私は幼少期から海外の文化に触れ合うことが多い環境で育ちました。
特にアメリカには親戚も住んでいたり、習い事の先生がアメリカ人の先生だったりということもあり、気づかないうちにアメリカ文化を受け入れやすい性格になっていったと思います。
今回は、私が実際にアメリカで感じてきた日本との文化の違いから、アメリカ留学には向いていない人のタイプをご紹介します。
留学先を選ぶ段階の皆さんがアメリカに来てから後悔しないように、少しでも事前の検討材料になれば幸いです。
アメリカ留学におすすめしない人その1:自己主張が苦手な人
第一に、自己主張が苦手な人には向いていません。
私が日本の大学生時代、ニューヨークに旅行に来ていたときのことでした。
オフィス街のような通りを、周りの人と同じような速度で歩いていました。
突然、スーツ姿の女性が私の正面から勢い良くぶつかってきたかと思ったら、振り返りざまに物凄い剣幕で怒鳴って去っていきました。
当時はそこまで英語が分からなかった上に、突然のことでビックリしたのと、人前で大声で怒られて恥ずかしいのとで、はっきりと何を言っていたのか理解できませんでした。
しかし、確実に「私が間違っている!」と指摘されていることだけは分かりました。
おそらく「どこ見て歩いてんだよ‼︎」のようなことを言われたのだと思いますが、周りの人と同じく右側通行していた状況からして、私に非はありませんでした。
その女性が急いでいて、自分の前を歩く集団を追い越そうとした時に、対面方向から歩いていた私にぶつかったのだと思います。
それでも日本のように、ぶつかった人が「すみません!」と謝るのではなく、「どこ見て歩いてんだよ‼︎」となることが、「アメリカだなあ・・・」と感じたのを覚えています。
これは少し極端な例だったかもしれませんが、アメリカで自己主張は必須です。
誰かの言う通りに動いていたら、詐欺グループの良い標的になってしまうことだってあります。
自分の身は自分で守る、が鉄則です。
特に留学では、分からないことを分からないままにしないことが重要です。
留学生が学生ビザを維持するために必要な最低条件は何なのか、いつが締切でそれまでに何を済ませておく必要があるのか、この授業の単位を取るための出席率は何%以上必要かなど、自分で管理して確実に達成していくことが求められます。
しかし、初日のオリエンテーションで説明された情報を全て正確にインプットすることは、ほぼ不可能です。
私は、出願前・渡米前・学期が始まる前・学費支払い期日前など、しつこく質問と確認を続けました。
留学生サポートオフィスのスタッフの皆さんは基本的に親切ですが、私が欲しかった答えを得るまでには、同じ人に何度も分けて同じ質問を繰り返すか、異なる部署や担当者に質問し、様々な角度から情報を集めて自分で理解する必要がありました。
誰に問い合わせても、最初は一般的な情報しか与えられません。
例えば、「私はこれこれこういう学歴と経歴があり、こういうことを目指していて、どの学科のどの専攻を取ればいいかアドバイスが欲しい」などと、苦労して英語で作成した長い文章や添付資料などをメールで送ります。
しかし、返信は「留学生に関する情報は以下のリンクからウェブサイトページをご覧ください」といった形で簡潔に終わってしまいます。
そのページは既に確認しており、具体的な情報が不足しているため問い合わせているのですが、親身になってサポートしてくれる人が見つかるまでは、嫌われても良い覚悟を決めて諦めずに連絡し続けなくてはなりません。
「私はこれが知りたいのだ!!!」という強い気持ちが相手に伝わらない限り、具体的なアドバイスをもらうチャンスは訪れません。
その気持ちを強く伝えることで、「今電話で説明しましょうか?」や、「ああ、それならスクールカウンセラーのこの方に予約を取ってみましょうか?」などと具体的なアドバイスをもらえるチャンスがやってきます。
こういう場合、「だから最初からそれを聞きたくて質問してたんだよ!」とイライラするのではなく、「ありがとう!本当に助かる!あなたのお陰様です」と感謝を伝えて、先に進むことが賢明です。
他国での留学がどのようなものか分かりませんが、私の経験からいうと、引っ込み思案の方はアメリカ留学には向かないような気がします。
アメリカ留学におすすめしない人その2:几帳面すぎる人
第二に、予定通りに進まないと気が済まない、几帳面な性格の人には向いていません。
日本で通っていた大学の英語の先生が、日本の航空会社の機内で「着陸時間が早まりましたことを、お詫び申し上げます」というアナウンスを聞いて驚愕したと話していたことを覚えています。
日本では秒単位で電車が動き、渋滞などで時間が読めないはずのバスでさえ、ほぼ時間通りに各停留所を通過するのが当たり前です。
ですが、海外の人からすると電車もバスも時間通りに来ることはない、遅れて謝るなら分かるけれど、早く着いて何がいけないのかと驚いたそうです。
今学期、留学生オリエンテーションの当日に、80年に一度と呼ばれるほどの大きなハリケーンが来るという予報がありました。
日本の感覚でいくと、海外から初めてやってくる留学生たちには、オリエンテーションが延期になる可能性も含めて、いち早く事前の案内をするものだと思います。
例えば2、3日前に一度、
「ハリケーンの状況によっては、延期する可能性があります。正式な開催の可否については、○日○時に〇〇にて改めて発表しますので、各自で必ず確認してください」などでしょう。
オリエンテーションの集合時間は朝の9時30分だったのですが、私が延期の知らせを受け取ったのは前日の夜20時過ぎで、それまで何の案内もありませんでした。
私は学校の近くに住んでいて車もあるので特に困ることはありませんでしたが、ホテルに滞在していた学生などは、直前の宿泊予約変更や交通手段の手配などが必要で苦労したことだと思います。
日常生活でもよく、「やっぱりこれは止めたよ」とか「この間変更したから、もうそれは無いよ」とか言われることが多い気がします。
「なんで?それなら先に教えてよ!」と怒るのではなく、「そうなんだ、残念。楽しみにしてたんだけれどな」などと答える寛容さが必要です。
ただし面白いことに、閉店時間はほぼ確実に守られます。
日本でも有名な大型スーパーマーケットのコストコには、昼間に行くと混んでいるので夜の閉店前に訪れるようにしています。
ところが、閉店15分前くらいから店内で機材運搬用車両や清掃車両などが稼働し始めて、店員さんが「もう閉店だから買い物はできません!全員レジに向かって!」と大声で叫んでお客さんを帰らせて回っています。
学校の各オフィスも終了時間になったら即閉まり、それ以降対応してもらえません。
プライベートな時間、家族との時間を大切にしている人が多い文化なので、「就業時間が過ぎたら終わり」が当たり前の世界です。
アメリカ留学は思い通りにいかないことだらけで、たまに気が遠くなることもあります。
しかし、当たって砕けてまた当たるチャレンジ精神と、思い通りにいかないことを大らかに眺める精神的な余裕が必要だなあと感じています。
アメリカ留学におすすめしない人その3:自由すぎる人
第三に、自由奔放すぎる人にも向いていません。
「自由の国アメリカ」と呼ばれますが、留学生はアメリカ人ではないので、留学生で居続けるためにはルールに従う必要があります。
日本の大学では、入学までが一番大変で、入ってしまえば大体卒業はできるという印象ですが、アメリカの大学では入学してからの課題の量は非常に多いことが一般的です。
私はコミュニティカレッジに留学しているので、求められるレベルは大学よりずっと低いと思いますが、それでも英語のクラスでは初回からすごい量の課題が出されました。
留学生がビザを維持するために最低限必要な単位数を取得するには、休まずクラスに出席して期末テストに合格するだけでは足りません。
ひとつのクラスに対して毎週3〜4種類出される課題やレポート提出を全てこなさないとなりません。
勉強の要領が良い人でも、1教科に対して2時間くらいはかかる課題の量かと思います。
一度、本当に体調を崩して課題ができない時がありましたが、先生に連絡して相談しても何の代替案ももらえなかったので、病中泣く泣く課題を進めるしかありませんでした。
自ら望んで留学しているので、勉強に時間を惜しまないのは当然とは思いますが、どんなに優秀な人でも、授業がある日以外にも課題をする日を作らないと間に合わないのではないかと思います。
アメリカ政府は海外からの留学生には早く母国に帰ってほしいというスタンスなので、何の特別措置も与えてくれません。
留学生サポートオフィスのスタッフの人からも、口を酸っぱくして何度も忠告されていますが、学生ビザを維持するルールから外れた学生をサポートする手段はひとつもなく、ただビザは無効になって帰国させられるだけだということです。
例えルールを勘違いしていただけだとしても、ビザ取消の決定は揺るがないので、冒頭でもお話ししたように、自分の身は自分で責任を持って守る必要があると思います。
分からないことを曖昧にせず、自分の意思を明確に相手に伝わるまで、質問や主張を諦めずに続けることが大切です。
また、最新情報を確認することを怠らず、状況が変わった場合にも柔軟に軌道修正し、適切に対応することが、私のアメリカ留学の秘訣です。
私の体験談が少しでも、アメリカ留学を検討されている方の参考になれば幸いに思います。
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