「must」「have to」「should」「had better」。どれも「~しなければならない」という意味を表す助動詞ですよね。
でも、これらの単語、それぞれ少しずつニュアンスが違うのをご存じですか。実は、状況や伝えたい意図によってネイティブスピーカーは使い分けをしています。
英会話を上達させるには、英語のニュアンスを掴み練習する事が大切です。そして、楽しく続けることが何より重要です。
その勉強方法におすすめなのが、お気に入りのアニメを英語音声、英語字幕で観ることです。ドラマや映画よりもシンプルな英語が多く、英語の細かいニュアンスを掴むにはぴったりですよ。ジブリ映画で英会話を学ぶシリーズ。
今回は、「魔女の宅急便」を観ながら、「~しなければいけない」という時に使う「must」「have to」「should」「had better」の4つ言葉のニュアンスの違いと使い方を勉強しましょう。
mustの意味 必ず~しなければならない
話し手の意志によって、必ず~しなければならないというニュアンスで使われます。また、規則や法律によって決められていることに対して~しなければならない、と言う時に使われます。
早速ジブリの例をみてみましょう。
キキが空を飛んでお客さんに忘れ物を届けてパン屋さんに帰ってきた後、おソノさんが感心してキキに言うシーンです。
英語訳:I must say, I nearly fainted when I saw you fly off.
おソノさんは、「I must say」、 直訳すると「私は言わなければならない」と言っていますよね。自分が必ず言いたいという強い意志を汲み取ることができます。言わないという選択肢は100%ない、つまり絶対に言う!というニュアンスから、mustが使われているのでしょう。
:You must finish your homework by tomorrow. (明日までに宿題を終えなければいけません。※先生が生徒に言うようなシーンです)
この様に、mustには話し手の強い意志のニュアンスがある分、相手に対して「You must ~」と言うと、とても強く命令の様に聞こえてしまいます。相手に対してmustを使う時は、会話の状況や関係性に気を付けてくださいね。
また、規則や法律で決められていることを言う場合には、この様に使われます。
:You must not smoke in this building. (この建物では決して喫煙してはいけません)
※否定形はmust +not +動詞の原形で決して~してはいけない」と強い禁止を表します。
have toの意味 ~しなければならない
自分の意志ではなく、周りの状況や環境によって~しなければならないというニュアンスで使われます。
ジブリの例をみてみましょう。
新しい街に修行にやってきたキキとジジ。初めての買物の後、今後の生活のお金に心配したジジが「お金、足りる?」と聞いた後、キキが答えるシーンです。
英語訳:We’ll just have to eat pancakes for a while.
2人は新しい街にやってきて、まだ収入の見込みがありません。限られたお金でやりくりしないといけない状況で、しばらくは贅沢をせずにパンケーキで我慢しないといけない、というニュアンスが見えますよね。
彼女たちの意志ではなく、状況によってそうしなければならない時に、have toが使われます。
You don’t have to work at Saturday. (あなたは、土曜日は働く必要がありません)
この様に、自分の意志とは関係なく、誰かに決められたことや(環境)、状況によってしなければならないニュアンスを表します。
※否定形ではdon’t have to +動詞の原形で「~する必要はない」という意味になります。
shouldの意味 ~した方が良い
~した方が良いという、相手に提案する時などに使われます。have toに比べて”~すべきである”という度合いが控えめの印象です。
例を見てみましょう。
熱が出て体調が悪く、「このまま死んでしまうのかしら」と心配するキキにおソノさんが言うシーンです。
英語訳:And you should eat something.
風邪を治すためには、辛くても何か食べた方が良いの、と、セリフが続きます。have toとニュアンスが似ていますが、もう少しアドバイスに近い印象ですよね。
この様にshouldは人に何かを提案する時や、良いことをおすすめする時によく使われます。
You should not drink coffee before bedtime. (寝る前にコーヒーは飲まないほうが良いよ)
※否定文はshould + not +動詞の原形で「~しない方が良い」の意味になります。
had betterの意味 ~した方が良い(~しないと大変なことになるから)
had betterは~しないと良くないことが起きてしまう、ネガティブな結果を避けるために~した方が良い、という意味で使われることが多いです。
例をみてみましょう。
絵描きのお姉さんが、壊れてしまった猫のぬいぐるみを直してくれたシーンです。キキはこのぬいぐるみを、身代わりになっているジジと交換しに行かなければなりません。
英語訳:You had better help Jiji before it’s too late.
before it’s too lateは直訳すると「手遅れになる前に」という意味です。つまり、急いで助けにいかないと、ジジを助けられないかもしれない、というニュアンスが含まれているのが分かりますか。
この様に、良くない結果を招かない為に~した方が良い、という意味でhad betterが使われているのだと思います。
どちらかというと、アメリカ英語でよく使われる言い方で、会話では「I had better」が省略されて「I’d better」、「You had better」は「You’d better」と発音される事が多いです。
(傘持って行った方が良いよ。雨が降るから。)
:I had (I’d) better not leave my bag in the car. Someone might steal it.
(車にかばんを置いとかないほうが良いな。誰かに盗まれるかも。)
※否定文は、 had better + not +動詞の原形で、「~しない方が良い」の意味になります。
まとめ
「must」「have to」「should」「had better」のそれぞれのニュアンス、掴めましたか?
実際の英会話ではここまで厳密に使い分けされているわけではありませんが、それぞれのニュアンスのポイントを押さえていれば、より理解が深まるでしょう。
さらに、状況に応じて使い分けができると、表現の幅が広がり、より細かいニュアンスを表現できる英会話ができるようになりますよ。ぜひ、自分の身の回りの事に置き換えて、練習してみてくださいね。
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