最近では、学生だけでなく、社会人も自己成長やキャリアの一環として留学にいくことが多くなってきました。
ただ、「社会人の留学は後悔することが多い」や「社会人留学は逃げ」というマイナス意見を持つ人もいます。
しかし、筆者(イギリス留学経験)としては社会人留学にはたくさんのメリットがあると考えていますし、実際に社会人として留学に行き、様々な活動に取り組み、キャリアアップに成功した人たちもたくさんいます!
本記事では、社会人留学に行こうと考えているけど迷っている方、留学はしたいけど留学後が不安な方向けに、社会人留学のメリットや活動の具体例についてご紹介していきたいと思います!
目次
1.社会人留学では何が重要なのか?
社会人留学の基本的な考え
社会人留学は、キャリアアップのために社会人が海外の大学・大学院で勉学に励んだり、現地企業のインターンシップやワーキングホリデー(以下「ワーホリ」)に参加したりするための留学です。
社会人の留学では、学生時代の留学とは異なり、語学力の習得に加え、キャリアアップのための知識や経験を得ることが超重要です。
特にキャリアアップや転職を目指す場合は、留学へ行ったこと自体ではなく、「留学中にどのような経験をし、グローバル人材としてそれをどのように活かすことができるか」が評価されます。
最近では、コロナパンデミックが収束に向かっていることもあり、社会人向けの留学プログラムも増えています。
短期的なプログラムもあれば、ワーホリや現地大学での学位取得など、長期的に海外に滞在するようなプログラムもあり、自身の留学目的に合致した留学プログラムを選ぶことができます。
留学後のキャリアは2パターン
社会人で留学を終えた方の多くは(1)前職に復帰する、または(2)転職活動を行う、というキャリアプランを描くことになるでしょう。
特に「(2)転職活動を行う」の場合は、①現地就職か②日本で就職かを検討する必要があり、これは自身のこれまでのキャリアやスキル・能力、留学目的や留学中の活動内容を考慮し、決定しなければなりません。また、自身の年齢や家族関係も検討要素に含め、総合的に検討する必要があります。
後述しますが、留学後のキャリアが成功するためには、その留学の目的や活動内容が具体的であることがとても重要です。
目的がなくイメージや憧れだけで留学に出発してしまうと、留学後のキャリアに悪い影響を及ぼすことになりかねません。留学に出発する前に、「留学で得たい最低限の成果はなにか?」を明確にするようにしましょう!
2.なぜ社会人留学は「逃げ」と言われてしまうのか
仕事からの逃げ
社会人留学に関しては、現在就いている仕事で成果を残せていなかったり、その仕事が自分に合っていないという単純な理由で留学に行くことは、「逃げ」と言われてしまう可能性があります。
しかし、結局のところ「成功するか、失敗するか」は留学した人にしかわかりません。
*あのDeNAの南場さんのような事例もあります(4分45秒付近)
人間関係からの逃げ
他にも、仕事上の付き合いやプライベートの人間関係における問題を解消するために留学をすることは、「逃げ」と思われてしまうことが多いです。
こちらも実際のところ、留学中に様々な考え方・価値観を持った人に出会うことで自分の世界観が広がる可能性を秘めています。これはただ別の会社に転職するだけでは絶対得られない考え方です。
「あ、こんな人もいるんだ。こんな生き方もあるんだ。こんな生活方法もあるんだ」といった価値観は、海外留学をして外国人や現地の日本人と会話をしなければ決してわかりません。
留学では全く違う年齢、違う職業の人たちと交流ができるので、ご自身が今まで生きてきた人生とはかけはなれた、想像もしなかった生き方をしている人たちに出会えます。
そのことはあなたを留学前より、ずっと強くするはずです。
英語力向上のため
英語力を上達させるための留学(いわゆる語学留学)も、「逃げ」と思われることがあります。
国際化やデジタル化が進んだ現代では、語学を上達させるための手段はたくさんあります。日本でも英会話カフェや言語交換会などで、外国人と直接交流する機会が多くあり、自分のスケジュールに合わせてオンライン英会話スクールを活用した英語学習をすることも可能です。
しかし、では「実際に日本だけで身につけている人はどのぐらいの割合でいるのか?」については注目すべきデータがあります。
マナビジンが調べたところ、英会話ができる人たちは海外留学をしており、日本だけで身につけている人はほとんどいませんでした。これは多くの方が知らない真実です。
関連記事:英語学習情報を提供しているプロが言わない、英会話上達の不都合な真実
また、英会話力が中上級者以上の人たちの年収は、統計上でも年収1000万円を稼ぎやすくなります。このことを知っていれば、もはや語学留学、ワーホリ、恋人を見つけるなど、どんな方法を使ってでも英会話ができるようになっておくべきだとわかるでしょう。
関連記事:年収1000万円稼ぐために必要な英語力のゴールは?
3.社会人留学で得られること(メリット)
社会人として留学するにあたっては、時間もお金もかかるため、留学に行く際にはとても大きな決断を強いられます。その決断をするために、社会人留学のメリットについて認識しておくことはとても重要です。
語学力を習得
語学留学や大学留学など、現地での就労に関わらず留学をすれば、毎日現地の人と外国語でコミュニケーションをとるため、日本にいる時よりもその土地の言語に触れる機会は増えます。
ただ、現地で日本人と交流したり、日本語を使う機会が多い場合は、語学力を効果的に伸ばすことは難しいでしょう。
もちろん、見知らぬ外国の土地で日本人と交流できることで安心感を得られますが、普段なかなか日本では触れることができない現地の言葉(特に口語)に慣れるチャンスですので、現地の人と積極的に交流するようにしましょう!
専門知識や就労経験を習得
大学や大学院に留学をすれば、現地大学の授業を受講することを通して、専門的な知識を身につけることができます。そして、その習得した専門的な知識や知見を、将来の仕事に活かすことができるということは大きなメリットといえます。
また、ワーホリやボランティア活動などで身につけた就労経験も同様に、キャリアアップに繋げることができます。
近年ではワーホリだけでなく、カナダcoop留学やオーストラリアのTAFE留学
人脈を広げることができる
留学先では、現地大学の友人や職場の同僚など、日本国内では出会うことができない、様々な人に出会う機会があり、それによって人脈を広げることができます。
人脈を広げることができれば、その人脈を活かして将来的に仕事の機会を得ることができたり、自分の力だけでは得られない情報を得ることができるなどのメリットがあります。実際のところ、国内に戻って仕事を紹介してもらったり、一緒にビジネスを立ち上げたりする方も多いです。
外国の文化、習慣に触れることができる
留学中の生活や現地の人との交流を通して、外国の文化や習慣に触れることができます。特に現地での寮生活や、ホームステイでホストファミリーと生活を共にするなどの経験は、より外国の文化や習慣に密接に触れる機会となります。
外国での文化や習慣を知ることは、自分の世界観が広がることはもちろん、将来的にその国の人とやりとりをする際に、「この国の人はこういう特徴を持っている」と知っていることで柔軟に対応することができます。
転職をする際にも、その留学国での生活経験や現地でなにか成し遂げたことがあれば、出張や海外赴任、現地責任者、現地とのやり取りを担当するなど、強みを活かした仕事を与えられる可能性があります。
4.社会人留学を「逃げ」と言わせず、成功させるために
本章では、社会人留学を「逃げ」と言わせず、むしろキャリアアップやスキルを習得し、自己成長する機会として活用するために必要なことをご紹介していきたいと思います!
明確な留学目的をもつ
まず、社会人で留学に行く人は、留学の目的を明確かつ具体的にすることがとても重要です。
なぜなら留学の目的が明確になれば、留学中の具体的な活動を具体化することができたり、留学の期間やスケジュールを決定することができるからです。
例えば、「外資系のメーカー企業に転職するために、語学能力とマーケティング能力を習得する」という留学目的があると、「現地のメーカー企業でインターンシップをする」や「海外大学院でマーケティングを専攻する」といった選択肢が思い浮かびます。
そして、これらの活動にどれくらいの期間を要するのか検討し、留学の期間やスケジュールを立てることができます。また活動内容が決まれば、その活動にどれくらいのお金が必要になるのか、概算することができます。
「○年その国で勤務すると永住権を獲得できる」という情報をもとに、その期間労働することで、移住を達成するためのスケジュールを立てることができます。
最低限の語学力を身につける
上記の「3.社会人留学で得られること」で人脈を広げることについて言及しましたが、人脈を広げるためには、やはり最低限の語学力は必要になります。
自身のコミュニケーション能力が高くとも、「伝えたいことを正確に伝えることができない」という状態では人間関係を築くにあたって、とても苦労すると思います。
逆に英語でのコミュニケーションをスムーズに行えるくらいの語学力があれば、現地での生活は困らないのはもちろん、交友関係を広げることも可能になります。
そのため、留学前には最低でもB1(英検2級、TOEIC500〜600点程度)を習得することをおすすめします。現在では、働きながらでも柔軟にレッスンを受けることができるオンライン英会話スクールやスマートフォンのアプリで英語を学習することもできる時代ですので、日々英語に触れる機会を作ることをおすすめします!
5.社会人留学での活動(具体例)
前述した通り、社会人留学を成功させるためには、明確な留学目的を持ち、その目的のためにどのような活動が必要か検討することがとても重要です。
語学留学とボランティア
現地の語学学校に通いながら、ボランティア活動に参加し、その経験を活かし、現地企業に就職するというプランは、とても想像しやすいのではないでしょうか。
上記でご説明した通り、語学留学だけでは、転職活動や自己アピールをする際に不十分と捉えられるケースが多いです。
そのため、語学能力を磨くことに加え、現地の社会問題を調べ、それに深く携わることができるボランティア活動に取り組むことで、語学以外のスキルや能力を習得することができます。
現地の社会事情を知ることは、日本の生活や社会事情と比較する良い機会になりますし、将来のビジネスのアイディアになる可能性もあります。
東南アジアの国々(特にフィリピン)では、未だ貧困や経済格差などの社会問題があり、語学留学中にそれに関わるボランティア活動の選択肢もたくさんあります。
社会問題を解決するためのソリューションを現地で提供した試みがあれば、なおよいでしょう。
現地でインターンシップに参加しておく
海外の大学院で専門知識を身につけることで、帰国後にそれを実務に活かすことができます。例えば、金融業界(銀行や証券会社など)に勤めている方でしたら、金融に関する専門性を大学院で学び、日本に帰国後、発展的かつ専門的な金融業務に携わることができます。
大学院にてIT関連の専門性を身につけることで、留学後のキャリアアップを目指すことができます。専門的な知識を身につければ、「IT人材不足」と呼ばれる日本で、将来的に活躍できる可能性は高まります。
また、大学院での修学中に現地企業でインターンシップに参加することで、知識だけでなく経験も得ることができます。
海外の国々(特に欧米諸国)では、大学院(特に修士課程)まで修了する人が比較的多いですが、日本では4年制大学を卒業するとそのまま就職する人が多く、大学院での経験を持っていない人がほとんどです。
そのため、大学院での知識取得は転職活動の際の「差別化」の観点からもおすすめです。
ワーホリ⇨現地就職
ワーホリでの経験を活かし、現地で就職することも1つのキャリアプランとして考えることができます。
特にワーホリでの業務内容が希望就職先の業務と関連しているのであれば、(もちろん容易ではありませんが)現地での就職を前向きに検討することができます。
特にワーホリの期間中はビジネス英語を磨くとともに、何らかの専門性を身につけていることが望ましいです。前職で培った専門性やワーホリ中に得たスキルなどを活かすことができれば、現地で就職することも、難しくはないでしょう!
なお、ワーホリは一般的に1年間外国に滞在することができる制度ですが、オーストラリアでは最長3年、イギリスでは最長2年滞在することができるため、それらの国では比較的余裕を持って現地で就職活動をできることが大きなメリットといえます。
6.社会人留学に関するFAQ
留学を「逃げ」と言わせず、社会人留学を成功させるためにやっておくべきことについては、前章まででご紹介してきた通りですが、時間とお金のかかる社会人留学については不安や疑問を抱える人も少なくないのではないでしょうか。
本章では、社会人留学に関して、よくある質問に回答していきたいと思います!
(1) 社会人は、オンライン留学を活用するべきか。現地の大学や就労先に直接行き、留学を経験するべきか。
⇨まず、コロナ禍を機に、「オンライン留学」をすることが可能になりました。留学前の手続きはもちろん、海外に直接いかなくとも現地大学の留学を受けたり、エッセイを提出することができるため、オンライン上で留学の全てが完結するようになりました。また最近では、海外企業のインターンシップや就労経験を得られる機会もオンライン上で提供されています。
オンライン留学について、結論から申し上げると、筆者はオンライン留学よりも直接現地で勉学または就労の経験を積むべきだと考えます。
もちろん、全てがオンラインで完結することは自由度が高く、時間とお金をかけずに事実上の留学をすることができますが(休職せず、働きながらオンライン留学をするといったケースもあります)、現地の人と直接議論したり、直接交流することを通して、上述した異文化交流などの留学のメリットをより享受できると考えます。
日本または現地での転職活動を考えても、オンライン留学で得たことについてアピールすることはとても難しいでしょう。
特に、将来的に現地での就職を考えている場合は、現地で勤務したことがある人が優先的に採用される傾向にありますので、一度現地に足を運び就労経験を積むことをおすすめします!
社会人留学は短期間で行くべきか。長期間で行くべきか。
⇨社会人にとって留学に行くことは、貴重な時間・お金がかかるため多くの人は短期間で集中的なプランを選びがちですが、筆者としては長期的な留学(半年以上)をおすすめします。各自の留学の目的によって異なりますが、長期的な理由をおすすめする理由は以下の2つです。
① 得られる経験が多い
当たり前ではありますが、滞在期間が長ければ長いほど、多種多様な経験を積むことができます。そして、その経験の密度もとても濃いものになります。
自身の経験の量が多く、また質の高いものであれば、転職活動の際にアピールできることも増えます。
② 現地の生活や文化に慣れる
短期留学(1ヶ月〜3ヶ月程度)では、現地の生活習慣や文化に「やっと慣れてきた」という段階で帰国をしなければなりません。他方、半年以上の長期留学では、現地の生活に慣れているため新たなことにチャレンジしたり、活動の幅を広げることができるようになります。
長期留学は計画や目標設定が難しく、多くの人にとってハードルが高いチャレンジではありますが、ぜひ挑戦してみることをおすすめします!
ワーホリだけでは転職時に評価されないのか。
⇨確かに「ワーホリに参加しました」というだけでは、企業に採用される可能性はとても低いです。
ワーホリは「ワーキングホリデー」で、「ホリデー(=休暇)」と言われるくらいですので、ワーホリに行ってきた事実とセットで、ワーホリの目的やワーホリで経験したことをどのようにアピールするか、がとても重要です。
語学能力の向上と併せ、現地の就労経験で学んだことや希望している企業でワーホリの経験をどのように活かすことができるのか、その企業の特徴や業務内容を踏まえ、説明する必要があります。
オーストラリアやカナダをはじめ、年間約2万人がワーホリの制度を利用して海外で就労経験を積んでいますので、他のワーホリ経験者とは違った経験をアピールするように心がけましょう! そのためには、他のワーホリ参加者ができないような英語力を身に着け、現地の日本人が就職できないところに就職することが大事です。
関連記事:ワーキングホリデーをやめた方がいい人【4選】ワーホリ経験者が教えます!
関連記事:2024年オーストラリア・ワーホリ事情! 仕事を見つけられる人、見つけられない人
社会人として留学するためには、どれくらいのお金が必要か。
⇨前提として、資金不足で途中で留学をリタイアするようなことは望ましくありませんし、留学経験を充実したものにするためには、十分な資金を確保しておく必要があります。
一般的に、海外(特に英語圏や欧州など)で生活するとなると、必要な経費は学費(大学留学の場合)、渡航費、査証取得費などがかかり、現地での生活費は(国や地域によって異なりますが)最低でも月12万〜15万/月ほどかかります。
現地で有給で就労することができたり副業で十分な収入を得ることができるは、そのお金で生活することができるかもしれませんが、留学の中心が大学留学やボランティアなどで収入がない場合は(貯金のみで生活を送る場合)、十分な資金を計画的に確保するようにしましょう!
7.終わりに
本記事では、社会人留学のメリットや現地での活動内容例についてご紹介してきました。社会人留学を成功させるためには、明確な目的を持ち、入念に準備をすることがとても重要です。
語学留学で語学力を向上させながら他の活動に取り組むのか、またはワーホリで就労経験を得て日本での転職に活かすのか、留学の目的は様々です。転職活動や留学後の生活を充実したものにするためにも、留学後のキャリアプランを明確にした上で留学に出発することをおすすめします!
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