私は去年の秋からロサンゼルスのトーランスという、海岸に近いエリアで勉強している社会人留学生です。
秋学期を無事に終え、冬の間は留学費用を補填するために日本でアルバイトをして過ごし、つい先日、現地に戻ってきたところです。
将来アメリカ留学を検討しているけれど、どこの街にしようか迷っているというような方に、私の経験を通してロサンゼルス留学の実際のところをご紹介してできればと思います。
ロサンゼルスはどこ?
まずロサンゼルスとは、北アメリカ大陸の西側にあるカリフォルニア州の中の地域なのですが、その区分は現地でも曖昧のようです。
日本のイメージで言うと、関東地方がカリフォルニア州で、東京都がロサンゼルス郡、東京23区がロサンゼルス市という表現に近いのですが、とにかくアメリカの土地は広いので、規模が全く違います。
ロングビーチやアナハイムに近い方向が神奈川県、海のないパサディナの方向が埼玉県くらい離れていて、それぞれ車で40分〜1時間以上かかるけれど全部ロサンゼルスだと伝えています。
ちなみに、私の住んでいるトーランスや、ショッピングで有名なビバリーヒルズは、厳密にはロサンゼルス市に含まれていないそうですが、皆、ロサンゼルスと呼んでいます。
日本からの距離やフライトの値段は?
ロサンゼルス界隈に空港は何ヶ所もありますが、日本の航空会社が直行便で発着しているのはLAXで、羽田からLAXが10時間半強、LAXから羽田に戻るのが12時間弱のフライトになります。
日本の航空会社を使って、正規の値段でエコノミークラスの航空券を購入すると、時期によりますが大体往復で30万円くらいです。
私は昔から各航空会社のマイルを貯めているので、マイルを使った特典航空券で移動することが多いのですが、安いシーズンだと片道25,000マイルくらいです。
ちなみに最近はZIPAIRという格安の航空会社を使う人も多く、安い時には片道300ドルちょっとで購入できます。
何かと出費の多い留学生にとって、格安で航空券を購入することはとても重要ですが、VISAの手続きが終わるまでいつ出発できるか分からないという状況に置かれることも多いので、私は日付変更が無料でできるものを愛用しています。
JALは特典航空券を片道ごとに予約できますが、変更やキャンセルの手数料やルールが厳しく、ANAは往復でしか特典航空券を予約できませんが、変更やキャンセルに柔軟な対応をしてもらうことができます。
ZIPAIRは、座席だけを購入する新型のフライトサービスで、水や食事、毛布など必要なものは都度追加料金で購入する必要があることと、一度予約したらキャンセルしても返金されないようなので気をつける必要があります。
現地での決済
基本的に、ロサンゼルスでの買い物はクレジットカードかデビットカードを使い、現金を持ち歩いている人はほとんど居ません。
留学する時には現地ATMでドル現金を引き出せるカードと、ドル決済できるカードが必要なので、少なくともひとつは日本で入会しておくことをお勧めします。
海外での使用額に合わせてキャッシュバックのあるカードも多いので、各サービスを見比べてその時期に一番お得なカードを選ぶと良いと思います。
私は留学前に、各航空会社と外貨取扱のある日本の銀行がコラボレーションしたデビットカードにいくつか入会し、キャンペーンを活用してマイルもたくさん貯めて活用しています。
また、現地で車を運転する際には、ガソリンスタンドでカード決済をするときに郵便番号を入力する必要があります。
ただ、日本の住所に紐付いているカードでは郵便番号を入力できないので、わざわざガソリンスタンドに併設されたコンビニのような店舗のレジまで行って、現金で支払わなくてはなりません。
それ以外にもオンラインで買い物をする際など、たまに日本で発行したカードでは決済できないこともあるので、私は現地についてからCHASEというアメリカの銀行に口座を開き、現地住所に紐付いたカードも作りました。
口座の開設やカードの申請には審査が必要になり、年齢や収入などにより手数料も様々なようですが、思ったよりも簡単に作ることができました。
ロサンゼルスを選ぶ理由は?
さて、ここからは少し現地生活の具体的な例を出して、ロサンゼルスをご紹介できればと思います。
先週から春学期が始まりました。新しくクラスメイトになった学生の中に、二週間前にニューヨークから引っ越してきたという社会人留学生がいます。
彼女の出身はブラジルなのですが、ニューヨークで勉強し、今度はロサンゼルスに移ってきたのだと話していました。
私は、ニューヨークは都会だし勉強するのには充分な環境が整っているというイメージを持っていたので、アメリカ大陸を東西に大きく横断までして何故ロサンゼルスを選んだのか、その中でも何故トーランスの学校を選んだのかを不思議に思って聞いてみたところ、その大きな理由のひとつが「気候」でした。
彼女が目指しているパラリーガルになるためのコースでは、新型コロナウィルス感染拡大の影響が続いているようで、アメリカ中を探しても、開講されているのは未だオンラインのクラスばかりだったそうです。
そこで、「対面で授業を受けられる学校」という限られた選択肢の中から、「その土地の過ごしやすさ」で選んでロサンゼルスのトーランスに決めたということでした。
確かに、真冬に最高気温が一桁、最低気温がマイナスのニューヨークから比べると、ロサンゼルスは1月2月の一番寒い時期でも、昼間は半袖・ショートパンツにサングラスで散歩できる日もあるくらいの温かい気候です。
東京やニューヨークのように忙しく時間が巡る街と違って、トーランスのような海岸に近い地域では365日いつでもビーチでのんびりとした時間を楽しめるので、断然過ごしやすい環境かもしれません。
このように、旅行や留学、居住地として、多くの人がロサンゼルスを選ぶ理由の上位に入るのは、「穏やかな気候」だと思います。
実は私自身は、気候で住む場所を選んだ経験はないのですが、いつもロサンゼルスに長期滞在している時は偏頭痛になる回数がとても減ると感じていました。
気圧の変化に敏感な偏頭痛持ちの人であれば、日本の梅雨や台風の時期の辛さをご存知だと思いますが、ロサンゼルスでは雨が降ることが稀で基本的にいつでもカラッとしています。
私の通っている学校の敷地はわりと広く、各教室間の移動に結構な時間がかかりますが、たまに雨が降っている日にも皆傘は使わず、フードを被るか、そのまま濡れて歩いている人がほとんどです。
見かけたとしても折り畳みの小さい傘か、逆に巨大なビーチパラソルをさしている人が数人居るくらいです。
おそらく、普段雨が降らないので普通の傘を持っている人が少ないのだと思います。
東京で偏頭痛に悩みながら満員電車やバスを乗り継いで、分単位で移動して生活する時間と比べると、ロサンゼルスは穏やかな気候の中、全体的にゆったりと時間が流れているような印象で、ストレスも少ないせいか、この半年間の留学生活では薬代がだいぶ節約できています。
知人に、イギリス人で日本に四十年近く住んでいる女性がいますが、イギリスの気候が自分の皮膚に合わないことが理由で日本に引っ越してきたと話していました。
初めて聞いた時は、そんな理由で国を超えて引っ越してくる人がいるのかと驚きましたが、自分が心身共に健康で居られる街を見つけた今は、その価値や意味がよく解るようになりました。
私は日本人で日本に家族が居るので、もちろん日本も好きですが、留学を選ぶ人の中には母国の環境の何かが自分に合わず苦労してきた人も多いのかもしれません。
留学生活は、周りに誰も守ってくれる人がいないので、自分の責任で全て選択し決断していくことができる強い意志と行動力、計画性のある目標設定と自己管理能力が必要で、時に、言葉や文化の壁にぶつかって途方に暮れそうになることもあります。
それでも、ロサンゼルスの海岸に近いゆったりとした地域で暮らしていると、私の場合は、焦りすぎた気持ちを自然とニュートラルな状態に戻してもらえるような瞬間に出逢えることもある気がしています。
最近、日本の知人に私がアメリカに留学をしていることを話す機会が何回かあったのですが、「ああ、アメリカの方が向いてるだろうね!」と何人もの人から言われ、当時日本では随分浮いていると思われていたのだなということを実感しました。
私にはロサンゼルスが、身体的にも精神的にも健康で居られる街なのかもしれません。
今回はロサンゼルスのざっくりとした位置やフライトの情報、留学生がロサンゼルスを選ぶ理由を少しご紹介しました。次は最近の物価や治安、留学生として暮らしてみた実際のところをもう少し具体的にご紹介できればと思います。