こんにちは、エメラルドグリーンの竹谷です。
セブ・オスロブのジンベエザメ(以後ジンベエと表記)について書いてみたいと思います。
謎の魚ジンベエザメ
どうして、ここでジンベエを見ることができるのでしょうか?
まず、ジンベエは、赤道は超えませんが、大洋を横断する程の大きな回遊をしていると考えられています。
オスロブにはジンベエとしては中型程度の大きさの個体が訪れます。生まれてすぐの1メートル程度の小さなものや、出産したりする10メートルを超える大きなものも来ません。
回遊の途中で立ち寄っているのだと思います。
何故オスロブに?
では、なぜオスロブに立ち寄るのでしょうか?
ここにはオキアミ(小エビ・プランクトン)が大量に生息しています。
フィリピンではバゴーンと呼ばれている、このオキアミを塩辛にした人気食品があります。グリーンマンゴーに付けて食べたり、フィリピン定番料理のピナクベット(野菜炒め)には欠かせない食材です。
フィリピン通の方はご存知の方も多いと思います。
通常は深海にいると考えられていますが、日本の桜エビ同様、夜から明け方にかけて、大量のオキアミが浅瀬に上がってきます。
そのオキアミを目がけて以前から多くのジンベエはじめ、大型の魚が出没するところでした。近くの漁師さんは、オキアミを獲ることはもちろんですが、それらを目指してやって来るジンベエを含む大型の魚を捕っていました。
ジンベエが元漁師が撒くオキアミをパクパクと食べているところです。
さらに、大量に漁れ過ぎてしまうオキアミを撒き餌、コマセとして、さらに多くの魚を集めて漁をしていました。
大きな口を、さらに大きく開けて、海水ごと一気に吸い込んでいます。ど迫力ですね!
フィリピンでも以前はジンベエも食べていたんです。
とは言っても、中国では、未だに何百匹ものジンベエが殺されているようです。
今年の8月、生きたジンベエを解体する様子をYouTubeで公開され、一部で話題となっていました。さすがに、これは可哀想すぎて閉口してしまいます。。。
日本ではジンベエは食用とされていませんが、他のサメは食用とされていますね。
ところが現在のフィリピンでは、ジンベエをはじめ大型のサメの捕獲が厳しく禁止されています。
漁で生計を立てていた漁師さんは困ってしまいますね。そんな中、夜中から明け方にオキアミをとり、それを朝から撒き続けたところ、ジンベエが毎日来るようになったようです。
大型のサメなどを漁れなくなってしい、生活が苦しい方々が、今度はそれらを観光資源となるようにしたのです。
素晴らしいことだと思います。
ただし、むやみにやっていたのでは、問題となってしまいます。
現在はオスロブ町の自主規制にて、オキアミが浮上してくる時間を少しずらして、午前中のみ、オキアミを与えています。
ですので、午後になるとジンベエはどこかに行ってしまいます。
また、1日でジンベエに必要な量には全く足りない、小量のみのオキアミを与えるように規制も行っています。
要はここで食べた量はオヤツ程度で、午後からは別の食事を求めて他の場所に行き、自分自身で餌を捕っているはずです。
立ち泳ぎをしながら水面にいるオキアミを一気に吸い取りながら食べています。ジンベエ特有の採餌行動です。
オスロブ町と研究者は個体識別も行い、調査も行っています。
今までに数百ものジンベエが訪れていますが、ずっと住み着いてしまっている個体はいません。しばらくすると、回遊しにどこかに行ってしまいます。
リゾートホテルの前で、元々は海中にあるはずの無い陸上の材料で作ったパンなどを大量に撒き、餌付けしているところもあります。また、釣りでは人工の撒き餌、コマセを大量に撒く事もあります。
それらと比べれば、元々その海にいるオキアミを早めにとって、しばらくしてから撒くというのは、認められる範囲ではないでしょうか。
ジンベエの半水面画像です。水面すれすれを我々人間のことなんか気にせず、のんびり泳いでいます。ジンベエは、こんな陸地のすぐ近くまで来ます。
2012年からは、オスロブ町と研究者が、ジンベエを含めた環境を保護する為に厳格なルールを作り、しっかりと町が管理しています。
近づかない、触らない、乗っからない。ライト、ストロボを照らさない、日焼け止めを塗らない等です。今の環境を守る為にも、率先して守って行きたいと思います。
日本人の方は意識が高いようで『日本人はしっかりとルールを守っている』と地元の方がおっしゃっていました。
当然の事ではありますが、ジンベエを見る際にはルールを守って頂きたいと思います。
スノーケリングをしている方々のすぐ下を、ゆったりとジンベエが泳いでいきます。急に出てくるとちょっとビックリしますが、危険性はありませんし、ちゃんとよけてくれますよ。
ジンベエは世界一大きな魚なので、ここオスロブだけがとても目立ってクローズアップされがちです。
このオキアミを与えることには関して、賛否両論あるようですが、上記をふまえた上での総合的な判断が必要だと思います。自然環境を守りながら、ジンベエを見続けられるように、力を合わせて努力、工夫をし続けたいと思います。
エメラルドグリーン・ダイビングコーポレーション
代表 竹谷 六未
エメラルドグリーン公式サイト