I took the train to Tokyo.
I took the train for Tokyo.
突然ですが、この違い分かりますか?
「~に」や「~にとって」等と、日本語だと同じ訳され方をする前置詞「to」と「for」。ですが、何となく感覚で使っている方、実は多いのではないでしょうか。
ジブリ映画を観ながら英文法を学ぶシリーズでは、実際にジブリ映画に使われているセリフをもとに、ネイティブスピーカーが使う英語のニュアンスと英文法を学びます。
今回は、「ハウルの動く城」から、「to」と「for」の違いと使い分けを学びましょう。
toが持つ基本的イメージ・・・~へまっすぐに向かう
目的地へまっすぐと向かう直接的なイメージ
目的地へ到着するニュアンス。
ジブリの例を見てみましょう。
ハウルが城へ帰ってくると、魔法をかけられて老婆の姿になったソフィがフライパンと木べらを使って料理をしています。それを見て、ハウルが一言。
英語訳:Give that to me.
ここでは「that」は木べらとフライパンを指します。
つまり、それらを僕に貸してという意味ですが、「to me」の「to」が、貸す相手である僕(ハウル)という目的地まで直接的に真っすぐ向いているというニュアンスを表しています。
この様に「to」がもつイメージは、目的地まで到着するという方向の意味で使われます。
I took the train to Tokyo.
東京駅まで電車に乗った。(目的地が東京である)
She teaches English to her niece every Saturday.
(彼女は毎週土曜、姪に英語を教えている)
forが持つ基本的イメージ・・・~の方を向いている
目的地の方を向いている間接的なイメージ
ただ直接的な目的地を表すのではなく、目的や目標を含む
英語訳:Make some hot water for my bath.
「Make some hot water」で直訳すると「お湯を沸かしてくれ」ですよね。
ここで、「for my bath」であるのは、お風呂に入るという目的があるからです。つまり、「お風呂に入る為にお湯を沸かす」ということですよね。
もし、この文章が「Make some hot water to my bath」だと、お風呂という目的地に向かってお湯をわかすという様なニュアンスになってしまうので、少し変な感じがしますよね。
この様に、目的地の方向を向きながら、目的を伴う場合に「for」を使用します。
I took the train for Tokyo. (東京行の電車に乗った)
※目的地が東京ではなく、東京行の電車に乗った。
She run for the sea. (彼女は海の方向へ走った)
※目的地が海ではなく、海の方向
to+人/ for+人 のイメージ
次に、「to me」や「for me」などで使われる、「to+人」「for+人」の違いを見てみましょう。
・to meのイメージ・・・(個人的な見解として単純に)~にとって
・for meのイメージ・・・(目的を達成する為の)~の為に/~にとって
「to + 人」例を見てみましょう。
主人公ソフィが、街の菓子店で働く妹を訪れたシーンで、別れ際に妹に聞かれる台詞です。父の帽子屋で毎日小さな部屋にこもり地道に働くソフィ。
華やかで店の人気者である妹に「一生あのお店にいるつもりなの?」と問われて答えます。
英語訳:The shop was just so important to father.
「important to father」で「父にとって大切」という意味ですよね。「to」を使う事で、それ以上もそれ以下の意味もなく、ただ純粋にソフィの見解として「父にとって大切である」というニュアンスが伝わります。
一方、この文章が「The shop was just so important for father」でも、文法的には間違っていません。
しかし、「for father」を使うと、何かその背景に目的があって重要というニュアンスになります。
例えば、お金の為だとか、一人になれるとか、そういう目的があり「父にとって大切である」というニュアンスに聞こえます。
「for + 人」のを見てみましょう。
ハウルが、城を模様替えして、ソフィの為の小さな部屋を作りました。帽子屋で働いていた頃に使っていたような作業部屋です。それを見たソフィがポツリと言う台詞です。
英語訳:It’s perfect for a cleaning lady.
「It’s perfect for a cleaning lady.」掃除婦というのは、ソフィが魔法をかけられて老婆にされた姿で初めてハウルの城にやってきた時、自分の事を掃除婦と呼んでいたので、ソフィの事を指します。
ハウルの城で色々な経験をしたソフィですが、ここでは少し寂しそうな顔をして呟きます。
「for」を使っている背景には、自分は結局、帽子屋で働いていた時のように、小さな部屋に閉じこもって暮らすんだ・・・という寂しい気持ちが表れています。
つまり、「for」を使う事で、「掃除婦にとっては今までと変わらず小さな部屋で閉じこもって暮らす為に完璧ね」、という複雑なソフィの心境が読み取れます。
もしこの文章が「It’s perfect to a cleaning lady」だと、この様な背景を含まず、ただ単に「掃除婦にとってぴったりの部屋」というニュアンスになります。
「to+人」と「for+人」のニュアンスの違い、掴めましたか?
例文を見てみましょう。
この試験は私にとって大切だ
・This exam is important to me.
※単純に私が思っている場合
・This exam is important for me.
※受験を控えていて内申点に影響するなどの背景がある場合
私はあなたに手紙を書きました
・I wrote a letter to you.
※あなた宛てに手紙を書いたという意味
・I wrote a letter for you.
※目的があり、あなたの為に手紙を書いたという意味
動詞で分かる迷った時の見分け方
「to」や「for」には、それぞれ相性が良い動詞があります。
「to」と相性が良い動詞・・・”to”がないと、動作が成り立たない
「for」と相性が良い動詞・・・”for”がなくても、動作が成り立つ
先述したジブリの例文を見てみましょう。
この文章では、「to me」の部分がないと、「Give that」になり、「give」の動作が成り立ちません。この様に、「to」は動作が成り立たない動詞と相性が良いです。
You should apologize to you mom. (お母さんに謝らないといけません)
※謝る相手が必要の為、「to」を使用する
I sent a postcard to my boyfriend. (ボーイフレンドに葉書を送りました)
※送る相手が必要の為、「to」を使用する
一方、こちらは、「for my bath」がなくても、「Make some hot water.」で「お湯を沸かしてくれ」という意味になるので、動作が通じますよね。
この様に、「for」はそれだけで動作が成り立つ動詞と相性が良いです。
I cook dinner for you. (あなたの為に夕食を作りました)
I bought this cake for you. (あなたにケーキを買いました)
I have been waiting for you. (あなたをずっと待っています)
まとめ
いかがでしたか。「to」の直接的な目的地を指すイメージと、「for」の間接的な方向という目的を伴うイメージ。
ささいな違いですが、文脈によっては捉えられるニュアンスが大きく違ってくることもあります。ぜひ、ジブリの例を参考に練習してみてくださいね。
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