I let you drive my car.
I make you drive my car.
どちらの文章も、「私はあなたに私の車を運転させる」と訳すことができますね。しかしこの2つの文章、実は伝わるニュアンスが大きく違うのが分かりますか。
「人に~させる」という使役動詞の役割をもつmakeとletですが、状況によってネイティブスピーカーは使い分けをしています。
ジブリ映画を観ながら英文法を学ぶシリーズでは、実際にジブリアニメで使われているシーンを基に英文法の使い方とニュアンスを学びます。英会話学習に必要な、英語のニュアンスを英語のまま掴むことができますよ。
今回は、「千と千尋の神隠し」の映画から、このmakeとletの意味の違いと使い方を解説します。
make+人(目的語)+動詞の原形、強制的に~させる
本人の意思に関係なく無理やり~させる、という意味です。あまりやりたくない事を強制的にやらせる場合や、要求するというニュアンスで使われることが多いです。
ジブリの例をみてみましょう。
千とお世話役のリンが二人で話をしているシーンです。千がハクがどういう人かについて尋ねたあと、リンが答える台詞です。
英語訳:They say Yubaba makes him do bad stuff.
直訳すると、「Yubaba makes him do bad stuff」で、「湯婆婆が彼(ハク)に悪い事を行わせている」 という文章ですね。
ここでは、ハクが悪いことをしたいわけではありません。湯婆婆が強制的にやらせているニュアンスが感じられます。
この様に「make+人(目的語)+動詞の原形」は、「人に無理やり~させる」という意味で使われることが多いです。
他の英語で言い換えると、「force+人+動詞の原形」と同じ様なニュアンスになります。文章によってはネガティブな印象に聞こえるので、会話の流れや言う状況を考慮してくださいね。
(彼は家に帰りたいが、ボスが彼を会社にとどまらせている)
My parents made me eat a lot of vagetables when I was a child.
(子供の頃、両親は私に野菜をたくさん食べさせました)
make+人(目的語)+形容詞、ある状態に~させる
make+人(目的語)の後に形容詞がくると、「~の状態にさせる」という意味で使われます。ある状態や人の気持ちに使われることが多いです。
例を見てみましょう。
湯婆婆の愛する坊と出会った千。湯婆婆の教えで「外にでると病気になるから、ずっと部屋の中にいる」という坊の話を聞き、千が驚いて答えるシーンです。
英語訳:Staying inside will make you sick!
「sick」は「病気の」という形容詞です。直訳すると「Staying inside will make you sick」で、「部屋の中にいる事はあなたを病気にさせる」という意味ですね。
この様に、make+人(目的語)の後に形容詞がくると、「~の状態にさせる」という意味になります。ここでは、坊が病気になってしまうという意味で使われています。この用法は、ネガティブな事だけでなく、ポジティブな意味でも使われます。
(ありがとう。あなたのメッセージは私をとても幸せにしました)
That movie made him famous.
(その映画は彼を有名にしました)
let+人(目的語)+動詞の原形 、(許可して)~させる
したいと思っている事を許して~させる、という意味です。許可を与える場合や、認めるというニュアンスで使われる事が多いです。
例をみてみましょう。
千は不思議な生き物をお客さんだと思い、銭湯のお湯屋に招き入れました。しかし、その招いたお客さんが実はカオナシだった事が判明し、お湯屋の中で暴走してしまいます。そんな中、お世話役のリンに千が言われるシーンです。
英語訳:Yubaba says you let him in.
let him in で、「引き入れる」というイディオムなので、letの後ろが動詞の原形ではなく「in」になっていますが、意味は同じです。
「you let him in」で、「あなたは彼を引き入れさせた」という意味で、彼(カオナシ)をお湯屋に入ることを許可したニュアンスが含まれています。
この様に、「let+人(目的語+動詞の原形)」で、人(目的語)がしたいと思っていることに対して許可を与えて「~させる」という意味で使われます。
(私の上司は金曜日は早く帰らせてくれる)
I think he lets you use his car.
(彼はあなたに車を使わせてくれると思うよ)
let+me+動詞の原形、~させてください
「 let+ me +動詞の原形」の形で目的語に「me」がくると、「私に~させてください」という願望を表す意味になります。
例を見てみましょう。
人間界から不思議な世界に迷い込んだ千。ハクのアドバイス通り、窯爺さんのところに来て、仕事をもらおうとお願いをしているシーンです。
英語訳:Haku sent me. Please let me work here.
「let me work」で、「私に働かせてほしい」という意味になります。この場合、「please」がついているので、少し丁寧な印象ですね。友人やカジュアルな間柄では、「let me 〇〇」と使われることが多いです。
許可を求めるというと大袈裟に聞こえますが、実際ネイティブスピーカーの間ではもう少し軽いニュアンスで「~してね(させてね)!」というニュアンスです。まさに英語っぽい表現方法ですね。
(情報が分かったら教えてね)
Let me introduce myself at first.
(まずはじめに、自己紹介をさせてください)
まとめ
makeとletのニュアンスの違い、掴めましたか。どちらも「~させる」という日本語訳では同じ文になりますが、結構ニュアンスが違いますよね。
復習として最初の例文を振り返ってみましょう。
I let you drive my car.
この場合、私の車を使いたがっている相手に対して、運転させてあげるというニュアンスになります。
I make you drive my car.
一方この場合は、相手が運転したくないのにも関わらず、無理やり相手に運転させるというニュアンスになりますね。
どちらも頻繁に使う言葉なので、ジブリの例を見ながら自分で例文を作り練習してみてくださいね。letやmakeの様に細かいニュアンスの違いを伝えられれば、よりレベルアップした英会話をすることができますよ。
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