「AはBより~だ」「AはBと同じくらい~だ」の様に、2つの事を比較する、比較級。中学で学ぶ文法ですが、「easier」なのか「more easy」なのか、「as easy as」なのか、いざ使おうとすると悩んでしまう事はありませんか。
ジブリ映画を観ながら英文法を学ぶシリーズでは、実際にジブリ映画に使われているセリフをもとに、ネイティブスピーカーが使う英語のニュアンスと英文法を学びます。
今回は、「紅の豚」から、比較級の基本的な4つのルールをマスターしましょう。
比較級1. “形容詞/副詞+er” than
A 動詞 “形容詞/副詞”+er than B の形で、“AはBより~である”の意味を表します。形容詞の後に「er」をつけて比較を表し、「than」の後に比較対象の単語がきます。
ちょっと分かり辛いので、ジブリの例を見てみましょう。
パイロットである紅の豚ポルコと一緒に、自分が直した飛行機で一緒に飛行に出たいという17歳の女の子、フィオ。初めは断っていたポルコも彼女の強い思いに負け同行を許します。
そして、彼女が座った場所が狭すぎるので、場所を作るために「機関銃を一梃おろせ」とアドバイスをした後の返答シーンです。
英語訳:My hips are bigger than they look.
「My hips are big.」で「私のお尻は大きい」ですよね。この文章では「実際のお尻」と「見かけのお尻」の2つを比較しています。
「big」は「er」をつけて「bigger」に、そして「than」の後に「they look」(見かけ)という比較対象がきていることが分かりますね。これが、比較級の基本的な構文ルールです。
(彼女は私よりチェスが強い。)
It’s colder today than yesterday.
(今日は昨日より寒いです。)
比較級2. “more 形容詞/副詞” than
A 動詞 “more 形容詞/副詞” than B. の形で、“AはBより~である”の意味を表します。
比較級1と同じ意味ですが、「er」はつけず、その代わりに形容詞/副詞の前に「more」をつけます。その違いは何なのでしょうか?
それは、「形容詞の音節の長さ」の違いです。
音節とは、英語で”Syllable”と言い、母音に紐付く音の区切りを意味します。例えば”important”だと、”im・por・tant”と3音節になります。
その音節が3音節以上の形容詞/副詞に対して、「er」ではなく、「more」がつけられるというルールです。迷ったときは、短めの単語なら「er」をつけ、長めの単語なら「more」と考えていても良いかもしれません。
1~2音節の単語
taller (〇)
more tall(×)
3音節以上の単語
importanter (×)
more important (〇)
※単語によっては「er」も「more」も両方使えるものや、2音節なのに「more」を使うなど例外もありますが、それらは出会う度に覚えていくと良いでしょう。
ジブリの例を見てみましょう。
アメリカ人の飛行士カーティスが、ジーナにハリウッド映画に一緒に出ないかと誘うシーンです。イタリアで様々な経験を経てきたジーナが返答します。
英語訳:Life here is more complicated than in your country.
「Life is complicated.」で、「人生は複雑だ」の意味ですよね。
比べる対象は、こことあなたの国(イタリアとアメリカ)です。「complicated」という形容詞は、文節で言うと「com・pli・cated」と3文節になります。
この様に3音節以上の単語には、「more」がつき、「more complicated」で「より複雑である」という比較を表します。「compicateder」とはならないので、注意してくださいね。
また、「more」と「er」を同時に使う事もできない為、「more bigger」とは言えません。こちらは間違いやすいポイントなので頭に入れておきましょう。
(あなたの提案は他のほとんどの提案よりも面白いです。)
My boyfriend is more handsome than my father. ※例外
(私の彼氏は父親よりもかっこ良いです。)
※handsomeは2音節ですが、”er”ではなく”more”をつけます。
比較級3. 不規則な形 than
A 動詞 “不規則な形の形容詞/副詞” than B. の形で、“AはBより~である”の意味を表します。比較級1.2のルールでは、形容詞/副詞に「er」もしくは「more」をつけて比較を表しますが、例外として、単語によって不規則な形に変化する単語があります。
形容詞/副詞-比較級
good-better
well-better
bad-worse
little-less
many-more
much-more
などがありますが、これだけ覚えても実際の英会話では使いこなすのが難しいので、使われるシーンにふれて、どの様な文章で使われるのかニュアンスで掴むことが重要です。
ジブリの例を見てみましょう。
紅の豚ポルコが、飛行機を直したフィオの事を、彼らに褒めるシーンです。
オリジナル:(彼女は)俺の船を前よりずっといい船にしたんだ。
英語訳:She made my plane much better than before.
「She made my plane well.」で「彼女はいい船を作った」という意味になりますね。
しかしここでは、以前に比べてもっと良くなったことを伝えたいので、「well」を比較級に変えなければいけません。それが「er」でも「more」でもなく、「better」になります。
この様に、不規則に変化する単語はいくつかあるので、実際によく使われる文章に触れ、自然と口に出るまで練習しましょう。
(君のTOEICの点数は、僕のより悪い。)
Are you feeling better? ※goodの比較級がbetter
(具合よくなった?)
比較級4. as 形容詞/副詞 as
A 動詞 as 形容詞/副詞 as B.という形で、AはBと同じくらい~だ、という意味を表します。比較級1~3では、2つの事柄を比べて違いを表しましたが、as 形容詞/副詞 asの構文は、基本的に2つの事柄を比べて同じ場合によく使われます。
ジブリの例を見てみましょう。
クロアチアにあるポルコのアジトに来たフィオとポルコ。ガソリン代がイタリアに比べて3
倍もすることに驚き、ポルコに言うシーンです。
英語訳:Their fuel costs three times as much as in Italy.
「Their fuel cost much.」で、「彼らのガソリンは高い」という文章になります。
しかし、「much」という形容詞を「as~as」で囲むことで、「Their fuel costs as much as in Italy.」「ガソリン代がイタリアと同じくらい高い」という比較級の意味になります。
ここでは少しややこしく、「three times」(3倍)と言っているので、イタリアに比べて3倍の値段がするという文章になっていますね。
この様に、as 形容詞/副詞 as~で、~と同じくらい××である、という意味になります。
(彼女はあなたと同じくらい速く走れます。)
This winter is as cold as last winter.
(今年の冬は去年と同じくらい寒いです。)
まとめ
いかがでしたか。比較級1~3は、2つの事を比べた時に違いがある場合に使う構文です。
一方、比較級4は、基本的に2つの事を比べた時に同じである時に使われる構文です。構文自体はどれもシンプルですが、単語によって使い分けをする事が比較級のポイントです。
使いこなせると便利な比較級、ジブリの例を参考に、練習してみてくださいね。
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