私はロサンゼルスに留学中の社会人留学生です。今回は、留学前に日本で実施した英語試験の受験体験や短期間で点数を上げる勉強法についてご紹介します。
目次
留学前の英語試験と受験体験の感想
TOEICとTOEFLの棲み分け
私は日本の大学で英語のクラス分けをする際に受験したとき以外、英語の公式試験とは無縁のまま暮らしてきたのですが、近い将来に留学を考えている方は、とにかくできるだけ早く受験することをおすすめします。
受験できる日程が限られていることだけでなく、受験後に公式スコアが発表されるまでの待ち時間や、留学先の志望校まで公式スコアを送信してもらう手続きなども必要になるため、時間がかかるからです。
今すぐに留学する訳でない場合にも腕試しでまず受験して、どこが足りていないのかを知ってから戦略を考えていく方が早く高い点数が取れるようになると感じます。
私はこれらの試験に関して全く知識のないまま、直近で受験できるものを手当たり次第に申し込んだので、留学を決めてから渡米までの半年間で3種類の試験を計4回受験しました。
1月にTOEIC TOEIC-SW*(Speaking and Writing)S:140点W:140点
2月はTOEFL-IBT ( Internet-based Test )68点
3月末にTOEIC Listening and Reading** (LR)の1回目で675点
6月初めに2回目のTOEIC-LRが800点
という順番でした。
ちなみに、私は何も知らずに受験してしまったのですが、この中でもTOEIC-SWは就職活動のプロフィールなどに役立つかもしれませんが、留学にあまり関係がなかったので今回は細かくご紹介しません。
2007年から始まったわりと新しい試験ですが、全3種類の中では一番手軽な印象で、スコアも取りやすかったです。ただ受験会場では到着した順に各自試験が開始され、自分のすぐ近くで別の受験生が大声で回答している環境下での受験でしたので、それにめげないことが重要でした。
各学校や目的により必要な試験は異なると思いますが、基本的には留学する人がTOEICを受験する場合は、「LR」を選ぶと良いと思います。
【*TOEIC Speaking and Writing】
https://www.ets.org/toeic/test-takers/about/speaking-writing.html
【**TOEIC Listening and Reading】
https://www.ets.org/toeic/test-takers/about/listening-reading.html
TOEFLを受験した感想
受験してみた感想として、TOEFLは現地の大学生活で必要になるアカデミックな内容が多く、能力が追いつけば留学先で大いに役に立つ試験ですが、初心者にとっては恐ろしく難しい内容だと思います。
選択問題を選んでいくだけではなく、実際にその場で自分の声を録音してスピーキングの問題に答えたり、キーボードをタイピングしてエッセイを書いたりします。大学の授業内容は専門用語が多くて例え日本語でも難しいものだと思うのですが、それが英語で試験問題になっている高レベルなテストでした。
更に、私が受験した頃は受験時間も4時間という長さで、途中で一回集中力の限界に達した記憶があります。ちなみに、日本では2023年7月26日から受験時間が2時間へ短縮され、結果発表も早まるように改正された*ようですので、少し受験しやすくスコアも取りやすくなったのかもしれません。
【*TOEFLテスト短縮について】
https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/toefl_ibt/faq1.html
TOEICを受験した感想
一方、TOEICはマークシート型の全問選択問題なので、最悪当てずっぽうでも答えることができます。ただし出題集が多いので、時間内に終わらせるためには「TOEIC用の勉強」をする必要があると思います。
ちなみに、留学=TOEFLというイメージが多いと思いますが、多くの大学やコミュニティカレッジではTOEFLだけだなく、TOEICのスコアも出願条件として設定されています。
大学生活で困らないようにアカデミックな英語の準備をするためには、もちろんTOEFL受験は必須だと考えますが、難しさにやる気を失いそうになったら、TOEICで点数を稼ぐという手もあると思います。
日本からの留学先としても有名な大学のUCLA(University of California Los Angels)には、現地で働く機会を得るために9ヶ月間で必要な知識と技術を身につけるExtentionという社会人向けコースが開校されています。
私が2023年前半に留学先を検索している頃の情報では、UCLA extentionの出願条件のTOEIC LRスコア*が685点で、TOEFL-IBTの80よりは早めに手が届きそうなスコアに設定されていました。
また UCLAだけでなく、UCI(アーバイン)やUCSD(サンディエゴ)などの別校もあるのですが**、それぞれの学校で必須スコアが変わるので、UCLAの点数に届かなくても条件の低い別校でチャレンジすることができるかもしれません。
なお、日本にある外資系企業の就職にもTOEIC 800点以上〜などの最低条件が設けられているので、受験しておくと将来的に何かと使えるプロフィールにもなると思います。
【*UCLA英語試験スコア】
https://www.uclaextension.edu/certificate-programs-international-students/academic-requirements
【*UCI英語試験スコア】
https://ip.ce.uci.edu/academic-success-programs/asap/asapcsltrack/
【**UCキャンパス】
https://www.universityofcalifornia.edu/campuses-locations
TOEFLの申し込み時に気をつけること
さて、そうは言ってもTOEFLを受験される方の方が多いと思いますので、留学に際してTOEFLを受験される場合の情報を少しご紹介します。
多くの方は、出願条件のスコアを志望校に証明するために受験すると思います。その場合忘れてはいけないことは、公式スコアをTOEFLの機関ETS (Educational Testing Service)から直接現地の学校に送ってもらうための手続き*です。
自分の手元に届くスコアは単なる「控え」なので、公式スコアとしては受け付けてもらえないため注意が必要です。
TOEFLを受験するにはオンライン上でアカウントを設定し、必要事項を入力して申し込み、支払いを済ませるのですが、受験日の前日夜22時までに手続きをすると、志望校へ送る公式スコアレポートを4枚まで無料で申し込むことができます。それ以降は料金が発生するので、志望校が決まっている場合は、受験前に必ず申し込むことをおすすめします。
大体の場合、志望校の留学生出願条件が記載されたページに、英語力の証明についての記載があり、Designated Institution Code(DIコード)もしくはInstitution Codeと表記された4桁の数字、または4文字の英数字を見つけることができるはずです。自分のTOEFLアカウントページに、このコードを入力して受験日の前日指定時間までに申込手続きを済ませるようにしてください。
なお、試験時間の短縮により今後変更があるかもしれないので、正式な内容は公式ホームページなどで確認が必要です。
私が受験した頃は「テスト日の約11日後に発送され、アメリカには『発送後7-10日』で届く」と記載されていたので、公式スコアを志望校に提出できるのは、受験日から数えて3週間後以降になります。
【*公式スコアの送信法】
https://www.ets.org/gre/test-takers/general-test/scores/send-scores.html
https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/toefl_ibt/scores.html#pagelink07
実際に行ったTOEFL勉強法
私はTOEFL受験日までに勉強する時間が2週間程度しかなかったのですが、リスニングとスピーキングはほぼ自力に賭けました。単語力が乏しいので、リーディングでアカデミックな単語力を増やすことと、ライティングでエッセイの書き方をトレーニングすることにフォーカスし、公式問題集で時間を計って練習しました。
リーディング
リーディングでは、単語力を広げ出すとキリがないので、学科の名前だけをひたすら覚えるようにしました。
例えば「哲学」「考古学」「化学」「精神科学」「心理学」などと、そこから付随する「化石」「窒素」「認知行動療法」などの専門的な言葉がたくさん出てくるのですが、例え日本語で読んでも何を説明されているのかよくわからない内容のものも結構ありました。それでも一言一句に対して質問される訳ではないので、ある程度の専門用語が理解できていると、この文章はざっくり何について書いてあるかがわかり要領よく読むことができると思います。
また、最初から文章を読み始めるのではなく、設問を読んで何を質問されるのかを理解した上で文章を読むと、回答する必要がある部分だけをきちんと読むことができて時間短縮になると思います。
ライティング
次にライティングは、エッセイの基本的な構成を習得してしまうと点数が取れると思います。
私が受験した頃は、「この意見に賛成か反対か、その理由を述べよ」という問題が多かったので、「私はこの意見に賛成(もしくは反対)です。それには以下のような3つの理由があります。まずひとつ目は・・・・・だからです。次に・・・・・だからです。最後に・・・・・だからです。上記のような3つの理由から、私はこの意見に賛成(反対)です。」という構成だけ練習しました。
実際の試験では、制限時間内に書き終えられるように、最初にこの構成を最後までタイピングしてしまい、後から穴埋めしていく形で挑戦しました。お陰でライティングはある程度の点数を取ることができました。
また、スペルのミスがあるだけで減点にもなるので、とにかく一番簡単で確実な単語ばかりで回答した記憶があります。日本語訳にしたら、小学低学年の作文レベルにも満たない内容だったかもしれませんが、「減点する箇所が少ない」ように工夫するのも、ある程度の点数が取れるコツだったかもしれません。
スピーキング
スピーキングが想像を超えて難解でした。
単に質問にスピーキングで答えるのでなく、何かの会話や説明をリスニングしてから、15秒間などの短い中で聞いた内容の要点をまとめて即座に45秒間で要約を話します。それに加えて短い文章をリーディングしてから要点を話すという内容だったのですが、とにかく時間制限が短すぎて大苦戦しました。
私は元々ネイティブスピーカーの会話を聞くことはよくある生活をしていたので、リスニング自体には問題がなかったのですが、何を言っているかは大体理解できていても、時間内にそれを端的にまとめて説明し直すという作業に慣れていなかったので、受験前によく練習するべきだったと後悔しました。
更に一番大変だったのは、すぐ隣で別の受験生たちが大声で回答している声が耳に入ってくることでした。一瞬でも周りに気を取られていると、自分の設問を聴きそびれていたりします。
スピーキングの受験時間が終わった時には、「絶対1点くらいしか取れていない・・・」と絶望しましたが、手当たり次第に話すことにはチャレンジしたので、意外と点数は取れていました。
わからなくても、とりあえず何かを話せば、ある程度点が取れるのかもしれません。
リスニング
リスニング勉強については、どの試験でも同じだと思いますが、日々英語を聴き続けることに尽きます。
私の場合は昔インフルエンザにかかった時に、アメリカの全8シーズン180話のドラマを観続けていたことが功を奏しました。ただ日本語字幕をつけて観ていただけなのですが、シリーズもののドラマだとそれぞれのキャラクターを演じるキャストの使う言葉やフレーズに個性があり、いつも同じような言い回しが繰り返されるので、自然とそのフレーズに耳が慣れていくと思います。
インフルエンザが治ってしばらくしてから映画館で別の映画を字幕版で観たのですが、驚くことに、終演後に自分が字幕をほぼ見ていなかったことに気づきました。ラジオでも、音楽でも、ポッドキャストでも、もちろん映画でも良いので、色々な英語を毎日聴き続けることが大切だと思います。
私は映画が好きなので、留学前の半年間はAmazonプライムで英語字幕に設定できる映画を選び、毎日2〜3時間は、英語音声と英語字幕で映画を観ていました。
TOEFLが難しすぎるときの応急処置
私は、TOFLEの難しさと時間の長さにめげて、次はTOEIC-LRに挑戦しました。公式問題集を使わずに、小さめの単語集などだけで済ませて腕試しに受験してみた結果、リーディングで全く時間が足りませんでした。
終わらなかった後半の設問は、全部マークシートの「A」を塗りつぶす羽目になり、「TOEIC用の受験勉強が必要だ」ということがわかりました。その日のうちに次の受験を申し込み、約2ヶ月間TOEIC用の勉強をした結果、675点が800点になりました。正直、TOEFLの点数を2ヶ月間で大幅に上げるのは難しいのではないかと思います。
ただTOEICの場合は、そこまで難解な専門用語が多い訳でもないので、リーディングを時間内に終わらせるための練習をすれば、だいぶ点数が伸びるのではないかと考え自分でトレーニングを始めました。
この2ヶ月間の自主トレーニングには、公式過去問題集3冊にある計6過去問だけを使いました。
本番と同じように時間を計って、過去問を解いてマークシートを塗りつぶす練習をしていくと、だんだんと設問の傾向に慣れていくので、聞き飛ばして良いところや集中力を使わずに休憩できるタイミングなどが見つかるようになります。
2冊目の過去問題集を終えたところで、やっとリーディングを時間内に終わらせることができるようになりましたが、その時の語彙力でリーディングのスコアをこれ以上高めるのは不可能だと気づき、その後はリスニングに全振りしました。
TOEICの特殊な採点方法のせいなのか、私の場合は、リーディングで平均的に正解できてリスニングでウッカリミスが多かった時よりも、リスニングでほぼ完璧に答えてリーディングで大幅にミスした時の方が総合点数が高くなることがわかったからです。
リーディングを完全に捨てた訳ではなかったですが、足りない単語力を伸ばすのには時間がかかるので、リスニングでミスをしないことにフォーカスして2回目の受験に挑みました。結果、リスニングは495点中475点取ることができ、総合も800点に到達しました。
これはあくまで私の場合の勉強法でしたが、闇雲に単語を覚えたりするのではなく、実際の試験と同じ制限時間で過去問を解き続けるトレーニングに焦点を当てました。これにより、試験の傾向に慣れ、自分の弱点や長所を見極めて確実に点が取れる方法を見つけやすいと感じたので、公式過去問題集を何冊も練習することをおすすめします。
TOEFL勉強が留学先で活きる例
ここまで私の受験体験を簡単にご紹介してきましたが、今のところ、現地の留学先ではTOEICで勉強した内容はほぼ役に立っていません。授業内で起きることは、TOEFLで練習した内容ばかりです。
教授の話を聞き、必要なところをメモに書き留め、自分の意見を端的にまとめて発言し、時間内にレポートやエッセイを提出するようなことが、毎日行われています。
私のおすすめは、「出願まではTOEICも大いに活用する。それ以外は基本TOEFLを活用する」です。何かのお役に立てば幸いです。