スキューバダイビングをしたいけど、「泳げない」「海が怖い」「足がつかないのが怖い」という人結構多いですよね。ですが、ダイビングショップのHPやその他、色々な質問コーナーなどでよく目にする『泳げなくてもダイビング出来ますか?』という質問。
大抵どこの答えを見ても、「泳げなくてもダイビング出来ます!」と書いてあります。それでは、果たして本当に泳げなくてもダイビング出来るのか?ダイバーになれるのかを詳しく説明していきたいと思います。
ダイブマスターとして色んな人と接してきて
2012年の5月末にオープンウォーターダイバーを取り、その後1年で100本潜りました。アドバンス・レスキューと取得していき、2016年6月にダイブマスターを取得しました。
その際、ダイブマスターとして色んな人と接してきて思ったこと、オープンウォーターの頃と今の自分との違いを説明していけたらと思います。
目次
①体験ダイバーは泳げなくてもダイビングは出来る
ダイブマスターとして、体験ダイビングには何十回と同行させてもらいました。体験ダイビングをしようとする人たちの中には、何回も体験ダイビングを経験してきた人もいれば、耳抜きが出来ないので…と言ってくる人、泳げない人、水を顔につけるのすら怖い人など様々でした。
案外多いのが、海がそんなに好きではなさそうなのに体験ダイビングに来る人の多さ!せっかくのセブ島の海なので、多少海が怖くても、泳げなくても綺麗な海の中が見たい!という人は多いのでしょう。
海の綺麗さに感動はするものの、浅瀬でのレギュレーターでの呼吸やマスククリアなどではかなりてこずります。基本的に足がつき、胸の高さぐらいの水深で最初に練習しますが、レギュレーターと呼ばれる呼吸器を咥えるだけですぐに苦しくてはずす人がいます。
また、マスククリアの際は顔に水が入ってくるので、パニックになる人がほとんどです。それでもゆっくりと時間をかけて私たちの場合は練習しますが、イントラ1人に対して講習生4人とかなら、そんなに時間を割くことが出来ないはずですので、雑にはなってしまいます。
ですが、基本的に浅瀬での練習を終わらせて、多少水に慣れさせてから水深5メートルのところまでいきます。
体験ダイバーは泳ぐことはほとんどありません。インストラクターが体験ダイバーの背負っているタンクのバルブと呼ばれるところを持って上から吊るしている状態です。
または紐などに捕まらせて、引っ張って海の中を案内するという感じです。
なので、体験ダイバーは水中で泳ぐことはありません。なので泳げなくても出来ます。耳抜きさえ自分で出来れば、体験ダイビングは泳ぐことは必要ないのです。
②体験ダイビングはあくまで体験
体験ダイビングはあくまで体験。なにも知識がないのに潜っているので、すべてインストラクターによって勝手にコントロールされています。泳げなくても出来るというよりは、泳がせません。勝手に泳いで行かれても困るからです。
なので、まれにフィンを履かせないで体験ダイビングをするお店もあるぐらいです。
体験談として、水泳部の体験ダイバーを泳げるからといって好きに泳がすと、あっというまに視界から消えます。私たちが見える範囲で行動してくださいといっても、視界からあっさりと消えます。
周りの魚や楽しさに夢中になってしまうからです。なので、タンクを思いっきり掴んで私たちは泳ごうとする彼らを気づかれない程度に引き止めているのです。
結論として、体験ダイビングは全く泳げなくてもダイビング出来るのです。
泳げないけど海の中が見たいという人は、体験ダイビングを是非してみてください。器材の装着から脱着、水中での泳ぎ、また水面での泳ぎ等すべてインストラクターがやってくれるので、私たちは楽しむだけです。
では、Cカード保持者でも泳げなくてもダイバーになれるのか!?
体験ダイビングでは、泳げなくてもダイビングが出来るとご紹介しました。では果たしてCカードを取ろうとしている人も、泳げなくて大丈夫なのでしょうか?
泳げないとは、何もつけない状態で25メートルすらも泳げないということです。それでも立派なCカード認定者になれるのでしょうか?
①オープンウォーターダイバーは泳力テストがある
実はダイビング入門であるオープンウォーターダイバーになるためには、泳力テストがあります。
1.なにもつけずに200メートルを泳ぐorまたはシュノーケルをつけて300メートルを泳ぐ
2.足のつかない水域で10分以上落ち着いて浮いていられる
3.疲労ダイバー曳行と呼ばれ、人を引っ張りながら25メートルを泳ぐ
この3つの課題が実は講習にはあります。つまり、泳げないとオープンウォーターダイバーにはなれません。なにもつけないで水泳200メートルは結構辛いです。なのでシュノーケルのみで大丈夫です。
シュノーケルを付けて前に進んで呼吸することができれば、あとは300メートルを泳ぐ体力させあれば合格できます。シュノーケルはフィンをついているのでコツさせつかめばガンガン前に進んでくれます。
あとはシュノーケルの呼吸法をしっかりと学び、水を誤って飲まなければ大丈夫でしょう。
足がつかないところで10分も水面にただ浮いていればいいので、そこまで難しくはありません。ダイバー曳行は少しきついかもしれませんが、25メートルをダイビング器材付けて沈まない状態でひたすら引っ張るだけなので、体力の問題でしょう。
②泳力テストは意外に省かれる!?
泳力テストは実は沖縄やセブ、リゾート地で講習すると省かれる可能性があります。都市型ショップや伊豆などのリゾートではない場所での講習であれば、講習期間で3日間や4日間を取っているところが多いので、比較的がっつりと講習します。
ですが、リゾート地では旅行で来ている方がほとんど。2日間で終わらせるために色々とあまり重要でない部分を省くことが多いです。そこで省かれやすいのがこの泳力テスト。
私も実際泳力テストは受けていません。また、ダイブマスターとしてオープンウォーター講習を見ていてもやはり泳力テストまで時間を割くことは難しいです。
なので、講習中にビーチダイビングでの水面移動中に泳ぎを見てOKとすることが多いのが現状です。
③泳力テストを省く結果、泳げないダイバーが続出
泳力テストを省いてしまうショップが多い結果、泳げないダイバーというのが続出しています。もちろんきちんと講習しているショップも多いですし、泳げないと本当に認定しないという厳しいお店は沢山あります。
ですが、それに比例して泳げなくても認定するお店が多いのも事実。
その口コミで、泳げなくてもダイバーになれたよ!とか、そんなテストなかったよ!とかいう答えが出てしまうのです。じゃぁ泳げないけどやろうかな?という人が増え、結果どんどん泳げないダイバーが増えて行く。
では、そうしたらどうなるのでしょうか?
正直言って、危険です。
オープンダイバーは、ほぼ皆さんインストラクターをつけて潜ることが多いですが、バディダイビングも可能です。泳げない状態で潜るということは、いざというとき命を守れないことになります。
漂流してしまったら、流されて船が遠くにある場合、でも泳げない。それでは本当に助かる命も助かりません。
格安ライセンス取得につられてライセンスを取ってしまうと、大切なことを学ばずにダイビングを続けていくことになります。そうならないためにも、しっかりとしたお店選びは重要です。
実際にダイバーが泳ぐ場面はあるのか
ダイバーはいつ、泳ぐ場面に遭遇するのでしょうか?実際わたしが泳いだなーっていう場面は、ダイブマスター講習時。体験ダイバーや講習生が疲労して動けない時に曳行するときでした。
きついうねりや波で船が近づけないときに、船まで少し泳ぐことがありました。それでも距離はほんの数十メートル。船から縄が投げ込まれればそれに捕まるだけ。なので泳ぐ場面に遭遇したことはほとんどありません。
なので、実際は泳げなくても基本は問題ないかなと思います。
ですが、それはあくまで泳がない場面が多かっただけであり、泳げないのに泳がなくてはいけない場合がきたとき、どうなってしまうのか。想像しただけで恐ろしいです。
実際、レジャーでダイビングをしている時は泳がないことがほとんどです。ですが、それはあくまで皆さん泳げることが前提で潜っています。あなたが泳げなくて岸までたどり着けなくても、バディもインストラクターも必ず助けてくれるとは限りません。
ウェットスーツで浮力は保たれ、フィンで前に進みやすくはなっているものの、泳ぐ技術は多少なりとも必要です。泳げない人は無駄に体力を使ってしまう傾向があるので、緊急事態のときはよりパニックになって体力を消耗することでしょう。
泳げなくてもダイバーになれることはなれます。実際に多くの泳げないダイバーに遭遇してきました。でも、それで困るのはあなた自身しかいません。なにもトラブルがない場合は楽しいレジャースポーツですが、危険とは常に隣り合わせ。
万が一、本当に泳げない場合はパニックになる可能性が高くなり溺れやすくなります。
ダイビング業界のキャッチコピーに騙されずに、しっかりと泳ぐ特訓をし、せめて25メートルを泳ぎきれるようになりましょう。