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留学マナビジン英語を使う仕事翻訳家になる方法#05 クセのある本の翻訳を出版社から依頼されたら!?

翻訳家になる方法#05 クセのある本の翻訳を出版社から依頼されたら!?

こんにちは!

今回も、「出版翻訳者になりたいけど、どうすればなれるのか判らない!」という方々向けに、どのような経緯を経て私が出版翻訳者になることが出来たのか、その道のりのパート4をみなさんにお話しいたします。

未読の方は、是非#01〜#04も併せてお読みくださいね。

みなさんのお役に立つことが出来れば幸いです!

1.出版社から翻訳のオファーを受けるパターン

翻訳本を数作品出版後、私は日本に一時帰国することになりました。帰国後は「売れそうな本を自分で選んで、出版社に持ち込む」という方法が難しくなりました。

なぜなら、過去記事でもお話ししたように、無数にあふれる本の中からネットでピン!とくる本を見つけるのは、至難の業だからです。

そのため、今度は出版社からオファーされる本を翻訳するというスタイルに変更することになりました。

このスタイルでは、既に出版が決定している本がオファーされるので、シノプシスを作成する必要もありませんし、出版会議で企画が承認されるまで待っている必要もないので、持ち込みよりもずーっと作業量はラク・・・と、思われるかもしれませんが、実はそうは問屋が卸しません!

自分で選ぶ本は言うまでもなく内容に納得していますし、著書の執筆のスタイルも、自分にしっくりくるものであるはずです。

しかし、オファーで訳す本は必ずしもそうとは限りません!理由は後述しますが、なかなかの曲者(くせもの)がオファーされることがあります。

でも私は、これまで1冊を除いて、オファーされた翻訳はすべて引き受けてきました。その理由は、作品をこなすほど翻訳者としてのキャリアにプラスになりますし、引き受けるほど出版社が仕事を回してくれるからです。

2.オファーされる作品には、クセがある可能性も?

書籍の翻訳をオファーされることは大変名誉なことですし、嬉しいのは確かですが、日本語の本でもそうであるように、文章には好みや相性があり、必ずしも自分好みの英文や論旨の本がオファーされるとは限りません。個性というより「クセ」が強い本があるのです!

ここで、訳者がどれだけこれまで英語力および翻訳者としての腕を磨いてきたか、その力量が試されます。

以下に、そうした「クセあり本」の具体例を挙げますね。

1つ目:「一つ一つの文が尋常じゃないほど長いチャネリング本」

シリウス系のチャネリング本(スピリチュアル系の本シノプシスシノプシスだと思ってください)の翻訳を引き受けたことがあります。この本は内容そのものは極めて有益で興味深かったのですが、とにかく尋常じゃないほど、一つ一つの英文が長い!

電車の車両のように関係代名詞等で節や句をドンドンつなげてあり、5、6行にわたる英文が、バンバン出てくるのです。

そうした文章は、目視で読んだだけでは意味のある概念として頭に入ってこないので、節ごとに文章を切り分けて個別に訳し、そのあとパズルをはめるように全部を繋げていく必要があります。

また、そのまま訳すと日本文としてもあまりに長くて不自然なので、今度はそれを誤訳にならないように新たにバランスよく切り分ける作業をします。

そうした文章を実際にみてみないと言っている意味が判らないかもしれませんが、これは非常に手間と時間がかかります。

ちなみにですが、契約書の文言も長くて複雑なことが一般的ですが、これは訴えられたりしないように、敢えて難解で複雑な文章にしてあるといわれています。

この本の場合、なぜ原著者がこのような特殊な書き方をしたかというと、それはこの本がチャネリングをベースにしていることに関連しているでしょう。

著者はおそらく、チャネリングによって情報を塊として頭にいったんダウンロードし、それを次に英文としてアウトプットするという作業で執筆したのだと推測されます。通常、自分で考えた概念を文章にするだけなら、このような冗長な文章を書く人はまずいないからです。

さらにこの本は、シリウスからのチャネリングということで、情報のエネルギーの質が地球のそれとは異なっていました。

某翻訳家の先生が、人間は自分が普段存在している周波数よりも高い周波数の物に接すると、眠くなるとおっしゃっていました。

以前、インドのヨギの講和のビデオを視聴すると、どうしても途中で寝てしまって、最後まで通しで観ることができないという現象を体験していましたので、これは的を射ていると思います。

この本もまさにそれで、周波数が地球のそれと異なるために睡魔と格闘しながらの作業でした。

1ページも訳さないうちに睡魔に襲われたりしますから、こまめに休憩を取りながら訳出を進めました。とても骨の折れる作品でしたが、その分、完成した時の達成感も大きかったです。

自分では絶対に選ばない作品でしたが、この本を訳したことで、「私に訳せない英文はない!」という妙な自信がつき、良い経験になりました。

コンテンツ自体が難解なうえに、どんなに工夫を凝らしても文がくどくなってしまうということもあり、「これでは、読者も読むのに辟易するだろうな~」と内心、読者の辛口レビューを覚悟していましたが、文のスタイルよりも本のコンテンツの重要性にフォーカスし、それを評価する読者がほとんどでしたので、とても救われた思いがしました。

2つ目:「コレ、本当にネイティブが書いたんだよね???」

その作品は後で知ったのですが、著名な翻訳の先生でさえも「ムリ!」とお断りなさって、私のところに回ってきた作品とのことでした。

日本人として英文を学ぶ際は、通常、フィッツジェラルド、スタインベック、といった文豪の書いた作品や、プロの書いた新聞記事などを手本にするものです。

当然ですが、文法にエラーがある文章や、素人の英文を読んで勉強するわけではありません。

従って、ネイティブがどのような文法的エラーを犯すかは、ノン・ネイティブには推測がつきにくいものです。

私は、文法にエラーのある文章や論理性に欠けた文章に出くわすと、脳のコンピュータがそこで停止してしまい、先に進めなくなります。そうした英文をずっと読んでいると、脳のコンピュータが故障したような気分にさえなるのです。

この作品は、著者本人の優れた業績ゆえに、沢山の著名人が絶賛しているのですが、「みんな本当に、中身読んだの!?」と、聞きたくなるくらい「???」となる文章だらけの本でした。

そのようなケースでは、通常コンテキストから、言わんとしていることを推測するというメソッドを採っているのですが、この方の文章にあまり論理性が成立していなかったので、そのメソッドの適用も困難でした。

「この人、もしかして、ネイティブじゃないんじゃないか・・・?」という疑惑させ抱いたのですが、あるイベントで実際ご本人にお会いしたところシッカリした英語を話されていらっしゃり、紛れもないネイティブでした。しかも、とても好感度の高い人柄でした。

国政的に活躍なさっている方でしたので、多忙な仕事の合間を縫って執筆されたのかもしれません。

しかし、苦労の甲斐あって、この本も重版を重ねるヒット作となり、ロングセラーとなりました。結果良ければ全て良し!

3つ目:原著イタリア語をグーグルか翻訳ソフトで英語に変換しただけと思しき支離滅裂な英文!

この作品は原著者がイタリア人のため、元々原文がイタリア語だったものを、英文に訳した作品のようでした。

しかし、訳したのは伊⇒英のプロの翻訳家ではなく、おそらくご本人か別の方が、翻訳ソフトかグーグル翻訳を活用して翻訳したものと思われました。

なぜなら、文法もなにもあったものではなかったからです。

皆さん既にご存知と思いますが、翻訳ソフトやグーグル翻訳の訳文など、ほとんど当てになりません。

こうなると、ご本人が何を言わんとしているのかもはや推測に頼るしかありません。(苦笑)

前後の文章を何度も読み、事実としてネットで探せそうな情報はネットでリサーチしました。驚いたことに、この方の続編も出すということでその翻訳のオファーも頂いたのですが、続編の方は辞退させていただきました。

オファーを下さった出版社の方には、ご恩もあるので、無条件で承諾したいところでしたが、このイタリア人原著者が、某秘密結社に属していたということに関連していると思われる謎のオカシな現象に見舞われたからです。

オファーされた作品を辞退したのは後にも先にもこの作品が初めてでしたが、この作品の訳出が終了すると、謎の現象がピタリと収まったので、やはり辞退して正解でした。

なお、売れっ子の先生となれば、オファーされている作品を全て引き受けているわけではなく、自分の経歴にプラスになる作品を選んでいるでしょう。

3.シノプシス(書籍の紹介資料)の依頼から翻訳へのパターン

出版社から作品のシノプシスの作成依頼を受け、そこから翻訳出版というパターンもあります。

通常は、このパターンがメインでしょう。

この場合は、出版社が既に候補としてピックアップした作品やエージェントから提案された作品について、訳者にシノプシス作成を依頼し、良さそうなら出版会議にかけて、会議を通過したらめでたく翻訳、そして出版というプロセスになります。

シノプシスの作成だけの依頼でしたら、シノプシスの作成料(リーディング)が支払われますが、その本が出版になるのでしたら、それは印税に込みということでシノプシス作成料は支払われないかもしれません。

シノプシス作成の報酬は、おそらく5千円~2万円程度とみられています。懇意にしている出版社からシノプシス作成依頼で送られてきたなかで、「コレ!」と思ったのが、占星術の本でした。

通常、占星術と言うのは、自分が生まれた太陽の位置を基に自分の星座を決め運勢を占うものですが、この本は、生まれた時の月のポジションで過去世をリーディングするという切り口でした。

その時、自分のホロスコープチャートを作って凄い気づきが得られました。それは、通常占星術などを見る時には、「私は、○○な運勢だから、○○な職業を選ぼう」といった考え方をするものですが、その発想は全く逆だった、ということです。

そうではなく、人間はこの世に誕生する前に、自分の人生を予め決めて、その人生を予定通りに生きるために、それを叶えるのに最適な惑星の配置を精密に計算して、その日時ピッタリに生まれてきている、ということです。

自分のチャートで惑星の配置を見ると、それが紛れもない真実だということをハッキリと悟ったので、この本との出会いも、自分にとっては貴重な学びになりましたし、訳出もとても楽しい作業でした。

4.翻訳家の大御所先生との出会い!

出版社の提案で、私が専門としている分野のパイオニアであり、私の作品にレビューを寄せてくださった先生ご夫婦と、私が手掛けた作品を通して知り合った作家の方と、対談本を出すという企画が出ました!

私は訳書のみならず、自著出版の件でも、この先生から事前に推薦のお言葉を頂いていており、直接お会いして是非御礼を述べたかったので、これは願ってもないチャンスでした。

この先生はご夫婦で活躍なさっているのですが、出世街道まっしぐらのキャリアを捨てて翻訳家になられたという経歴を持っています。

お二方ともとても聡明でいらっしゃるのに、気さくで朗らかで、驕り高ぶるところがなく、これが人気の秘密なのだろうなと感心しました。

もう一人の作家の方はセミナー講師やコンサルタントとして成功していらっしゃる方で、この方からはセミナーについて学ばせていただくことが出来ました。

対談はとても楽しく和やかに進行し、記念すべき経験の一つとなりました。

翻訳や著述という活動は、家にこもって一人黙々と作業をする仕事なわけですが、その仕事を通して、こうした素晴らしい出逢いがあったのは、私にとって予想もしなかった大きな収穫であり、宝となりました。

翻訳者としての仕事が成功すれば、そこから派生して著述家、セミナー講師、カウンセラーなど、さらに仕事の幅が広がる可能性もあるわけです。

また、私が翻訳という仕事の最大の魅力と感じているのは、本からさまざまなことを学ぶことが出来て、しかも収入が得られるという点です。

学べて、しかも収入になる。こんな仕事は、なかなか他にないのではないでしょうか?

まとめ

●出版翻訳者を目指す方へのヒント
オファーされる作品は、コンテンツに様々なパターンがあるので、承諾前に内容を検証した方が得策。
翻訳業が成功すれば、それが他の仕事へと繋がる可能性もあり。
出版翻訳の魅力は、学ぶと同時に収入になる点なので、知的好奇心が旺盛の人に最適。

athena / 翻訳家
athena / 翻訳家
現在は、海外を拠点に、フリーランス翻訳者・ライター・通訳・ネット英語講師などマルチに活動中。
英会話術・形而上学・自己啓発・ビジネス・健康・IT・財務・芸術など、幅広い分野での翻訳実績を持つ。

《実績》
・翻訳出版は10作品を超え、うち5作品がロングセラーとなる。
・海外の現地発行紙で、一面記事を担当。
・講談社から英会話本を出版。

《資格》
・英検1級合格
・TOEIC965点獲得

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