高校生の海外留学は挫折しやすい!?
お子さんが高校生にもなれば、自身の将来像に向けた取り組みも具体化していく頃だと思います。
目指す大学へ進学するための勉強だったり、就職を視野に入れた情報収集だったりと、取り組みの方向性や深さも人それぞれ。部活やサークルなど、高校生活そのものに熱中する人もいるでしょう。
その中でも根強い人気があるのが、海外留学。
よりグローバルで活躍できる社会人を目指し、英語力や国際感覚を身につけるため、高校生くらいから留学を経験したいと考えている人は多いようです。
アメリカやヨーロッパなどでの留学を通じて人間として大きく成長し、世界に通用するビジネスマンとなる、そんな将来像を描いているお子さんや親御さんも多いことでしょう。
しかしこの海外留学、やり遂げるのは思っていたより難しいもののようです。中には途中で諦めて帰ってきてしまう人もいるとのこと。そうなってしまっては残念。留学はめったに経験できるものではないだけに、しっかり実になるものとしたいですよね。
今回は、意外と難しい海外留学の実態と、より留学を成功しやすくする取り組みについて紹介したいと思います。
目次
統計から見る高校生留学の現実
まずは改めて、留学のきっかけについて確認していきたいと思います。皆さんがどんな目的や希望を持って海外留学にチャレンジしたのか、という点ですね。
※ゼネラルリサーチによる、高校生の時に海外留学を経験したことのある方1,088人へのアンケート結果
【引用元】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000046118.html
*オリジナルは留学エージェントである高校留学ワールドより
目的として最も多いのは「語学勉強」で約50%、次いで「異文化交流」が約25%となっています。
やはり多くの人の狙いは、英語を話せるようになり、海外の文化にも触れて知見を広め、世界に通用する人間を目指していることがわかりますね。
ところが、上記のような希望を持って留学に臨んだにも関わらず、どうやら皆が皆うまくいくわけではないようです。下記は、留学先の退学を含む、いわゆる「リタイア」に関する質問の結果です。
※ゼネラルリサーチによる、高校生の時に海外留学を経験したことのある方1,088人へのアンケート結果
【引用元】同上
上記のとおり、リタイアした人が12%、それ以外にもリタイアを検討したことがある人は36%という結果が出ています。
これは留学経験者のうち半数近くの人がリタイアを考えたということで、さらに10人に1人以上は実際にリタイアにまで至っているということ。これが現実なのです。
留学に際しては、皆さんそれなりに覚悟を決め、準備もして行ったはず。それなのになぜリタイアに至ってしまったのでしょうか?
以下にその原因について、データを踏まえて紹介していきます。
リタイアの主な原因とは?
アンケートでは、リタイアに至った原因についてもヒアリングしています。
※ゼネラルリサーチによる、高校生の時に海外留学を経験したことのある方1,088人へのアンケート結果
【引用元】同上
ホームシックになった人が31.6%、学校生活がうまくいかなかった人が23.8%と、この合計が大半を占めています。
家族と離れて生活することに関する寂しさや、周りに日本人が少ないというアウェイの環境に慣れることができなかったようですね。
アンケートの回答では、お子さんを留学させた親御さんから、下記のような声もあがっています。
・異文化に馴染めず悩んでしまった
参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000046118.html
・ホームシックにより体調不良を起こした
・ステイ先で十分な食事を与えてもらえなかった
意外なのが、リタイアの原因として、授業のレベルや進め方といった学習の内容に関する点が挙がっていないところです。
海外留学の成否を決めるポイントが、いかに学習以外の基本的な生活部分にあるかがわかりますね。
上記のような基本的な生活部分に関する悩みは、重要であると同時に即座に解決策が見つからないという難しさがあります。
アンケート結果では、悩みを解決するために期待したいこととして「サポートの充実」があがっていました。
※ゼネラルリサーチによる、高校生の時に海外留学を経験したことのある方1,088人へのアンケート結果
【引用元】同上
「サポートの充実」…一見すると、まっとうな解決策のように見えます。
とは言えサポートといっても限界があり、留学生ひとりひとりの異なる悩みをすべて解消できるように手助けする、というのも無理があるでしょう。
仮に現地に留学エージェントがあったとしても、わざわざそのオフィスまで行くのは大変ですし、学校側がその留学生のためだけに特別なケアをしてくれるわけではありません。
リタイアの原因としてあがっていた「基本的な生活部分」については、もう少し掘り下げてみる必要があります。
実は、この原因を掘り下げた部分にこそ、欧米へでの留学完遂が難しくなっている真の原因と、有効な解決策のポイントが隠れているのです。
ホームステイは難易度が高い!?
リタイアの真の原因を探っていくにあたっては、先ほどのアンケート結果に重大なヒントがあります。
それは「留学先」です。
※ゼネラルリサーチによる、高校生の時に海外留学を経験したことのある方1,088人へのアンケート結果
【引用元】同上
上記を見てわかる通り、留学先として選ばれている地域はアメリカが多く、全体の40%を超えています。次いでオーストラリアが20%弱、さらにカナダやイギリスが続いています。
さらに留学形態に関するアンケート。
※ゼネラルリサーチによる、高校生の時に海外留学を経験したことのある方1,088人へのアンケート結果
【引用元】同上
留学形態、いわゆる宿泊をどうしているかという点は、90%以上がホームステイという形をとっているのです。
アメリカにホームステイすること自体は、留学としてはよくある形ですし、それで成功している人も多くいます。ただ、この組み合わせは非常に難易度が高い方法であるということも事実です。
どういった点の難易度が高いのか、下記にポイントをあげて詳しく説明していきます。
1,日本との時差が大きく、日本とのコミュニケーションが取りにくい
例えば留学先として一番人気のアメリカですが、日本とは非常に大きな時差があります。
誰もがよく知るニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコといった都市は留学先としてもよく選ばれますが、それぞれ日本との時差は下記のとおりとなっています。
都市名 | 日本との時差 |
ニューヨーク | 14時間 |
ロサンゼルス・サンフランシスコ | 17時間 |
ニューヨークと日本は、昼夜がほぼ逆転しています。
たとえばニューヨーク~日本間で電話をしたいと思っても、「現地:18時、日本:8時」、または「現地:7~8時、日本21~22時」くらいが現実的に電話できる時間帯でしょうか。
それ以外の時間ではなかなか難しいですよね。
ロサンゼルスやサンフランシスコなどの太平洋側の都市の場合は、「現地:6~7時、日本23時~0時」くらいしか連絡を取りやすい時間帯がありません。
これだと、困ったときやなにか相談したいとき、ちょっと声を聞きたいといったときにも時間を合わせるのに一苦労してしまいます。
時差によって日本と生活時間が大きく異なる点は、ホームシックになりやすい一つの大きな要因と言えると思います。
2,欧米人の英語のレベルについていけない(例:スラングなど)
アメリカやヨーロッパ(特にイギリス)は、英語を長く使ってきた国ということもあり、難解な言い回しをする人も多く見られます。
もちろん学校の先生であれば留学生に対する配慮をしてくれると思いますが、同級生や街の人達など現地人の英語は、なかなかすぐには理解できないことでしょう。
またいわゆる「流れるような英語」のため、文節の区切りもわかりにくい上に、日本の英語の授業ではあまり習わないローカル語である「スラング」なども多用されると、最初は何を言ってるのかさえさっぱりわからないかと思います。
「少しは英語できるつもりでいたのに、全然ついていけない…」とショックを受けてしまうかも。
特にスラングは日常私達が習う一般的な英会話+αで覚えなければいけない表現のため、一度に両方の習得はかなり時間がかかります。
予めこの事を知っていなければ、現地で体験する大きな壁に心が折れてしまうのもうなずけます。
3,ホームステイで一般家庭の家に宿泊するのは気を遣う
留学時の滞在先として9割以上の留学生に選ばれている「ホームステイ」ですが、よくよく考えてみるとなかなか敷居の高い滞在方法です。
ホームステイは一般的に、現地の一般家庭に住まわせてもらい、基本的にはその家族の一員として暮らすというスタイル。
いきなり現地の家族に混じって暮らせと言われても…そう簡単な話ではありませんよね。
もちろん、ホームステイ先が受け入れに慣れている場合も多いでしょうし、留学生が迷わないよう暮らしのルールを明確にしてくれている受け入れ先もあります。
とはいえ「他人の家に泊まる」わけですから、どうしても気は遣ってしまうものなのです。
日本にいる間でも、家族や親戚以外の人の家に泊まった経験はそれほど多くないでしょう。
それが突然初めて行く国で、会ったこともない人の家に泊まるわけですから、精神的に負担になってしまうことは仕方がないですよね。
このように、時差の大きい欧米に行き、しかもホームステイという形で留学生活をやりきるというのは、実はかなりハイレベルなことなのです。
欧米留学を成功させるための下準備
さて、上記の挫折しやすい大きな要因がわかったところで、対策方法です。
そもそも留学には、留学先での学習以外に基本的な生活の面でいろいろな要素があります。
・自分の家ではないところに住む
・生活環境が日本とは大きく異なる
・日常で使用する言語が違う
・日本から離れた場所で生活する
留学によってこれだけ多くの変化が一気に起こるのですから、そのインパクトは相当大きいのです。
心身に影響が出てしまうのも無理はない話ですよね。
欧米留学の成功率をより高めたければ、これらの要素を一気に大きく変えるのではなく、徐々に変えていけばよいのではないでしょうか。
1,海外での生活に慣れておく
もっとも重要な部分ですね。
「日本ではない国に滞在することに慣れる」とも言えるでしょう。
中長期留学を控えている方は、事前に1週間〜2週間程度でも良いので、短期留学をしておくと留学の感覚が掴めるはずです。
また、留学が難しければ留学先への海外旅行でも良いと思います。
最近は子供だけのジュニアキャンプが、セブ島やハワイを中心に盛んに行われています。
セブ島であればお子さん一人だけなら30万円前後で留学できますので、こういったところで慣れておくのも悪くありません。
少なくとも全く海外に行った事がない場合に比べれば、親を離れて一人で生活する下準備が出来るはずです。
2,英検2級程度の単語や文法を知っておく
海外留学をした時に、一度習った単語や文法を思い出して使えるようにする事と、全く知らない単語や文法を使えるようにするのでは、習得までの時間が大きく変わります。
話せなくても知識としてそれなりにためておけば、現地では「英会話に慣れる」という事にフォーカス出来ますが、知識が少なければ覚えることからスタートしなければならず、やはり挫折率は高くなるでしょう。
全くゼロの状態でお子さんを送り出すのは、確率からいえば避けたほうが良さそうです。
スラングはさすがに現地で学ぶ事になると思いますが、少なくともそれ以外の日常的な基本的な英会話表現は、下準備はしておきたいところですね。
3,コミュニケーションを取れるという自信をつけておく
日本で暮らしている限り、英語で話さなければならないシーンはまずありません。そのため、実は英語は習ったものの、生きた会話で使うことはなかったはず。だから誰もが、自分の英語力について半信半疑の状態なのです。
まずは自分の英語がきちんと伝わる、相手が理解してくれるということを実感できることが大事です。これにより、授業として受けただけの英語が、生きた英語として使えるようになります。
下準備としては、英会話スクールだけでは量が足りませんので、現実的にはオンライン英会話を通じて毎日、英会話をする方法をおすすめします。
留学前から「毎日30分〜1時間英会話をしてきた」というのは、留学時に大きな自信となるはずです。
関連記事:初心者向けのおすすめオンライン英会話スクールはこちら
プチ海外留学をして経験値をつんでおこう!
リタイアを防ぐ方法、それは何といっても海外留学を楽しさを知ったり、留学経験をつんでいることです。
先ほど紹介した「留学先の人気都市」に、フィリピンという名は一切出てきませんでしたが、実はフィリピンには多くの英語学校があり、留学生もたくさんいるのをご存知でしたでしょうか?
東南アジアの国のため「英語」というイメージがあまりないかもしれませんが、フィリピンは英語留学という分野において非常に優れた国なのです。
特にフィリピンへはジュニアキャンプなどができる短期留学がおすすめです。
関連記事:中学生・高校生の夏休みはフィリピン留学がおすすめ!効果・費用・手続の方法教えます
短期留学ですので、期間はおおよそ2週間程度。本格的な留学をする前の「プチ留学体験」としてもちょうどいい長さと言えるでしょう。
ではなぜ、他国ではなくフィリピンなのでしょうか?
1,スクールが手配する宿泊施設での滞在できる
QQEnglishITパーク校の一人部屋寮
フィリピンの多くの学校は寮を持っており、留学生は寮に宿泊します。したがって、ホームステイのように受け入れ先の家族に気を遣うことなく暮らすことができるのです。
もちろんホームステイは現地の暮らしに密着できるという意味で、経験したほうがいいのは事実です。
ただ先ほど述べたとおりホームステイはなかなかレベルの高い滞在形態ですから、ステップを踏まずに飛び込むとうまく人間関係が作れないなどの問題が出る可能性もあります。
フィリピンの短期留学では設備の整った寮に泊まりますので、生活面でのストレスをなるべく減らして学習に集中することができますね。
しかも多くの学校が学校施設と授業施設が同じ場所にある(もしない場合はスクールバスが出ている)ため、親御さんも安心です。
2,日本との時差は1時間だけ、移動にかかる時間も欧米より短い
この点はお子様にとっても親御さんにとっても嬉しい点だと思います。
日本とフィリピンの時差は1時間。つまり生活時間帯がほぼ同じなのです。これなら連絡するタイミングがなかなか取れないといったことはないため、電話もしやすいでしょう(といっても中学〜高校生のジュニアキャンプでは、電話での連絡を一切禁止にしている学校さんがほとんどですが)。
また日本からフィリピンへの移動時間は直行便で5時間前後。欧米のように8時間以上かかるということはありませんので、体への負担も少なくて済みます。この点も安心できるポイントですね。
3,フィリピン人の英語はわかりやすい
さて、多くの人が気になるであろうフィリピン人の英語レベル。果たしてどれくらいのものなのか、ちゃんとした英語なのだろうか?不安に思う人もいると思います。
実はフィリピン人の英語レベルは高いです。
というのも、英語はフィリピンの公用語でもあるからです。
現地語であるタガログ語に加え、2つの公用語を持つフィリピン。そのため、フィリピン人にとって英語は難しいものではないのです。
また、フィリピン人の英語は発音もきれいで、わかりやすく話す人が多いのも特徴。
多くの企業がフィリピンに英語で対応するためのコールセンターを設置していることからも、そのレベルの高さをうかがい知ることができますね。フィリピンでの英語学習、そこに不安を覚える必要はまったくありませんよ。
それでも気になる方は「オンライン英会話スクール」で、ぜひ無料体験を受けてみてください。
関連記事:DMM英会話でオンライン英会話に初挑戦してみました【体験レビュー】
4,現地生活に慣れることができる
留学での重要な要素とも言える現地での暮らし。これはフィリピンでも十分味わうことができます。
授業が終われば基本的には空き時間がありますし、週末は街に出て買い物したり、アクティビティに参加したりといったこともできます。
そういったシーンで現地で行うコミュニケーションはすべて英語になります。
また、日本では見られない光景や生活習慣の違いに触れることで、「日本とは違う国での生活」は十分体験することができるでしょう。
5,英会話、自信、グローバル感覚が身につく
フィリピンでは基本的には日本語が通じませんので、英語を駆使して生活することになります。
最初は不安もあるでしょうが、今まで習った英語を一生懸命使ってみることで、意外と通じるということを実感できるでしょう。学問として触れてこなかった英語が、人とのコミュニケーションの道具として使える瞬間を体験できるのです。
これは英会話に対する大きな自信に繋がります。
英語を使うこと、日本人以外とやり取りすることに対しての敷居がどんどん低くなっていくはず。
日本人以外とコミュニケーションを取るにつれて、国の違いによる多様な考え方にも触れることができます。自然と国際感覚が身についていくことでしょう。
まとめ
以上のようなファーストステップを踏んでおけば、「これが海外」という感覚が身についた状態になります。
欧米への留学を夢見ており、その間に充実した学びを得たいと思ったら、ぜひファーストステップとしてフィリピンでの短期留学を経験されることをおすすめします。
この経験により、高校で欧米に留学したとしても「前回とはこの点がちょっと違うな」といった形で理解することができ、いきなり欧米に行くことに比べて味わうギャップが小さくて済むのです。発展途上国のフィリピンを知っておくことは、他国に留学した際も比較対象が出来てより、幅が広がるはずです。
またフィリピンの短期留学は費用も安価です。
仮に2週間の短期留学をした場合、トータルコストはおよそ13万~15万といったところとなります。まずは留学してみる、海外を経験してみるという意味では、非常にバランスの良い選択といえるでしょう。
短い期間とはいえ内容は充実しています。
確かな成長が感じられる上に、欧米への留学をより充実したものにできるでしょう。