1,海外留学で本当に将来は明るくなるのか?

留学することが自分にとって有利になるのか、それとも不利になるのかをめぐり、ネット上でもさまざまな意見が発信されています。

たとえば海外留学は、就職の際に有利になるのでしょうか? それとも不利になるのでしょうか?

たしかに留学そのものが、「すごい!」と思われた時代はとうに過ぎています。今の時代は、その気になりさえすれば誰でも留学できます。

つまり、留学そのものが評価されることは、まずないといってよいでしょう。「留学してないから落とす」なんて企業はないように、「留学したから採用する」なんて企業もありません。

では、実際のところ留学生の数は増えているのでしょうか? それとも減っているのでしょうか?

2,留学生は増えてるの? それとも減ってるの?

留学がほんとうに不利になるのであれば、留学生の数は年々減るのが自然ですよね。留学したことで就活に苦労している先輩を見ていたら、「留学なんてやぁ~めた!」となるでしょうから!
【日本人留学生の動向】海外留学する日本人は増えているのか・減っているのか?

上のグラフは、文部科学省がまとめた日本人の留学生数の推移を表したものです。

黒の折れ線グラフと赤の折れ線グラフがありますが、これは留学生のカウントの仕方が異なるためです。

黒の折れ線グラフを見ると、ここ数年で留学生の数が下降していることがわかります。2013年は折れ線が途切れていますが、55,360人となっており、近年ではもっとも低い留学生数となっています。

この黒の折れ線グラフをもとに、メディアは盛んに留学生数の数が減少していると報じてきました。そのためネット上でも、「最近は留学生数が激減している」から「留学は不利なんだ」とする記事が目立っています。

実はこれは、大きな誤解です。

黒の折れ線グラフが表しているのは、「海外の大学や大学院等の高等教育機関で学ぶ日本人学生の数」に過ぎません。

つまり、中学や高校の留学生がカウントされていないばかりか、数の上ではもっとも多い語学学校の留学生さえ無視されているのです。

海外留学生が減少している報じたメディアの情報が間違っていることは、赤の折れ線グラフを見ればすぐにわかります。

赤の折れ線グラフは、文部科学省の外郭団体にあたる独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が発表した「大学生の海外留学生数」です。

もっとはっきりさせるために、赤の折れ線グラフを詳細に見てみましょう。それが下の棒グラフです。

【日本人留学生の動向】海外留学する日本人は増えているのか・減っているのか?

上のグラフを見てもらえば、はっきりわかりますよね。ここ数年、留学生の数は減っているどころか、実際にはものすごい勢いで増えています。

JASSOの数字は、9割以上が1年未満の留学生です。そのため、文科省の統計の数字とは、ほぼ重なっていません。

短期留学を含めると、留学生の数は年々上昇の一途をたどっています。

留学生が増え続けているという事実は、少なくとも「留学することで就活が不利になる」といったネット上でよく見かける主張が、真実ではないことを物語っているといえるでしょう。

加えて言えばこれらの数字には、近年留学生が急増中のフィリピン留学は含まれていません(もしくは、含まれていてもごく一部です)。なので、様々なデータを加味すると海外留学をする日本人総数は約17万人〜18万人前後ではないかと言われています。
このあたりの話は当サイトにも寄稿していただいている、星野さんの記事に詳しく書かれています。
参照:【留学生の数】文科省発表の倍以上!実は多かった日本人留学生の数
参照:数字で検証!日本人はどこに海外留学しているのか?

 
え? 「留学生の数が増えていることはわかったけれど、それだけで留学したほうが有利になるとは思えない」ですって!

なるほど! それもそうですね。

では、「留学した方が自分の将来設計において明らかに有利になる!」という事実を、ある統計から証明しましょう。

3,海外留学は将来設計を有利に導く・・・らしい

http://www.netartcommons.net/why-use-the-services-of-overseas-education-consultants-in-india/
http://www.netartcommons.net/why-use-the-services-of-overseas-education-consultants-in-india/

自分の将来を見据えるとき、誰しも気になるのは年収とキャリア(役職)ですよね。

・留学をすることで年収と役職は、どう変わるのか?
・留学したことは、就職時に評価されるのか?
・企業は留学生になにを期待しているのか?

さまざまな統計をもとに、これらの問題について考えてみましょう。

①海外留学で年収はアップするのか?

さあ、ここからが本番です!

あなたは海外留学することで、年収が上がると思いますか?

この答えをたしかめるためには、留学したことがある人の年収と、留学したことがない人の年収を、それぞれの学歴に応じて比較する必要があります。

この統計を、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が「留学体験のインパクトと成果-留学経験者と留学未経験者の比較調査から-(PDF)」と題したレポートにまとめて発表しています。

この調査は、2015年8~9月にかけて、インターネットを用いて行われました。留学経験者としておよそ4,500名もの人の統計が集められています。年齢層も幅広く、20~60代の男女が対象となっています。(非留学経験者はおよそ1,300名)

これまでも留学経験者の年収を統計として発表された例はありましたが、今回のようにこれだけ多くの人の統計が集計されたのは、はじめてのことです。

統計は数が多いほど正確になりますから、今回の統計は留学経験者の年収と留学未経験者の年収を、これまででもっとも正確に表したものといえるでしょう。

なお、今回の「年収とキャリア」以外についての解説は既にこちらの記事で書かれておりますので、こちらもご参照ください:【留学経験者4,489人の統計で検証】留学後に人生が変わる?留学経験者と非経験者の差

 
では、統計を実際に見てみましょう。

「貴方の現在の年収をお答えください」というアンケートに対する答えをまとめたのが、下のグラフです。

留学体験のインパクトと成果-留学経験者と留学非経験者の比較調査から- http://www.jasso.go.jp/ryugaku/related/kouryu/2016/__icsFiles/afieldfile/2016/08/05/201608kobayashiakira.pdf
留学体験のインパクトと成果-留学経験者と留学非経験者の比較調査から- http://www.jasso.go.jp/ryugaku/related/kouryu/2016/__icsFiles/afieldfile/2016/08/05/201608kobayashiakira.pdf

ポイントは年収が高い「緑色と黄色のバーの人たちがどれだいるか」です。
ぱっと見ただけでも、年収800万以上を比較すると、留学経験者のほうが留学未経験者よりも明らかに多いことがわかります。

留学経験した学生(男) VS 留学未経験の学生(男) 

わかりやすくするために、学士留学(男)と国内大学卒業(男)のデータを取り出して、比較してみましょう。

大卒者女性の留学経験による年収比較

学士留学(男)と国内大学卒業(男)の年収比較円グラフ

大卒者男性における留学経験者と留学未経験者の年収比較になります。

左2つの円グラフは、留学経験のある学士留学(男)と留学未経験の国内大学卒業(男)の年収を800万円以上と以下の比率に分けたものです。

右の円グラフは、年収800万円以上を得ている人の比率を、学士留学(男)と国内大学卒業(男)で比較したものです。

留学経験者の26%が800万円以上の年収を得ていますが、留学未経験者ではその比率が17%しかありません。

つまり、留学経験者のほうが留学未経験者に比べて、800万円以上の年収を得ている人が10%ほども多いことになります。

さらに右の円グラフを見ていただければ、年収800万以上を得ている人を比較すると、その60%が留学経験者であることがわかります。留学経験のあるなしによって、明らかに差が認められます。

大卒の男性では、留学経験のある人の方が、留学経験のない人よりも高い年収を得ていることが、統計としてはっきりと表れています。

なお、留学経験者には学士留学だけではなく、学部単位取得後留学もありますが、両者の間の年収差は、今回の調査ではほぼ認められませんでした。

留学経験した学生(女) VS 留学未経験の学生(女) 

次に、同じく大卒者女性の比較を見てみましょう。

理工系修士・博士修了者における留学経験者と留学未経験者の年収比較グラフ

大卒者女性の留学経験による年収比較円グラフ

女性の場合、明らかに男性よりも年収が低いことが読み取れます。

800万円以上の年収を得ている女性は、留学経験者で12%、留学未経験者ではわずか2%に過ぎません。

大卒男性と大卒女性を比べた場合、その年収差には大きな差があるものの、留学経験の有無によって、その差はかなり縮まっているといえるでしょう。

右の円グラフを見ても明らかなように、高収入を得ている大卒女性は、留学経験のある女性に偏っています

男性に比べて相対的に年収が低い傾向にある女性の場合、留学経験が年収にダイレクトに影響を及ぼしていることが、統計から浮き彫りにされています。

女性の場合も学士留学と学部単位取得後留学の差は、ほとんどありません。

留学経験のある大学院生 VS 留学未経験の大学院生

次に、理工系と文化系の修士・博士修了者における留学経験者と留学未経験者の年収を比較してみましょう。

理工系修士・博士修了者における留学経験者と留学未経験者の年収比較グラフ

理工系修士・博士修了者における留学経験者と留学未経験者の年収比較円グラフ

文科系修士・博士修了者における留学経験者と留学未経験者の年収比較グラフ

文科系修士・博士修了者における留学経験者と留学未経験者の年収比較円グラフ

大学院卒業者の年収でも、こうして比較してみると留学経験者の方が、圧倒的に年収が高いことがつかめることでしょう。

理系大学院卒で800万円以上の年収がある人の比率は、留学経験者で30%、留学未経験者で21%です。

一方、文系大学院卒で800万円以上の年収がある人の比率は、留学経験者で43%、留学未経験者で17%です。

留学経験者と留学未経験者の差は、理系では10%弱ですが、文系では25%に広がっています。これは驚くべき格差といえるでしょう。

右の円グラフを見ても、高所得者の分布では明らかに留学経験者が圧倒的に優位に立っています。

【平均年収比較】 留学経験者 VS 留学未経験者

次に留学経験者と留学未経験者の平均年収についても比較してみましょう。

グローバル人材育成と留学の長期的なインパクトに関する調査 グローバル人材5000プロジェク http://gj5000.jp/
グローバル人材育成と留学の長期的なインパクトに関する調査 グローバル人材5000プロジェク http://gj5000.jp/

カラフルでわかりづらいですが、一番右側の数字だけを見ればOKです!
平均年収でも留学経験者と留学未経験者では、明らかに格差が生じていることがわかります。

大卒男性の平均年収が575万円に対して、留学経験者の平均年収は600万円を超えています。
大卒女性の平均月収の格差はもっと顕著で、留学未経験者が330万円であるのに対して、学士留学では439万円と、実に100万円ほどの格差が生じています。

大学院卒業においても、留学経験者の平均年収は留学未経験者に比べて明らかに高く、その差は理系で150万円、文系では300万円弱も広がっています。

留学の有無による年収の格差は、ほとんどの人の予想を超えているのではないでしょうか?

留学が有利か不利かといった議論は、さまざまな視点から検討されていますが、年収という形として見える指標で比べてみたとき、大卒・大学院卒にかかわらず、また男女の差にもかかわらず、留学経験者の年収のほうが、留学未経験者の年収を大きく上回っていることがはっきりと示されています。

このことから、留学経験を積むことで年収が上がる可能性が高くなると、結論付けてもかまわないでしょう。

え?データが明らかに留学有利で胡散臭すぎる!?

ぜひデータ元の「独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)」で調査方法や対象、回答者の属性をご覧ください。
留学体験のインパクトと成果-留学経験者と留学未経験者の比較調査から-(PDF)

②海外留学は将来のキャリア(役職)アップにつながるか?

では次に、留学がキャリアアップにつながるかどうかを見ていきましょう。年収と同様に現時点においての、留学したことがある人の役職と、留学したことがない人の役職を、それぞれの学歴に応じて比較することで答えは出てきます。

「あなたの現在の役職をお答えください」というアンケートに対する回答は、以下の通りです。

留学体験のインパクトと成果-留学経験者と留学非経験者の比較調査から- http://www.jasso.go.jp/ryugaku/related/kouryu/2016/__icsFiles/afieldfile/2016/08/05/201608kobayashiakira.pdf
留学体験のインパクトと成果-留学経験者と留学非経験者の比較調査から- http://www.jasso.go.jp/ryugaku/related/kouryu/2016/__icsFiles/afieldfile/2016/08/05/201608kobayashiakira.pdf

このグラフだけだと見にくいため、比較しやすいように別のグラフで表してみましょう。

まずは、大卒者男性における留学経験者と留学未経験者の役職について比較してみます。

大卒者男性における留学経験者と留学未経験者の役職比較グラフ

大卒者男性における留学経験者と留学未経験者の役職比較円グラフ

「学士留学」が留学経験者、「国内大学卒」が留学未経験者を表しています。

「経営者・役員」と「管理職」を「管理職以上」に、「一般職員」と「アルバイト・契約職員」と「その他」を「管理職以下」に分けています。

管理職以上の仕事についている人の割合は、留学経験者で44%、留学未経験者で31%になります。

つまり、留学経験者の方が留学未経験者に比べて13%も多く、ステータスのある役職についていることがわかります。

右図は、管理職以上の比率を比較した円グラフです。ここで明らかなように、大卒の男性の場合、留学経験者の方が管理職以上の役職につける可能性が高いことがわかります。

では、大卒者女性の場合はどうでしょうか?

理工系修士・博士修了者における留学経験者と留学未経験者の役職比較グラフ

理工系修士・博士修了者における留学経験者と留学未経験者の役職比較円グラフ

女性は男性に比べると、上位の役職になかなかつけないことがうかがえます。男女平等が叫ばれても女性が管理職以上につくことが難しい現実が、あらわにされています。

それでも、留学経験者であれば、管理職以上の役職につける可能性が高いことを、データははっきりと示しています。

大卒女性が管理職以上の役職につける比率は留学経験者で18%ですが、留学未経験者になると4%のみです。右の円グラフを見ていただければわかるように、留学経験者のほうが留学未経験者を圧倒しています。

女性の場合、留学の有無が、男性以上にキャリアアップに結びついてくることがわかります。

さらに、年収を比較したときと同様に、理工系と文化系の修士・博士修了者における留学経験者と留学未経験者の役職を比較してみましょう。

理工系修士・博士修了者における留学経験者と留学未経験者の役職比較グラフ

理工系修士・博士修了者における留学経験者と留学未経験者の役職比較円グラフ

文科系修士・博士修了者における留学経験者と留学未経験者の役職比較グラフ

文科系修士・博士修了者における留学経験者と留学未経験者の役職比較円グラフ

理系の大学院卒業者のうち、管理職以上の役職についている比率は留学経験者で31%、留学未経験者で19%です。

文系の大学院卒業生では、管理職以上の役職についている比率は留学経験者で43%、留学未経験者で17%です。

どちらも右の円グラフを見ていただければ、管理職以上についている比率において、留学経験者が明らかに留学未経験者を上回っていることがわかります。

ことに女性の場合、大卒女性の留学経験者と、理系文系の大学院卒業者とで、管理職以上の役職についている比率がほぼ同じであることは、注目すべきことです。

つまり女性の場合、キャリアアップだけを見れば、留学経験を積むことと大学院を卒業することとの違いは、ほとんどないことになります。

男女問わず、留学をすることで将来の役職にも大いに役立つことが、統計としてはっきりと示されたことは、画期的なことといえるでしょう。

こうした事実から、冒頭の「留学することが有利になるのか、それとも不利になるのか?」といった問いに対する答えは、明らかになりました。

年収においても、キャリアップにおいても、留学することで間違いなく有利になるといえます。

住み慣れた日本を離れて海外で留学をするということは、けして生やさしいことではありません。それなりにたいへんな思いもしますが、その分大きな見返りも期待できるだけに、苦労するだけの価値が留学にはあるといえるでしょう。

4,海外留学と年収・キャリアアップの関係性

https://barretthonors.asu.edu/academics/enhance-your-academic-experience/study-abroad
https://barretthonors.asu.edu/academics/enhance-your-academic-experience/study-abroad

では、なぜ留学することで、年収とキャリアがアップするのでしょうか?

「そんなの、グローバル化が進むなかで、英語力が高いことが武器になるからに決まってるよ!」と、思うかもしれませんが、実はそうともいえない面があります。

「企業が留学経験者に対して、どんな能力を期待しているのか?」というアンケートを、JAOS海外留学協議会が中小企業約1,000社を対象に行っています。

その結果が、以下のグラフです。

「海外で身に付く力」と 「企業が留学生に期待する力」

出典:「海外体験を有する若者の採用・活用に関する調査報告書」(平成25年度厚生労働省委託 JAOS海外留学協議会調べ)

「海外で身に付く力」と 「企業が留学生に期待する力」トップ5の結果は右の通りです。

企業としては当然、留学経験者の英語力に期待するのかと思いきや、意外な結果になっています。

語学力は第3位に過ぎず、それよりも第1位の主体性・積極性、第2位のコミュニケーション能力の方を、企業は大きく期待しているようです。

海外留学の直接の目的は、ほとんどの場合語学力を上げることです。しかし、留学で身につくものは語学力だけではありません。

日本と遠く離れた見知らぬ土地に、家族や友人や知人さえもいない環境に一人で飛び込んだからには、主体的かつ積極的に動かなければ生活そのものが成り立ちません。

文化や価値観がまったく異なる世界にあっては、生活する上でわからないことが山ほどあります。それらを解決するためには、人に聞くよりありません。

人とコミュニケーションをとるためには、語学力はもちろん必要ですが、それ以上に問われるのはコミュニケーション能力です。

海外では周囲と円滑なコミュニケーションがとれなければ、まともに生活することさえできません。コミュニケーションは趣味の延長としてではなく、必要に急かされてとらなければいけないものなのです。

その結果として、嫌でもコミュニケーション能力が磨かれることになります。

海外で目にするもの、出会う人・物・景色・音……、それらは新鮮な驚きに満ちています。語学の勉強は、効率はともかくとして、たしかに国内にいてもできます。ですが異文化とのふれあいは、実際に海外で生活しない限り、けして得られないものです。

海外留学で培われたこうした目に見えない能力や価値観こそが、あなたを何倍にもスケールアップさせます。

では、実際のところ、留学によってどのような能力が向上したのかを見てみましょう。

留学経験者に対しては「留学の結果、次のような能力が向上したと思いますか?」という質問を、留学未経験者に対しては「大学・大学院の学生生活で、次のような能力が向上したと思いますか?」という質問を投げかけ、アンケートが行われています。

その結果は次の通りです。

【留学経験者4,489人の統計で検証②】留学で就職活動は有利になるか?

グローバル人材育成と留学の長期的なインパクトに関する調査 グローバル人材5000プロジェクト http://gj5000.jp/

左の図が留学経験者、右の図が留学未経験者を表しています。茶色とベージュ色はその能力が向上したと肯定的に捉えた人の割合を示し、水色と青色は否定的に捉えた人の割合を示しています。

この結果からも明らかなように、留学経験者のほうがあらゆる能力において、向上したと感じていることがはっきりと読み取れます。

「ストレス耐性」や「柔軟性」「リーダーシップ」など、社会に出てから重視される能力が向上したと、多くの留学生が感じています。

また「協調性」は、欧米とは異なり日本社会で特に重視される能力ですが、留学経験者のほうが留学未経験者を上回っていることは、注目に値します。

従来、留学の欠点としてよく、「海外で個人主義を学ぶために協調性に欠けるきらいがある」と指摘されてきましたが、こうした考え方が事実に基づかないことを、このアンケート結果は示しています。

国家をはじめとして人が集まるコミュニティはすべて、協調性を基本として成り立っています。ことに外の世界からコミュニティに入る場合には、協調性を認められるようにことさら気をつかうものです。

留学することで、協調性はむしろ磨かれます。

留学に費やした期間は、人生においても特別な時間にあたります。たとえば留学で過ごす1年間は、人生で過ごす10年、あるいは20年に匹敵するほどの価値があるといえるかもしれません。

留学している1年の間に、多くの人とのコミュニケーションを通して、従来の自分にはないまったく新しい価値観にふれ、異文化を吸収しながら様々な体験を積み重ねます。

その1年間は、人生のなかでも特別に密度の濃い時間が流れる1年になることでしょう。

そうした体験のなかから、自分のなかの多くの能力が目覚め、向上します。

こうした目には見えない能力の向上こそが、留学することで初めて得られるものです。蓄えられた能力は仕事の上でも十分に発揮され、年収の増加とキャリアアップをもたらすのです。


 
*当たり前ですが、「ただ留学をするだけで「年収」や「キャリア」が上がる!」わけではありません。

「頭をフル回転させてその場を乗り切った」、「一人で勇気を出してチャレンジした」、「価値観の違いを受け入れた」、「連日徹夜してレポート作成した」などの経験がのちのち、年収やキャリアとして響いてくるのです。

5,欧米ではなく、あえてフィリピンを選ぶ価値はあるか?

フィリピン留学の一コマ

ちょっと前までは語学留学先にカナダ・オーストラリア・イギリス・アメリカなどを選ぶ人が多かったものですが、最近目覚ましい勢いで増えているのがフィリピンを留学先に選ぶ人の数です。

そして今、フィリピンに留学したという実績が、企業からも熱い視線を浴びるようになっています。

なぜでしょうか?

それは、フィリピンがASEANの主要国のひとつだからです。

次の世界経済の中心地はどこか?

http://www.asean-competition.org/
http://www.asean-competition.org/

「ASEAN」とは、東南アジア諸国連合のことです。具体的にはフィリピン・インドネシア・シンガポール・タイ・マレーシア・ブルネイ・ベトナム・ミャンマー・ラオス・カンボジアの東南アジア10か国の経済・社会・政治・安全保障・文化に関する地域協力機構のことです。

日本も、2011年よりジャカルタに東南アジア諸国連合日本政府代表部を開設し、ASEAN大使を常駐させています。

そのASEANが2015年末に、ASEAN Economic Community (略称:AEC)を結成しました。日本語で、「アセアン経済共同体」です。

複数の国家が経済的に結びついてブロックを形成したことは、ヨーロッパのEUと同じです。もっともAECはまだまだ発展段階のため、EUほど緊密な経済協力もなければ、通貨も統一されていません。

しかし、今後はAEC間で「ヒト・モノ・カネ」の動きが自由化される予定になっています。

ASEANのGDPは2013年時点で、合計2兆4千億ドル強です。EUがおよそ17兆ドル、カナダ・アメリカ・メキシコの3カ国で構成されるNAFTAが20兆ドル弱であることを考えると、その数字はけして大きいものではありません、

世界のGDPに占めるASEANの割合は、3.2%に過ぎません。

ところが、AECは今、世界中から注目されています。

なぜならAECの今後の経済成長は、世界経済を大きく変えるだけの潜在力があるからです。世銀やIMFなどの国際機関による経済見通しにおいて、ASEANは世界でもっとも成長が期待できる地域とされています。

なんといってもASEANは、合計で6億人以上の人口を抱えています。これは、中国・インドに次ぐ世界第三位の規模です。EUの約5.1億人、アメリカの約3.2億人を優に超えています。

人口が多ければ、消費市場としても生産拠点としても魅力が増します。ましてフィリピンを筆頭に、ASEAN各国の経済成長率はすさまじく、今後ますます大きな消費市場として成長することが確実視されています。

つまりASEANは、今でも世界有数の規模を誇る巨大経済圏ですが、すでに飽和に達した先進国の経済圏とは異なり、今後もさらに成長が見込める魅力的な巨大市場なのです。

 

世界経済は今、いっせいにアジアにシフトをはじめています。GDP・人口・軍事費・技術投資というグローバルパワーの四つの尺度において、「2035年にはアジアが北米とヨーロッパの合計を抜き、世界のパワーの中心になる」とする分析があります。

加速する日本企業のASEAN進出

そんなアジアのなかでも、ASEANは最大の注目株です。日本企業のASEANへの進出も、加速の一途をたどっています。2015年の日本の対外直接投資額を見てみると、ASEANは中国の2.2倍にも達しています。

グラフで見るASEAN経済の魅力(2016年9月)より引用 https://www.scgr.co.jp/report/survey/2016092119706/
グラフで見るASEAN経済の魅力(2016年9月)より引用 https://www.scgr.co.jp/report/survey/2016092119706/

上のグラフの青色が中国への投資、それ以外がASEANへの投資を表しています。中国への投資は2015年には減少に転じていますが、このところの日中関係の冷え込みから予想すれば、この流れは今後も続くものと見られています。

そうなると、ASEANへの投資額はますます増えざるを得ません。

グラフで見るASEAN経済の魅力(2016年9月)より引用 https://www.scgr.co.jp/report/survey/2016092119706/
グラフで見るASEAN経済の魅力(2016年9月)より引用 https://www.scgr.co.jp/report/survey/2016092119706/

ASEANへの進出企業数も確実に増えています。ASEANの経済成長が進むにつれて、ASEANへ出て行く企業の数は、今後もさらに増大することが予測されています。

国内の需要が低迷している今、多くの日本企業は新興国をはじめとする海外市場への進出を余儀なくされています。そんななか、新興国のなかでもっとも期待されているのがASEANなのです。

ASEANへの進出を目指す企業にとって、ASEANのことをよく知るグローバル人材を確保することが、今後の企業の発展にとって欠かせない重大事になっています。

そのため、ASEAN主要国のひとつであるフィリピンに留学したという実績は、企業に対する大きなアピールポイントになります。

ASEANで商品を売ろうと思えば、ASEANの人々の趣味や嗜好、ものの考え方などを知る必要があります。本を読んだりネットで調べることで、それらを知識として学ぶことはできるでしょう。

しかし、実際にASEANのなかに飛び込み、体験したことでつかんだ空気感は、頭に詰め込むだけの知識とは比較になりません。肌で実感した感覚こそが、商品開発においてもマーケティングにおいても、真の意味での力を発揮します。

世の中には、体験してみなければつかめないことが多々あります。フィリピン留学で目にしたこと、耳にしたこと、五感で感じたすべてが、ASEANでビジネスを展開する上での大きな助けになります。

このような視点をもってフィリピン留学に臨めば、語学力がアップすることもちろんとして、それ以上の貴重な体験を得られます。

それは確実に、あなたにとっての財産になるはずです。

世界経済の中心がASEANへと移り変わろうとしている今、フィリピン留学によってつかんだASEANの空気感は、あなたの年収やキャリアップを、きっと押し上げてくれることでしょう。

 

6,まとめ

本をとる留学生海外への語学留学が、語学力はもちろんとしてあなたの様々な能力を開花させることで、あなたの将来設計を有利に導くことについて紹介してきました。「年収800万円以上の大卒女性は留学者に偏っている」といったデータも、上記で取り上げたような留学中の様々な経験が、その女性を大きく成長させたからに他なりません。

しかし当たり前ながら(繰り返しますが)、問われるのは留学の事実ではなく「留学でなにを学んだのか?」です。

留学したから上記のデータの平均にあなたがなるわけではありません。現に、留学を活かせていない人は世の中にいっぱいいます。たとえ留学しても、留学先で遊び歩いていたり、日本人とばかりつるんでいたのではなんの意味もありません。

「留学」に価値はあっても、「遊学」にはなんの価値もありません。

これだけ留学後に成果を出している人たちがいるわけですから、「留学は意味ないよ」というのであれば、それはご自身の責任でしょう。

フィリピン留学にしても、単に「留学費用が安いから!」という理由だけで留学したのでは、せっかくASEAN主要国に身を置いても、得られるものは少ないでしょう。

これからはASEANが世界経済の中心地になることを自覚して、フィリピン人の価値観や生のフィリピン社会の有り様を体験しようとする意識があれば、目にするもの、耳に入るものが、まったく違った意味をもってきます。

せっかく留学するのですから、将来を見据えた目的意識をもって、限られた時間をできるだけ有意義に過ごすように努めてもらえたらと思います。そして、出来るならフィリピンだけでなく、欧米にも留学してみるのが良いのではないでしょうか。
 

文:斉藤 編集:ドン山本

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斉藤 淳
当サイトの管理人 2012年に初めてセブ島に留学。以降今までに複数の語学学校に留学&訪問。フィリピン留学を通じて「英語が伝わる楽しさ」をより多くの方に体験してもらいたいと思い、このサイトを立ち上げました。 英語留学前の方はもちろんの事、留学中の方、留学後の方にも役に立てる情報の提供を目指しています。なお、基本的にはセブ島ではなく、東京(高田馬場)にオフィスを構えて働いています。 何かご質問ございましたら、コメント欄かinfo@ceburyugaku.jpまでお願いします。 ・TOEIC(R):805点(L 430 R 375) ・TOEIC SW:280点(S 130 W 150)

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