アメリカを舞台にした90年代の映画作品に、『グリーンカード』というロマンチックコメディがありました。
フランスから仕事を求めてやってきたジョージと、ニューヨークで単身のためアパートに入居できない独身女性のブロンティが、出会って書類だけの(偽装)結婚をするという、外国人永住権(グリーンカード)をめぐる恋愛ドラマです。
就労ビザが手に入らないと外国人は働くことが出来ないアメリカの就労事情。
この映画の結末はどうなったでしょうか?
それは記事の終わりに読んでいただくとして、まずアメリカの就労事情をざっと知っておきましょう。
アメリカで就労ビザをとるのは至難
アメリカには米国籍の親族がいる場合や、企業のインターンシップ、駐在員、調理師などの資格を持っているなど、企業のサポートが入ったり、特別な能力(専門性や資格)がある場合を除いて、個人で就労ビザを取得するのはとても難しいという事情があります。
ざっといえばグリーンカードが映画の題材となるくらい、アメリカで働くのは至難のことなのです。
参考までに、アメリカの就労ビザには以下のような種類があります。
- Eビザ 商用・管理職ビザ(企業貿易、投資など)
- Hビザ 専門職・就労ビザ(広い範囲の労働)
- Jビザ 職業研修・インターンシップビザ
ほかにも、スポーツ、芸能など特殊なビザ(Pビザ)や、短期商用ビザ(Bビザ)、企業内転勤ビザ(Lビザ)などがあります。さらにはグリーンカードのような永住を目的としたビザ、短期・長期出張用ビザ、配偶者ビザなどがあってとても複雑です。
では、日本の若い世代に人気の就労ビザともいえる「ワーキングホリデー(ワーホリ)」ならどうなっているでしょうか。実はこの便利な制度も、今のところアメリカとの間には存在しないのです。
知恵を絞れば法律の範囲で働く余地はある
困りましたね。アメリカ留学には渡航費や滞在費、それに毎日の生活費がかかっています。この負担を少しでも少なくしたいのは誰もが考えることでしょう。
大丈夫、知恵を絞れば法律の範囲、つまり合法的に働ける余地があります。
費用で足りない分は働きながら通学することを考えましょう。まず前提になるのは、学生ビザで働くことは禁止されているという事実ですが、それでも一定の条件を満たしていれば働くのは許されているのです。
いわば抜け道ですね。
学生ビザで働ける方法とは?
① 学校の中でアルバイトを探してみる
学生ビザで働ける「オンキャンパスワーク」と呼ばれる働き方です。一定の条件を満たしていればキャンパスの中なら留学中の就労が可能なのです。
学校内のアルバイトであれば条件付きで就労が許されているわけで、合法も合法、しかも学生ならではの健全な働き方です。一定の条件というのを見てみましょう。
・在籍して1年以上経過していること
・週に20時間まで
・カフェテリアや売店の店員、図書館のスタッフ、留学生オフィスといった学内の施設の
ほか、チューター(教授のアシスタント)で働くことも含まれます。
② インターネットで仕事する
ネットを使って日本から来る仕事をするのも学生らしい働き方ですね。日本の仕事を請け負うのなら資格も必要なく、一番手軽なアルバイトになります。
すでに日本で働いているなら、その仕事をアメリカでも継続しながら勉強を続ける。
最近はビジネスマッチングのサイトが増えていますから、そこに登録して都合のいい時間にデザインやプログラム関係の仕事で稼ぐという方法があります。
③ OPTを取得して卒業後も働く
学生ビザ(F-1)では、アルバイトができるのは大学やカレッジのキャンパス内での仕事に限られ、キャンパス外で仕事をすることはできません。
しかし例外があります。それがOPTです。
OPT(Optional Practical Training)は卒業後に学位をとって最長12ヵ月間、一定条件を満たせば働けます。
インターンシップの立場で給料を得て就労するのです。職種が専攻科目に関係のある内容であることが条件となります。
ワーホリは現在29の国。アメリカとは制度化されていない
ここでワーキングホリデーの話に戻りましょう。
ワーホリは働きながら現地の生活を体験し、観光を楽しんで、仕事も出来る制度。日本のワーホリは、1980年にオーストラリアとの間で始まりました。
現在は29の国と、30歳までの若者を対象としてワーホリ協定が結ばれています。(※2021年9月1日現在)
29の国はどこも日本人学生にとって魅力のある国々であり、自分の夢や目標に合わせて行きたい国を選べばよいのですが、しかし、世界でもっとも親しい国といえそうなアメリカと協定がないのは不思議といえますね。
※コロナ対策のような事情で現在受付を停止している国もあります。早めに各国大使館や関係機関に確かめておきましょう。なお協定交渉中の国にはベルギー、イスラエル、ラトビア、マルタがあります。
人気のワーキングホリデー国
①オーストラリア
ワーホリで年間1万人も行く人気NO.1の国。カフェ大国なのでその関係の資格があると働くチャンスも多い。
オーストラリアワーホリ2024年版 費用・申請・仕事探し完全ガイド
②カナダ
治安が良く、現地の人の人柄も日本人には馴染みやすい。美しい自然を堪能するアクティビティーが魅力。
カナダワーホリ【2024年】費用、ビザ申請、仕事、条件など完全ガイド
③ニュージーランド
人間よりも羊の数のほうが多いとも言われている自然豊かな国。語学習得やアルバイトをしながら、ストレスフリーに過ごしたい方はぜひ候補に入れてみては?
④イギリス
就労期間の制限なし!仕事の種類もさまざま。若者たちの流行の発信地であり、多様なカルチャーを心ゆくまで楽しめる。
イギリスワーホリ【2024年】費用、ビザ申請、仕事、条件など完全ガイド
⑤ハンガリー
2017年からワーホリ協定に仲間入り。美術や音楽などの芸術好きにはたまらない国。地元民の交流の場として温泉もあるから要注目。ビザ発給数はまだ少ない。
ワーホリに関して詳しい内容はこちらをチェック!
>>ワーキングホリデー26ヶ国一覧表《2024年》費用・期間・年齢・ビザ条件などまとめました
ワーホリがなくてもアメリカが人気のある理由
とにかくアメリカは、外国人が働くのを嫌う国だということは知っておいたほうがいいですね。
これにはいくつも理由があって、トランプ大統領の時代に国境に壁を築いた例があるように、移民国家という国の成り立ちからして違法移民は許さない、そのくせ歴史的にも違法移民による犯罪が多いこと、また同時多発テロの後遺症など、それらがミックスされて学生ビザも、就労ビザも近年例がないほど厳しくなっているのです。
この国にワーホリビザが導入されない傾向は、今後も続くと思われます。
それでもアメリカが留学先として人気があるのはなぜでしょうか。そして、それでもあなたがアメリカに留学する意味はどんなところにあるのでしょうか。
それはなによりも、どの国よりも高水準の教育制度が整っていることです。
アメリカに行けば最先端の知識と技術が学べるのは間違いありません。
将来アメリカの企業で働く夢があったり、語学力を身につけて世界中でビジネスチャンスを見つけたい人には申し分のない国、働くのは難しいが、留学先としてはピカイチ!それがアメリカなのです。
語学力や高度な知識、資格を身につけてよその国でワーホリする
アメリカには他のワーホリ協定国(日本を含む)にもない授業や専門資格を学べる環境があります。
そこでおすすめしたいのは、アメリカをステップにしてよその国で働くというコースを選択することです。
つまり、アメリカでしっかりとした語学力と専門資格を学び、その成果をよその国で使う。ワーホリを使って海外で働くメリットを最大限に活かすのです。
ステップアップの場所としてアメリカを利用するのは、日本の学生の一部にはすでに流行しているようで、たとえばオーストラリアのワーホリでは専門資格を評価されて就職した結果、月収80万円、100万円を稼ぐという学生の例もニュースになったことがあります。
また、MBA(経営学修士)をとっておけば、客観的に自身のスキルを明示できるため、世界共通の資格として就職や転職活動に大いに役立つでしょう。
J-SHINE(小学校英語指導者資格)があれば、教員免許を取得しなくても先生として子どもたちに授業ができます。海外ではもちろんですが、日本に戻ったあとも英語学校や幼稚園などの就職にも有効といえます。
そのほかにも国際弁護士、デザインやファッション、永住権看護師、PE(プロフェショナルエンジニア)などアメリカ特有の資格が多数あります。
以下に、アメリカで取得できる資格でワーホリ就職に有利な資格をあげておきましょう。
まとめ:映画「グリーンカード」その結末は?
さて、映画の話に戻りましょう。2人は慌ただしく結婚証明をすませると、握手をして右と左に別れていきます。
努力の甲斐あってブロンティーはアパートの入居資格を手に入れ、ジョージは作曲家というふれこみでウェイターとして働くことになります。
だけど、その後もハラハラドキドキが続き、あるとき移民局の調査が入ったのをきっかけに、2人はグリーンカードを保証する証拠固めに共同作業に熱中していくことになります。
そこから観客の予想通り、2人は恋に陥り、結局はハッピーエンドで終わるのですが、ネットの映画レビューでもっとも多かったのは「アメリカの移民局は大変だね」というコメントでした。
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