「~のようだ」や「~のように見える」を表す「look」「look like」「seem」「seem like」。どれも日常会話で頻繁に使われる言葉ですが、これらのニュアンスの違い、ご存じですか?
ジブリアニメを観ながら英文法を学ぶシリーズでは、実際にジブリアニメで使われているシーンを基に英文法の使い方とニュアンスを学びます。英会話学習に必要な、英語のニュアンスを英語のまま掴むことができますよ。
今回は”ハウルの動く城”を観ながら、「look」「look like」「seem」「seem like」の違いと使い方をご紹介します。
look、look likeとseem、seem likeの違い
違いはシンプルです。ズバリ、何によって判断するか、そして誰もが分かる事か、主観的な意見かの違いです。
「Look」や「Look like」 は、「Look」(見る)という単語が使われている通り、実際に話し手が目でみた視覚情報によって判断した時に使われます。誰が見ても一目でわかる事を指します。
(彼、ずっと笑っている。幸せそうだね。)
一方、「seem」や「seem like」は、見た目ではなく、周りの状況によって話し手が憶測で判断しているニュアンスを伝えます。本当かどうかは別として、話し手の主観が入る事が多いニュアンスです。
(彼、新しい仕事見つけたんだって。幸せそうだね。)→実際に幸せか分からない。
では、それぞれのニュアンスをジブリのアニメシーンで掴みましょう。
look+形容詞 (目で見て判断して)~のようだ
視覚的情報から判断して、「~のようだ」を表します。「look」はその後に必ず形容詞がこなければいけません。
早速、ハウルの例を見てみましょう。
荒れ地の魔女とソフィーが、王様に会いに宮殿に来たシーン。
長い階段を自力で登らなければならず、荒れ地の魔女が死にそうになって登りきったところでソフィーが魔女に向かって言う場面です。
英語訳:You suddenly look older.
「look order」を直訳すると、「年寄りに見える」ですよね。階段を登る前は元気だったのに、階段を上りきって疲れ果てた魔女の姿を実際に目で見て判断して言っています。
そして、lookの後にくる「older」は形容詞です。lookの後には必ず形容詞であるという文法ルールがあるので、様々な形容詞とセットで覚えましょう。
You’ve got dark circles around your eyes. You look tired.
(目にクマができているよ。疲れてそうだね。)
look like+名詞もしくは文章 (目で見て判断して)~のようだ
視覚的情報から判断して、「~のようだ」を表します。
「look like」の後には、必ず名詞もしくは主語+動詞の文章の形が続きます。
例をみてみましょう。
ソフィーがハウルの動く城の中に初めてやってきた時です。ぐるりと城の中を見回してこう言います。
英語訳:What is this place? (It)just looks like a dilapidated heap.
ソフィーは、まだハウルの城の事をよく知りませんよね。しかし、ぐるりと城の中を見回して散らかっている様子から判断し、「ボロ家のようだ」と言っています。
目で見て判断したことから、「look like」が使われています。
そして、a dilapidated heap(ボロボロの建物)は名詞ですよね。「look like」のあとは、必ず名詞かもしくは主語+動詞の文系が後に続きます。
Your eyes look like Brad Pitt. (あなた目はブラッドピットに似ていますね)
seem+形容詞 (状況から判断して)~のようだ
状況から判断して「~のようだ」と主観的な意見を表す意味として使われます。この状況というのは、視覚的情報も含まれますが、より不確定なニュアンスが強いです。
そして、「seem」の後は必ず形容詞がくる文法ルールです。
ハウルの例をみてみましょう。
荒れ地の魔女がハウルを追いかけて、ハウルの家を探しまわっている場面。
ソフィーがハウルに、「どうしてハウルは荒れ地の魔女に狙われているの?」と尋ねたら、ハウルが答えるシーンです。
英語:She seemed quite interesting, so I approached her.
ここでは「seemed」 と過去形で使われています。おそらく、話の内容や噂など、視覚的情報以外によって「面白そうだった」と判断したのでしょう。
魔女が本当に面白いかどうかは分かりませんが、自分の感覚として判断したというニュアンスが含まれています。
ここで、「She looked quite interesting」といっても、「面白そうだった」という意味は通じるでしょう。
しかし、「look」を使うのであれば、見た目から判断して誰が見ても明らかに面白そうだと思ったという意図になるため、少し違和感を感じるでしょう。
そして、「seemed」の後は、「quite interesting」と形容詞がきています。これは「look」と同じ文法ルールなので、そのまま覚えてしまいましょう。
(この鞄、トートにもリュックにも使えるの。便利そうだな。)
My new boss seems nice. I’m looking forward to working with him.
(新しい上司、良さそう。一緒に働くのが楽しみだな。)
seem like+名詞もしくは文章 (状況から判断して)~のようだ
状況から判断して「~のようだ」と主観的な意見を表す意味として使われます。この状況というのは、視覚的情報も含まれますが、より不確定なニュアンスが強いです。
「seem like」の後は必ず名詞か主語+動詞の形が続きます。
例を見てみましょう。
少年のマルクルとソフィーが洗濯物をしている途中に一息ついて休憩しています。そんな中、カカシのかぶが、休むことなく洗濯を干し続けています。その様子からマルクルが言うセリフです。
英語訳:(It) seems like he likes doing the wash.
カカシのかぶが実際に洗濯物が好きかどうかは分かりませんが、しっかりお手伝いをしている様子から、マルクルがそう思ったというニュアンスです。
この様に、「seem」は「look」よりも話し手の主観が強く表れるニュアンスがあります。
「It looks like he likes doing wash.」だと、誰が見ても洗濯物を楽しんでいることがわかる、というニュアンスなので、この場合はマルクルの主観が出るように「seem like」が使われているのでしょう。
また、「seem like」の後には、「he likes doing wash」と、文章が続いていますね。「seem like」の後ろには名詞か文章しか言えません。「look like」と同じ文法ルールです。
They did not seem like they were interested in our offer. (彼らは私たちのオファーにあまり興味がなさそうだった)
まとめ
いかがでしたか?
日本語にすると全て同じ意味になりますが、実はニュアンスが結構違いますよね。
「look」と「seem」の違いは誰が見ても明らかな視覚的情報による判断か、状況による主観的判断です。そして「look」「seem」と「look like」「seem like」の違いは、その後に続く単語の品詞が違います。
この基本ルールをおさえれば使うのは簡単ですよ。ジブリの4つの例を参考にしながら、自分の身の回りのことに置き換えて例文をたくさん作って練習してみてくださいね。
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