でフィンランド留学をした私が、「フィンランド留学」の魅力や実際の留学費用についてご紹介します。留学を検討中の方は是非ご覧ください。
なお、私がフィンランド留学をした際の手順と留学費用は、記事の最後のFAQに書きました。
・2014年8月から1年間、フィンランド国内の大学に交換留学
・居住地はヘルシンキ市とヴァンター市
・留学先では社会教育分野を専攻し、市内小学校やインターナショナルスクール、青少年センターにてインターン
・自身の研究目的(スポーツ実施率と幸福度の関係性)で市内のスポーツジムやサークルへのインタビュー
・留学資金はトビタテ!留学JAPANの給付型奨学金を使用(一期生:多様性人材コース)
目次
フィンランドってどんな国?
フィンランドは北ヨーロッパに位置する北欧諸国の1つです。
公用語 | フィンランド語・スウェーデン語 |
首都 | ヘルシンキ |
人口 | 約550万人 |
通貨 | ユーロ |
時差 | JST-7(日本の方が7時間早い) |
宗教 | フィンランド福音ルター派教会(国民の約8割が会員) |
フィンランド留学とはどんな留学?
まず、フィンランド留学とはそもそもどういうものかについて説明します。
私は大学3年生の後期から4年生の前期までの1年間、交換留学を使用しフィンランドのラウレア応用科学大学で社会教育を専攻し、スポーツと幸福度の関連性について学びました。
フィンランドは国際的に見ても福祉・医療、教育、ワークライフバランス、政界の男女が発達している国と言われています。そして、幸福度を示す幸福度ランキングでも5年連続で1位となっています。
これは世界149カ国・地域を対象に集めた統計で、最新版での日本の順位は54位と先進国の中でも低い順位となっています。
このように、日本や世界と比べて先進的な取り組みをしているトピックを学びに、フィンランドへ来る学生が大半ではないでしょうか。
私が留学していた当時、仲良くなった学生も、教育や福祉の「世界一」「先進的な取り組み」を実際に体感、経験しに来ていた人がほとんどでした。
興味のある分野で面白そうな取り組みをしているものがフィンランドにあるのなら、是が非でも一度訪れてみることを強くおすすめします。
実習の授業では現地小学校で放課後教室のクラスを担当しました。
フィンランド留学のメリット3選
とはいえ、留学や海外での短期〜長期滞在は不安な面もあるかと思います。
私自身、フィンランド留学が人生で初めての海外&長期滞在となりましたが、その中で感じたメリットをお伝えします。
①犯罪発生率の少なさ
海外旅行や留学を考えるときに、スリなどの犯罪に巻き込まれないようにするのは一般的かもしれませんが、フィンランドではそのような心配も最低限で済みます。
必ずしもそういった犯罪に巻き込まれない!とは断言できないので、出来る限りの防犯意識や対策をすることはありますが、ビクビクしながら生活することはありません。
私自身、首都であるヘルシンキに滞在していましたが、財布のスリや落とし物を盗られたことは一度もありませんでした。(参照:フィンランドが安全な理由)
しかし!サウナの脱衣所や共同のランドリーでの置き引きなどは特に注意が必要です。フィンランド人以外にも外国人が多く出入りする所では、トラブルに巻き込まれることもあるので注意が必要です(筆者経験談)。
②フィンランド人はマルチリンガル
海外での生活において「言語」での不安を感じる方は多いのではないでしょうか?しかも、フィンランドは非英語圏となっていますが、こちらもご心配なく。
公用語はフィンランド語とスウェーデン語ですが、ほとんどのフィンランド人は英語を話すことが出来ます。
全ての人が平等に教育を受けられる環境のため、駅の売店にいるおばあちゃんでも英語で会話することが出来ました。大体小学2年生あたりから英語の授業を受け、その他にも隣国であるドイツ語も習得する人が多いそうです。
また、フィンランド語が話せると一気に距離が縮まるので、挨拶や相槌だけでも覚えておくといいでしょう。発音やスペルが独特なので、興味のある方は現地で友達を作って教えてもらうと言い回しや若者言葉もより分かりやすいです。
飲み会や学校のイベントでたくさん出会えるので気の合う友達をぜひ見つけてください!
③パスポートなしで隣国へ
フィンランドと同じくEU加盟国であるスウェーデンやエストニアにも気軽に旅行に行けます。飛行機でも行けますが、おすすめはフェリーです。
学割などを使用すると破格の値段で移動出来ますし、乗船中も楽しめる催しがあるので時間に余裕のあるひとは海路がいいでしょう。
ちなみにフィンランド人もエストニアにはよく行きますが、空のスーツケースを持参します。それはなぜでしょう??(ヒント:フィンランドは酒税がとっても高い)
番外編
日本国内でも「サウナ」がブームになってますが、そもそもサウナはフィンランド語で、フィンランドが発祥とも言われています。
サウナ好きにとってはまさに聖地とも呼べる場所ですが、フィンランドの歴史や文化に触れるという意味でもサウナは
欠かせないものになっています。
日本で言うところの銭湯のような交流の場になっていたり、憩いの場として広く愛されています。
それぞれのサウナでルールが違ったりするので、「日本でたくさん入っているから」と天狗にならず、本場のスタイルにじっくり浸り本物を体感してみてください。
セット数も水風呂もなしで、片手にビールを持ちながら外気浴で喋りこむ、なんてことも楽しめます。ヘルシンキ市内にも公衆サウナはあるので気軽にふらっと行けるでしょう。(ちなみに留学当時住んでいた学生アパートにもサウナはありました)
フィンランド留学のデメリット2選
さて、ここまで「フィンランドの良い所」を紹介してきましたが、少し気になったところや気をつけておくべき所もお話しします。
①物価が非常に高い
フィンランドの通貨は「ユーロ」です。現在(2023年1月中旬時点)の為替は1ユーロ139.44円となっていますが、気をつけるべきはその物価、消費税です。
フィンランドは福祉大国、教育無償化と住んでいる人にとって非常に有益な税金の使い方をしていますが、その財源にもなっている消費税は22%です。
モノによってはもっと高いものもあるでしょう(お酒やタバコなどは特に)。
私は大好きなコーラを買う時でさえ、ご褒美の時以外はコカコーラは買わないようにし、割安な他のメーカーを買っていました。そのくらい高いのです。
生活費や交際費など支出はよくよく考えながらお過ごしください。
②北欧だからこその極夜と白夜
フィンランドで”生活”をする上で最も欠かせない極夜と白夜。
極夜は「太陽が昇らない日が続くこと」白夜は反対に「太陽が昇りっぱなし」と覚えれば分かりやすいかと思います。
まさにその通りで、フィンランドの冬は氷点下20℃まで下がる外気よりも、全く太陽と出会えない極夜の方が大敵でした。
寒さは10月下旬あたりから徐々に下がり始めるので次第に慣れますが、太陽が昇らない事による心身の疲れや生活リズムを保つことは非常に困難です。
私が滞在していた年の11月の合計日照時間は30分。1ヶ月のうち30分しか太陽と出会えなかったのです。その結果、夕陽を拝めた時は涙が出るほど嬉しかったのを覚えています…。
この期間は、「時計を24時間表記にする」「暗くてもアラームが鳴ったら起きる」「ビタミンDのサプリメントをしっかり食べる」ことを忘れずに。
夜寝る時と朝起きた時が同じくらい暗いので、本当に朝になったのか疑いながら起きることになるのと、光合成が出来ないため体内で不足するビタミンDを摂取するためです。
鬱に近い状態になってしまう時もありますが、自分が楽しめることを少しでも続けることや、現地の友人と遊ぶことはリフレッシュになるので億劫にならずに頑張ってください。
そんな真っ暗な冬を脱すると今度は「いつ寝たら良いのか分からない!」くらいフェスやイベントが昼夜問わず頻発する白夜が始まります。
遮光カーテンがないといつまでも明るいので今度は寝にくくなりますが、冬眠が明けたかのように町のあちこちでイベントが開かれます。
夜も夕焼けくらいの陽は差しているので、夜でも安心して外でランニングも出来ます。
このようにデメリットとして書きましたが、せっかく留学するなら日本では体験できない極夜も白夜も実はメリットに見えてきますね。
極夜の時のオーロラやクリスマスイベント、5月のVappuは盛大に盛り上がるのでぜひ!
番外編
そのほかにも時差が8時間近くあったり、食事の向き不向きなどありますが、総じてその国の文化や歴史なので、毛嫌いせず触れてみて欲しいなと思います!
季節や祭事で食べられるデザートなどもスーパーで見かけるので、調べながらチャレンジしてみてください!
ちなみにイースターで見かけるマンミはなかなかのビジュアルをしてます。
興味のある方はこちらをチェック→マンミのウィキペディア
フィンランドの留学方法
大学生の場合
在学している大学での交換留学が一般的かと思います。
学内のコーディネイターや担当教員の方と協力して留学先の授業や生活基盤などを整えていけるので段取りも組み易いです。
学内に留学経験者がいるとより現地の情報や雰囲気なども掴み易いでしょう!
また、留学が決定すると留学先からチューターと呼ばれる現地の学生と、渡航前からメールのやり取りなどが始まります。学校生活のサポーターとして困り事や相談に乗ってくれたり、学内のイベントなどを紹介してもらえます。
現地の学生との架け橋にもなるので色々と話してみると良いですよ!
その他にも、言語習得を目的とした語学留学、学位取得を目的とした学位留学、留学したい大学と在籍大学間に協定がない場合でも個人で出願が可能なVisiting Student & Free Moverが選択肢としてあります。
短期のサマースクールもありますが、何を、いつ、どこで、どのように学びたいor経験したいのかをまずは考えてみましょう。
詳しく調べたい方は下記リンク先をおすすめします。
留学の種類、費用、出願方法など:トビタテ!留学JAPAN留学ガイド
文部科学省の給付型奨学金でも有名なトビタテのページ
自分で留学プランを計画し、現地インターンやはっきりとした留学の軸と意志がある方には打ってつけの奨学金になります。筆者も当時1期生として大変お世話になりました。
フィンランド国内の大学、応用科学大学リスト:studyinFINLAND
13の大学と22の応用科学大学のエントリーが出来ます!
※フィンランドの大学には学術研究を深めるための「総合大学」、実務経験を重視する「応用科学大学(ポリテクニック)」の2種類があります。
社会人の場合
社会人であっても留学は可能です!各大学で開かれるスクールや留学の要綱をよく調べ、条件や目的に合ったものを探し当てることが出来ればあとは熱意を乗せて出願しましょう。
フィンランドでは、社会人になった後もスキルアップや必要な資格を取るために大学に通う人も少なくありません。生涯学習とはまさにこのこと!と言わんばかりにキャンパスには様々な年代の学生がいました。根気強く調べ尽くしてみましょう。
また、2022年5月に念願のワーキングホリデー協定が両国の間で結ばれました!
まだ正式な開始日などは発表されていませんが、社会人であっても条件を満たしていればワーキングホリデーとして渡航することが可能になります。
働きながら自身のスキルアップ、経験値を高めることが出来るでしょう!
フィンランド留学に最適な都市
ヘルシンキ
国内最大にして最も古い歴史を持ち、国際大学ランキングでは常に上位100位以内に入っているヘルシンキ大学、科学・ビジネス・アートの3つが併合して出来たアールト大学をはじめ、4つの総合大学と6つの応用科学大学があります。
首都のため空港や他の都市部とのアクセスも整っており、イベントや観光地も数多くありますが、少し歩けば湖畔や森が広がり、圧迫感を感じない都市設計で非常に快適です。
市内外は公共交通機関が張り巡らされているので、車を持たずともどこにでも行けるようになっています。
タンペレ
テクノロジーや健康、社会学に強みがあるタンペレ大学の他に、国内で最も大きい経営工学とマネジメント学部を有するラッペーンランタ大学が近くにあり、その他2つの応用科学大学があります。
タンペレはフィンランドの第2の都市と呼ばれ、ヘルシンキからも電車で1時間半で来ることが可能、その中でもファンには堪らないムーミン美術館や、世界中のサウナファン憧れのサウナの聖地とも最近では呼ばれるようになったフィンランド発のカルチャーに触れられる街です。
その他、中世の雰囲気が残る古都トゥルクにあるトゥルク大学なども有名です。大学によっては、総合大学と応用科学大学があるものもあります。
フィンランド留学に関するQ&A
①留学先の学校、コースを選ぶ
自分が行きたい大学を調べ、どのコース(学部)にするか決めましょう。先述したstudyinFINLANDから調べたり、在籍している大学の担当課に問い合わせ、交換留学先のコースなどを確認し出願方法を調べましょう。
フィンランドの大学は9月スタートが多く、その場合は前年度の秋頃から1月頃までの期間に出願の受付期間が設けられます。なので、遅くても約10ヶ月前から準備を始めなければなりません。
私の場合は大学3年の9月から留学を希望していたので、2年生の後期には大学の留学担当課に出向き準備を始めました。
②出願書類の作成
行きたい大学が決まったら、その学校が求める出願書類を揃えます。各大学により様式や時期が異なるので熟読し、間違いがないよう準備しましょう。
③出願
書類が揃ったらいよいよ出願です。締切日などしっかりチェックし、間に合うように出願しましょう。出願の受付期間は、11月頃〜1月ごろのいずれかになる場合が多いです。
④入学審査の結果・入学申請
審査結果が届き、入学許可が降りたら入学申請を行います。住居や手続きに関しては留学先の大学側から連絡があるので、それ以外のパスポートやビザの申請を各自で行ってください。
⑤必要な申請手続き
渡航やビザの発行に必要な手続きを進めます。パスポート、航空券、保険(ビザによって規定がある場合があるのでよく調べる)ビザの申請、クレジットカード、外貨、必要があれば奨学金など。
*交換留学の場合は手順が異なる場合があります。私の場合、学内選考を経て留学が決定したのは4月でした。そこからパスポートやビザの申請、留学先とのやり取りを行っていました。在籍大学によって募集時期が決まっていると思うので、学内の情報を随時チェックしましょう。
2017年からEU圏外の学生には授業料がかかるようになったので、教授の言語が英語で学部生の場合は授業料が発生します。
院生の場合は言語問わず無償とのこと。
<内訳>
学費:4000~18000€(学校によって異なります)
学生自治会加盟費:80~100€
生活費:6720€(月額560€×12ヶ月分)
→居住許可の発行に必要です。毎月使い道が自由な560€があることを
照明出来るよう口座に準備しなければなりません。
ビザ発行の際にも確認されるので、留学の時に使用する口座に現金を用意しておくか、奨学金などの証明書(交付額が記載されているもの)を
準備してください。
参照:https://migri.fi/en/income-requirement-for-students
ビザの発行:350~450€
航空券(予約する時期によって多少変動します)
200,000~400,000円
パスポートの発行
11,000円(5年間有効)
16,000円(10年間有効)
その他、留学保険(ビザ発行、居住許可証のところで必要な補償額に合致するもの)、パスポート発行の際に必要な戸籍抄本(本籍がある市役所などで発行)があります。大使館に行く必要もあるので余裕を持った準備を心がけましょう!
筆者は渡航2日前までビザが届かず大変焦りました(笑)加入した保険が必要条件を満たしているのに、英訳が上手く伝わらず、何度も大使館とやり取りをした覚えがあります・・・。
奨学金のご紹介
主要な奨学金がこちらのサイトにまとめられていました!
>>日本学生支援機構
また、留学先のフィンランドの大学にも奨学金がある学校があるので、志望校の出願の際に同時に調べてみてください。
博士課程で留学希望の形には博士課程資金(DOCTORAL FUNDING)を申し込むことも出来ます。こちらも上記リンクから詳細をご確認ください。
その他様々な情報は下記サイトをご参照ください。
フィンランドセンター:留学ガイドマップ
トビタテ!留学JAPAN:国・地域別留学ガイドフィンランド