コロケーションという言葉を聞いたことがあるでしょうか。多くの人には聞き馴染みのない言葉かもしれません。学校では教えてくれることはありませんし、あまり注目されていない観点ですが、コロケーションは英語学習をするにあたって非常に重要です。
コロケーションとは、英語では「collocation」と綴り、「collocate(一緒に並べる、配置する)」の名詞形です。
日本語では「語と語のつながり」や「連語」と訳されることがありますが、簡単に説明するとよく一緒に使われる単語同士の組み合わせのことで、言い換えればコロケーションは聞いていて自然な語の繋がりのことを指します。
例えば、ある名詞によく組み合わされる動詞や形容詞との組み合わせのことで、コロケーションが正しければ非常に自然な英語に聞こえます。
しかし、コロケーションを間違うと、いくら文法的には正しくとも、聞いていて不自然な英語になってしまいます。日本語で言う「強い雨」というのは「strong rain」ではなく「heavy rain」と表現されます。
または「ランチを食べる」という日本語も「eat lunch」ではなく「have lunch」といった表現が適切です。どちらとも文法的には間違ってはいないですし、意味も何とか通じるのですが、それぞれ前者はネイティブが聞くと少し不自然に感じのは、まさにコロケーションが間違っているからです。
eatとlunchという単語はコロケーションという観点においては親和性が低く、相性が悪いのです。
コロケーションとは文法的ではなく慣例的に決まっているものですので、「なぜその語との相性が良いの?」と聞かれると特に理由はありません。そういうものだからと一つ一つ丁寧に覚えていく必要があります。
コロケーションとイディオムの違いは?
似たような考えにイディオムと構文があります。イディオムとは日本語に訳すと「成句」となりますが、ある特定の語が組み合わさることで本来もつ意味とは別の意味を持つ句を指します。
例えば「read between the lines」というイディオムがあります。これを直訳をすると「線の間を読む」ですが、本当に線の間を読むのではありません。この場合、慣例的な意味では「行間を読む、言外の意味を読み取る」といった意味になります。
このようにイディオムは単語の組み合わせによって直訳とは意味が異なるようになります。一方でコロケーションは、必ずしも原意と実際の意味が異なるわけではありません。
例えば「laundry(洗濯)」によく結びつく動詞は「wash」ではなく「do」で、よく「do the laundry」といった表現をします。しかし、意味はそのまま「洗濯をする」であることは変わりません。イディオムとコロケーションの違いはここにあります。
また、英語構文というものもあります。英語構文とは「There is ~~」構文のように文法的な決まりのことを指しますので、コロケーションとは異なります。コロケーションは繰り返すように、もっと慣習的で感覚的な組み合わせのことを指します。
以上がコロケーションの説明になります。「単語だけ覚えたけれども実際に使えない」というのはこのコロケーションが分かっていないからなのです。単語を単体で覚えるのではなく、単語の組み合わせを覚えることで使える表現が一気に増えます。
英語が流暢な人はコロケーションが分かっているということになりますので、非常に重要な観点です。日常英会話はもちろんビジネスシーンでも活用することができますので、是非コローケーションを覚えましょう。今回はコロケーションの学習内容やその方法を見ていきます。
何をコロケーションで学べばいいのか?
では次に具体的に何を学べばいいのでしょうか。以上の通り、コロケーションとは一つの英単語に自然に組み合わさる英単語のことですので、その組み合わせを覚えていきます。
例えば、「rain」という名詞を見た際に、どのような形容詞をつければ雨の強さや様子を表現できるでしょうか。
強い雨だと「heavy rain」「pouring rain」「steady rain」「cold rain」「patchy rain」のように表現することができます。
では「rain」という名詞が主語となる場合はどのような動詞がつくでしょうか。
この場合「Rain beat against the window all night」「The rain came just as we set off」のような動詞をとります。このように英単語を見たときにそれに繋がる動詞や形容詞、名詞を学ぶことがコロケーションの勉強といえます。
どうやってコロケーションを学習するのか
次にどのようにコロケーションを学習するのかをお伝えしたいと思います。
単語のみの英単語ではなく、比較的長い例文が書かれた単語帳を見る
コロケーションが分からない理由の一つとして、単語を単体で覚えているからということが挙げられます。
「難しい名詞を一つ覚えたけれど、どんな動詞を取ればいいのか分からない」といったことに心当たりがある人はそのような暗記の仕方をしている恐れがあります。単語の覚え方としては単語よりも例文を覚えることをオススメします。
例文単位で覚えると、その単語にかかる形容詞や続く動詞などの繋がりを覚えることができますので、自然な英語が身につきます。
コロケーション辞典をひき、分からない箇所を調べていく
コロケーションが分からない単語に関してはコロケーション辞典で調べることをオススメします。コロケーションの辞典や参考書も多数出版されていますが、今ではインターネットで無料公開されていますので、誰でも簡単に調べることができます。
コロケーションを意識して文を読み少しでも分からないところがあれば随時調べるようにしましょう。私は以下のサイトをオススメします。
→https://www.freecollocation.com/
コロケーション学習時の注意点
次にコロケーションを学習する際の注意点です。
根気よく調べていく
一つの単語に対して自然に組み合わさる単語の数は複数個ありますので、全てを覚えようとするのはもちろん不可能です。コロケーションが分からない単語があれば一つ一つ丁寧に調べていく必要があります。
これは非常に根気のいる作業ですが、コロケーションを勉強するにあたってこれが一番の近道です。例えば会社の会議で何と伝えればよいのか分からなかった場合など、その会議が終わったらすぐに調べましょう。
少しでもコロケーションを知っておくと表現がどんどん豊かになりますので、単語を覚えることよりも重要です。
例文でインプットする
例文は必ず節ではなく文であることを確認しましょう。単語帳によっては最小限の句が例をとして挙げられているものもありますが、必ず文が例として挙げられているものを選びましょう。
参考書の中では何気なく例文が書かれており、流し読みされがちですが、例文はコロケーションの宝庫ですので、実は単語そのものよりも注視されるべき内容なのです。
コロケーションのGOAL
最後に、どの程度のレベルを達成すれば良いのでしょうか。
最低レベル:間違いやすいコロケーションを把握する。
最低でも間違いやすいコロケーションは覚えられるようにしましょう。例えば、先述したような「eat lunch」のような間違いのことです。これらの基礎的なコロケーションは参考書に書かれていますので、是非気に入った一冊をマスターするようにしましょう。
最高レベル:ビジネス専門用語のコロケーションを覚える。
最高レベルといってもコロケーションは無数にありますので、ここではビジネスシーンを想定してお話ししたいと思います。少なくともビジネスでよく使われる英単語のコロケーションを覚えなくてはなりません。
例えば、「meeting(会議)」にしても「会議を開く」「会議をしめる」「会議が行われる」「会議が延期になった」と様々に表現できる必要があります。これらを英語ですらすら言えるようにしておきましょう。