皆さんこんにちは!sakananです。
私は最近まで2年ほどシンガポールで働いていました。日系企業の駐在員としてではなく、それまで日本で勤めていた会社を辞め、シンガポールの企業に現地採用として働いていたのです。
初めての海外勤務であり、文字通り右も左も分からない中無我夢中で過ごした期間でしたが、いま振り返ってみると非常に貴重な経験ができ、海外就職にチャレンジしてよかったと改めて思っています。
フィリピンでの留学を終えた方の中には、身に付けた英語力を生かして就職したいと考えている方もたくさんいらっしゃると思います。そして日本国内だけではなく、海外での就職も視野に入れている方も多いのではないでしょうか。
私自身の経験からしても、シンガポールは海外就職先として非常に魅力のある国です。マーライオンやマリーナベイ・サンズなどから観光地のイメージが強いかもしれませんが、アジアの中でも英語が公用語の国であり、ASEANのハブとしてビジネスの中心的な役割を担っている存在でもあります。
今回は、自分の経験も交えながらフィリピン留学経験を生かした就職先として、シンガポールの魅力についてお話ししたいと思います。
シンガポール就職の魅力について
1.就職先としてのシンガポールの魅力とは
シンガポールで働く魅力、と言われたところであまりピンとこない方も多いのではないでしょうか。私自身も、シンガポールで就職経験のあった知人が勧めてくれなければ、シンガポールを就職先として視野に入れることはなかったと思います。
そこでまず、シンガポールという国の特性も交えながら5つのメリットを紹介したいと思います。
1-1.アジアの金融ハブとして成長を続けている
シンガポールの魅力のひとつが、いまだ成長を続けている国であるということです。
2015年におけるシンガポールの「一人当たりの名目GDP(USドル)」は世界で8位となっており、26位の日本よりもはるか上位に位置しています。さらに、2016年の実質GDP成長率は2.0%となっており、現在もなお経済的に成長を続けていることが分かります。
参照:https://ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.html
参照:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/singapore/data.html
また、世界経済フォーラム(WEF)が公表した、「世界競争力指標2016」においては、世界138ヶ国・地域の中でシンガポールはスイスに次いで世界2位となっており、世界的に見ても高いインフラ・教育・労働市場・金融サービス・ビジネスの洗練度を有していると考えられます。
参照:https://sustainablejapan.jp/2016/10/21/wef-ranking-2016-2017/23941
その成長の原動力としては、シンガポールがアジアの金融センターとしての役割を果たしていることが大きいでしょう。
ベンチャー、コンサルティング研究機関、Z/Yenグループが2007年から年に2回発表している国際競争力の高い金融都市の格付け「グローバル・ファイナンシャル・センター指数(GFCI)」の2016年4月版では、1位のロンドン、2位のニューヨークに続き、3位にランクインしています。
参照:https://zuuonline.com/archives/103607
アジアトップの金融センターとしての地位をめぐって、シンガポールと香港は数十年にわたって覇権争いを繰り広げてきました。
しかし昨今のITを活用した先進的な金融サービス「フィンテック」において、税制面の恩恵や政府の支援、アジア地域の各市場へのアクセスのよさから、シンガポールを拠点に選ぶフィンテック企業が急増しています。
私が滞在していた期間においても、次々と新しいショッピングモールやマンションが建設され、埋め立てにより新たな土地が開発され、この国がいまだ発展している最中であることが感じられました。
日本の経済成長がここ長きにわたって鈍化していることは、皆さんご存知の通りだと思います。シンガポールの成長する流れに身をおくことで、感じ取れることは多くあるでしょう。
1-2.アジア屈指の国際都市である
シンガポールの人口は2016年6月時点で約561万人であり、民族構成比は中華系74%、マレー系13%、インド系9%となっています。多様な民族国家らしく、宗教も仏教、イスラム教、キリスト教、道教、ヒンドゥー教と多彩です。
参照:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/singapore/data.html
実際に街を歩いていても、さまざまな国籍の人々とすれ違うことが多く、「チャイナタウン」をはじめ「リトル・インディア」や「アラブ・ストリート」など、それぞれ独自の雰囲気を持つ市街も形成されており、寺院や建造物を通してさまざまな文化に触れることができます。
職場環境も同じく、マレーシア系、インド系、中華系など、さまざまな同僚や取引先と仕事をするチャンスに恵まれます。それぞれの民族ごとのキャラクターの違いなども感じ取ることができるでしょう。
1-3.英語が公用語である
シンガポールの国語(National Language)はマレー語ですが、公用語(Official Language)はマレー語、中国語、英語、タミール語の4言語となっています。
全国民が学校教育において、英語と母語の両方を習得することが求められること、また多国籍企業が多いことから必然的にビジネスの場では英語が用いられます。
例外的に双方が中華系であったり、インド系であったりした場合にはお互いの母語で話すこともあり得なくはないですが、公式のビジネスの場では英語を話すのがルールとなっています。
シンガポールがアジアのハブとして諸外国から高い評価を受けるのも、この英語の習熟度の高さによるところが大きいです。このような環境に身を置くことで、生きたビジネス英語が身に着くことは間違いありません。
1-4.女性が活躍する風土がある
外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社が、アジア5ヵ国の2361社を対象に実施した「2015年度 ヘイズ アジア給与ガイド」の調査結果によれば、日本の女性管理職比率は19%に留まっているのに対し、シンガポールは27%と高い比率を維持しています。
参照:https://www.hays.co.jp/press-releases/HAYS_254382
また、シンガポールの人材開発省(Ministry of Manpower、MOM)によれば、女性の労働力率(生産年齢人口に占める労働力人口の比率)は2006年が54.3%で、2016年が60.4%と安定的に推移しています。
これを受けてもなおグレース・フー文化・共同体・青年相は「60%ということは残りの40%を開拓する余地がある」と発言しており、女性にとって社会に参画しやすい状況を国が主体となって整えている国であるということが分かります。
仕事の現場でも女性のマネージャーや管理職はもちろん、自分でベンチャー事業を立ち上げた女性とも出会うことが度々ありました。私自身も「女性だから」といった差別には遭うことは全くありませんでした。
1-5.治安がよい
2016年度の世界平和度指数ランキングにおいて、シンガポールは20位にランクインしています。日本が9位ということを考えるとやや不安になるかもしれませんが、20位までにランクインしているアジアの国は、13位のブータンを含めて3ヵ国のみ。スペインやオランダよりも安全な国とされているのです。
参照:https://ecodb.net/ranking/gpi.html
私自身のことを考えてみても、滞在中に危険な目に遭ったことは一度もありませんでした。ただし、一人で夜遅くに出歩かないことや人ごみに注意するなど最低限の注意は払っていましたが、それでも他のアジア諸国に比べれば断然、安全だと言えます。
2.シンガポールの産業や日系企業
地理的な条件からもASEANのハブとして期待されているシンガポールには、現在たくさんの日本企業が進出しています。企業の業種や職種などに特徴はあるのか、ご説明します。
2-1.シンガポールの主要産業
日系企業の動向を見る前に、まずはシンガポールの主要産業について触れておきたいと思います。
シンガポールの人材開発省が発表した労働力調査によると、卸売・小売業、運輸・倉庫業、運輸・倉庫業、ホテル・レストラン業などを含むサービス業に70%程度の人々が従事しており、シンガポールの主要産業がサービス業であることがわかります。
その中でも最も多くの国民が就労しているのが製造業であり、次に多いのが卸売・小売業、その次が建設業となっています。
参照:https://singainfo.com/?p=5663
日本の外務省の発表を見ても、製造業(エレクトロニクス、化学関連、バイオメディカル、輸送機械、精密器械)、商業、ビジネスサービス、運輸・通信業、金融サービス業が主要産業として挙げられています。
参照:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/singapore/data.html#04
2-2.シンガポールに進出している日系企業
アジアのハブという特性から、シンガポールには数多くの日系企業が進出しています。2017年1月現在で、日本商工会議所に登録している企業数は836社・個人となっています。
進出している企業の多くがシンガポール支社をASEANのヘッドクォーターと位置づけており、シンガポール国内の業務遂行のほか、ASEAN地域の統括機能を併せ持っている会社がほとんどです。
その中には日清食品(NISSIN FOODS ASIA.)、日立製作所(HITACHI ASIA LTD.)、パナソニック(Panasonic Factory Solutions Asia Pacific)、ブリヂストン(Bridgestone Asia Pacific)、富士ゼロックス(Fuji Xerox Asia Pacific)など、それぞれの業界の大手企業が名を連ねています。
ちなみに、2015年10月現在での在星邦人数(在シンガポール日本大使館への在留届数)は36,963人となっており、2010年に24,548人だったことを考えると、こちらも増加の一途を辿っています。
参照:https://www.sg.emb-japan.go.jp/ryoji_TODOKE_toukei_j.htm
3.シンガポールの給与事情
就職を考えるうえで重要な要素として、給与面の待遇は気になるところです。シンガポールで就職した場合、どれほどの給与が期待できるのでしょうか。
3-1.シンガポールの就労ビザについて
シンガポールでの給与について考える際に、切っても切り離せないのが就労ビザのお話です。シンガポールにおいて外国人に付与される就労ビザには主に3種類があり、どのビザを取得できるかによって最低賃金が変わってきます。
このビザを発給するのがシンガポールの人材省です。それでは、ビザの種類をそれぞれ見ていきましょう。
・EP:Employment Pass
シンガポールで働く日本人の大半が取得していると言われる、高度な学歴をもった外国人や専門職のための就労ビザです。ビザが承認されると1~3年の有効期間が付与され、その後は都度の更新が必要となります。
EPを申請するためには、月額給与で3,600Sドル(約29万円)以上の給与が必要とされています。これまでEP取得に必要な最低給与基準額は3,300Sドル(約26万円)とされてきましたが、2017年よりMOMにより発給要件が厳格化され、最低賃金の額が大幅にアップしました。
加えて実際のところ、この最低賃金額ではまずビザは下りないと言われています。申請する外国人の国籍や学歴、年齢によって非公表の基準額があり、その金額以上の給与が保証されている必要があるのです。
一般的に大学のランクが高いほど金額が低く、また年齢も若ければ若いほど金額は低くなる傾向にあります。大学のランクが高いほど金額が低いというのはやや違和感があるかもしれませんが、「これだけの学歴を持っている人だからこそ雇う必要がある」と政府を納得させやすいのです。
それゆえ20代であっても、卒業大学のランクがあまり高くない場合や、シンガポール政府からの評価が低い大学の場合は、5,000Sドル(約44万円)程度必要な場合もあると言われています。
・S Pass
S Passは月額最低給与がS$2,200(約18万円)と、EPに比べて低い給与でも取得できるビザです。ただし、S Passは企業ごとに枠数を厳しく限定されており、シンガポール人5~6人の雇用につき、外国人用のS Passが1枠企業に付与される仕組みになっています。
またS Passの社員を採用した場合、企業側は毎月Levyと呼ばれる税金を数百ドル分余計に支払う必要があります。そういった点も含めて、安い給料で雇えるからといって安易にS Passを発行できないという事情もあるのです。
・DP:Dependant’s Pass
DPというのは EPやS Pass保持者の配偶者や扶養家族に対して発行される帯同ビザです。DP保持者のうち、EP保持者の配偶者であれば、LOC(Letter of Consent)と呼ばれる就労許可証をMOMに申請して働くことができます。
LOCの場合はEPやS Passとは異なり給与制限がないため、パートタイムで働くことも可能です。
シンガポール政府は自国民の雇用を優先させたいため、外国人に対する就労ビザの発給要件を厳しくする傾向にあります。上で触れたEPの発給要件が厳しくなったのもまさにその例です。
最低賃金の上昇は労働者にとっては嬉しいことですが、雇用主にとっては採用により厳しくならざるを得ない状況になっているのです。
かといって、有名大学卒業でもなく経験も浅い人にとって全く門戸が開かれていないかと言えばそうでもありません。先にお話ししたように多くの日系企業が現地採用活動を行っています。自分の能力を十分にアピールできさえすれば、就職の道はあると言えるでしょう。
3-2.シンガポールで働く日本人の平均給与
それでは実際、シンガポールで働く日本人はどれくらいのお給料をもらっているのでしょうか。
業種によっても違うので一概には言えないものの、シンガポールの求人サイトをいくつか参照したところ、現地採用の場合30歳前後の営業職で4,000Sドル(約32万円)程度、40歳前後のマネージャー職で8,000Sドル(約64万円)~9,000Sドル(約71万円)程度という印象を受けました。
ただし、例として挙げたものは現地採用の場合のお給料です。駐在員ともなればさまざまな手当がつくため、額はもっと上がるでしょう。ちなみにMOMが2016年に実施した調査によると、シンガポール人の平均月収は、フルタイムでの雇用で月収4,056 Sドル(32万円)となっています。
参照:https://stats.mom.gov.sg/Pages/Income-Summary-Table.aspx
4.シンガポールで働くために必要な英語力や技能
事務職や営業職など、シンガポールでホワイトワーカーとして働くためにはどの程度の英語力、またどのような技能が必要とされるのでしょうか。
4-1.シンガポール就職に必要な英語力
公用語の部分でも触れましたが、ビジネスの場においては全て英語でのやりとりを求められるため、業種を問わず最低でも700点~750点以上のスコアレベルの英語力が求められる印象があります。
人材紹介会社の募集要項を見ても、「英語ビジネスレベル」といった表現が多くみられるため、日常会話レベル以上の英語力が求められると思っていいでしょう。たとえ日系企業であっても、面接の際に現地スタッフと英語でやりとりをするなど英語力も試されるケースが多いです。
しかしシンガポール人自身も「シングリッシュ」と呼ばれる砕けた英語を使いますし、文法の正確さなどもあまり気にしない傾向にあります。
また、こちらの拙い英語も聞き取ってくれようとする寛容な精神も持ち合わせているので、実際のところTOEICの点数が基準値より下回っていても、経験で何とかなるということも大いにあります。
4-2.持っておくと有利になる資格や技能など
専門的な技能や資格はあるに越したことはないですが、求人の募集要項でよく見かけるのは「社会人経験3年以上」という文言です。英語力に関しても言えることですが、シンガポールの企業は、即戦力となる人材を欲している印象があります。
EPの要件が厳格化された昨今ではいっそう、社会人としての経験がありすぐに会社のために働いてくれる即戦力を求めているように感じます。
加えて人口の70%を華人が占めているため、中国語を話せることは大きなアドバンテージになります。私たちも日本にいる外国人が日本語を話せたら、それだけでぐっと相手との距離が近くなった感じがしますよね。
シンガポールでもその点は同様で、ビジネス上の付き合いとはいえ、中国語を話せるとぐっと相手との距離を縮めることができます。社内でのやりとりはもちろん、営業職など相手とのコミュニケーションが欠かせない職種においては大きなメリットとなるでしょう。
5.シンガポールでの仕事の探し方
ここまでのお話で「ぜひ自分もシンガポール就職にチャレンジしたい」と思った場合、シンガポールでの仕事はどうやって見つけたらいいのでしょうか。それには大きく分けて3つの方法があります。
5-1.日本の企業に就職し、駐在員として派遣される
現在、シンガポールで働いている日本人で一番多いのが駐在員として派遣されるケースです。シンガポールに支社を持つ会社に日本で就職し、実績を積んだのち駐在員として派遣されるチャンスを待ちます。中には社内で積極的に駐在員に立候補する制度を設けているところもあるようです。
ただ、シンガポールに支社を持つ規模の会社にまず就職しなければならないこと、またいつ派遣されるかのタイミングが分からないなど、ややハードルは高いでしょう。
5-2.シンガポールの人材紹介会社を利用する
現地採用を目指すなら、人材紹介会社の利用が正攻法です。シンガポールに行かなくても、インターネットで登録すれば日本にいながら自分に合った仕事を紹介してもらえます。
企業との話が進んだ場合でも、一次面接や二次面接はSkypeなどで行うのが一般的で、最終面接のみシンガポールで行うといったパターンが多いです。
シンガポールでの求職状況やビザ発給のタイミングを考えても、前情報なしにいきなりシンガポールに行って仕事を探すのはあまりにもリスキーです。シンガポールに渡る前に就活をして、就職先を確保しておくのがよいでしょう。
5-3.敢えて他の国で修行を積む
これまで説明したとおり、シンガポールでは即戦力となる人材が求められています。それゆえ、就労経験がない、またはビジネス英語レベルに達していないなどの場合は日本でいったん就職をして経験を積むほか、同じアジアでもタイなど比較的就職しやすいと言われる他国で経験を積むのもひとつの手です。
シンガポールに支社を持つ企業は、他のASEAN諸国への進出も視野に入れている場合が多いため、他国の事情を知っていることは将来的にシンガポールで就職活動をした際にプラス評価に結び付きやすくなります。
6.シンガポール就職のデメリット
これまでシンガポール就職のメリットについてお話してきましたが、いい面ばかりではありません。もちろんデメリットも存在します。フェアな視点という意味からも、私が生活する中で感じた3つのデメリットをお伝えしたいと思います。
6-1.生活コストが高い
シンガポールでEPを取得できた場合、ある程度の額のお給料がもらえますが、一方で生活コストも非常に高いです。物価は日本とほぼ同じ程度と考えて差し支えないでしょう。
なかでも家賃は日本よりもはるかに高く、アパートを3人でシェアした場合でも、一人当たり月額800Sドル(約6万3,000円)程度は必要です。そもそも、シンガポールには日本のように単身者向けアパートのようなものはほぼ存在しません。
それゆえ、現地採用の場合は1ユニットを何人かでシェアして、鍵付きの個室に住む形が一般的です。一人暮らしの生活をしたいと思っている人は、まずその点にギャップを感じることでしょう。
また日本食も非常に高いです。ラーメン1杯が15Sドル(約1,200円)以上すること珍しくありません。日本食を提供するレストランや居酒屋はあちこちにありますが、日本と比べて最低でも1.5倍の値段が付いていることを覚悟しましょう。
6-2.シンガポール人の仕事のフォローに回ることがある
シンガポールで働く日本人の多くが感じるジレンマがこちらです。シンガポール人は勤務時間に非常にシビアで、基本的に残業をすることはありえません。朝も就業時間ギリギリ(あるいはやや遅刻)で出勤し、夜は定時きっちりに帰る人がほとんどです。
そういった環境の中で、納期に間に合わない、または日本から依頼された仕事が締め切りまでに終わらないなどの事態になったら、一体誰がそのフォローをするのでしょうか。そう、残業もいとわない真面目な日本人がフォローに回ることがほとんどなのです。
中には日本人向けのS pass枠を確保するために、有能かどうかは問わず形式的にシンガポール人を雇っている会社もあります。そのような会社は最初から彼らに成果を求めてはいません。このことが日本人にとって大きな悩みの種になっているようです。
6-3.マネージャー職以上の求人があまりない
シンガポールにおける現地採用の傾向として、現場要員の募集が多いことが挙げられます。求職があったとしてもシニアの専門職止まりで、マネージャー以上の求人は滅多にありません。
日系企業の場合、マネージャー以上は駐在員がそのポジションに就いており、外資系企業ではその地位をローカル人材が占めているためです。
現地採用のポジションで入ったとしても、社内で優れた業績を収めて自分の能力をアピールし、さらに上の立場にまで出世することは不可能ではありません。しかしながら、そのためには相応の経験や能力が必要になってきます。
7.シンガポール就職後の将来性
シンガポールでの海外就職が叶ったとして、その後もずっとシンガポールで働き続けたいという方は少ないでしょう。おそらく、ご自身の長いキャリアの一部としてシンガポール就職を考えている方がほとんどだと思います。
それでは、シンガポールで就職した後はどのようなキャリアパスがあるのでしょうか。
まず駐在員の場合は、シンガポールで経験を積んだあと、さらに上層のアジア統括部門に昇進するケースが考えられます。または、シンガポールでの経験を生かしてベトナムやタイなど、今後発展の見込みがある国へ続けて海外派遣されることも十分にあり得ます。
現地採用の場合は、入った会社で昇進して日本の本社に引き抜かれるということもあります。数は多くないものの、日系の大手企業の現地採用組として就職し、その後本社に正式配属になったという人もいます。
もしシンガポールでの仕事を辞めて日本に帰ったとしても、身に着いたビジネス英語は一生ものです。その英語力を生かして、国内で外資系企業に就職する人も多いです。
8.まとめ
日本人にとって身近なアジアの国際都市シンガポール。ややハイレベルな英語力と社会人経験は必要にはなりますが、厳しい環境のなかで自分を磨くにはもってこいの場所といえます。
私自身もシンガポールでの就職を通して、ビジネス英語の上達はもちろんですが、違う文化を持つメンバーやクライアントと一緒に仕事をしていくことの大変さ、また面白さを味わうことができました。成長し続けている国の中に身を置いて、世の移り変わる流れを肌で感じ取れたことがとてもよい経験となっています。
今までシンガポールについてあまりよく知らなかったという方も、これを機会に新たな就職先としてシンガポールを視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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