このサイトをご覧の方の中には、留学するかどうか迷っている方も多いと思います。そもそも本当に留学する意味、メリットはあるのでしょうか?
実際に留学をした人へのアンケート結果から分かった、思い込みや想像ではない、本当の海外留学の効果をご紹介します。「留学は意味がない」と思っている方必見です。
・データに基づく海外留学のメリット
・留学によって向上する英語以外の能力
・海外留学と年収の関係性
・英語力が高い人の海外留学率
・海外留学によって生じるマインドの変化
2015年に約5,800人を対象に行われた「グローバル人材育成と留学の長期的なインパクトに関する調査」という調査結果を引用させていただき、その他の統計とも合わせて説明していきたいと思います。
目次
留学業界最大規模の調査で分かった海外留学のメリット
調査の概要
→グローバル人材育成と留学の長期的なインパクトに関する調査報告書(PDF)
この調査は留学エージェントなど留学業界によるアンケート結果ではなく、明治大学の教授が行い論文として発表している極めて信頼性の高い調査です。
留学をしたことがある人(留学経験者)4,489人、留学したことがない人(留学非経験者)1,298人を対象としています。男女比はほぼ50%ずつ、20歳以下・20歳以上・30歳以上、そして40歳代や50歳代以上の人たちにも同じように調べています。
留学経験者と留学非経験者の2つのグループに同じ質問をすることで、留学経験で向上した能力、留学帰国後の就職やキャリアの影響、価値観・行動の変化、人生の満足度など、留学経験でどんな変化が起こりやすい傾向にあるのかが明らかになりました。
今回の調査では、単に外国語運用能力や異文化に対する能力だけでなく、リーダーシップ、論理的能力、問題解決能力、目的を達成する能力、基礎学力・一般教養、社交性、柔軟性などを含む18項目もの能力について、留学経験者と留学非経験者ではどう違うのかを調査しています。
その結果は以下です。
上の表を見てわかるように、留学経験者はほぼ全項目で能力向上を実感しています。「能力向上しましたか?」との問いに、「つよくそう思う」、「そう思う」と答えた人の割合が、留学経験者では平均約80%に対し、留学非経験者では約50%と大きな差があることがわかりました。
ここからは特に重要なメリットを、1つずつ順番にご紹介していきます。
海外留学で5つの能力が向上する
多くの留学希望者にとって、大きな留学目的は語学力の向上だと思います。しかし実際に留学した人に話を聞くと、語学力以外にも様々な能力が向上していることがわかります。
1,外国語の能力が向上する(成功確率も高い)
海外留学で最も大きなメリットとも言えるのが、外国語能力の向上です。
海外の大学学部課程に留学した人の結果は、9割以上の人が語学力向上を実感しています。一方、留学していない日本国内の大学を卒業した人は1割弱しか実感しておらず、海外留学による語学力の向上は明らかです。
語学留学をした人でも、9割以上の人が語学力向上を実感しています。
質問)外国語運用能力が向上したと思いますか?
■大学学部課程留学(国内大学卒業)
・つよくそう思う:43.6%(1.0%)
・そう思う:48.6%(11.4%)
・あまりそう思わない:7.0%(57.5%)
・全くそう思わない:0.9%(30.1%)
■語学留学
・つよくそう思う:32.6%
・そう思う:57.8%
・あまりそう思わない:8.1%
・全くそう思わない:1.4%
留学による語学力向上は、他にも様々な調査で証明されています。
ダイジョブドットコムが行った統計データでは、海外留学が他の英語学習方法に比べて圧倒的に、成果が出ています。
当サイト「マナビジン」が独自に調査した統計もご紹介します。
英会話中級以上の160人(クラウドソーシング上でランダムに募集)に「どうやって英会話を身につけたのか」を聞いたアンケートの結果は、「海外留学 or ワーホリ」と答えた人が、約8割を占めています。
つまり、英語を話す力を本当に身につけるためには、国内で勉強するよりも思い切って海外留学に出た方が良いと言えます。
2,基礎学力が上がる
大学への正規留学であれば、語学はもちろんのこと基礎学力や一般教養、さらに専門知識も学びます。
語学留学であっても、英語のニュースを読み込んだりディベートの機会はありますので、基礎学力上昇を実感している人は多いです。
質問)基礎学力・一般教養の能力が向上したと思いますか?
■大学学部課程留学
・つよくそう思う:25.9%
・そう思う:57.5%
・あまりそう思わない:15.1%
・全くそう思わない:1.5%
■語学留学
・つよくそう思う:16.9%
・そう思う:59.0%
・あまりそう思わない:20.5%
・全くそう思わない:3.6%
3,異文化に対応する力(多様な価値観の受け入れ)
大学留学、語学留学ともに9割以上の人が、異文化に対応する力が向上したと回答しています。国内大学卒業者では2割弱です。
日本国内では外国人に接する機会は非常に少ないですし、日本にいる外国人は日本の文化に倣っている人がほとんどです。異文化を本当に理解して対応する力をつけるには、実際に外国に住んで肌で感じる以外は難しいです。
質問)異文化に対応する力が向上したと思いますか?
■大学学部課程留学
・つよくそう思う:42.7%
・そう思う:49.5%
・あまりそう思わない:7.0%
・全くそう思わない:0.9%
■語学留学
・つよくそう思う:36.7%
・そう思う:56.6%
・あまりそう思わない:5.9%
・全くそう思わない:0.9%
4,コミュニケーション能力が上がる
多くの留学生が一番苦しむのが、最初の1ヶ月です。実際に挫折する人は高校生でも、大学生でも、社会人でさえも跡を絶ちません。
参照:海外留学は甘くない!高校留学生の12%がリタイア、その理由とは?
海外留学中は自分で積極的に話しかけることでしか、自分の居場所を作ることができません。なぜなら、相手はあなたに興味がないからです。しかも、相手は日本人ではないので、バックグラウンドが全く異なることを想定して話す必要があります。
だからこそ、阿吽の呼吸で済まされない、コミュニケーション能力が鍛えられます。
最初のうちは英語でのコミュニケーションは難しいでしょうが、必ずしも正確な文法や発音ではなくてもボディーランゲージなども使ってコミュニケーションは取ることは可能です。それを体感ができるのが留学です。
相手の文化や背景も考えながらコミュニケーションをする思考を身につけた留学生は、就職面接や商談など仕事でもいかんなくその強さを発揮できます。
質問)コミュニケーション能力が向上したと思いますか?
■大学学部課程留学
・つよくそう思う:37.1%
・そう思う:51.0%
・あまりそう思わない:11.0%
・全くそう思わない:1.0%
■語学留学
・つよくそう思う:30.1%
・そう思う:57.9%
・あまりそう思わない:10.9%
・全くそう思わない:1.2%
5,積極性・行動性が向上する
留学をした人の8割以上が、積極性・行動性が向上したと回答しています。
「日本人はシャイ」とよく言われるように、確かに日本人は外国人と比べると積極性や行動性は低い人が多いです。日本では「発言して間違えること」を恥ずかしいと感じる人が多いと思いますが、海外に出れば「自分の意見を言えないこと」が恥ずかしいのです。
留学すれば、自分から積極的に行動したり意見を言うことが重要になります。逆に言えば、この能力が上がっていない人は、英会話力も鍛えられず、留学しても英語力が上がらないといえます。
質問)積極性・行動性が向上したと思いますか?
■大学学部課程留学
・つよくそう思う:32.0%
・そう思う:49.8%
・あまりそう思わない:16.6%
・全くそう思わない:1.6%
■語学留学
・つよくそう思う:25.1%
・そう思う:55.4%
・あまりそう思わない:16.3%
・全くそう思わない:3.2%
仕事・キャリア設計のメリット
海外留学が就職、転職、年収アップにどのようなメリットがあるのか、見ていきましょう。
年収が上がる
留学経験者は留学していない人に比べ年収が高いことがわかりました。
大学の学部課程留学者は、留学していない国内大学を卒業した人と比較して約80万円年収が高いです。博士課程で留学した人では、この差はさらに大きく、約170万円も年収が高いことがこの集計からわかります。
他の調査も見てみましょう。下記は、ダイジョブ・グローバルリクルーティングによる「英語の習得に関するアンケート調査」にて、「英語を習得すると仕事の選択肢も増え年収もアップする」という結果です。
「仕事の選択肢が増えた」が75.0%ですが、「年収がアップした」のは全体で33.3%でした。しかし、職業別でみると「エグゼクティブ/経営」では84.6%が「年収がアップした」と答えています。
もう1つ、人材紹介・人材派遣会社であるエンワールド・ジャパンが、同社のサービス登録者のなかから正社員として働いている1,928名を対象に2020年に行った「英語レベルと年収」のアンケート調査についても見てみましょう。
英語レベル別にまとめた「現在の年収を教えてください」に対する回答は、次のとおりです。
年収1000万円以上の割合を英語力ごとに比較してみると、初級12%、中級25%、ビジネス47%、上級58%と、英語力が高いほど年収の高い割合も大きくなっています。
このことから、英語力が高いほど年収も高くなる傾向がわかります。
おすすめ記事1:統計でわかる年収1000万円稼ぐ人たちの本当の英語力【英語力×年収の関係性#01】
おすすめ記事2:統計でわかる年収1000万円稼ぐために必要な英語勉強法【英語力×年収の関係性#02】
就職が有利になる
留学経験者の50%以上が、就職の際に留学経験そのもの(経歴)が評価されたと感じています。
留学非経験者は、大学卒業や大学院卒業そのものが採用の際に評価されたと感じている人は50%未満で、特に「強くそう思う」は留学経験者の20.1%に対して9.6%しかありませんでした。
また、外国語の運用能力、対外的なコミュニケーション経験、外国人とのコミュニケーション経験などは、留学経験者の約50%が採用時に評価をされたと感じているのに対して、留学非経験者は非常に低い割合の人しか評価の実感がありません。このように、留学は就職活動にも有利に働くことがわかります。
また、株式会社ジャストイットによる留学経験がある社会人(25歳~34歳の男女)400人を対象にした「学生時代の留学経験」に関するインターネット調査もご紹介します。学生時代の留学経験が、実際に就職活動に役立ったかどうかを尋ねたアンケートの結果は次のとおりです。
就職への影響 | 人数 |
---|---|
留学経験を企業にアピールしたことで就職が有利になった | 147人(36.8%) |
語学力を企業にアピールしたことで就職が有利になった | 113人(28.3%) |
留学中に知り合った人がきっかけで就職先が見つかった | 32人(8.0%) |
留学経験や語学力が就職に有利になったと実感していない | 62人(15.5%) |
留学経験は就活でアピールしなかった | 110人(27.5%) |
就職活動はしていない | 35人(8.8%) |
その他 | 2人(0.5%) |
※あてはまるものをすべて選択可能。
source: https://knowledge-plus.com/research-study-abroad-experience/
「留学経験を企業にアピールしたことで就職が有利になった(36.8%)」「語学力を企業にアピールしたことで就職が有利になった(28.3%)」など、多くの人が留学経験が就職に有利に働いたと実感しています。
海外留学経験は、就活時には大きなメリットであると言えます。
留学で学んだ知識を使った仕事ができる
留学をした人は、留学中に学んだ専門知識やスキルを活かした仕事をしている人が多いです。
つまり、専門性の高い仕事につきやすいことがわかっています。学部、修士、博士課程の全てにおいて、留学非経験者を上回っています。
このことは、結果として高収入にも繋がっています。
質問)現在の仕事において留学で学んだ知識やスキルを使っていますか?
■大学学部課程留学
・つよくそう思う:22.6%
・そう思う:37.6%
・あまりそう思わない:24.0%
・全くそう思わない:15.8%
■博士課程留学
・つよくそう思う:56.9%
・そう思う:30.2%
・あまりそう思わない:10.4%
・全くそう思わない:2.5%
意識形成のメリット
日本人としての意識が高まる
大学留学、語学留学ともに9割近い人が、日本人としての意識が高まったと回答しています。
留学したら自分の国のことを聞かれる機会が何度もありますし、外国人が日本のことをどう考えているかもわかります。
さらに、留学先の国の文化や政治経済などが分かってくると、他の国と比べた日本の良い面や悪い面がとてもよくわかります。
質問)日本人としての意識が高まりましたか?
■大学学部課程留学
・つよくそう思う:42.5%
・そう思う:44.7%
・あまりそう思わない:10.3%
・全くそう思わない:2.6%
■語学留学
・つよくそう思う:40.5%
・そう思う:47.7%
・あまりそう思わない:9.1%
・全くそう思わない:2.7%
政治・社会問題の関心が高まる
留学すれば、自分の国のことを説明する機会が必ずあります。日本の政治・社会問題を説明できる必要があるので、日本にいる時より日本の問題も勉強することになるかもしれません。
また、留学先によっては貧困や格差、人種差別の問題が身近に感じられることもあるでしょう。
質問)政治・社会問題の関心が高まりましたか?
■大学学部課程留学
・つよくそう思う:23.4%
・そう思う:48.8%
・あまりそう思わない:22.9%
・全くそう思わない:4.8%
■語学留学
・つよくそう思う:16.9%
・そう思う:48.8%
・あまりそう思わない:26.9%
・全くそう思わない:7.3%
外交・国際関係の興味が高まる
大学留学した人の8割以上が外交・国際関係の興味が高まったと回答しています。国内大学卒業者では2割に届きません。
海外に留学すればまず留学先の国に興味を持ちますし、世界中から来ている留学生仲間の国にも関心を持つことになります。
英語がわかるようになれば日本のニュースではなく、海外のBBCやCNNなどを観る機会も増えるでしょう。そういったチャンネルは、日本のニュースと違い国際的な話題に時間を割いて報道しています。
質問)外交・国際関係の興味が高まりましたか?
■大学学部課程留学
・つよくそう思う:31.4%
・そう思う:52.5%
・あまりそう思わない:13.6%
・全くそう思わない:2.5%
■語学留学
・つよくそう思う:26.5%
・そう思う:57.0%
・あまりそう思わない:13.2%
・全くそう思わない:3.4%
宗教に関する寛容性が高まる
日本では、日常会話で「あなたの宗教は何?」と聞かれることはまずありません。宗教の話題は触れないようにしようとするのが普通だと思います。しかし、海外に行けば普通に聞かれることの1つです。
近年先進国では無宗教の人が増えてはいますが、世界全体を見渡せたば宗教持つ人の方が多いです。これから世界に出て働きたいという人、外国人と仕事をする人にとっては、宗教とは何なのかを学ぶことは決して無駄にはなりません。
質問)宗教に関する寛容性が高まりましたか?
■大学学部課程留学
・つよくそう思う:22.5%
・そう思う:45.6%
・あまりそう思わない:25.1%
・全くそう思わない:6.8%
■語学留学
・つよくそう思う:17.2%
・そう思う:45.5%
・あまりそう思わない:28.3%
・全くそう思わない:9.0%
心理的変化のメリット
自己肯定感が高まる
留学の結果、どのような意識が高まったかという質問に対して、「自己効力感(自分はやるべきことを実行できるという意識)が高まった」と答えた人は、
留学経験者で
「強くそう思う」21%
「そう思う」53.3%
留学非経験者では
「強くそう思う」5.2%
「そう思う」35.0%
です。
また、自己肯定感(自信)が高まったと回答した人は、
留学経験者で
「強くそう思う」21.5%
「そう思う」50.2%
留学非経験者では
「強くそう思う」4.7%
「そう思う」32.0%
です。
留学経験者は非経験者より自信が強まり、行動するという意識が高くなっています。つまり「留学をきっかけに、自己肯定感が高まり、より積極的に行動できるようになる人が多い」ということでしょう。
このマインドセットの変化は、その後のその人の人生に大きなインパクトを与えるはずです。
留学種類別のメリット・デメリット
最後に、留学種類別のメリットとデメリットをご紹介します。
大学への正規留学
正規留学とは、日本の大学には入学せず、海外の大学に入学・卒業する方法です。日本の大学を卒業した後、大学院へ正規留学する人もいらっしゃいます。
メリット | デメリット |
---|---|
・語学習得はもちろん、高度な専門知識を得られる。 ・就職で有利に働くことが多い。 ・世界中に幅広い人脈を作ることができる。 |
・日本の大学より費用がかかる。 ・入学前にある程度の英語力が必要。 |
交換留学
交換留学とは、日本の大学に在籍しながら海外の大学に半年から1年程度留学する方法です。自分の通っている大学の提携留学先のケースが多いです。
メリット | デメリット |
---|---|
・留学先の単位が日本の大学で認められる。 ・正規留学より手続きが容易。 ・正規留学より費用が安い。 |
・海外の大学の学位は取得できない。 ・提携留学先の中からしか選べない。 |
語学留学
語学留学とは、語学習得を目的として海外の語学学校で勉強する方法です。期間は通常1週間から自由に設定でき、入学試験もないため申し込みさえすればいつでも留学できます。
メリット | デメリット |
---|---|
・語学の習得だけに集中して勉強できる。 ・期間は自分で自由に設定できる。 ・入学試験や年齢制限はない。 |
・ある程度の期間と費用が必要。 ・学歴としては評価されない。 |
海外留学のメリットまとめ
留学して英語力がアップする、異文化を体験をする、外国人の友人を作るなどなど、留学で得られるメリットはたくさんあります。
でも自分の人生の長さを考えると、留学期間より帰国後の人生の方が長いです。
その長い帰国後の人生で、自分に自信が持て積極的な人生を送れる人と、自信がなく何事にも消極的な人生を送る人とでは、大きな違いが生まれのではないでしょうか?
だからこそ、留学したことによって生まれる自分への自信に対するマインドセットの変化は、その後の人生を大きく変える、留学の最大の成果(メリット)だと言えるかもしれません。
皆さんも思い切って留学をすることで、自信と実行力のある自分に変身して、人生を変えてみませんか?