英語を使って仕事がしたい!
一発逆転で転職を成功させたい!
このような方向けに、近年注目されている「USCPA(米国公認会計士)」という資格があるのをご存じでしょうか?
英語×会計という、一流ビジネスマンになるには避けては通れない二つのスキルを高いレベルで保有している証明になる資格です。
また、日本の公認会計士と比較しても資格の効力、年収はほぼ同水準でありますが、資格取得にかかる労力がUSCPAの方が圧倒的に少ないことから、一部ではコスパ最強の会計資格と言われています。
USCPA取得者のキャリアパスとして、大手監査法人へ転職するケースがスタンダードとなりつつあります。
今回はUSCPAを取得して監査法人に転職した方が、覚悟すべき試練を3つご紹介していきます。
目次
大手監査法人がUSCPA採用に積極的なわけ
先ほど、USCPAは近年注目されつつある資格であると紹介しましたが、なぜだかわかりますか?
これといった明確な一つの答えはありませんが、私の回答としてはズバリ!
「グローバルな人材が求められるから」
と答えることができます。
グローバルという言葉自体は数十年前から取り上げられてきましたが、実際に企業がそのような人材を求めるようになったのはここ数年です。
国内のみでなく、国境を越えてビジネスを展開していくことは、スタンダードなモデルとなりつつあります。
そのような情勢を踏まえ、企業は世界を相手に仕事ができる人材、言い換えると英語を使いこなすことができる存在を求めています。
数十年前まで、監査法人は日本の公認会計士試験を合格した人が働く場所という認識でした。
公認会計士という資格が、入社条件として確固たるものでした。
しかし、近年のグローバル化、慢性的な人材不足に伴い、日本の公認会計士以外の人材の採用を強化しています。
その代表的な例として、USCPAの採用が挙げられます。グローバルな人材としての証明となる高い英語力、人手不足を解消する会計知識を持った人材という二つの要素から、USCPAの需要は高まり続けています。
企業からの評価が高まると資格としての価値は上がります。そうした背景から、USCPAは近年注目されている資格ということができます。
チーム内では英語担当に
では、実際にUSCPAを取得して大手監査法人に転職したケースを考えてみましょう。
経理の実務経験が全くない…
前職は会計と全く関係ない仕事をしていた…
そもそも社会人経験がない…
といった方でも、若年層であれば十分に大手監査法人への就職は可能です。ここでの若年層は20~30代を指すこととします。
40代以降の方はUSCPAを取得したからと言って、希望の監査法人へ転職することは不可能ではないですが、厳しいです。
取得年齢が上がるにつれて、前職の経験が大切になってきます。
この記事を読んでいただいている方のほとんどは20~30代だと思いますので、そういった前提のもと話を進めていきます。
監査法人がUSCPAに求める能力として様々なものがありますが、やはり一番は「英語力」です。
企業は、米国公認会計士という名前からもアメリカの資格であり、すべて英語で行われる資格をpassしたということは高い英語力を保持していると勝手に解釈します。
この英語力という点で、USCPAホルダーと企業側で大きな乖離が生まれやすいです。
USCPAホルダーないし、USCPA取得に向けて学習を進めている方の肌感として、
それほど高い英語力を持ち合わせていなくても何とかなる
という認識が強いです。
私もUSCPAの学習を始める前は、TOEICや英検の勉強をしてもう少し英語に自信をつけてから取り掛かる方が良いのではないかと悩む時期がありましたが、実際に学習を進めていくと、
あれ、意外と理解できるぞ
ということに気が付きます。米国公認会計士という名前のインパクトから、高い英語力が必要と勝手に思いがちです。
しかし、実際はそれほどまで高い英語力は要りません。目安としてはTOEICスコア600、英検2級程度の英語力があれば、特に英語に悩まされることなく学習を進めていくことができます。
つまり、USCPAホルダーだからといって高い英語力の証明にはならないということです。
もちろん、中には帰国子女、留学経験者、英語大好きな人等、英語に自信がある方もいます。
しかしながら、それと同じくらい英語に自信がない人もいます。高い英語力を持ち合わせていなくても合格できる資格が、USCPAなのです。
USCPAの実態をあまり知らない企業にとって、USCPAは英語のスペシャリストという認識が強いです。会計知識は足りないが英語力を買って採用というケースも多いので、英語に対する期待はものすごく高いです。
もちろん、その期待は実務でも垣間見られます。実体験としてUSCPAとして監査法人に入社後、私のチーム内の役割はアシスタント兼通訳でした。
下記に詳細を載せますので、是非参考までにご覧なってみてください。
監査法人に勤めるUSCPAが思う、つらいことベスト3
1,期待値が高すぎる英語力
前述の続きとなります。USCPA=英語と会計のスペシャリストという認識が強いことはプラスでもありますが、マイナスにも働きます。
私の記事をいくつか読んでいただけている方ならプラス面、いわゆるメリットの大きさは十分承知だと思います。
ここではマイナス面について詳細に掘り下げていきます。
USCPAは英語と会計を高いスキルで保有しているという証明になる資格であり、米国基準の会計を採用しない日本企業にとっても欲しい人材となりつつあり、市場価値が急増している資格です。
このあまり聞きなじみがない希少性、日本の公認会計士のアメリカ版であるという解釈の元、USCPAは過大評価されがちです。
過大評価されることは、入社後USCPAホルダーのほぼ全員感じることではないでしょうか。
それが顕著に感じられるのが、「英語面における絶大な信頼」です。
USCPA=英語ペラペラという認識はどの会社も持っています。
英語のスキルが高いレベルであるから重宝されるのです。
しかし、実際に期待通りの英語力を有しているUSCPAホルダーはごく僅かでしょう。
ほとんどが、ビジネス英語には程遠い、簡単な読み書き程度であり、会話力も日常会話程度のスキルしか持ち合わせていません。
なぜならUSCPA試験自体、高い英語力がなくても合格できてしまうからです。
この企業側の期待とUSCPAホルダーの実力に大きな乖離があることが入社後、大きな壁となり、乗り越える必要があるUSCPAホルダーの避けては通れない宿命であるといえます。
実際に私もそうでした。
英語×会計のスペシャリストという肩書の元、鳴り物入りで入社しましたが、会社が期待した高い英語力を持ち合わせておらず、アサインされる英語系の仕事が苦痛でひどく病む時期もありました。
辞書で調べながら地道に仕事を進め、空いた時間も英語学習をする日々が続きました。会社に期待に応えるべく、がむしゃらに勉強していた記憶があります。
会社から、期待外れの不要な新人というレッテルが張られるのが怖かったのです。
その危機感を抱え猛勉強の末、半年経過するころには自分自身で大きな成長を感じられるほど、劇的に英語力が伸びました。
英語での会議、英文での資料作成等、問題なく業務を進めることができるレベルまで到達しました。一般的に言われるビジネス英語のレベルです。
この経験を通して、自分に自信が持てるようになりました。
私が伝えたいこととしては、USCPAが評価されて入社した以上、高い英語力が求められることは必然的なことです。会社に期待に応えるべく努力し続ける姿勢が大切だということです。
2,日本の会計基準や開示知識の学習
一つ目の壁は英語力でしたが、二つ目の壁は会計知識です。
USCPAと日本の公認会計士試験では、受験者に求められるスキルに大きな違いがあります。
USCPAの場合、ビジネススキルを広く浅く身に着けることが求められるのに対し、日本の公認会計士試験は深い会計知識の一点が求められます。
会計という観点で考えると、前者はビジネススキルの中の一つの科目で会計を学ぶというイメージですが、後者は、1から10まで学ぶことすべてが会計であり、非常に細かく難解な論点が多いイメージです。
これだけ会計知識に差がある状態の二者が、同じ職場で同じ仕事をするとどうなると考えられますか?
容易に想像がつくことでしょう。業務遂行能力に差が生まれます。もっと言うと、USCPAは会計という観点のみで評価するなら使い物になりません。
勉強にかける時間、試験自体の難易度、必要な会計知識のレベルが全く違う二つの試験であるため、当然と言えば当然の結果になります。
日本の公認会計士との圧倒的な知識量の差を目の当たりにしたUSCPAがとるべき行動は一つしかありません。
ズバリ、会計の勉強です。
ここでも勉強しなきゃいけないのか…。
そう思う方もたくさんいることと思います。
しかし、これも英語同様避けては通れないものです。
監査法人で働く以上、専門的で高度な会計知識は必須になります。監査法人がUSCPAを採用する際、多くはポテンシャル採用です。
若年層かつ英語と会計の基礎がある=日本の会計基準の学習も可能
という判断の元、採用されます。
つまり、即戦力として考えられるケースは少ないということです。仕事を通じて、空いた時間は勉強してくださいねという企業側からの思いも含まれます。
日本の会計を勉強するといっても具体的に何を目標にすればいいのか?
私のおすすめは、日商簿記一級取得です。
USCPAに合格している段階で、日商簿記二級程度の知識はあります。
なので、ここではあくまで一級に焦点を当てて学習することがおすすめです。
二級と一級では難易度がまるで違います。
実際に私の体感として、二級の勉強量を10とするなら一級合格に必要な勉強量は200です。
20倍というと少し言い過ぎた感は否めませんが、率直な体感としてそれくらいです。非常に細かい会計知識が必要であるのに加え、試験範囲は膨大です。広く深い会計知識が問われます。
合格率も10%前後であり、その半数以上が、会計士受験生や税理士受験生であることからも、難関資格という位置づけに異論はないでしょう。
一級の取得は、普段の業務に大きな影響を与えます。日商簿記一級は実務に即した試験であるので、普段の仕事で使う言葉や必要な処理がふんだんに盛り込まれています。
それゆえ、学習を進めていくと勝手に普段の仕事が楽に感じられるほど、親和性が高いです。日商簿記一級を取得して、日米両方で高い会計知識を身につけましょう。
3,期待外れからくるストレスやメンタルなどの精神面
個人的にこれが一番の壁のように感じます。期待されるほどの能力を発揮できないとき、チーム内や上司、クライアント先から不信感を抱かれます。
直接言葉で伝えられるケースもありますが、間接的に悟るケースも多いです。
担当は外されたり、雑用を押し付けられるケースなどです。このような会社からの、あなたは不要ですというメッセージはひどくメンタルをそがれます。
これに加えて、上記の二点の壁を乗り越えなければなりません。
私の同期や知り合いで、ストレスやメンタル崩壊で仕事を辞めた人は大勢います。
一度折れたら元に戻ることは非常に難しいので、強い意志をもって仕事に励むことができる器量も大切になってきます。
ナーバスになりがちな人は前もって英語や会計の勉強を進めておくことが大切です。
まとめ
今回はUSCPAが就職後に直面する大きな壁を三つ紹介しました。
USCPAという資格は取得をもって実力を有するものではなく、取得後も継続的な学習を通して、資格に見合ったスキルを身に着けている必要がある特殊なものであると認識していただけたのではないでしょうか。
この三つの壁をクリアすることができれば、USCPAとして明るいキャリアが歩める可能性が高いです。
先を見据え、頑張っていきましょう!