あなたが「英語を話せるようになりたい!」と思ったとき、どのようなことをしましたか?
おそらく、NHKのラジオ講座、通販の英会話教材、オンライン英会話レッスンなどを利用されたかと思います。
もちろん、これらの方法どれをとっても、地道に継続すれば効果を出すことができます。
その一方で、英会話力を身につける方法は(留学やワーホリなど海外に行くことは別として)英会話レッスンや英会話教材だけだと思っていなかったでしょうか?
実は、いわゆる英会話教材以外でも、家にすでにものあるか、簡単に入手できる本の中に、英会話にすごく役立つ教材があるんです。
それが「TOEICの問題集」です。
公式問題集を始め、レベル別やパート別など様々な問題集が出ていますよね。あなたも1冊以上お持ちだと思います。
これ、TOEICのテストの前に1回解いて終わりにしていませんか?
もちろん、本番のTOEICは時間との戦いなので、本番形式で120分で全問解ききるような練習はしたほうがいいです。
特にPart 7は、2016年のリニューアル後は従来の48問から54問に増え、リーディングパート全体を時間内に解き終わるのがより難しくなっています。
つまり、いかに文章や図表を速く読み、素早く答えを出せるかどうかの勝負になっています。
しかし、せっかくお金を払って買った問題集を、テスト前の練習に使って終わりにしてしまっては非常にもったいないのです。
TOEICの問題はPart1から7まで、実用英語で使える表現の宝庫なのです。注意書きに「過剰摂取に御注意下さい」と記載しているサプリを思わせるほどです。
ここでは、リーディングセクションのPart 6と7を対象にしますが、リスニングセクションにもその日から使えるような会話表現が豊富にあります。
ところで、ここで本題に入る前に、Part 5も含めたリーディングセクション全体について、英会話力アップにとても役立つ「秘訣」についてお話します。これは会話だけでなく、ライティング力、リーディング力アップにも効果があります!
2.リーディングセクション全パートに通じる、英会話力そして他技能アップの秘訣
この「秘訣」とは、ひとことでいうと「動詞に色をつける」ということです。
問題文やPart 6、7の文章・図表(「素材文」と呼ばせて頂きます)の英文の動詞の部分に、赤鉛筆やマーカーなどの目立つ色をつけてください。
ここで、なぜ「動詞」に色をつけるの?と疑問に思われたかもしれません。
それは、動詞は英語の文の中で中心あるいは「軸」になるからです。
英語では多くの場合、文を作るためには動詞が1つ以上必要になります。会話でいえば、言いたい内容の中心になるのが動詞です。
もちろん会話では、Yes.とかNo.とか、相手の名前だけを言うとか、単語だけで意思疎通ができる場合もあります。
しかし、リーディングセクションの問題文や素材文はほとんどが動詞を含む文で成り立っているので、とりあえずそのような簡略な文については除外してください。
また、あなたはこれまで英語の文章を読むとき、それぞれの文の中で自分が「重要だと思う」個所に赤鉛筆やマーカーを引いていたかもしれません。
そのような習慣があったとしたら、少し抵抗があるかもしれませんが、自分が重要だと思う個所ではなく、あくまで動詞に赤鉛筆やマーカーを引いてください。
動詞の部分、といいましたが、たとえばto不定詞のtoや、句動詞の動詞本体以外の単語(take a look atのa, look, at)、ing形のbe動詞(I am …ingのam)や完了形の助動詞(I have …edのhave)なども動詞に含めて色付けすることをお勧めします。
ただ、どうしても面倒な場合は、本体の動詞だけでも大丈夫です。
一度、ある文や文章の動詞部分だけに色付けしたら、その文や文章の全体を眺めてみてください。色をつける前より、意味がわかりやすくなった気がしませんか?
たとえば、Part 5の問題文のような文であれば、こんな感じです。
As president, Ms. Johnson made great efforts to establish a productive environment at ABC Corporation.
(ジョンソンさんは社長として、ABC社における生産性の高い環境を確立するため、多大な努力をしました。)
Renovations on the second floor of the XYZ Building are set to commence after the elevators are installed in early September.
(XYZビルの2階の改装は、9月上旬にエレベーターが設置された後に始まる予定です。)
その次に、それぞれの文で「どういう動詞が使われているか」に注目してください。長い文章の場合は全ての文でなくてもかまいません。
なぜかというと、その文を「動詞を軸として」覚えることができれば、英語を話すときにその表現を動詞=文の軸から先に思い出して使うことができるからです。
ただここで、いくつか問題が起こります。
b. 同じ単語が名詞・動詞・形容詞など複数の品詞として使われているため、出会った単語にedやingなどはっきり動詞とわかる語尾がついていない場合、そのどれにあたるかわからない
(例えばimportやexportは名詞・動詞として使われています。また、presentには「贈り物」を表す名詞、「現在の・出席している」などを表す形容詞、「贈呈する・提出する・示す」などを表す動詞があります。音声では、動詞の場合アクセントが後ろにあるので区別できます。)
c. 語尾がedの単語が動詞の過去分詞なのか形容詞なのか見分けがつかない
これらは、ひとことでいえば辞書(できれば紙の辞書。ジーニアス英和がおすすめです)で調べるのが一番です。
ただaとbについては、前後の単語から推測できることが多いです。
cは区別するのがかなり難しい場合もあるのですが、見分ける方法として「その単語が辞書の見出し語として載っているかどうか」というのがあります。
載っていれば形容詞、いなければ動詞の過去分詞になります。
「動詞に色をつける」という作業は少し面倒なところもありますが、これ自体が英語力アップに効果があります。
とはいえ、ここで面倒に感じてやめてしまってはもったいないので、動詞かどうかわかりにくい単語は色をつけたうえで、?とか△をつけておいて次に進んでも大丈夫です。
では、本題に入りましょう。
3.Part 6を英会話力アップに活かす方法
Part 6はレターやメール、説明書、広告などの素材文の中の空欄4個に入れる、適切な単語や文を選んで文章を完成させる形式です。
このパートはもともと文法問題オンリーだったのですが、今は文章の内容を理解しているかどうかを問う「文選択問題」も出る分、少し難しくなっています。
他方、文章の内容は実用的で、ビジネス英会話表現の宝庫です。
そこで、それぞれの文でどういう動詞が使われているかを意識しながら、以下のような方法でできるだけ多くの表現を覚えることをお勧めします。
(1)まず、文章の動詞に色をつけてから問題を解く。
※問題を先に解いてから動詞に色付けしても大丈夫です。
(2)動詞を意識しながら文章を音読する。
※問題集によってはリーディングセクションの音声をダウンロードできるものもあります。
(3)英文を見ずに、解説の和訳を見て英語で言ってみる。
この時、最初に「使う動詞」を思い浮かべる。全部言えても言えなくても再び英文を見る。
(思考過程)
「行われる予定です」が動詞のフレーズだろう→is scheduled? →その後はon Saturday, May 31(thirty-first)だろうな→これの主語「新しいサイトへの移行」・・移行って何ていったっけ?ああtransitionだ→Transition to the new website is scheduled on Saturday, May 31.でいいかな?→英文を見る→
The transition to the new website is scheduled to occur on Saturday, May 31.
→is scheduled “to occur”をつけるのか!あと、”The” transitionね。
(4)覚えたいフレーズや文を書きだす。この時、動詞に色をつける。
打合せを設定する arrange a meeting
詳細を話し合うための打合せを設定致します。
We will arrange a meeting to discuss further details.
※Part 6の文章はメールやレター、説明書などそれぞれのスタイルに沿った英文になっています。会話よりは締まった文になっていますが、レター特有の出だしと結びなどを除いては、ビジネスレベルの会話で使えます。
4.Part 7を英会話力アップに活かす方法
Part 7は、147-175が単一の素材文に基づいた設問、176-200が異なる2つまたは3つの素材文に基づいた設問に答える形式です。
どちらも、Part 6で提案した方法(1)-(4)については同じ様に実践することができます。
さらに、Part 7ではこれらに加えて「実際に自分の言葉で話す練習」をすることをお勧めします。
「自分の言葉で話す」とは、ここではそれぞれの設問について、その選択肢を選んだ理由を英語で話すということです。選択肢はもちろん正解肢でよいです。
一度問題を解いた後、解説を読んで正解がその選択肢である理由を理解したら、それを英語で言ってみます。
たとえば、147-175であればこんな感じです。
「その広告で示している3つのサービスの3点目に、our new locationとあることから、その会社が新しい店舗を開いたことがわかります。それで(D)を選びました。」
The third of the three services presented in the advertisement indicates “our new location”, and I can figure out that the company has opened a new store. That’s why I chose (D).
このように話してみましょう、というと難しそうに思えるかもしれません。
確かに、日本語では資料のいろいろな個所を指さしながら簡単に説明できることでも、英語でとなると最初は決して簡単ではありません。
特に、主語を何にしてどういう動詞を使うかについては迷うことが多いです。
しかし、これは仕事などで英語を使う状況で、非常に役に立つ方法であることはおわかり頂けると思います。
資料などを共有しながら、ある問題点について自分の意見を筋道立てて説明するというようなことは仕事ではよくありますよね。
そして、正解肢を選んだ理由を説明するのに使う表現はかなり決まっています。
(たとえば、「述べる」「示す」とか「~であることがわかる」という言い方。同じ動詞を続けて使うことは避けたほうがよいですが、describe, give details, mention, refer to, show, indicate, presentそしてI can figure outなどをよく使います。)
ここではごく一部になりますが、176-200について具体的な例を出します。
オーダーフォームの一番下の、添付画像についてのオプション欄には「フルカラー」と入力されています。これにあてはまるのは最初の広告の料金表で料金100ドルと書いてある4番だけです。なので、4番の料金「100ドル」の(D)を選びました。
The bottom of the order form gives options on the photo attachment and the customer enters “full-color.” This applies only to the service option 4 of the advertisement, with the fee of $100. Therefore, I chose (D).
選択肢は商品の詳細について述べているように思われます。そして、それに関係する情報は(その店の)広告の上の3つのパラグラフに書いてあります。しかし、商品のサイズについての情報は見つかりません。それで(C)を選びました。
The choices seem to refer to the details of the product, and the relevant information is given in the first to the third paragraph of the (shop) advertisement. But these do not have information about the sizes of the product. That’s why I chose (C).
こんな感じです。もちろん、最初からすらすら言えなくてもOKです。
そして、同じ内容でも英語での言い方は一通りではないので、web辞書や翻訳サイトなども利用しながらだんだん正確に、細かいところまで言えるようになっていけば大丈夫です。
あなたがもしオンラインレッスンを受けていて、レッスン内容をリクエストできる場合はPart 7の問題を共有して先生に”Why did you choose (A)?” のように質問してもらい、答えながら必要に応じて英語を直してもらってください。
なおこの場合、後が続けづらくなるのでBecauseで始めないほうがいいです。
いかがでしたか?
Part 7の「その選択肢を選んだ理由を説明する」という方法はそれなりの気合がいるので、まずPart 6のところでご紹介した方法に取り組んで自分の英語表現をある程度増やしてから始めても結構です。
これまでテスト対策で問題を解いて、「合ってた、間違ってた」で終わりにしていたかもしれないPart 6と7を「動詞を意識しながら」最大限に活用して、どんどん話せるようになりましょう!