英会話を学ぶための短期ホームステイ受け入れ完全ガイドの2回目です。
前回は主に、ホームステイ受け入れで英会話を上達させるコツや注意点、受け入れの手順を説明しました。
▶︎短期ホームステイ受け入れ完全ガイド(1/2)マイホーム留学で英語力アップ!?
今回は、子供のためにホストファミリーになり、ホームステイの受け入れ(留学生の受け入れ)ができる有償の申込みサイトをご紹介します。
合わせて、ホームステイ受け入れのメリット・デメリットを紹介します。
目次
4.ホームステイ受け入れの申し込み先
4-1.AFS日本協会
ホームページ:https://www.afs.or.jp/hosting/
国際本部がニューヨークにあり、加盟国は約60か国、交流国は100か国以上に及んでいます。ホームステイ仲介団体のなかでも規模が大きな団体です。
受け入れる留学生は高校生が主です。受け入れ期間は4週~1年が多いようです。各地にボランティア相談員がおり、留学生とホストファミリー双方に定期的に連絡を入れてくれるため、アフターフォローの面でも安心できます。
4-2.公益社団法人 日本国際生活体験協会(EIL)
ホームページ:https://www.eiljapan.org/
EILは世界で初めてホームステイを実施した団体として、よく知られています。1932年の創設以来80年以上に渡り、平和活動として世界各地にホームステイを広めてきました。
特徴として1週間~4週間の短期ホームステイから、3か月・6か月・10か月の長期ホームステイまで、受け入れ期間が豊富なことをあげられます。都合に合わせて受け入れ期間を設定できます。
4-3.日本国際交流振興会 (JFIE)
ホームページ:https://www.jfie.gr.jp/inbound/
JFIEは21世紀を担うグローバルな人材の育成に寄与することを目的に、1992年に創設されました。主としてオーストラリア・ニュージーランド・カナダ・アメリカ・フィンランド・フランス等の高校生のみが対象となります。
受け入れ期間は基本的に約3~10ヶ月間ですが、それより短期の希望が受け入れられることもあるようです。ホームステイ中は毎月、電話によるカウンセリングが行われます。
4-4.Homestay in JAPAN!!
ホームページ:https://www.homestay-in-japan.com/family/
全国を対象に地域ごとのホストファミリーの募集情報がホームページに掲載されています。受け入れ期間は1日~12ヶ月まで希望に応じて設定できます。
個室一部屋の提供が条件として掲げられています。パーテーションやカーテン等で仕切った部屋は対象外です。寝具・勉強机・季節に合わせた冷暖房器具の提供も必要です。他に比べて条件は少々厳しいものの、生活サポート費が支給されます。
4-5.WYS教育交流日本協会
ホームページ:https://www.wys.gr.jp
アメリカ・ドイツ・イタリア・フランス・北欧4カ国・タイなどの20カ国から高校生の交換留学生プログラムを実施しています。
受け入れ期間は最短2ヶ月、最長10ヶ月ですが、2ヶ月より短い期間の受け入れが認められることもあるようです。
4-6.ヒッポファミリークラブ
ホームページ:https://www.lexhippo.gr.jp/exchange/hosting.php
多言語を話せる人材を育てることを目的に、1981年に創設されました。「我が家のリビングが世界とつながる」というキャッチフレーズのもと、世界各国から来日する留学生のホストファミリーを常時、募集しています。
受け入れ期間は1泊から10ヶ月まで、豊富に用意されています。
4-7.Ayusa(アユサインターナショナル日本事務局)
ホームページ:https://hostfamily.ayusajapan.org/
異文化交流を目的に高校交換留学生のホームステイを仲介しています。受け入れ期間は4週間・3ヶ月・5ヶ月・10ヶ月の4パターンが用意されています。最短1週間から試すことも可能です。
5.ホームステイ受け入れのメリット・デメリット
ホームステイ受け入れにより、多くのメリットとデメリットが生じます。ここではホームステイを受け入れた家族の体験談をもとに、長所と短所を比べてみましょう。
5-1.ホームステイ受け入れのメリット
5-1-1.英語を話す機会が増える
留学生との会話の基本は日本語ですが、英語が通じるとわかれば英語でコミュニケーションを図る機会も増えるものです。
毎日、留学生と多くの時間を一緒に過ごすことで英会話の場数は自然に増え、ヒアリング・スピーキング力ともに伸びることでしょう。
留学生が家族の一員に加わることで、短期間とはいえ家族全員が英語を身近に感じることができます。
5-1-2.多様な価値観・文化を知ることができる
留学生とテレビを見たり音楽を聴いたり、どこかへ遊びに出かけたりすれば、その都度、留学生からさまざまな反応を引き出すことができるでしょう。
ときには思いもかけない反応が返ってくることもあり、文化の違いを思い知らされるものです。また、日本の社会では当然と受け入れていた価値観が、留学生には不思議に見えてることを知ることもできます。
価値観や文化は、国によって大きく異なります。多様な価値観や文化があるのだと身をもって知ることで、その後の視野は大きく開かれます。
留学生が来る前と後では、あなたのものの見方や考え方が劇的に変わるかもしれません。
5-1-3.家族が一人増える
ホームステイでは留学生をお客様としてではなく、家族の一人として扱います。そのため、たとえ短期といえども太い絆で結ばれることが、よくあります。
ホームステイの期間を過ぎれば留学生は帰国するため離ればなれになりますが、家族の絆が断ち切られるわけではありません。
帰国後もメールやスカイプ・SNSを通して交流が続くことが多いものです。何年かしてまた来日して再会を果たしたり、あるいは今度は留学生の住む国に会いに出かけたりと、あたかも本当の家族のように交流が続くこともあります。
ホームステイを受け入れることで、家族が一人増えるチャンスが広がります。
5-2.ホームステイ受け入れのデメリット
5-2-1.家族の生活リズムが乱される
家族の間には、長年の暮らしによって培われてきた生活リズムがあります。そこへ価値観も文化も異なる新たな同居人がいきなり増えるとなると、ほとんどの場合、生活リズムが壊されます。
帰宅が遅い、朝からシャワーされて困る、トイレの電気を消さない、テレビのチャンネルを勝手に変えられる等々、受け入れる前には予想もできなかった留学生の行動に、我慢の限界を超えることも珍しくありません。
海外の文化にふれ、日本人にはない価値観を知ることは楽しい体験ですが、そのことで家族の生活が引っかき回される可能性があることも覚悟しておいた方がよいでしょう。
家族のように受け入れるとは言っても、実際には血のつながらない赤の他人です。家族なら許せることでも、他人であれば許せないことが多々あります。
こうしたトラブルを話し合いを通して乗り越えることで、はじめて家族としての絆が生まれるのかもしれません。
5-2-2.相性に当たり外れがある
ホームステイ仲介団体は受け入れ先と留学生の双方の希望を聞いた上で、最適な留学生を紹介してくれます。しかし、相性までは一緒に暮らしてみないとわかりません。
人と人のコンビネーションには、どうしても相性の問題が生じます。たまたま相性の悪い留学生を受け入れると、あとが大変です。相性は感情に基づくことが一般的なため、理性を通して解決できないことも多いからです。
一方だけが相性の悪さを感じることは少なく、たいていの場合は双方で感じているものです。ホームステイの間、お互いが居心地の悪さを感じているようでは楽しい想い出も残せません。
5-2-3.日本の常識が通用しない
私たちが当然と思っている常識も、海外からやって来た留学生に通じないことがよくあります。なかでも礼儀に関する常識は、日本と海外では大きく異なります。
たとえば日本では他人から親切にされたなら「ありがとう」と声をかけるのが常識です。誰かに迷惑をかけたときには、謝罪するのが当たり前です。
ところが普段は礼儀正しいように見える留学生でも、日本人なら当然お礼を言う場面で一切言葉を発しなかったり、当然謝る場面でも平然と無口を通すことが、よくあります。
そんなときは相手が外国人とわかっていても、ついイラッとくるものです。そんなときも落ち着いて話を聞いてみると文化や価値観の違いに基づく反応であることが多く、留学生に悪意がないことがわかることでしょう。
日本の常識が通用しないことから受けるカルチャーショックが一線を越えると、たちまち不快感に姿を変えてしまいます。そうした不快感に負けることなく留学生との間に信頼関係を築いていくためには、辛抱強い対話が必要です。
6.ホームステイ受け入れで気をつけた方がよいこと
最後にホームステイ受け入れの際に気をつけた方がよいことについて紹介します。
6-1.留学生から英語を教わるための工夫は必要
英語力を上げるためにホームステイを受け入れる場合、英語を教わりたい気持ちばかりが表に出がちです。しかし、留学生がホームステイをする目的は日本語の習得であることを忘れないでください。
留学生とコミュニケーションをとる際の主な言語は日本語であるべきです。それなのに英語でばかり話しかけたのでは、留学生の日本語学習を妨害していることになります。
ホームステイ中の留学生から英語を教わるためには、それなりの配慮と工夫が必要です。いくつか紹介しましょう。
6-1-1.英語と日本語を交互に教え合う
素直に英語を学びたいことを話し、互いに英語と日本語を同じ時間だけ教え合うと、双方にとって損がない関係を築けます。
たとえば毎日1時間ずつ交互に教え合ったり、今日は日本語を教え明日は英語を教わる、のように約束を交わすことで、その時間内はなんの憂いもなく英語学習に没頭できます。
子供に英語を教えてほしい場合も同様です。一方的にお願いするのでは、留学生の負担ばかりが増えてしまいます。子供に1時間英語を教えてもらったなら、親が留学生に同じ時間分日本語を教えるなど、不公平にならないように合理的に取り決めを交わすとよいでしょう。
6-1-2.質問されたとき日本語を教えるついでに、英語についても聞いてみる
たとえば「これはなに?」と聞かれた際に、日本語で説明した後、「あなたの国ではなんて言うの?」と逆に聞き返せば、活きた英語を学べます。こうして覚えた英語は、記憶にも残りやすいものです。
あくまで日本語を教えながら、自然な流れでついでに英語を教えてもらうようにすれば、留学生の気持ちを逆なですることもないでしょう。
さり気なく英語を教わるだけでも、1日あたりの学習量は英会話スクールを軽く追い越すはずです。それを続けることで、英会話力は自然に上がります。
6-1-3.日本語で2~3回説明してもわからないときは英語で伝える
日本語を学びたい留学生のために、はじめはゆっくりとした簡単な日本語で説明してあげましょう。それを2~3回繰り返しても理解できないようであれば、その時点ではじめて英語を使って説明してあげるとよいでしょう。
オーソドックスな方法ですが、ホームステイ受け入れて英語を学びたい多くの人たちが実行しています。
留学生の日本語レベルにもよりますが、ペラペラと日本語を話せる留学生は少ないため、英語でコミュニケーションを図る場面は1日に何回も訪れます。
今回紹介した方法は、特に奇抜なものではないため、誰でも気軽に実行できることでしょう。大切なのは、あくまで日本語を学ぶためにホームステイしている留学生に寄り添うことです。
日本語の会話を中心にしながらも、ときどき英語で相手の国の文化や習慣などを聞いてみるとよいでしょう。国際交流もホームステイの目的のひとつです。その目的に沿って英語を使うのであれば、けしてルール違反ではありません。
6-2.お客様ではなく家族として対応しよう
留学生を客人としてもてなすために、ホームステイがあるわけではありません。ホームステイはあくまで留学生を家族の一員として迎え入れ、日本のありのままの生活を留学生に体験してもらうために行われています。
留学生を家族として受け入れるために、次のことに気をつけるとよいでしょう。
6-2-1.家族としてのルールをはじめに言い聞かせよう
家族の一員として生活するからには、家族としてのルールを守ってもらう必要があります。留学生だからといって大目に見るのではなく、家族としてのルールをはじめにしっかりと説明し、守ることを徹底させるべきです。
たとえば門限や夕食時間を守ること、夕食がいらない場合は○○時までに連絡を入れること、帰宅が遅くなるときの電話連絡など、初日に言い聞かせた方がよいでしょう。
家事の手伝いも家族同様に分担してもらいましょう。これも初日から徹底させた方が無難です。使った食器は自分で洗う習慣をもつ家庭で、初日は疲れているだろうからと留学生のお皿を洗ってあげたところ、留学期間中は一度も食器を洗わなくなった例もあります。
6-2-2.思ったことははっきりと伝えよう
家族であるからには遠慮はいりません。留学生の態度や行動で我慢できないことがあるときは、はっきりと口に出して伝えましょう。
言わなくても察する文化は、海外にはありません。忖度(そんたく)は日本人の間でのみ通じることです。留学生に改めてほしいことがあるなら、面と向かってはっきりと伝えてください。
その際、感情的な物言いではなく、合理的に理解できる理屈を説明することが大切です。日本人にとっては常識の範囲内のことでも、留学生の育ってきた文化のなかでは奇妙に感じることがたくさんあります。順を追って理を説かないと、納得してもらえません。
6-2-3.酒・煙草・クルマの運転に注意!
飲酒や煙草が許されている年齢やクルマの運転ができる年齢は、国によって違います。
あどけないようにしか見えない留学生が大酒を食らったり煙草をふかしている様を見て、ビックリしたという話はよく耳にします。
本国では問題なくても、年齢によって日本では違法になることもあります。また外で酒を飲み、トラブルを起こすケースもあります。
短期ホームステイであれば、酒・煙草・クルマの運転ははじめから禁止しておいたほうがよいでしょう。
6-2-4.相手の希望を聞こう
何かしてあげるとき、外国人にはこちらのほうがよいだろうという思い込みで事をなすと、相手の意に沿わないこともあります。ささいなことでも相手の希望を聞いてみると、自分の思い込みとは違ったほうを選ぶことも多々あります。
そこで、まずは相手の希望を聞くようにしましょう。たとえば京都や奈良などの日本文化よりも、柔道や空手の道場やゲームセンターに興味を示す留学生は多いものです。伝統文化だけが日本文化ではありません。
食事についても和食がよいだろうと決めつけるのではなく、確認した方がよいでしょう。
もちろん希望を聞いたからと言って、すべてを叶える必要はありません。できることとできないことは、はっきり伝えるようにしてください。
6-2-5.食について気をつけること
食事については普段と同じものを出す程度で問題ありません。文化の違いで食べられるものと食べられないものがあるため、個別にお皿に取り分けるのではなく、バイキング形式で出した方が無難です。
冷蔵庫についてもルールをしっかりと伝えましょう。飲んでいいものダメなもの、自由に食べてよいものダメなものを決めておいた方がよいでしょう。
6-2-6.英語が堪能でないうちは領土問題や宗教などの話は避けた方が無難
何気なく口にした領土問題や政治・宗教の話題は、相手の心の琴線にふれてしまうことがあります。この手の話題はこちらが思っている以上に、相手にとって神経質に捉えられがちです。
英語が堪能であれば建設的なディベートも可能でしょうが、そうでない場合は相手に誤解を与えるだけの結果になるかもしれません。その手の話題は避けた方が賢明です。
6-2-7.短期だからといって張り切りすぎないこと
短期ホームステイの場合、与えられた期間内に様々な経験をさせてあげようと無理をしがちです。肩の力を抜いて、普段と同じような生活を維持するようにしましょう。
また、ちょっとの間だからと留学生に遠慮して我慢を続けることもよくありません。不自由なことがあったなら我慢せずに、留学生と話し合った方がよいでしょう。
お互いに本音でぶつかり合わないと家族としての絆は育ちません。
6-2-8.無理をせず、困ったら派遣元に相談すること
どれだけがんばったとしても、事態が改善されないこともあります。家族になろうとする思いとは裏腹に、どんどん溝が広がっていくこともあります。
そんなときはなんとか修復しようと無理を重ねるのではなく、仲介団体のカウンセラーに相談した方がよいでしょう。
何度注意しても留学生が行いを改めないなど目に余るときには、仲介団体に留学生をチェンジしてもらえないかなど相談してみましょう。
ここまで2回に渡り、英会話力を上げるための短期ホームステイ受け入れについて紹介してきました。家族の一員として自宅に留学生を招けば、たちまちマイホーム留学が実現します。
留学生は日本語を学ぶためにホームステイをしているため、丸1日英語を教わるわけにはいきませんが、同じ屋根の下で寝起きを共にしていれば、英語でコミュニケーションをとる機会に多々恵まれます。
留学生がいることで1日の多くの時間を英会話の実践にさけるため、家族全員の英語力が底上げされることでしょう。
ただし、ホームステイにはメリットもあればデメリットもあります。文化も価値観も異なる家族が一人増えれば、さまざまなトラブルが起こるかもしれません。
そのあたりの事情も考えた上で、ホームステイを受け入れるかどうかを決めてください。