日常英会話でとてもよく聞く言葉の一つ、強い否定を表す「never」ですが、言葉が持つ意味が強いので使い方が合っているか不安になることはありませんか。
ジブリ映画を観ながら英文法を学ぶシリーズでは、実際にジブリ映画に使われているセリフをもとに、ネイティブスピーカーが使う英語のニュアンスと英文法を学びます。
今回は、「風立ちぬ」から、「never」の使い方をマスターしましょう。
neverの意味
「never」は「not」と「ever」がくっついた言葉です。
つまり、「ever(いつでも)ではない」という直訳で、「決して~ない」や「絶対に~ない」といった強い否定を意味します。
動詞の前に「never」がくるのが文法ルールです。
neverの使い方1. 決して~ない 強い否定のニュアンスを表す
「全然~ない」や「決して~ない」「絶対に~ない」などと、強い否定を表します。単純に否定するよりも、強く否定を表したい時に使われます。
ジブリの例を見てみましょう。
主人公の堀越二郎の妹、かよが久しぶりに二郎の下宿先を訪れたシーンです。すっかり約束を忘れていた二郎に、かよが怒った口調で言う台詞です。
英語訳:You’re so mean. You never ever come home.
「You don’t come home.」で、「あなたは家に帰ってこない」という文章になりますね。
その「don’t」を「never」に変えると、「全然帰ってこない」という強い否定文になります。
更にこの文章では、neverの後に「ever」とつけることで、「絶対に何が何でも帰ってこない!」という非常に強い否定のニュアンスを含む言い方が表れています。
かよの顔から分かるように、相手を批判する時などの、強い言い方に聞こえます。
He never listens to what his father says.
彼は父親の言う事を決して聞かない。
Mari decided never to see him any more.
マリはこれ以上絶対に彼に会わないと決めた。
neverの使い方2. 今まで一度も~ない 経験の否定のニュアンスを表す
完了形や過去形と合わせて、「今まで一度も~ない」という経験したことがないというニュアンスを表します。
例を見てみましょう。
関東大震災で大きな被害を受けた東京。田舎から兄の二郎を訪れに東京にやっきてた妹のかよが、とても復興している街並みを見て言う台詞です。
英語訳: I never dreamed Tokyo would recover so quickly.
「I never dreamed」で「夢にも思わなかった」という文章ですね。
通常の否定形「I didn’t dream」でも意味は通じますが、ここでは、まさか夢にも思わなかったというような驚きのニュアンスが込められているため、思わなかったという事を強調する「never」が使われているのでしょう。
ここでは、過去形の文章ですが、完了形と合わせて使う事で「今まで一度も~ない」という文章も英会話で頻繁に使われますよ。
I have never been to Tokyo.
東京へは今まで一度も行ったことがありません。
I never expected to meet her in a place like that.
こんなところで彼女に会うなんて夢にも思わなかった。
neverの使い方3. 今後決して~ない 未来に対する否定を表す
未来を表す助動詞「will」と合わせて、今後決して~ないというニュアンスを表します。
例を見てみましょう。
飛行機の設計技師となり働き始めた主人公、堀越二郎。自身が設計にかかわった飛行機が、陸軍の前で審査飛行を行いました。
順調に飛行していましたが、時速400kmという猛スピードで急降下中に空中分裂が起きてしまい、審査は失敗に終わってしまいました。
目標とする飛行機を生み出すために、自分がやるべき事が見えた二郎が、上司に言う台詞です。
英語訳:I’ll never forget what I saw today.
映画の中では意訳になっていますが、「I will never forget what I saw today.」を直訳すると「私は今日見たことを決して忘れません」という文章になりますね。
「I won’t forget」という通常の否定よりも自分の意志が強く表れるニュアンスに聞こえるので、未来に対して「忘れません!」と宣言しているように聞こえます。
この様に「will never」を使うと、未来の事柄に対して「絶対~ない」という否定文を表すときに使われます。
Even if he does something bad, he’ll never admit it.
たとえ彼が何か悪い事をしても、彼は決して認めないでしょう。
I‘m sorry. I’ll never do it again.
すみません、もう二度としません。(謝っているニュアンス)
neverの使い方4. could never/would never 決して~ないだろう 仮定上の否定を表す
「could never」や「would never」で、現実には起こり得ないことを表す「決して~ないだろう」という仮定法の否定のニュアンスを表します。
例を見てみましょう。
主人公、堀越二郎の夢の中ので、尊敬するイタリアのカプローニ氏が設計した飛行機にのせてもらっているシーンです。その壮大さに感激した二郎が、日本の技術力、資金力共に不足している事を痛感して言うセリフです。
英語訳: We could never build something like this.
この会話の背景には、この時代、日本の技術力は海外に比べてまだ乏しいという状況がありますね。
それをふまえて、「could never」で「~できるはずがない」という様なニュアンスになります。
ここでの「could」は、「could」の用法の一つである、「現在や未来の可能性を表す意味」として使われています。実際にできるかできないかではなく、話し手が「絶対に~ないだろう」と思っているニュアンスを伝えたい時に使われます。
She is only 3 years old. She could never get the train by herself.
彼女はまだ3歳だよ。一人で電車に乗れるわけないよ。
Will you go to Hokkaido next week? I would never go to travel under this situation.
来週北海道に行くの? 私ならこんな状況で絶対に旅行には行かないけどなぁ。
neverを使った日常会話の頻出フレーズ
・Never mind.
(気にしないで!)
命令形の形で「Mindするな」、つまり「気にするな」や「なんでもない」などのニュアンスで使われます。相手が誤ったり、御礼を言ってきたりした場合によく使われます。
また、自分が何か言いかけてやめた時に、咄嗟に「never mind」(何でもないので気にしないで)と使う事もあります。
Never mind. (気にしないで)
・You never know!
(分からないよ!)
直訳すると「あなたは決して知らない」となりますが、誰も分からない事などに対して使われます。
You never know until you try! (試してみないとわからないよ!)
まとめ
いかがでしたか。動詞の前に「never」がくるという使い方は同じなので、文法ルールとしてはシンプルですよね。
通常の否定文としても意味は通じますが、「never」を使う事でより細かいニュアンスを伝えることができるので、使いこなせるようにぜひ練習してみてくださいね。
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