日本は梅雨も明けて夏本番になりました。海に出掛ける人も多いのではないでしょうか?
ただ、悲しいことに夏場の海に関連した悲しい事故は毎年必ず起こっています。毎年ニュースで見かけており、対応策もテレビなどの特集でやっているのになぜ事故は毎年起きてしまうのか?
そこで今回は夏場の海に関する注意すべき出来事・覚えておきたい知識を厳選して、いくつかピックアップして詳しい例と対応策と共にご紹介していきたいと思います。
今回は少しダイビングからは遠ざかってしまいますが、ダイバーたるもの、こういった知識は必須です!
ポイントはあくまでもパニックにならないで対処することです。
ではパニックにならないためにはどうしたらいいのか?それは予め知識を入れて対応策をしっておくことが事故を防ぐ最善策なのです。
気がついたら沖に流されていた!?離岸流とは
皆さん離岸流という言葉はご存知ですか?知らない方の方が多いのではないでしょうか?
離岸流は正しい知識を持って対策をしないと、死に直結してしまう重大なことです。
離岸流は簡単に言えば、沖に向かって流れる海流に乗ってしまい、どんどん沖へと流されてしまう状況のことです。その流れから脱出しないと、岸に戻れずに溺れて死んでしまいます。
毎年離岸流に巻き込まれて亡くなってしまう事故もかなり起きています。自然相手なので、正直私たちの力ではどうしようもできないのが事実です。でも対応策を知っていればあっという間に抜け出せるのです!
離岸流が発生しやすい環境
○近くに人工構造物があるところ
○波が海岸に対して直角に入る海岸
○海岸が外洋に面しているところ
○遠浅で、海岸線が長いところ
が主に挙げられます。みじかな海水浴場、特にサーファーなどが集まる海岸に多く見られます。離岸流が発生しているかどうかは、なかなか目で見てわかる人はいないでしょう。
ただ、いくつかポイントがあるみたいなのでこちらのHPをご参照ください。
離岸流の原理
出展:茨城県警察HP
離岸流は図を見てわかる通り、このような流れになっています。離岸流が発生している幅は数百メートルと幅は短いです。
でも岸までの長さも200メートルぐらいなので全力で泳いで岸に戻ることは出来るのか?それは出来ないんです。流れの速さは秒速2メートルと言われています。
水泳選手が全力で泳いでも厳しいでしょう。むしろ体力を激しく消耗してしまい、逆に大変危険な状況になってしまうでしょう。
離岸流からの脱出方法
では実際に離岸流に流されかなり沖の方にきてしまったらどうしたらいいのでしょうか?
出展:第九管区海上保安本部HP
図でわかるように、決して岸に向かって泳がずに、岸に向かって平行に泳ぐことがポイントです。そうすればすぐに沖に流される海流から脱出できます。
もう沖に流されていないなと感じたら、岸に向かって泳ぎましょう。
離岸流事故防止のために
事故に遭わないために、岸に向かって平行に泳いで流れから脱出し、そこから岸に向かって泳ぐことを覚えておきましょう。また、その知識はグループ全体に周知させておくべきです。
海水浴場はなるべく監視員がいる場所を選び、いない場所での海水浴は避けましょう。また、泳遊禁止などの看板がある場合はなにかしら理由があります。離岸流が発生しやすい場所かもしれません。そういった場所は入ってはいけません。
離岸流は知識がないと本当に怖い出来事ですが、知識があるだけで簡単に脱出することができます。知識があるかないかでかなり変わってきます。必ず覚えておきましょう。
川は危険!海と川の違いとは
夏は海ではなく川へ遊びに行く!っていう人も多いのではないでしょうか?山でキャンプやBBQをして川で遊ぶのも夏の楽しい思い出です。ですが、川での事故はあとを絶ちません…。
というのも、川は海と違ってかなり危険だからです。
なぜ川は危険なのか?
海ももちろん流れや波があり、危険なところも多くあります。ですが、川も海と同じような感覚で入ってしまうと間違いなく溺れることでしょう。
川は海水ではありません。プールと一緒で真水で体は浮きません。それに海に比べても流れは早いですし、急に深くなるところが沢山あります。そこに足を取られてしまうと、体は浮きませんし、流れも速くてあっという間に流されます。
特に一番怖いのが前日の雨などによる増水です。川は急に水位が上がることがありますので注意が必要です。
川で安全に遊ぶためには
川で遊ぶ際はライフジャケットを着用するようにした方がいいです。また、岩場がかなり多く、滑りやすいので滑りにくく動きやすいマリンシューズなどがあった方がいいです。サンダルでは足を滑らせて危険です。
天候にも注意し、今いるところが雨が降っていなくても付近で雨が降っていると増水する恐れがあります。天候は常にチェックしておきましょう。
身近に潜む海の危険生物に出会ったら
海はとても楽しいですが、危険生物が多いのも事実です。でもそんなのを気にしていたら海なんか入れません!正しい対処法を知っていれば大丈夫!しっかりとした知識を身につけ、安全で楽しい海遊びをしてください。
クラゲ
海と言ったらクラゲ…。私もクラゲ大っ嫌い人間です。まぁ好きという人はいないと思いますが。クラゲに刺されても、あまり反応しない人と、私みたいに赤くなり痒くなり一週間は辛い…という人もいます。
クラゲにあったらどうすればいいか?ちょっと軽くご紹介しておきます。
クラゲが1番多い時期
クラゲはみなさん知っている通り、8月中旬を過ぎたら大量発生します。なのでクラゲが嫌いな人は7月〜8月前半までがおすすめ!海水温の上昇と共にクラゲは増えていくので、夏の終わりはクラゲうじゃうじゃ…。
海に顔をつけたら、クラゲが一面にわんさか泳いでいてすぐに海からあがった記憶もあります。
クラゲに刺されないために
水着のみの泳遊はおすすめしません。かといって海で遊ぶだけなのに全身ウェットスーツではやりすぎ感が否めません。おすすめするのは長袖のラッシュガード+水着用トレンカを着用することです。
つまりは肌の露出を最大限しない努力をすること。長袖を着ているだけでだいぶ違ってきます。
クラゲに刺されてしまったら
実際クラゲに刺されてしまったらどうしたらいいか?まずは触手が肌にまだついていたら、取り除いてください。出来れば手袋や棒などで取りましょう。
クラゲに刺されたら決して擦ってはいけません!
クラゲに刺されてピリピリして、なんだかわからずに顔のアゴ周りについたクラゲの触手を思いっきり手でゴシゴシしてしまった私です。もう最悪ですね。一週間以上は顔の輪郭がなくなり、顔が真四角になりました。
触手がついていたら、擦らずに。
また、クラゲに刺されたら、海水でよく洗い、あれば市販の消毒液をかけましょう。また、お酢がをかけるのも効果的ですが、お酢に関しては、逆効果になるクラゲの種類もいるので注意が必要です。
とりあえずは、触手を取り除き、海水で洗い、市販の消毒液をつけます。そのあと痒みが出てもかかないでください。どうしても我慢できないときは氷水で冷やすと紛れます。
ひどい場合は速やかに医者に行きましょう。
サメ
危険生物で皆さんが口を揃えて言うのがサメですよね。でもサメは危険生物には間違いありませんが、海水浴場で遭遇することはほとんどありません。特に日本の場合では。
なのでそこまで神経質にならなくてもいいかと思います。
また、サメも人を襲うサメの種類は5種類未満でそれに遭遇する可能性も低いです。基本的には気にしなくて大丈夫です。
ただ、オーストラリアのパースなどに行く際は危険です…。
溺れている人を助けるためのコツ
友達が目の前で溺れている!子供が溺れている!という場面に遭遇したことはあるでしょうか?実際その場面に遭遇したらどうしますか?咄嗟に身一つで助けに行きますか?
身一つで助けに行く、それは大変危険です。
『毎年子供を助けに行った父親が溺れて死亡』というニュースを良く見かけます。たとえ小さな子供が溺れていて助けにいこうとしても、パニックに陥っている人を助けることは並大抵のことではありません。
あっという間に海中に押し込まれて自分が溺れ死んでしまうことでしょう。そうならないためにも、人を助けるコツがあるのです。
自分が海に入らずに助ける
これが一番のポイントです。まず、飛び込んで近寄るという人が大多数だと思いますが、絶対にダメです。助けるポイント、それは自分自身は海に入らずに助ける、まずはこの方法を探してください。
1、身近な浮くものを投げる
ライフジャケットや浮き輪みたいな浮くものがあれば迷わずにそれを溺れている人に投げてください。それが見当たらない場合は、空のペットボトルや発泡スチロールなど、浮きやすい素材のものを投げます。
そうしてそれに掴まらせてパニックが落ち着くのを待ってから救助します。
2、縄などを投げて引き上げる
ポイントはあくまでも自分が海に入らないことです。近くに縄などがあればそれを投げてひっぱって自分のところまで連れて来させましょう。パニックが収まったと思っていても、人が近くに来るとしがみつてしまうものです。大変危険です。
自分が海に入って助ける場合
では自分が海に入って助ける場合はどうしたらいいかご紹介したいと思います。
1、絶対に正面から助けにいかない
パニックになっている人を正面から助けに行くのは危険です。しがみつかれて力で下へ押しつぶされ、自分が溺れてしまいます。ひどいと思われがちですが、まずはある程度距離を保ったところから声かけするのが重要です。
それでも落ち着かずにパニックになっているのであれば、後ろなどに回って抱きつき、動かないようにさせます。そのまま仰向け状態にさせて岸に向かって泳ぎます。
ただ、これは自分よりも力がないと判断した場合の相手に使う方法です。女性が大柄の男性にやっても、力で負けて溺れてしまいます。
2、なるべく自分自身が浮き道具や縄も持つ
これがある場合はなるべく自分が海に入らない方法を取ったほうがいいのですが…それでも海に入って助けなければいけないとき、相手が全く泳げないときなどにはそうしましょう。
自分でライフジャケットを着る、岸にいる人にロープを持っててもらい、それを溺れている人に直接持っていくなどしてください。
3、救助が来るのも遅く、周りになにもない場合は
そんな最悪の状況の場合は、ひどいと思われがちですが、相手と距離を保ったまま、相手が力尽きて大人しくなる、または溺れるのを待ちます。その後に救助してください。
救助を待つ
一番いいのは、ライフセイバーや保安員などに助けを求めることです。彼らは救助のプロです。必ずロープやライフジャケットを持っており、救命救急の知識も豊富です。
きちんとした海水浴場では必ずいるので、助けを求めましょう。
覚えてる?人工呼吸と心臓マッサージ
運転免許を取得する際に習った心臓マッサージ。小学校の頃などにも習っているのではないでしょうか?でも使わないと忘れてしまい、いざというときに人を助けることが出来ないです。
もう一度思い出して、万が一のときに役立てるようにしておきましょう。
心臓マッサージをする場所
前は左側の心臓に近いほうなどと言ってましたが、最近は胸の真ん中でOKです。胸の真ん中に手の付け根を置いて、もう片方の手を重ねて心臓マッサージをします。
人口呼吸とマッサージの回数と手順
1、最初に声をかけて意識の確認をする
2、周囲に助けを求める
3、救急車とAEDの確保をする。このとき、あなたはこれをしてください。と、はっきりとその人になにをするか指示をしましょう。誰かお願い!では、他の人がやったとみなして誰も手配していないことがよくあります。
4、気道の確保と呼吸の確認。顎を持ち上げて気道の確保をします。そのときに、呼吸をしているか、肺が上下しているか確認します。
5、額を押さえている手の親指で鼻をつまみます。人工呼吸はゆっくりと息を1秒かけて吹き込みます。それを2回繰り返します。また、最近では人工呼吸はしなく、心臓マッサージだけでいいともされています。感染症に自身がかかってしまってはダメなので、人工呼吸用のマスクがない場合や出血していたり、赤の他人でためらいのある場合は人工呼吸はなくても大丈夫です。
6、心臓マッサージを開始します。胸が4〜5㎝まで沈むぐらいはっきりと押し込んでください。テンポは早めにこれを30回繰り返します。
7、心臓マッサージを30回終えたら、人工呼吸を2回して、また心臓マッサージを繰り返しします。救急車が来るまで、または意識が回復し呼吸再開するまで続けます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?知っているだけで役立つ知識満載です。知っているだけで事故を予防することも、人を助けることもできます。これから夏本番、海に出かける人は多くなることでしょう。
少しでも皆さんのお役に立ち、海での事故が減ればと思っています。
また、こちらの内容はスキューバダイビングのレスキューダイバーコース、EFR(イマージェンシーレスポンダー)というライセンス講習でも学習する内容です。
レスキューダイバーを受講するということは、事故を未然に防ぐ、パニックにならない、相手を助けることができるようになります。ダイビング時だけではなく、今後の人生にかなり役立ってきます。
もしダイバーだけどまだ、レスキューを受けていないという人がいましたら、是非『レスキューダイバー』を受けることをおすすめします。