この世界には、多くの人に知られると困ったことになる「不都合な真実」が、数多く存在するようです。
実は英語業界にも、長年にわたってタブーとされていた「不都合な真実」が横たわっています。今回は、その固く閉ざされた秘密の扉を、思い切って開けてみましょう。
「不都合な真実」とは、いったいなんでしょうか?
英会話の習得に向けて真剣に取り組んでいるあなたには、絶対に知っておいてほしい情報だと思い、書くことに決めました。
「今までも、なんとなくそうじゃないかと思っていたけど、やっぱりそうだった!」と納得してもらえるかもしれませんし、「そんなわけないだろう!」と、不快に思われる方もいるかもしれません。
いずれにせよ、この真実を知っているかどうかで、あなたの英会話力の上達具合が大きく変わってきます。
ちなみにあなたは、不思議に思ったことはありませんか?
中学・高校、人によっては大学まで、それなりに頑張って英語を勉強してきたはずなのに、なぜカタコトの英語さえ話せないのか?
街中ではたくさんの英会話スクールや専門塾を見かけるのに、どうして日本人はいっこうに英会話ができないのか?
これって、海外からはものすごく不思議な目で見られています。10年近く英語を学んでいれば、日常生活レベルの英会話ができて当然とみなすのが、世界の常識です。
ところが、実際には日本人の大半は初歩的な英語を聞き取ることも、話すこともできません。思わず「なぜ?」と首をかしげたくなる外国人が多いことも、無理からぬことといえます。
長年、英語を学んできたのに話すことも聞き取ることもできないという事実は、私たちが学んできたのは受験(試験)のための英語であって、それは英会話力を育てることには、たいして役立っていないことを意味しています。
では、数から見れば、ごくわずかに過ぎない英会話上級者と認められる日本人は、どうやって高い英会話力を身につけたのでしょうか?
結論から言えば、英会話上級者たちの共通点、それは、「海外留学組が半数以上、多ければ8割以上である」という事実です。
そのエビデンスとして、主として次の5つを取り上げてみました。
1. マナビジンが独自にアンケートを取った統計
2. 転職サイト、ダイジョブドットコムの統計
3. TRAIZのアンケート調査の統計
4. 英語学習系YouTuberトップ25人の統計
5. 英語学習関連で検索した上位ブロガーの統計
これらのデータはいずれも、英会話上級者の大半は海外留学によって英語を話せるようになったという事実を示しています。
1. マナビジンの統計
英会話が流暢に話せるようになった英会話上級者160人にアンケート調査。その結果、82%が海外経験ありだった。
2. ダイジョブドットコムの統計
転職サイト、ダイジョブドットコムの統計データでは、最も役立った英語学習方法は圧倒的に「海外留学および在住経験者」だった。
ソース:https://corp.daijob.com/news/news/20180528
3. TRAIZのアンケート調査の統計
823人に聞く、役に立った英語学習は次のうち3つ選ぶとすればどれですか? への回答。
海外の英会話学校の項目がネイティブ圏と、非ネイティブ圏で分けられているが、合計すれば「34.9%」で実質1位、国内の英会話学校が29.3%と2位、オンライン英会話が25.6%と3位。自宅での自習系は軒並み低い(つまり、英会話スクールと比較した場合、自習は役に立ったと実感できていない)。
ソース:https://toraiz.jp/blog/2021/02/10/business-english/
4. 英語学習系YouTuberトップ25人の統計
英語学習系YouTuberの海外留学比率を調べたところ、海外育ち(主に外国人ネイティブ)を抜かせば、留学率が明らかに高い。
5. 英語学習関連で検索した上位ブロガーの統計
英語学習情報を提供しているブロガーを調べると、こちらも海外留学経験の比率が高い。
さらに、もっとあなたの身近なところから簡単に、このことを確かめられます。
あなたの周りで流暢に英会話ができる人たちに、海外留学の経験があるかどうかを聞いてみてください。
すると驚くほどはっきりと、「英会話ができる人たち=海外留学組」という方程式が成り立つことがわかるはずです。
こうした事実から、流暢に英会話をしたいのであれば、海外留学を果たすことが最も効果的な手段であると、結論づけることができます。
それにしても、海外留学できる日本人は、人口の割合から考えれば極めてごく少数です。にもかかわらず、英会話上級者は留学組が大多数を占めているという現実を、私たちはどう受け止めたらよいのでしょうか?
それには、海外留学で英会話力が伸びた人を調査すると見えてきます。
当然ながら、海外留学をすれば誰でも英語を話せるようになるわけではありません。海外留学しようとも、あるいは長年にわたって英語圏の国で暮らしていようとも、まともな英会話ができない人は、ごまんといます。
英語圏の国に長く暮らしていても、英会話ができるようになる人と、そうではない人に分かれるということです。
その差はどこにあるのかを解き明かすために、マナビジンでは大々的なアンケートを行いました。そうして得た結論は、大量に英会話をした人ほど、高い英会話力を得ているという真実です。
英会話が出来るようになった人ほど外国人との交流頻度が多く、できない人ほど日本人同士で交流したり、部屋にひきこもって自習ばかりをしていたのです。
海外留学の最大のメリットは、大量の英会話ができる環境に身を置けることです。なにせ周囲が英語だらけの環境に放り込まれるため、朝から晩まで英語を聞き取り、英語を話すよりありません。
彼らが留学中に英会話ができるようになったのは、そうした英会話の実践を繰り返したからこそです。
つまり、「アウトプットを徹底的に繰り返したことにより、英会話力を伸ばせた」ということです。
英会話習得には、インプットが先か、アウトプットが先か
英会話の学習は大きく2つに分けることができます。いわゆるインプットとアウトプットです。単語や文法の知識などを詰め込む過程がインプット、実際に英会話を行う過程がアウトプットです。
インプットとアウトプットのどちらに比重を置くかによって、英会話の上達スピードは大きく違ってきます。そのバランスをどのように図ればよいのか迷うところですが、これまでの説明から、次の事実が成り立つことを確認してください。
英会話上級者の大半は海外留学の経験をもっています。海外留学にて大量のアウトプットを繰り返したことで、彼らは流暢に英語を話せるようになりました。
インプットよりもアウトプットに軸足を置いたからこそ、彼らは英会話上級者になれたのです。
実は、このことは海外留学組に限らず、国内で英会話を身につけた人たちにも当てはまります。
国内のみの学習で英会話上級者になれた人たちの多くは、インターナショナルスクールに通っていたり、外資で働いている人、あるいは外国人の友達や恋人をもつ人たちなどでした。
つまり、海外には出ないまでも、日常生活の多くの時間を英語に取り巻かれて過ごした人たちです。
強制的に大量のアウトプットをせざるを得ない環境に身をおいたからこそ、流暢に英語を話せるようになったのです。
このことからわかるのは、重要なのは「場所」ではない、ということです。海外留学しようと国内に留まろうと、どちらでもよいのです。
大切なのは、どこで学ぶのかではなく、アウトプットを中心とした学習をすることです。これはとても重要なことですので、しっかりと肝に銘じてください。
正解は歴然としています。
もっとも効率的なのは「アウトプットが先、インプットが後」の一択のみです。
たとえば海外留学組にしても、まずは英会話の実践が先に来ます。そうして実践の場で得られたことを、復習として自習することが一般的です。
留学中は毎日、大量の英会話をこなすことにより、多くの情報が入ってきます。それらを消化するためには、自習が欠かせません。
ここに、アウトプットからインプットへの一方通行の流れがあることに気づきませんか。間違っても「インプットしたものをアウトプットで実践する」という関係ではありません。
英会話の実践を繰り返すアウトプットこそがもっとも大切であり、そこで得られた知識を整理するために自習というインプットがついてくる、ということです。
ところが、国内で行われている英語学習サービスや書籍など英語のプロが監修したものを見回してみてください。ほとんどがインプットの学習に終始しています。
なかには堂々と、「インプット9割、アウトプット1割」と勧めている英会話スクールもあります。
もちろん各スクール、独自の学習理論があるのは理解していますし、それぞれの考え方は尊重すべきだと思います。
しかし、少なくとも、インプット9割のような方針は、これまで紹介してきた統計の結果とは矛盾しています。
繰り返しますが、英会話上級者の大半は海外、もしくは国内を問わず、大量に英会話を繰り返すアウトプット中心の学習をした人たちです。
その証拠にインプット中心の英語学習を勧めるプロたちの経歴を、ぜひ確認してみてください。ほとんどの人が長期留学(もしくは海外育ち、外資で仕事など)をしていることがわかります。
ここに英会話学習の不都合な真実があります
自らは大量の英会話を実践することで流暢に英語を話せるようになったにもかかわらず、他人にはインプット中心の学習をすべきだと勧めていることになります。
これって、どう考えてもおかしいですよね?
明らかに矛盾しています。
恐らく、英会話ができるようになった一般の人たちのほとんどが、「英会話をマスターするためには英会話の実践が一番大事」ということを知っています。
マナビジンがアンケート調査で得たコメントの数々を見ても、それは明らかでした。
しかし、英語学習教材やサービスを販売しているプロたちは、決して「海外留学が一番効果的だ」とは言いません。「私と同じように海外に住めば喋れる」とか、「インターナショナルスクールに通えばいい」、「外国人の恋人を作って英会話をするのが早い」、あるいは「外資で働けば良い」なんてことも言いません。
そんなことを口走ってしまっては、彼らの提供する英語学習教材やサービスが売れるはずもないからです。
実際、海外留学にしても、インターナショナルスクールにしても費用が高くつくため、多くの人にとっては現実的ではありません。そもそも社会人であれば、留学のために長期休暇を取ることさえ、ままなりません。
外国人の恋人を簡単につくれるはずもなく、英語力が低いのに外資に採用されるはずもありません。
現実的に英会話の実践の場として思い浮かぶのはオンライン英会話ですが、「オンライン英会話が一番効率が良い」なんてことは口が裂けても言えません。
格安のオンライン英会話を勧めても、英語学習教材やサービスが売れるはずもないからです。
では、どうするのかといえば、海外で英会話習得のために行った9割の「英会話の実践」は脇においておいて、1割だけ行なってきた「自習」にフォーカスして紹介します。
彼らの商品が売れやすいように、「インプットを繰り返すことで英語を話せるようになります」とアピールすることになります。
はっきり言いましょう。それは、嘘です。
これまで紹介してきた各種統計によれば、英会話上達の秘訣は「アウトプットが主、インプットが従」であることが示されています。「インプットが主」と主張することは、明らかにこの事実に反しています。
忙しい毎日のなかで、「ある一定の時間」を割き、かつ「正しい英会話勉強法」を実行しないと身につかないのが、英語です。
大切なのは相手とリアルなコミュニケーションを通じて、自分の頭で文章を考え、それを伝える練習を大量に行うことです。
ですから、「正しい英会話勉強法」にたどり着けるように、英語業界に横たわる「不都合な真実」に早く気づいてください。
インプット中心の学習を勧める人たち自身が、自らはアウトプット中心の学習によって英会話を身につけているという「不都合な真実」から、目を背けないでください。
あなたが本当にお金で買うべきものは「英会話の時間」
インプット中心の英語学習といえば、真っ先に思い浮かぶのが「コーチング式」です。
コーチング式を提供しているのは、なにも専門校に限りません。最近ではTOEICスクールをはじめ、オンライン英会話スクールやアプリサービスでも取り入れるなど、サービスが拡大しています。
コーチング式では「自習で英語ができるようになる」というスタンスを貫いているため、(英会話も多少ありますが)その大半はインプット中心の学習であり、その中身は「自習の管理」に他なりません。
そのため、「アウトプットこそが、英会話ができるようになるために必要だ」、とするマナビジンの主張とコーチング式の考え方は、まさに真逆に位置します。
TOEICなどのペーパーテスト対策(資格試験対策)には、コーチング式は確かに効果的です。ペーパーテストであれば、自習を継続できるかどうか、また自習のやり方次第で、結果が大きく異なるからです。
私たちも中学・高校の英語テストの前には、自習によるインプット学習を繰り返してきました。
自習を効率的に行えば、ペーパーテストの点数を大きく伸ばすことができます。
しかし、残念ながら英会話は別です。もちろん英会話のためには文法の知識もボキャブラリも必要です。自習でそれらを身につけることも可能です。
ですが、文法や語彙数にどれだけ明るくなっても、それだけではけっして英語のスピーキング力は伸びません。
コーチング式を利用することで効率的な自習が実現したとしても、それはインプットの練り直しに過ぎません。学校教育だけでは英語を話せなかったように、インプットをどれだけ工夫したとしても、英会話はできるようにはなりません。
コーチング式の中には、英会話中心にしつつコーチングも付けるという、あくまでアウトプット主体のスクールもあります。そういうスクールなら話はわかります。しかし大抵は、毎日の自習のチェックやスケジュールの管理がメインです。
価格は数ヶ月で50万円、100万円と安くはありません。
英語学習に対する理論が異なりますので、金額の大小は主観でしかありませんが、「自習」や「自習の管理」に50万円も、100万円も払うというのは、私(斉藤淳)にはどうしても納得しがたいものがあります。
同じ100万円でも、フィリピン留学に100万円払えば、マンツーマンの授業を最低400時間は受講することができます。
あなたは自習の管理に100万円払う人と、マンツーマンの授業に100万円払う人、どちらが先に英会話を身につけられると思いますか?
私はマンツーマンにお金を払う人だと思います。
成功者も等しく英語に苦労しているのはなぜか?
私たち学習者の代わりにコーチが勉強してくれて、それで自分の実力が伸びるのであれば、大金を払う意味もあるでしょう。
でも、英会話はそうではありません。多額のお金をかけて最高の自習環境、最高のスケジュールが出来上がっても、勉強しなければならないのは自分自身であることに、なんの代わりもありません。最高のプログラムなら、英会話を身につけるのに必要な総学習時間が「半分になる!」、なんてこともありません。
もし、お金を払えば払うだけ英会話力が伸びるのであれば、社会的に成功した人たちは最高の環境を整えて、容易に英語を話せるようになることでしょう。そうなれば、ますます格差社会になっているはずです。
でも、現実は異なります。社会的に成功したと思われる人たちでさえ、習得が難しいのが英会話です。
なぜなら、大切なのは「いくら」投資するかではなく、「どこに」投資するか、だからです。正しいところに投資しなければ、期待するリターンは得られません。
英会話習得のために投資をするのであれば、その対象はインプットではなくアウトプットに向けるべきです。
つまり、自習や自習の管理に投資するのではなく、英会話量を確保することに全額投資をすべきなのです。
さらに、お金よりも大事なのは時間です。
仕事や家庭生活に追われる日々のなかにあって、英語学習にかけられる時間は限られています。だからこそ、無駄のない効率的な学習を心がけたいものです。
新しい教材やサービスを購入したり、アプリをダウンロードしては英語学習を頑張るものの1週間や2週間で飽きてしまい、また違う英語学習に手を出すことをダラダラと繰り返していても、時間の無駄遣いです。
もちろん、自習も大事です。やらないよりはやったほうがよいことは、間違いありません。
しかし、繰り返しますが、英会話ができる人たちの統計では「自分たちが英会話ができるようになった要因は、英会話の実践である」と答えている人が大半に達する、という現実を直視してください。
「自習で英会話ができるようになった」と答えている人が、いかに少ないことか、確認してみてください。
自習はあくまで、「英会話の実践」のあとに補助的に行うべきものにすぎません。「英会話の実践」をないがしろにして、「自習を学習の中心」に据えても、けして期待する結果には結びつきません。
英語のプロではなく、実際にあなたの目の前にいる英会話ができるようになった人たちの声に、ぜひ耳を傾けてみてください。
まとめ
最後に、あなたにお尋ねします
今あなたが英語学習で日々行っている勉強は、英会話ですか? それとも自習ですか?
あなたが英会話を最短で学ぶためにやるべきことは、書店で教材を買うことでも、アプリをダウンロードすることでも、ネットフリックスの海外ドラマを英語字幕で見ることでもありません。
まして、自習の管理をしてもらうために大枚をはたくことでもありません。
あなたがすべきことは、英会話です。
ネットフリックスの海外ドラマに出てきた英語を使いたいならば、シャドーイングではなく英会話のなかで試してください。
発音練習をしたいならば、書店で教材を買って自習するのではなく、英会話のなかでやってください。
文法を学びたいのであれば、英会話のなかで、先生に教わってください。
プレゼンの練習をしたいのであれば、一人で丸暗記に励むのではなく、英会話のなかで先生からフィードバックをもらってください。
英会話を通して学べるのであれば、オンライン英会話でも、海外留学でも、リアルな英会話スクールでも構いません。
とにかく、すべての勉強を英会話のなかでやるようにしてください。自習はどうしても英会話ができない環境のときだけ、行なってください。
そうすれば、きっとあなたは長年の夢を叶えることができるはずです。