今回で、数回にわたってお届けしてきた、海外ノマドシリーズの最終回です。
前回は海外ノマドをするにあたっての、ビザの問題や持ち物について詳しく説明しました。
最終回である今回は主に、海外ノマドワーカーになるにはどれほど英語力(語学力)があったらいいか、紹介していきたいとおもいます。
1.語学力はどの程度必要なのか?
海外ノマドワーカーとして世界中を放浪したいのであれば、語学力が必要です。自分が主に滞在したい国に合わせて、どの言語をマスターするのかを選ぶことも大切です。
最低限押さえておきたいのは、なんといっても英語です。なぜなら、世界共通の言語は英語という認識が、世界中に広がっているからです。
海外で、個人向けに事務所スペースを解放しているコワーキングスペースやフリーWi-Fiが使えるカフェに行くと、様々な国のノマドワーカーたちと出会えます。親しげに話しかけてくるノマドワーカーも多く、これまで行った国や街の情報を交換することもよくあります。
別にルールなんてありませんが、そのとき使われる言語は間違いなく英語です。そこがバンコクであろうがクアラルンプールであろうが、どこの街へ行こうとも外国人が多く集まる場所では、決まって英語が使われます。
この世界の共通言語としての英語の御利益は絶大です。英語圏の国でなくても、英語は唯一堂々と喋ることができる外国語です。
たとえば、タイではローカルな店に入ると、英語はまず通じません。初歩的な英単語さえ通じないことも、珍しくありません。そこへ中国人がやって来て中国語で話しかけたり、日本人が日本語で話しかけたりしても、店員に不思議な顔をされるだけです。
ところが、英語となると話は別で、スタッフによってはあわてて英語がわかるタイ人を呼びに行ったりします。なぜか英語だけは「英語がわからないのは店側が悪い」といった空気が、醸し出されるのです。
そんな光景を見かけると、英語を喋るということが水戸黄門の印籠のように思えてきます。格さん助さんが「頭が高い!この印籠が目に入らぬか!」と啖呵を切り、悪代官や庶民が「へへ~」と頭を下げるあの感覚です。
その国でどんな言葉が話されていようとも、世界の共通言語である英語だけは「わからぬおまえらが悪い!」といった劣等感を相手に与えることができます。アメリカ人の態度がときに横柄に感じられるのは、彼らのなかにそうした自意識が眠っているせいかもしれません。
英語さえ流暢に話すことができれば、世界中どこへ行っても通用します。郷に入っては郷に従うことなく、どこへ行っても我を押し通すことのできる言語は世界でただひとつ、英語だけです。
ですから、どの国に長期滞在するかをまだ決めていない場合は、とりあえず英語力を最優先で身につけるとよいでしょう。
ただし、ネイティブ圏を活動の拠点にしない場合であれば、流暢に英語を話すレベルにまで達する必要はありません。現地の人たちとコミュニケーションがとれる程度の英語力を身につけていれば十分です。
非ネイティブのアジア在住の人たちが話す英語と、ネイティブの人たちが話す英語とは、同じ英語とはいえまったく違います。ことにシンガポールやタイでは、ネイティブの話す発音とは明らかに異なります。
日本人がRとLの区別がなかなかできないように、各言語ごとにまったく使ったこともないような発音が英語には含まれています。その場合、その国の人たちが言いやすいように発音が微妙に変化するのが普通です。
そのため、シンガポール人やタイ人の話す英語が理解できないネイティブの人たちも多くいます。
ところが、ともに外国語として英語を学んでいる場合は、ネイティブの人たちが聞き取りにくい英語でも、スラスラ理解できるものです。お互いネイティブではなく、学習によって苦労して英語を身につけているため、間違いやすい箇所などはあうんの呼吸で理解できます。
発音がネイティブとは違っていても、文法が間違っていようとも、そこはお互い様ですから臆することなくどんどん喋ることができます。
少なくともネイティブ圏で通用する英語に比べれば、アジア圏で通用する英語はハードルが低くなります。それほど身構えなくても大丈夫です。
海外ノマド生活を送るためには、ビジネス英語までは不要です。日常会話ができる程度で問題なく生活できます。
英語に不安がある場合は、旅立つ前に英語を学習しましょう。英語の学習方法はいろいろとありますが、TOEICにこだわる必要はありません。TOEICの点数と日常会話がこなせるかどうかは、まったく別の話です。
短期間で海外で暮らせるだけの英語力をつけるには、フィリピン留学がもっともおすすめです。海外ノマドワーカーとして本格的に旅立つ前に、2~3ヶ月をフィリピン留学に費やす価値は十分にあります。
実際の授業の様子
フィリピン留学で3ヶ月ほどマンツーマンレッスンを朝から晩まで受けていれば、誰でもそこそこ英語でコミュニケーションをとれるようになります。その程度の英語力があれば、海外ノマドワーカーとしてアジア圏を旅する際に困ることはありません。
その意味では、これからアジア圏でノマドライフを送るのであれば、フィリピンからはじめるのがベストです。セブ島の語学学校に滞在しながらでも、ノマドワーカーとして働けます。
セブ島留学で英語力をしっかり養っておけば、その後のノマドライフはかなり楽になるでしょう。
ちなみに仕事の面では、英語を使うケースはほとんどありません。海外ノマドワーカーはあくまで日本の企業と仕事をすることが一般的なため、英語でやり取りする機会がないからです。
英語の次に考えたいのは、現地の言語の習得です。フィリピンであれば英語が第二公用語のため、どこへ行っても通じます。ですから、現地の言葉であるフィリピノ語(タガログ語)を学ぶ必要はありません。
しかし、フィリピン以外のアジア圏では、現地の言語を習得しておくと便利なことが多々あります。たとえばタイでは、英語はエリートでなければほとんど通じません。ということは、英語だけでは日常のちょっとした買い物ひとつとっても、まともにはできないってことです。
タイに長期滞在するのであれば、タイ語をマスターしておけば役立ちます。タイ語学校はたくさんありますから、タイが気に入って長期滞在したい場合は、通うことを検討するとよいでしょう。
タイでタイ語ができれば、様々なメリットがあります。タイでは観光施設や娯楽施設の料金がタイ人かそうでないかで大きく異なることがあります。その場合、タイ語さえできれば現地に在住している外国人として扱われるため、タイ人価格が適用されることが多々あります。
トゥクトゥクなどの乗り物にしても外国人だとぼられますが、タイ語を話すことで現地の相場を知っていると思ってもらえるため、タイ人と同じ低料金で乗れます。
なお、英語にしてもタイ語にしても、完璧を期すとなにもできなくなります。逆に英語やタイ語が流暢に話せたとしても、まともなコミュニケーションがとれないことだってあります。
日本語での会話に置き換えて考えてみればわかりますよね?
日本語という共通の言語があったとしても、スムーズにコミュニケーションできることもあれば、たどたどしい場合があるものです。何を話せばよいのかわからず、気まずい時間だけが過ぎていった覚えは誰にでもあることでしょう。
結局のところ、コミュニケーションを成立させるために必要なものは、なんとか理解し合おうとする熱意です。
かくいう私も海外に飛び出したときの英語力はめちゃくちゃ低く、タイ語もまったくしゃべれませんでした。それでも、伝えなければいけないことがあるときには、身振り手振りを交えることでなんとかしてきました。「指差し会話」もよく利用したものです。
ある程度の準備は必要ですが、やることをやったあとは楽観的に構えることも、海外ノマドワーカーにとって必要な資質です。
実際のところ、収入さえ確保できれば英語も現地語もほとんどできなくても、海外ノマドワーカーとして暮らしていくことは可能です。ただし、無茶苦茶苦労することだけは間違いありません。なんらかのトラブルに巻き込まれることで運が悪ければ最悪、詰んでしまうかもしれません。
海外ノマドライフを満喫するためにも、ぜひ英語力を身につけて下さい。私がアジアで出会ったノマドワーカーたちの多くは、国籍にかかわらず、セブ島留学の経験者でした。
2.保険はどうすべきか?
保険のことをまったく考えずに海外ノマドワーカーとして旅立つ人もいますが、保険については事前にしっかりと情報を得ることが絶対に必要です。
もちろん海外にいる間、事故にあうことも病気にかかることもなく、病院には一度も行かずに済めば保険はいりません。ですから、もしあなたが的中率100%の予知能力をもっているなら、保険に入らなくてもよいでしょう。
でも、そんな能力もないのに海外で保険に入っていないとなると、とんでもない災厄に見舞われるかもしれません。
たとえばアジアを放浪している間に、盲腸になったらどうなると思いますか?
「たかが盲腸ぐらいなら、病院に行って手術を受ければいいさ」と気楽に構えていたなら、大間違いです。
国民皆保険に守られた日本の医療制度に染まっていると、海外での医療の現実に気がつかないことがよくあります。まず第一に、医療にかかる費用は海外と日本では大きく異なることを知ってください。
盲腸の場合、たとえばタイの病院で手術を受けるとなると最低でも60万円ほどかかります。ただし、タイ語ができない場合は私立病院を利用するよりないため、100万円は軽く超えます。
たかが盲腸で100万円です。高いと感じても払うことができるなら、問題ありません。でも、あなたに100万円の貯金がなく、治療費を用意できないとなると……。
残念ながら多くの私立病院は、手術を拒否します。入院費さえ払えないとわかると、病室から追い出されます。
海外における医療のルールは極めて単純です。
基本的に、金がなければ治療してもらえません。
それがたとえ、命に関わる緊急事態であってもです(国によって例外あり)。たとえ救急車で運ばれても、あなたの身なりがあまりにも薄汚い場合は治療費が払えないと判断され、治療そのものを拒否されることもあります。
私がチェンマイに滞在していたときも、ホームレスのような格好をした日本人が行き倒れとなり、救急車で私立病院に運ばれたことがあります。病院側はその日本人の身なりを見て、治療を拒否しました。
チェンマイのように世界中からバックパッカーが集まる国際都市では、ホームレスまがいの外国人を見かけることもけして珍しくありません。
結局、その日本人の場合は手当てをしないと死に至ることがはっきりしていたため、やむなく日本人会が動き、日本に住む家族と連絡がついたことで治療費の目処がつき、事なきを得ました。
日本人会が気づいたことで彼は助かりましたが、運が悪ければ確実に命を落としていました。治療費が払えなければ最悪、死が待っているという海外での現実を忘れないでください。
盲腸であれば100万ほどで済みますが、たとえば心筋梗塞で緊急手術が必要となると、手術代は1,000万円を超える可能性があります。
治療費を払えなければ治療を受けられないのが、世界の常識です。例外として命に関わる場合のみ、人道的見地から治療が行われるかどうか国によって対応が異なるため、長期滞在したい国があるなら、しっかりと事前に情報を取得しましょう。
イギリスのように、法律で人道的見地からの治療が義務づけられている国もあれば、中国のように無情に完全前払い制を貫く国もあります。中国では入院費さえも前払い制の病院がほとんどです。
基本的に「医は仁術ではなくビジネスである」というのが、世界の常識です。金のあるなしが、命をつなげられるかどうかに直結するのが海外です。
また、金があれば私立の病院を利用できますが、金がない場合は公立の病院を利用するよりありません。私立病院と公立病院では医療費ばかりでなく、医療レベルとサービスがまったく違うことにも注意が必要です。
たとえば、タイでは私立病院であれば病室は個室ですが、公立病院の場合は6~8人部屋が一般的です。私立病院の病室には立派なソファなどが置かれ、あたかもハイグレードなホテルのようですが、公立病院ではベッドの間に付き添いの家族が寝転がり、足の踏み場もないほどです。
私立病院には最新の医療機器や腕利きのドクターが揃っていますが、公立病院ともなると医療機器も不足気味で、医療レベルも総じて低い傾向にあります。使っている薬品にも違いがあります。私立病院は最新の医薬品を揃えていますが、公立病院の医薬品は中国製の安価なコピー製品が主です。
そのため、治療にかかる日数にも大きな開きがあります。私立病院であれば一週間ほどの入院で済むのに、公立病院では1ヶ月ほど入院しなければいけないこともあります。
治療を受けるためのプロセスにも大差があります。私立病院は待ち時間も少なく、受付から治療までがスムーズですが、公立病院は毎日多くの患者であふれるため、朝早くから順番取りをしなければ治療を受けられません。
受付の後、あちこちの階で様々な手続きが必要なことも多く、タイ語が喋れないと治療を受けることさえ難しい状況です。
タイに限らず私立病院と公立病院の差は、アジア圏ではことに目立ちます。いざというときに憂いなく私立病院で治療を受けるためにも、保険は重要です。
では、海外でノマドライフを送るにあたり、具体的に保険はどうすればよいのでしょうか?
住民票を抜くメリットデメリット
まず選択すべきことは、住民票を抜くか抜かないかです。海外に長期間出るからには、住民票を抜いてから旅立つこともできれば、住民票を残したまま旅立つこともできます。それぞれにメリットとデメリットがあるため、よく考えてから決めてください。
ノマドワーカーの場合、会社には所属していないでしょうから、国民保険と国民年金に加入しているはずです。住民票を抜くと、国民保険と国民年金からも外れます。
そのメリットは、海外に出ている間は国民保険と国民年金、さらに住民税を支払う必要がなくなることです。そのデメリットは、国民保険を使えなくなること、国民年金を将来受け取る際の額が少なくなることです。
一方、住民票をそのままにして海外に出る場合は、日本にいたときと同様に国民保険と国民年金を毎月支払う義務が生じます。その代わり、海外に出ても国民保険を使うことができます。国民年金の支払いも継続するため、将来受け取る額も減りません。
国民保険は、実は海外の病院でも使えます。ただし、日本とは違って治療にかかった費用は全額、とりあえず自分で支払わなければいけません。その際、「診療内容証明」と「領収明細書」を和訳してもらう必要があります。
その後、支払いから2年以内であれば帰国した折に精算することができます。国民保険は3割負担のため、7割が返金されます。
ただし、支払総額に対して7割が戻ってくるわけではありません。日本での一般的な治療費に置き換えた総額の7割が戻ってくるだけです。
たとえば盲腸の場合、現地の病院で100万円の治療費を払ったとしても、日本での盲腸の治療費が20万円であれば、還付されるのは20万円の7割に当たる14万円のみです。残りの86万円は自己負担となります。
病院によって多少の違いはありますが、「診療内容証明」と「領収明細書」の和訳にかなりの手数料をとられることも多いため、風邪で病院を訪れた程度であれば、国民保険の申請をすると逆に高くつきます。国民保険の申請をするメリットがあるのは、高額医療費がかかったときだけです。
使った薬剤なども、あくまで日本国内での料金が適用されるため、日本での治療費に換算することで海外で支払った額よりも総じて低くなります。そのため、還付金が思っていたよりも少ないことが一般的です。海外に長期間滞在するのであれば、国民保険だけでは不安が残ります。
とりあえず治療費を全額支払わなければいけないことも、国民保険の欠点です。運悪く心筋梗塞などで倒れ一千万円を超す治療費を請求されれば、大半のノマドワーカーは途方に暮れることでしょう。
そこで旅立つ前に、国内で海外旅行保険に加入することが一般的です。
海外旅行保険
そのデメリットは保健料が高いことと、帰国しない限り保険の更新ができないことです。国内の海外旅行保険の場合、通常は海外に長期滞在することは想定していないため、補償される期間もそれほど長くありません。駐在員向けの保険もありますが、補償期間が長ければその分保険料も跳ね上がります。
タイやフィリピンにロングステイしている年金暮らしの方のなかには、1年か2年の海外旅行保険に国内で加入し、期限が切れる前に帰国して更新の手続きを行う人もかなりいます。頻繁に帰国する場合は、それでもよいでしょう。
クレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険も使えますが、その補償額は低いことが一般的です。複数のクレジットカードを持っていると補償額を合算できるため、有利です。
しかし、クレジットカード付帯の海外旅行傷害保険の場合は国民保険と同じく、基本的に治療費を全額、とりあえず自分で支払わなければいけません。補償されている旅行期間も短く、長くても3ヶ月ほどのため、海外に長期滞在する場合は役に立ちません。
あるいは一カ国に長期滞在する場合は、現地の保険に加入することもできます。たとえばタイであれば、邦人のための団体保険AIAがあります。海外旅行保険に比べると月々の保険料も安いため、タイ在住の日本人には人気があります。ただし補償される額は100万ちょっとが上限のため、注意が必要です。
それぞれの保険に一長一短があり、海外ノマドワーカーに適した保険はなかなか見つからないという現実がありましたが、実は最近、それが解消されつつあります。
旅行者・バックパッカー向けの保険、World Nomads(ワールドノマド)
Simon Monkという人が、オーストラリアでオンライン保険会社を立ち上げ、旅行者やバックパッカー向けの旅行保険として World Nomads(ワールドノマド)の提供をはじめたからです。
World Nomadの優れたポイントは、すでに海外に滞在中であってもオンラインからすぐに加入できること、そしてなによりも保険料が安い割に補償がしっかりしていることです。
World Nomadであればオンラインから見積もりがとれ、5分程度で加入手続きが完了します。旅の途中であっても延長できるため、便利です。プランによって差はありますが、おおよそ月々1万円ほどの保険料で大きな安心を買うことができます。
携行品の補償もあれば、補償額を無制限にすることもできます。海外ノマドワーカーにとっては理想的な保険といえるでしょう。
▶ 関連リンク:World Nomad
ただし、World Nomadは立ち上げてから間もないため、支払い実績などの面で不安が残ります。ネット上の口コミなどを自分で収集した上で判断してください。
海外は食事が合わなかったり、衛生が日本よりも劣るため、体調を崩しやすいものです。交通モラルも低いため、事故に巻き込まれる確率も増します。備えあれば憂いなしです。保険には必ず加入することを、おすすめします。
3.海外ノマドワーカーになるためのマインド
これまで、海外でノマドワーカーとして暮らすためのノウハウについて紹介してきました。最後に、マインドについてふれておきます。
海外ノマドワーカーになるために絶対に必要なマインドは、何事も一人で行動できる強さと柔軟性です。一人で行動することがなんとなく苦手な人は、海外に出ても辛い思いをすることが多いでしょうから、国内に留まっていた方が幸せだと思います。
ともに旅をしてくれる恋人がいれば幸せだなぁといった思いは、海外ノマドワーカーであれば多くの人が憧れる夢です。もちろんなかにはノマド生活中に知り合ったことで恋に落ち、そのまま一緒に旅を続けている幸運なカップルもいます。
でも、それはほんの一握りのノマドワーカーだけに起きる奇跡の物語であって、大半のノマドワーカーは孤独な旅を続けています。
旅先で様々な国の人たちと知り合う楽しさは格別ですが、移動を繰り返すノマドワーカーであれば、別れはすぐに訪れます。ビザが切れる前にまた見知らぬ地へと住処を変え、友も知り合いもいないなか、黙々と仕事をこなさなければいけません。
常にパソコンに向かって一人で仕事をこなすノマドワーカーは、あたかも修行僧のような趣に満ちています。この孤独に耐えられないと、長く旅を続けることはできません。
いつも柔軟な思考を保つことができるかどうかも、ノマドライフを楽しむための大きな要素です。常識に縛られたり、頑固な姿勢を崩せないようでは、ノマドライフに楽しさを見出すことはできないでしょう。
なにごとも固定観念は捨て去り、フラットに物事を見られるようになれば、旅の途中で様々な気づきを得られます。旅を続けていくうちに、自分が成長したという実感をきっと得られることでしょう。
実際に海外ノマドライフを送る以前に、そもそもノマドワーカーとして海外に飛び出すことができるかどうかで悩んでいる方も多いかもしれません。
これまで紹介してきたように、なんの準備もないまま安易な気持ちで海外ノマド生活をはじめてみても、数週間から数ヶ月で挫折することになるでしょう。とはいえ、入念に準備することに夢中になるあまり、完璧になるまで待っていたのでは、いつまでたっても旅立てません。
海外ノマドワーカーになるためのもっとも大切な資質は、走り出しながら考えることです。目的地を定めることもなく闇雲に走り出すのは愚かなことですが、目的地が決まったのであれば、まず歩を前に進める勇気をもつことも大切です。
必要最低限の準備が済んだなら、ささいなことに思い煩うことなく、思い切って走り出してみることです。そのためには、物事を楽観的に捉える姿勢も必要です。
なにごとも慎重な人ほど、物事を悲観的に捉える傾向が強くなります。すると保守的になり、今の状態からの変化をできるだけ避けようとします。その状態では、いつまで経っても次々と言い訳が浮かんでくるため、永久に海外には旅立てません。
海外ノマドライフが冒険としての意味合いが強いのは、当然のことです。一寸先が見えないのは自由を求めた代償であり、だからこそ楽しさがあるのです。
変化を恐れることなく、海外ノマドライフというワクワクする冒険の旅へと、ぜひ旅立ってみてください。
最後に
海外でノマドライフを送るための方法について私自身の経験を踏まえながら、基礎編から実践編まで数回に分けて紹介してきました。
自由を求めて海外に飛び出すという選択は、その気になればけして叶わぬ夢ではないとわかっていただけたことと思います。
ただし、最低限のリスク管理は必要です。事前に調べておかなければいけないこと、準備しておくべきことは、しっかりとこなすようにしてください。
いきなり海外に飛び出す前に週末や長期休暇を利用して、2~3日でもよいので滞在してみたい国を訪れてみるのもよいでしょう。
実際に現地を訪れて数人のノマドワーカーから話を聞くことで、様々な有益な情報を得られます。軽いフットワークは、ノマドワーカーのほとんどが得意にしていることです。
海外ノマドライフは、何者にも何事にも縛られない自由な楽しさに満ちています。あなたも海外を遊牧する民となり、21世紀型の新しいライフスタイルを楽しんでみませんか?
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