「もし~ならば、~であろう」という意味を表す「If 条件文」。日本語の日常会話では意識せずとも頻繁に使用していますが、英語になると「仮定法」などと呼ばれ、急にややこしい文法につまずいた経験はありませんか。
ジブリ映画を観ながら英文法を学ぶシリーズでは、実際にジブリ映画に使われているセリフを使って、ネイティブスピーカーが使う英語のニュアンスと英文法を学びます。
今回は、「天空の城ラピュタ」から、Ifを使った条件文、仮定法を4つの種類別にご紹介します。
仮定法とは
「もし~であれば、~である/あろう」というある条件(If)を基に話す事で、英語では「Conditional」と呼ばれます。
この仮定法には4つの種類があり、それぞれ、
Zero Conditional (例:If I am free, I go to the beach.)
First Conditional (例:If I am free, I’ll go to the beach.)
Second Conditional (例:If I were free, I would go to the beach.)
Third Conditional (例:If I had been free, I would have gone to the beach.)
と呼ばれます。
では、それぞれの意味と文法ルールについてみていきましょう。
If+現在形, 現在形 一般的な事実や習慣を表す (Zero Conditional)
「もし~ならば、必ず~である」という、明確な因果関係を意味します。一般的な事実や習慣、ルールについて話す場合に使われます。
ジブリの例を見てみましょう。
ムスカがシータの協力を得ようと、シータを説得するシーンです。
英語訳:The boy goes free, if you assist us, Lucita…
直訳すると、「あの男の子(パズー)は自由になる、もし君(シータ)が私たちを助けてくれるのなら」ですね。この場合、ムスカにとって、「もしシータが味方につけば、パズーを必ず自由にする」というニュアンスを込めて「If+現在形、現在形」の形が使われているのでしょう。
ルールの様なニュアンスで使われていますね。この様に、「もし~ならば、100%そうなる」という文脈や周知の事実、習慣を述べる時に使われることが多いです。
(停電になったら、我々はTVを見ることができない)
If I work for late, I always take a taxi. ※習慣を表す
(もし遅くまで働いたら、いつもタクシーに乗ります)
If+現在形, will+動詞の原形 未来の可能性を表す(仮定法現在 First Conditional)
「もし~ならば、~かもしれないと」、未来の可能性を表す意味で使われます。100%ではないけれど、恐らくそうなる可能性が高い場合に使われるニュアンスです。
予測や計画、約束、提案事項などを話す時に使われます。
ジブリの例を見てみましょう。
天空の城ラピュタを探しに向かっている最中にパズーがシータと話をしているシーンです。困難な道中ですが、今逃げ出すとムスカ達から追われてしまう為、後戻りはできないという話をしています。
英語訳:If we run now, they will hunt us forever.
「もし逃げ出したら、彼らが追ってくるかもしれない」という意味ですね。必ず追ってくるとは限りませんが、その可能性が高いというニュアンスです。
この様に、未来に対して起こり得る可能性があることについて「If+動詞の原形、will+動詞の原形」の型を使用します。
(今食べないと、後でお腹すくかもしれないよ)
If I miss the train, I will take a taxi.
(もし電車を逃したら、タクシーに乗るでしょう)
If+動詞の過去形, would+動詞の原形 現在の事実とは違う仮定を表す(仮定法過去 Second Conditional)
「もし~ならば、~であろう」、と実際には起きていない現在の事を仮定して話すときに使われます。可能性が低い事や実際には起こり得ないことを意味するニュアンスです。
ジブリの例を見てみましょう。
洞窟の中にいるポム爺さんが、石たちが騒いでいるのを不思議に思い、「石が騒いでいる時は、山の上にラピュタが来ている証拠だ」と言うのをつぶやきます。その言葉を聞いたパズーがひらめいて話す場面です。
英語訳:If you went up to the sky then, you would find Laputa!
その時というのは、石が騒いでいる時、つまり今ですよね。彼らは今、地下に居るので空にのぼる事は現実的に難しいですよね。この様に、可能性が低い現在の仮定を話すときに、「If+過去形, would+動詞の原形」が使われます。
(もしお金持ちなら、もう働かないだろう)
If you lived near the beach, you would learn to surf.
(もし君が海の近くに住んでいたら、サーフィンを習うだろう)
If+had+過去分詞, would +have +過去分詞 過去の事実とは違う仮定を表す(仮定法過去完了 Third Conditional)
「もし~だったならば、~だっただろう」と、実際には起きなかった過去の事に対して、仮定をして答える場合に使われます。
過去の事を後悔するニュアンスで使われることが多いです。
ジブリの例をみてみましょう。
軍隊の司令官であるモウロ将軍が、軍隊を出動させなかったムスカに対して悔やみながら言うシーンです。
英語訳:If you had mobilized sooner, we would have bagged Dola too.
実際には、部隊が出場しなかったのでドーラに出し抜かれてしまいました。その事を悔やんでいるので、過去を振り返り、「もし始めから部隊が出場していれば、今の様なことにはならなかった」という後悔が滲んでいるニュアンスですね。
この様に、過去の事を振り返って、実際とは違う結果を想像し仮定する場合に、「If+had+過去分詞, would+have+過去分詞」の形が使われます。
(もし彼らがバスに乗り遅れなかったら、彼らは時間通り仕事にきていただろう)
If I had remembered your birthday, I would have bought you a present.
(もし君の誕生日を覚えていたら、プレゼントを持ってきただろう)
まとめ
「If条件文」を使用する4つの仮定法、それぞれニュアンスの違いを掴めましたか。
冒頭の例文の意味をそれぞれみてみると、
If I am free, I go to the beach. (Zero Conditional)
→もし暇なら、いつも海に行きます。(習慣を表す)
If I am free, I’ll go to the beach. (First Conditional)
→もし暇なら、海へ行くでしょう。(海へ行くかもしれない)
If I were free, I would go to the beach.(Second Conditional)
→もし暇なら、海へ行くのになぁ。(実際は暇ではないので海へ行けない)
If I had been free, I would have gone to the beach. (Third Conditional )
→もし暇だったなら、海へ行ったのになあ。(暇じゃなかったので海へ行けなかった)
と、なりますね。仮定法が使いこなせると日常会話の幅がぐっと広がりますので、是非練習してみてくださいね。
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