TOEICテストのリスニングセクションはPart 1からPart 4までありますが、「900点ほどのハイスコアを取れる人でも、意外とPart 2のセクションにおいてイージーミスをしてしまうことがある」という話はよく耳にしますよね。
1つの質問または発言と、3つの応答が放送されるだけのシンプルなリスニング問題ですが、瞬発力と集中力が試される箇所ですので、苦手だと感じてしまう受験者は少なくないようです。
しかし、Part 2は出題傾向やポイントさえしっかり押さえて対策しておけば、確実にスコアを伸ばすことができるパートです。
イージーミスをできるだけ減らしてスコアアップにつなげていくために、今回はPart 2の具体的な勉強方法やテクニックについて確認していきましょう。
TOEIC Part2対策のベースはシャドーイング
2016年にTOEICが新形式に移行した際に、Part 2の問題数が若干減りましたが、その頃から「Part2の問題が難しくなった」という声がちらほら聞かれるようになってきましたよね。
これは、質問に対してYes/Noでストレートに答えるような選択肢が減り、英文を細部まできちんと聞き取れていないと答えられないような問題が増えてきたせいでしょう。
また、Part 2では問題冊子に答えにつながるような情報が何も書かれていないため、Part 3やPart 4と比べると選択肢を絞るための情報が少なく、うっかり聞き逃してしまうと得点に結びつかないのも要因だと考えられます。
このようにPart 2の問題に対して苦手意識を持つ受験者は少なくありませんが、その対策のポイントは「ただ地道にシャドーイングをする」ことに尽きます。
「Part 2の問題がスラスラ聞き取れるようになる裏技があるんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、わずか数秒のリスニング問題でそのような必殺技のようなものはありません。
ただ、多くの方が聞き取りにくい箇所や引っかかりやすい箇所をあらかじめ押さえておくことで、イージーミスを減らすことは十分可能です。
そしてそのベストな勉強方法が「シャドーイング」なのです。
シャドーイングとは、聞こえてきた音声のすぐ後を追いかけながら同じ音声を真似て発音していく学習方法です。
公式問題集などでPart 2の問題を解いたあとに、以下のような方法で実践してみるとよいですよ。
②音声のすぐ後を追って発音する。最初は全文を言えなくても、発音できる箇所だけでも聞こえてくる音声を聞こえたままつぶやく。
③スクリプトを確認する。
④知らない英単語やフレーズをメモする。聞き取れなかった箇所にマークをつける。
⑤スマホなどで録音して、自分が発声したものを聞き返してみる。音を真似るだけでなく、英文の意味を理解しながら完璧に発声できるようになるまでシャドーイングを繰り返す。
シャドーイングを通して強化したいポイント
上記のようにシャドーイングをしていく時に、とくに以下の2点に注目しながら行うことによって、リスニング中に「何を話しているのか聞き取れなかった」となってしまうことを減らすことができます。
①音声変化
リスニングの試験中やネイティブと話しているときに「速すぎて何を言っているのか聞き取れなかった」という経験をしたことは誰しもあることでしょう。
リスニングに対して苦手意識を持つ人の多くは、このような経験をしたことがあるかと思いますが、これはただ話すスピードが速いだけでなく、音声変化に耳が対応できていないのが一因なのをご存じでしょうか?
音声変化とは、発音しやすいように、また会話の時間を短縮するためにネイティブが会話中に自然と使っているもので、「Not at all」は「ノット アット オール」ではなく「ナラロー」などのように発音することを言います。
音声変化にはいくつか種類があり、リスニング問題をこなすうちに慣れていくものが多いのですが、なかでも多くの方が克服するまでに時間がかかるのが「弱形」と言われるものでしょう。
弱形とは、名詞や形容詞などのはっきりと発音される単語に比べて「弱く短く発音されるもの」のことで、ofやtoなどの前置詞、yourやhimなどの代名詞、andなどの接続詞、couldなどの助動詞、be動詞などのことを指して言います。
単語自体は中学1年生ぐらいで習う簡単なものばかりですが、いざリスニング中に出てくるとあまりにも軽く短く発音されるので聞き取ることができず、戸惑っている間にリスニングが終わってしまうというやっかいなものです。
聞き取れていなかった弱形がないか、スクリプトで時折確認しながらシャドーイングをしていくと、英語特有の音の変化に慣れて細部まで聞き取ることができるようになりますよ。
②TOEIC Part 2で登場しやすい文法
それでは次に、Part2を攻略するに当たって押さえておきたい頻出文法を2つ確認しておきたいと思います。
・付加疑問文
付加疑問文とは、文の最後に,don’t you?や,didn’t they?などのように付いて、「ですよね?」と同意を求めたり、念を押したりするときに使われる表現です。
→Yes. I hope we can participate by phone.(はい。私たちは電話で参加できればと思います。)
このように、会議の場所について確認する文に対してYesと答え、電話で参加するという内容を付け加えている応答文が正解となります。
ただ同意を求めているだけなので、「付加疑問文が出てきてもあわてずその部分は無視すればよい」と覚えておきましょう。
ただし、付加疑問の部分を聞くことによって「時制」と「主語」がわかるので、応答文の選択肢を絞るときに役立てることもできますよ。
・否定疑問文
否定疑問文とは、Isn’t it~?やDoesn’t he~?などのように否定から始まる疑問文のことを言います。
→No, it’s coming tomorrow.(はい、明日来ます。)
否定疑問がでてきたら、Yes/Noのどちらで答えればよいか迷ってしまう方は多いですが、あわてずにn’tの箇所を無視するようにするとよいですよ。
つまり上記の文で考えると、Has the new equipment arrived?と同じ文だと考え、到着したのであればYes、到着していないのであればNoで答えればよいというわけです。
ただし、毎回Yes/Noで答えるわけではなく、次のようなひねった答え方をすることも珍しくないので注意しておきましょう。
→Only on the weekend. (週末だけです)
TOEIC Part2の覚えておきたいテクニック
①出だしに注意
「Part2は出だしの疑問詞をしっかり聞き取ることが大切」というのはよく知られた対策法ですよね。実際、出だしの疑問詞さえきちんと聞き取れさえすれば、答えを導き出せる問題は毎年いくつか出題されています。
しかし、これは裏を返せば、出だしを聞き取れないとその設問に答えられなくなってしまうということです。
Who’sとWhoseのように、疑問詞のあとに続く品詞によっては判別しにくいこともありますし、次の例文のように、たとえ疑問詞が聞き取れたとしても答え方にひねりがあるものも多く出題されます。
→It hasn’t been assigned yet.(それはまだ割り当てられていません)
たしかに出だしの疑問詞を聞き取ることは大切なことですが、出だしだけを聞き取ろうとするのではなく、文全体をしっかり聞き取るクセをつけるようにしましょう。
②似た音
質問文の中で出てきた英単語を、不正解の応答文の中で使うことによって引っかけようとする問題はよく出題されるので注意してください。
(A) I went to my office.(私はオフィスに行きました)
(B) It is across the street.(その通りを超えたところにありますよ)
(C) No, not at all.(いいえ、そんなことないです)
設問でofficeという単語が使われているため、ついつい似た音につられて(A)の選択肢を選んでしまうかもしれませんが、郵便局の場所について答えている(B)が正解です。
「設問文で出てきた単語と似た音が出てきたら、それは間違いである可能性が高い」ということを頭の片隅に入れておくとよいでしょう。
TOEIC Part2対策のまとめ
ここまでPart2の勉強方法や勉強のコツ、解答を導き出すためのテクニックなどについてご紹介してきましたが、いずれにおいてもPart 2で確実にスコアを出すためには地道な勉強が欠かせません。
またそれと同時に、いくら対策をしていたとしてもPart2は瞬発力と集中力が必要なパートですので、一度でも集中力が途切れてしまえば数問立て続けにミスをしてしまうことも珍しくありません。
出だしの単語や頻出文法、似た音に注意することと合わせて、途中で迷ってしまってリズムが崩れてもミスを引きずらないことを心がけ、Part 2で確実にスコアを獲得することを目指していってくださいね。