前回の記事ではNHKラジオ講座を、英語学習におすすめする理由についてや、英語勉強を習慣化させる2つのコツをご紹介しました。
→NHKラジオ講座は時代遅れ?英検1級講師が英語初級者におすすめする2つの理由
今回は具体的な英語勉強法と、その勉強にあたりNHKラジオ講座を使う注意点をご紹介します。
NHKラジオ講座を使った英語勉強法
NHKラジオで英語勉強①:ただ15分聞く
どのようにラジオ講座を活用すればよいかですが、まずは最初は難しいことを考えずに毎日15分聴くだけで十分です。わからない部分があっても構いませんので、とにかく毎日15分聴いてください。
初めからハードルを上げすぎると継続が困難になります。
「聞き取れなかった」「エクササイズで英語表現を言えなかった」とできなかったところを数え始めると、どんどんとやる気が失われていきます。
スタート時には「ちゃんと15分間集中して聴いた」というだけでも大きな成果です。
最初からダイアログが完璧に聞き取れて、エクササイズに完全に答えられるのであれば、ラジオ講座を聞く意味は全くありません。
できない箇所があって当たり前です。逆に「今日はダイアログが聞き取れた」「今日はエクササイズで答えられた」と加点評価してきましょう。
NHKラジオで英語勉強②:発音を鍛える
学習習慣がついてきたらより深く学習できるようにプラスアルファしていきます。
特にやってほしいのは発音練習です。
テキストのスクリプトだけを見て放送そっくりに脳内再生されるように、そして自分でも声に出してテンポやイントネーションなどがほぼ完璧に真似できるように練習しましょう。
お手本を聞く、お手本を真似て声を出す、ということを繰り返してください。最後にオーバーラッピング(お手本と同時に声を出す)ができれば卒業です。これを1年間続けるだけでも物凄い効果があります。
NHKラジオで英語勉強③:丸暗記する
最終的には「基礎英語1~3」「ラジオ英会話」「遠山顕の英会話楽習」「入門ビジネス英語」に関しては会話がそれほど長くありませんので、スクリプトを丸暗記することを目標に頑張りましょう。
「英会話タイムトライアル」については日本語を瞬時に英語に直すSPRトレーニングは是非反復して完璧にしたいところです。(対話カラオケは悪い教材ではないのですが、テーマによっては正直一生使わないかなと思うものもあります。)
「高校生から始める現代英語」と「実践ビジネス英語」は量が多いので、流石に全文を丸暗記するのは少々大変かもしれません。
どれだけプラスアルファの時間を確保できるかにもよりますが、最低限スクリプトを見てオーバーラッピングができるようにすること、できれば日本語訳を見て英語に戻せるようにしておくところ(「高校生から始める現代英語」では反訳トレーニングと呼ばれています)までできれば上出来でしょう。
何日もあとになってから忘れていないか確認したり、覚え直したりまでする必要はありませんが、習ったその日だけでもスクリプトを見ずに文が言えるようにするトレーニングをしておくと、その後様々な場面で「あ、この単語はラジオ講座でやったぞ!」「あ、この表現聞き覚えがある!」という経験ができるようになります。
そうなればしめたものです。
勉強というのは「こんなことやって何の効果があるのだろう」と思っている間は苦痛ですが、「あ、これ前にやった!」という体験ができると勉強の効果が実感できて一気に楽しくなってきます。
また例文の知識を蓄えておけば、文法や長文読解等の学習をするときにも「ラジオ講座で使っていたのはこの文法だったのか!」とより深く理解することができるようになります。
NHKラジオで英語勉強④:テキストを見ないで「ながら勉強」
私のお勧めの活用法その4は、隙間時間や「ながら勉強」に活用することです。
ラジオ講座はどれも解説が充実していますので、自分の実力よりも易しめの講座であればテキストなしでも十分に理解できます。
ダイアログを聞いたときにはよくわからなかった部分でも解説を聞けば「ああこういうふうに言っていたのか」と納得できる部分がほとんどです。ですから、家事や通勤・通学時間のBGMとして「ながら聞き」するには最適なのです。
NHKラジオで英語勉強⑤:テキストなし勉強の裏ワザ
テキストなしで勉強すると、馴染みの薄い表現が使われていて、「あれ?ここ何て言っているんだろう」と疑問に思う箇所が出てきます。
そういうときは講座名と前後の語句でインターネット検索すると解決することがよくあります。
ラジオ講座で勉強している人は日本中にたくさんいて、その日に学習した表現をブログ等で紹介している人もいます。スクリプトさえわかれば詳しい説明はなくても大丈夫、という人はこういったブログで十分です。
たとえば「遠山顕の英会話楽習」でYou might have a ****.という表現が出てきたけれど***の部分が聞き取れなかった、または聞き取れたような気はするけど合っているか自信がないとします。
そういうときは講座名と聞き取れた部分で検索してみてください。
先程の例であれば「遠山顕の英会話楽習 ”You might have a”」と検索します。
学習した表現を記録しているブログが見つかり、めでたくYou might have a blast.「すごく楽しいと思うかもしれないよ!」という記述にたどり着くはずです。
ちなみに、ふつう検索結果には語形変化や語順を入れ替えたもの、挿入語句があるものまでヒットしてしまいますが、検索ワードを” ”で囲むと完全に一致するもののみが表示されるようになります。
英作文やスピーキングの勉強をするときに、自分の思いついた表現が英語として正しいのかどうか確認するときにとても便利ですので是非活用してみてください。
NHKラジオ講座のデメリットは絶対量の不足
このように様々なメリットがあるNHKラジオ講座ですが、少しだけ残念なことがあります。それはNHKラジオ講座だけで英語をマスターするには絶対量が足りないということです。
講座によって若干の違いはありますが、基本的には会話を1度聞く→ポイントを確認する→もう1度聞く→発音練習をする→応用練習をする、という流れになっています。
そのため同じ会話を2~4回聞くことになり、実際に学習する英文の量はそれほど多くないのです。
ちなみに各講座の会話の長さは以下の通りです。
基礎英語2… 40秒前後×週4会話=1週間で2分40秒
基礎英語3… 55秒前後×週3会話+60秒前後の読み物=1週間で3分45秒
ラジオ英会話… 30秒前後×4会話=1週間で2分
遠山顕の英会話楽習… 30秒前後×週2会話=1週間で1分
高校生から始める現代英語… 70秒前後×週1記事=1週間で1分10秒
入門ビジネス英語… 40秒前後×週2会話=1週間で1分20秒
実践ビジネス英語… 70秒前後×2週で5会話=2週間で5分50秒
※セリフの読み上げ速度やセリフ間のポーズの長さが違うため、会話の時間と語数は比例しません。
毎日続けていても新しい英文を聞く時間は1週間で5分もないのです。
NHKのラジオ講座が高品質なのは間違いありません。
事実、英検1級指導の権威とも言える植田一三先生も推奨教材の1つとして「実践ビジネス英語」を挙げています。
しかし、その「実践ビジネス英語」でも2週間で6分弱しかありません。これだけを使って短期間で英語がペラペラになるというのは流石に不可能でしょう。
「基礎英語1~3」、「ラジオ英会話」、「遠山顕の英会話楽習」、「高校生から始める現代英語」、「実践ビジネス英語」を1年1講座ずつやっていくとこれだけで7年かかります。
ラジオ講座だけでも何年も何十年もかければ確かにかなりの実力がつきますが、少し時間がかかりすぎるかもしれません。
もっと早く英語をマスターしたいということであれば、並行して英検やTOEICの勉強、オンライン英会話等を進めていく必要があります。
英語をマスターするには継続あるのみ
英語を得意にするには英語を学習する習慣を身につけること、そしてその習慣を増やしていくことが何よりです。
そして、そのための手段としてNHKラジオ講座は非常に有効です。一人でも多くの人が楽しく英語の勉強を続けられるよう、そして学習の効果を感じられるように願っております。
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各講座の会話の分数は参考になりました。以前から、15分の講座でも、会話の時間は少ない、と感じていました。しかし、こんなに少ないとは、驚きました。カバーとして、単語集、英作文中心に英検対策の問題集などで、英語に触れる時間を増やすようにします。
コメントありがとうございます。stagさんにお伝えさせていただきますね。